会員限定この記事を読むと10pt 進呈!!

新規会員登録(無料) ログイン

[患者さんの相談事例] 2010/02/05[金]

いいね!つぶやく はてなブックマーク

 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

本当に病院に100%ミスはない?(30歳・男性より)

 私は先日、外科クリニックで日帰りの痔の手術を受けました。術後に痛み止めの坐薬を入れてもらったのですが、痛みが強かったので、点滴と注射を追加してもらいました。ドクターから「薬が複数入っているから、1~2時間はここで休んでから帰宅してください。足元がふらついて危ないと思うので、誰かに迎えに来てもらうか、それが無理ならタクシーで帰ってください」と言われ、2時間ほど処置室で横になっていました。
 2時間後に帰宅するころには、その病院は診察時間外になっていて、会計の事務職員しかいませんでした。立ち上がってみると足のふらつきはなかったので、自分の判断で駅まで20分ほど歩きました。歩いている間はだいじょうぶだったのですが、駅のホームで突然気を失ってしまったのです。そこへ電車が入ってきて接触し、頭を13針縫うケガと鎖骨を骨折しました。鎖骨の骨折は全治2ヵ月と言われています。
 痔の術後の経過を診てもらうために病院に行ったとき、主治医に「私が帰宅するとき、先生は最終確認をしなかった。だから怪我をした責任は、先生にもあるのではないか」と訴えました。しかし、主治医は「私に非はない。それに、クリニックを出た直後に倒れたのならまだしも、20分後の事故だから、病院に100%ミスはない」と言います。果たして、そうなんでしょうか? もし私が接触事故で死亡していたら、「責任はない」では済まないはずです。100%私が責任を負わないといけないなんて、納得できないのですが。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 頭を13針も縫い、鎖骨を骨折するほどの大怪我を負われたとは、大変でしたね。たしかに、場合によっては命も危なかったかもしれないわけですから、肝を冷やされたことでしょう。恐らく、もう足元はふらつかないし、歩くことができたので、「自力で帰ってもだいじょうぶ」と思われたのでしょうね。
 そこで、ドクターやクリニックの責任についてですが、ドクターから危険であること、一人で帰らないこと、徒歩で帰らないことを事前に注意されていました。そのうえ、20分間は問題なく歩けたわけです。それだけに、ドクターの注意を守らず自己判断で歩いて帰ったことで起きた事故について、医療側の非を問うことは難しいのではないかと思います。もし死亡事故になった場合でも、病院でどのように注意し、患者さんがどのように判断、行動したかを検証するでしょう。怪我で済んだ、死亡した、という結果の重さで責任の所在が変わってくるわけではないと思います。
 すべての責任を自分で負わないといけないのか、と理不尽に思うお気持ちもわかります。きっと、「まさか気を失うとは思ってもみなかった」のでしょう。それだけにお気の毒だと思いますが、すべての場合が相手に非があるとは限らないことを理解していただければと思います。
解決!医療機関さんこうしてみては・・・?
 もし、同じ苦情を受けたとしたら、「言いがかりだ」「どこに医療機関の非があると言うのだ」というお気持ちになられることでしょう。私たちも、この方の相談をお聞きして、「これで医療機関を攻めるのは、お門違いではないだろうか」と思いました。
 ただ、専門家からみて“当然”と思うことも、患者には理解できていないことがあります。また、たとえ危険を予測して注意したとしても、その重大さが患者側に伝わっていないこともよくあります。それだけに、注意を喚起するための説明を書面に認めて手渡すなど、より強力におこなったほうが効果的な場合もあるでしょう。
 また、患者から訴えがあった場合、一方的に「私に非はない」と突っぱねたのでは、患者も立場がなくなり、頑なになりがちです。患者のつらい気持ちを受け止め、思いに耳を傾けて冷静になってもらい、そのうえでなぜ非がないのかを説明することが求められるのではないでしょうか。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

記事を読んでポイント獲得!

10pt 進呈!!

この記事を読んで
簡単なアンケートに回答すると、
"Amazonギフト券に交換できる"
QLifeポイントを獲得できます!

この記事を読んだ人は他にこんな記事も読んでいます。
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。