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[患者さんの相談事例] 2009/10/30[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

このまま我慢して、そのドクターに訪問を続けてもらうしかないのでしょうか?(72歳・女性患者の息子より)

 母は5年ほど前に頭痛を訴えるようになり、そのうち、ひきつけを起こすようになりました。初めは内科で検査を受けたのですが原因がわからず、大学病院の脳神経外科を紹介されました。さまざまな精密検査を受けた結果、悪性の脳腫瘍と診断されました。すぐに手術を受けたのですが、かなり進行していたらしく、腫瘍をすべて取り除けないまま手術は終了しました。しばらくは経過観察するしかなかったのですが、最近になって悪性の脳腫瘍に関する抗がん剤の治験を紹介され、藁をもすがる思いで参加しています。
 そのまま大学病院にかかっているのですが、1年ぐらい前からさらに病気が進行して歩くこともままならなくなり、訪問診療を受けています。在宅医療に力を入れているという噂を聞いて、近くのクリニックのドクターに来てもらっているのですが、どうしてもそのドクターに対して信頼感が持てないのです。
 例えば、脳腫瘍で大学病院にかかっていることも「具体的な治療方法がないのに、いつまで大学病院に行くのですか?」と否定的で、私が大学病院だから治験にも参加できると言うと、「そんなことやって意味があるんですか?」と批判されます。母が発熱や食欲不振などの異常を訴えると、「脳腫瘍の影響でしょう」で済まされ、熱心に診ようとしてくれません。
 思い切って先日、「これまで1年間診ていただいたのに申し訳ないのですが、別の先生を探そうと思いますので、今後の訪問診療は結構です」とお断りしました。すると、根掘り葉掘り理由を聞かれ、私があいまいに言葉を濁していると、「明確な理由もないのに別の先生を当たったとしても、私にかかっていたとわかれば、訪問診療を引き受けてくれるクリニックはありませんよ。この辺りでは、訪問診療は私が先駆者として知られていますからね。訪問医が見つからず、お母さんが路頭に迷ってもいいのですか?」と脅しのようなことを言われてしまいました。このまま我慢して、そのドクターに訪問を続けてもらうしかないのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 どのような治療を受けるのかを選択するのは患者側ですから、脳腫瘍の治療で大学病院にかかり、治験を受けていることは非難されることではありません。ただ、ドクターにもさまざまな価値観があり、患者・医者関係には相性も大きく影響します。それだけに、どうしても考え方が合わない、信頼感が抱けないということであれば、ドクターをかえるという選択肢を選ばざるを得ないと思います。
 ただ、このようなご相談で気になるのが、ご本人の意思です。お母さんがそのドクターに対して安心感を持っているなら、息子さんの意思だけでかえてしまうと、不安を覚えられるでしょう。それだけに、必ずご本人とよく話し合い、意思を尊重することが大切です。
 「ほかの訪問医には引き受けてもらえない」と言われたとのことですが、きちんと事情を話して頼めば、誠実なドクターであれば引き受けてもらえるはずです。どうしても不安であれば、「ご迷惑がかかるといけないので、前のドクターのお名前は伏せさせてください」とお断りしてもいいのではないでしょうか。
解決!医療機関さんこうしてみては・・・?
 患者側には、さまざまな思いがあって治療選択をしているときに、明確な理由がないのに選択肢を否定されるのは気持ちがいいものではありません。専門家として意見を述べることは大切だと思いますが、価値観の押しつけは控えるべきだと思います。
 また患者側は、通院治療であれば気に入らなければ転院すればいいのですが、訪問診療の場合、断るのはかなりの勇気を要します。当たり障りのないさまざまな理由を考えて断ったという声も届きます。非がなくとも、相性が合わない場合もあるのですから、患者側から断ってきたときは潔い対応も必要だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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