[頭痛外来の先生を訪問しました「1人で悩まないで、慢性頭痛」] 2009/05/07[木]

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仁平敦子先生【プロフィール】
1990年 岩手医科大学卒業
1991年 中村記念病院 神経内科医局入局
1995年 神経内科認定医取得
2008年 頭痛専門医

 

QLife:先生、よろしくお願いします!まずは頭痛外来を始めた理由、きっかけを教えてくださいますか。

仁平先生(以下先生):当院は頭に関する専門病院として設立された経緯がありますので、もともと頭痛でいらっしゃる患者さんがとても多いんです。その原因は患者さんごとに様々あるのですが、大きく分けるとクモ膜下出血などの緊急に治療が必要なものと、緊急性はないがじっくり取り組まないといけないものに分けられます。後者に対応するものとして、頭痛外来を始めました。

QLife:なるほど。こちらでは、どのような流れで診察をしてくださるのでしょうか。

先生:まずは問診をじっくりします。どこがどのように痛むのかといった痛みそのものの話から、頭痛ははじめてなのか、慢性的なのか、近親者に頭痛持ちはいないかといった病歴の話や、患者さんの状況によっては生活面や仕事面の話も聞いたりします。問診だけで30分くらいになることもありますね。とにかく最初は、お話を本当にじっくり訊きます。それが8?9割かな。

QLife:それはやはり、来られる方の状況が様々だからなのでしょうか。

先生:そうですね。頭痛と言いましても原因は、たどっていくと本当に様々なんです。症状は頭痛であっても、実は他の危険な病気が隠れていることもありますし、ストレスから発症しているものもあります。そのあたりを見極めるには必要な時間なんです。初診では問診が終わらず、何回かにわたってお訊きすることもありますよ。

QLife:2度3度問診することもあるんですか!診察にいらっしゃる方はどういった方が多いですか?

先生:当院は専門病院ですので、院内や他の医療機関から紹介されていらっしゃる患者さんも多いです。最近はご自分でネットで調べてからこられる方もいらっしゃいます。どちらかと言えば女性の方が多いでしょうか。

QLife:ネットで頭痛外来を探す方もいらっしゃるのですね。

先生:やはり、症状だけみると「単なる頭痛」と市販の鎮痛薬で済ませようとすることが多いんですね。病院を受診しても万事解決にはならないケースも、もちろん出てきます。そういう状況の方は、次にどうしたらいいのかかなり悩まれて、ネットで検索したりするんだと思います。頭痛外来は、そういう方のためにあるとも言えますね。

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QLife:自己診断するよりは、専門家である先生にお話を訊いてもらう方が、確かに良いですものね。

先生:問診によっては身体的な精密検査が必要だったり、あるいはメンタルケアが必要な状況だと判断することもあります。自己診断するよりは、お気軽に診察に来ていただきたいと思いますね。最近は市販の鎮痛薬を飲んでもなかなか良くならない、薬のせいで痛くなる…というケースもあって問題になっていますので。

QLife:診察の結果、傾向としては、どのような原因であることが多いでしょうか?

先生:はい、片頭痛の場合は体質的、遺伝的なことが原因であることも多いです。それに加え、不規則な睡眠や食生活、ストレスが原因になっていることもありますね。それから女性の場合、ホルモンバランスが崩れると頭痛の頻度が増える、ということもあります。また、肩こりやストレスと言えば緊張型頭痛と思い込んでいる患者さんもいらっしゃいますが、片頭痛でも関連の深い症状で、医療機関でしっかり診断して正しい対処をする必要があります。さらに、群発頭痛という頭痛もあるんですが、この場合は患者さん個々それぞれに違ってきますね。

QLife:本当に複雑なんですね。では、そうして診察を行った後、どういった治療へ移っていくのでしょうか。

先生:症状にあわせた投薬治療を主に行い、頭痛の頻度によっては、予防の薬を処方し経過観察をしますが、状況によっては心療内科を紹介するなどして総合的に治療を進めます。

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QLife:対症療法だけではなく、診察をもとに体系的な治療が受けられるのですね。それで、治療を行ったら、すぐに治るものなのでしょうか?

先生:実は頭痛というのは、治療が終了したらその後一生発症しないとは、必ずしも言えないんです。さきほども触れましたが、原因が体質・遺伝的なものや、生活環境、ストレスだったりしますので、そういった状況が悪化すれば、再び症状は出てきます。大切なのは自分の体質、気質、生活環境を知って、頭痛が起きた時のつきあい方や起きないための生活のしかたを、治療を通じて身につけていくことなんです。

QLife:言ってみれば、自分の頭痛をよく理解して上手く付き合っていくということでしょうか。

先生: そうです。確かに頭の症状ですので重い病気が隠れていないかと心配になるでしょう。特に片頭痛などは大変つらい症状ですので、特に心配されるかと思います。しかし、ぜひ知っていただきたいのは、基本的には慢性頭痛で命が危険にさらされることはないということです。ご自身の頭痛や誘因を覚えることで、うまくコントロールできる頭痛なのです。

QLife:なるほど…すごくいいお話が訊けました。ありがとうございます。最後にこれを読まれている方に、メッセージがあれば。

先生:以前は、脳出血などの、より重篤な疾患の症状としての頭痛にフォーカスがいきがちで、片頭痛などの慢性頭痛そのものを病院でしっかり診ることが疎かだったことも事実です。そのため皆さんの中で、市販薬に頼るという習慣というか、「常識」が出来てしまったんだと思います。ですが最近は「頭痛外来」のように、頭痛全般へ対応する体制が整ってきていますし、処方する薬もいいものがたくさん出てきています。それに、今はストレス社会です。診察に来て、医師に悩みを話すだけで楽になることも十分あり得ますので、お気軽に来ていただきたいですね。

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