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[患者さんの相談事例] 2009/11/27[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

納得できない気持ちでいっぱいです。どうしても支払わないといけないのでしょうか?(29歳・女性より)

 初めての子どもを妊娠し、近くの産科医院で出産することを決め、検診に通っていました。その産科医院は院長と勤務医が5人いて、常に当直2人体制で、安全性をアピールしていました。それに、おいしい料理と快適な入院生活を送ることができると評判で、出産に関する雑誌でもよく紹介されていました。初めてのお産を安全で快適にと考えていたので、私のイメージにピッタリの医院が見つかったと満足していました。
 妊娠38週に入ったばかりのとき、夜中に急に下着が濡れて異様な感じがしたので、トイレに駆け込みました。すると、大量に出血していて、レバーのような塊がトイレに落ちたのです。私は驚いて夫を呼び、産科医院に電話をかけてもらいました。電話に出てくれたドクターから「胎盤早期剥離の可能性があるから、すぐに来てください」と言われ、夫の運転する車で産科医院に行きました。
 医院に到着すると、すでに手術の準備が進められていたようでした。エコー検査と内診などで胎盤早期剥離と診断され、緊急帝王切開になりました。子どものいのちも危ないかもしれないと言われていたのですが、何とか無事、女の子を出産しました。産科医院が近かったので、出血から手術までさほど時間がかからなかったことが功を奏したようです。
 その後、私の貧血が改善するのに時間がかかり、3週間入院しました。胎盤早期剥離だったため、費用は保険適応になったのですが、それとは別に保険外で40万円ほどの費用が請求されたのです。私は驚いて何の費用かと訪ねると、部屋代とのことでした。「そんなこと、事前に聞いていません」と言うと、「当院は全室個室で、皆さんから1日2万円のお部屋代をいただいています」と言われました。たぶん、自然分娩なら入院期間も短いので、私のような高額な請求にはならないのだと思います。
 それにしても、後から1日2万円と言われて請求され、黙って支払わないといけないのかと納得できない気持ちでいっぱいです。持ち合わせがなかったので一旦保留にしてきたのですが、どうしても支払わないといけないのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 保険で医療を受けているときに、特別に自費で請求される費用のなかに「差額ベッド料(差額室料)」があります。この費用の請求には国が決めたルールがあって、つぎのような場合には請求してはいけないと定められています。
 (1)同意書の提出がない場合。
 (2)治療上の必要で入室した場合
 [例]

  • 救急や術後で、その病室でないと治療は不可能
  • 免疫力が低下していて大部屋だと感染しやすい
  • 心身ともに著しい苦痛を伴う終末期の状態

 1や2以外に、「空きベッドがほかにない」「患者自身が感染症でほかの患者にうつす可能性がある」「いびきや認知症でほかの患者に迷惑をかける」といった場合は、「患者の選択によらず強制的に入室させた場合は請求できない」とされています。これはどういうことかというと、「同意書の提出さえあれば、請求可能」ということなのです。
 さて、あなたの場合、同意書を提出していなければ請求できない条件に当てはまります。差額ベッド料のルールについてCOMLから資料を送ることも可能なので、それを持参して産科医院と話し合ってはいかがでしょうか。

解決!医療機関さんこうしてみては・・・?
 差額ベッド料については、厚生労働省から1974年以降、再三にわたって通知が出されています。とくに2000年に通知内容が具体化され、医療機関においても「治療上の必要では請求しない」「同意書の提出要求を徹底する」など通知内容の周知徹底がはかられるようになってきました。
 ただ、この相談者のように、同意書の提出を求めることなく、当然のように差額ベッド料を請求されたという苦情が絶えないのが産科医院です。おそらく、自然分娩の自費扱いがほとんどを占めるため、同様の請求をしてしまうのだと思います。しかし、保険適応の患者に関しては、厚生労働省の通知に則った請求をしなければなりません。いま一度、院内で請求のあり方について見直しが必要ではないでしょうか。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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