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[患者さんの相談事例] 2009/12/25[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

安心できるドクターはどこにいますか?(37歳・女性より)

 私は65歳の実母と12歳の娘との3人家族です。半年前に離婚して、いま住んでいるマンションに引っ越してきました。母は以前から動脈硬化が進んでいると言われ、心臓の冠動脈の閉塞状態を定期的に調べてもらっていました。ただ、その病院は引っ越して以来遠くなってしまったので定期検査だけにし、日常は近くで見つけた循環器科クリニックに通うことにしました。
 ところが先日、胸のX線写真を撮ったらしいのですが、母がその結果を聞いて青ざめて帰宅しました。聞くと、クリニックの院長から「大動脈が膨れあがっていますよ。これではいつ破裂してもおかしくない。もし破裂すれば即死ですよ」と言われたというのです。これまで大動脈の異常を指摘されたことはなかったので、驚いて以前から診てもらっている大きな病院に母を連れて行きました。
 クリニックでの診立てを病院のドクターに伝えると、すぐにCT検査になりました。しかし、CTの結果、大動脈にはまったく異常がなく、肥大すらしていないことがわかったのです。詳しい検査もしないまま、”破裂”や”即死”などというショッキングな言葉で患者を不安にさせるなんて、許せない気持ちになりました。しかし、母に「見落とされたわけではなく、結果が良かったのだから、事を荒立てないで。何かあったときに近くで診てもらえるクリニックは便利だし、また別のところを探すのは大変だから」と懇願され、苦情を言っていくのを思いとどめました。
 ところが2日前、また腹立たしいことが起きたのです。お昼ごろに母が頭痛を訴え、しばらく様子を見ていたのですが治まらず、逆に痛みが増しているようでした。血圧などを心配したのですが、循環器科クリニックの午前の診察は終わっている時刻で、午後の診察は15時からでした。そこで念のためクリニックに電話をかけてみたのですが、運よく院長が電話に出てくれました。症状を伝えると「午後一番に診てあげるから、14時半にクリニックに来てください。その時間に受付してもらえれば、15時に診察できますから」と言ってくれました。約束通りに受診した母に帰宅後聞くと、14時半にクリニックに着いたのにシャッターが閉まっていて、事務員が来てシャッターを開けるまで20分以上待ったと言うのです。その日は寒い日で、母は震えながらクリニックの前で待っていたそうです。院長が事務員にきちんと連絡していなかたことは明白です。
 それ以外にも、院長と事務員の連絡が悪いなと思う細かな不満はたくさんあります。さすがに母も懲りて、「別の医院にかわりたい」と言い出しました。たとえ近くで便利でも、何か大きな問題が起こってからでは取り返しがつかないので、いまのうちに別のクリニックか病院を探すことにしました。どこに行けば安心できるドクターと巡り会えるのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 引っ越した場合、近くにどのような医療機関があるかわからず、口コミ情報も得にくいだけに、病院やクリニック探しに苦慮される方は多いようです。それだけに、せっかく近くで見つけて安心できると思っていたら、不満の残るクリニックだったのは、とても残念に思いました。
 私達のところにも「いい病院を紹介してください」「いいドクターはどこにいますか」という相談がよく届きますが、万人にとっていいドクターは残念ながらいません。まして病院だと複数のドクターがいるわけですから、担当するドクターによって印象も異なるでしょう。もちろん、相性の問題も大きく影響してきます。
 そこで、医療機関を探す場合は、自分にとって「いいドクター」とはどのようなタイプなのかをまず考えてみましょう。「説明が丁寧」「優しい」「副作用や合併症も嫌がらずに説明してくれる」「腕がいい」など、人によって優先順位は異なります。そのなかから、「どうしてもこれは外せない」ものを選び、それを満たしてくれるドクターかどうかを判断基準にしてはどうでしょう。最後は、自分の感性で選ぶしかないと思います。
解決!医療機関さんこうしてみては・・・?
 ドクターの”ひとこと”は、患者・家族の気持ちを大きく左右します。それだけに、まだ確定しない状態で、「可能性がある」にとどめるならまだしも、近い将来起きるかのような表現で”破裂”や”即死”といった刺激的な言葉を用いるのは避けていただきたいものです。それだけでショックを受けて、状態が悪化してしまう人もいるでしょう。
 また、「同じことを何度も聞かれた」「言っておいたのに伝わっていなかった」といった院内の連携の悪さに、患者・家族は敏感です。そして、医療者が思っている以上に、鋭く医療者を観察しています。まして、クリニックという小さな組織にもかかわらず連絡が悪いとなれば、やはり信用を失います。いま一度、院内コミュニケーションのあり方について、見直す必要があるのではないでしょうか。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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