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[患者さんの相談事例] 2009/12/11[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

夫がMRだと病気になっても病院に行きづらい?
(48歳・女性より)

 私の夫は、ある大手の製薬会社に勤めています。MRという医薬情報担当者として医療機関に出向き、ドクターに薬の情報提供をすることが仕事です。そのような夫の立場を認識しているだけに、製薬会社名が記された保険証を持参する私自身の受診のときは、いつも夫に迷惑をかけないように細心の注意を払うようにしています。
 2ヵ月ほど前胃痛が続き受診したところ、胃カメラでは異常が見つからず、神経性の胃炎と言われました。薬を出してもらったのですが、なかなかよくならないので、別の医療機関を受診することにしました。インターネットで調べたら、近所に消化器科のクリニックがあるとわかり、早速受診することにしました。
 診察室でこれまでの経過を伝えたのですが、ドクターは明らかに迷惑そうな表情に変わり「別の病院にかかっていたって? なのに、どうしてウチに来るんですか? 何の情報もないのに、勝手にうつって来られても迷惑なんだよ」と言われました。私はムッとしたのですが、反論することは控え、何とか診てほしいと訴えました。しかし「ちょっと治らないぐらいで、あちこち転々とする患者は迷惑。元の病院でしっかり診てもらって」と追い返すような対応をされました。それだけに、私のなかでとても嫌な印象だけが残っているのです。
 それから1ヵ月が経った昨日、夫から「ようやく怒りが治まったから言うけれど、1ヵ月前に○○クリニックに行って、迷惑をかけたらしいな。受診するときは、もう少し俺のことを考えて、気を使ってくれ」といきなり言われたのです。驚いてどういうことかと尋ねると、消化器科のクリニックの院長から夫の会社に電話が入り、私の名前を出して「態度の悪い患者だった。気分が悪いからもうお宅の会社の製品は使わない」と怒鳴り込んできたと言うのです。すぐに夫にも連絡があり、謝罪させられたらしく、院長に怒りを納めてもらうのに大変だったとなじられました。
 私は横柄なドクターだっただけに、自分でもすべての会話を覚えているほど気をつけていました。そんな苦情を言われるような態度をとった覚えはありません。それに、私のことを信用せず、1ヵ月も経ってから言い出す夫にも腹が立って……。こんな思いをするのだったら、夫の扶養家族をやめて国民健康保険に入りたいぐらいです。黙って我慢するしかないのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 これはあまりにも理不尽な出来事ですね。夫の職業が常につきまとい、受診する際にそこまで気を使わないといけないなんて、やはりおかしいと思います。それに、受診したという事実はプライバシーにかかわる個人情報です。それを夫の勤務先に伝えるというのも、個人情報保護法の観点から許されることではないと思います。
 ただ、おかしいと声を挙げるとすれば、自ずと夫と勤務先にも影響が及ぶだけに、非常に難しいお立場だと思います。まずは夫婦で話し合いを持ち、まずはあなたの気持ちをきちんと理解してもらうことから働きかけてみてはどうでしょう。そのうえで、お二人で解決方法について話し合ってみてはどうでしょうか。
解決!医療機関さんこうしてみては・・・?
 もちろん、ほとんどのドクターからみれば論外のことだと思います。しかし、実際には相談で届いていたこのような事が起こっていたのです。
 製薬会社にとって医療機関は顧客だけに、手厚く対応するのが習性になっているのだと思います。それが医療機関と製薬会社の上下関係につながり、理不尽なときでも反論できない関係性になっているのでしょう。
 それにしても、保険証から知り得た夫の勤務先とはいえ、患者の個人情報を伝えることは許されることではありません。個人的な受診は、薬の仕入とはまったく関係がないはずです。それなのに立場を利用して怒りの矛先を製薬会社に向け、脅し同様の苦情を発するのは言語道断です。また、毅然とした対応ができない製薬会社の体質にも情けない思いがしました。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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