[インフルエンザ調査] 2011/11/18[金]

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 そろそろインフルエンザが気になる季節ですね。予防接種は済みましたか?例年より流行入りが早い可能性がマスコミによって報道されていますし、今年のワクチン供給予定量は当初見込みより下回ると厚生労働省が発表しました。早めの接種のご検討をお勧めします。
 インフルエンザのお薬に関しては、昨年に新薬が2種類発売されました。インフルエンザは身近な病気の一つですし、急激な流行発生時には医療現場がひっ迫します。私達も、治療薬については最低限の情報整理と理解を進めておきたいものです。
 このほどQLifeでは、抗インフルエンザウイルス剤(以下、抗ウイルス剤)について全国の医師にアンケート調査を行い、内科・小児科を中心とする505人の先生方から回答を得ました。その結果概要をお伝えします。

医師は「耐性ウイルス」、患者は「異常行動」への誤解・心配

効くはずの薬が効かない(効きにくい)という「耐性ウイルス」の存在が一般にも知られるようになったのは、新型インフルエンザ患者から見つかった時のニュースでしょうか。国はその後も継続的に検査データを収集し、国立感染症研究所のホームページでも情報開示しています。厚生労働省によると、現在は「耐性ウイルスだからといって病状が悪化するわけではない」「ワクチンの効果には影響ない」「流行もしていない」そうです。
※全国の耐性ウイルスの最新状況⇒http://idsc.nih.go.jp/iasr/influ.html

ところが医師の間でも、耐性ウイルスに関しては情報・認識が錯綜しているようです。「市中で広く流行しているとお考えですか」との設問に対して、「流行している」「流行していない」の両回答が21%と拮抗しています。また増殖性、病原性についても、「耐性ウイルスの方が強い」が18%と、「通常のウイルスの方が強い」回答12%を上回りました。

以上の結果について、国立病院機構九州医療センター 名誉院長 柏木 征三郎 先生は、「タミフル耐性ウイルスについては誤解が多いようです。タミフル服用によって耐性ウイルスが出ることは開発段階からわかっており、発売からおよそ10年たちましたが発現率は増えていません。また、耐性ウイルスが出たとしても患者さんの免疫によって排除されるか、たとえ伝播しても増殖能力が劣るため、流行株になることはないと考えられています。ですから、タミフル耐性ウイルスそのものが流行していない限りは、耐性ウイルスの拡がりを懸念してタミフル処方を控える必要はありません。また、2008年に北欧で自然発生し、世界的に流行した季節性Aソ連型タミフル耐性ウイルスは、2009年の新型インフルエンザ発生以降は消滅しましたから、現在では気にする必要はないでしょう。」と述べています。

一方、患者さんから受ける質問で多いものを挙げてもらったところ「薬の安全性への誤解、不安、質問」「タミフルの安全性への誤解、不安、質問」「脳症・精神症状への誤解、不安、質問」を挙げる医師が多く、あわせて23%に上りました。特に「異常行動」「脳症」というワードが含まれる記述文が多かったので、少なくとも昨シーズンまでは薬剤とこれらとの関連性について不安を持っていた患者さんが多いことがわかります。

ちなみにインフルエンザと異常行動に関する最新(平成21年6月)の厚生労働省の発表内容は、次の通りですが、いずれにしても子供がインフルエンザに罹った場合には、薬剤服用の有無にかかわらず、周囲の方が様子を見守ることがとても重要です。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/

  • タミフルと異常行動の因果関係について、明らかな関連性は確認されていない
  • タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴って発現する場合がある
  • 平成19年3月以降、タミフルの副作用報告において、10代の重篤な事例が報告されていない

処方実績はタミフル1番、ただし「薬に頼り過ぎないで」という意見も

インフルエンザ治療薬は、タミフル(カプセル)、リレンザ(吸入)、イナビル(吸入)、ラピアクタ(点滴)と4種類あります。(これら抗ウイルス薬だけでなく、カロナールなどアセトアミノフェン系の解熱剤が処方されることもあります。日本小児科学会は「小児のインフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンが適切であり、非ステロイド系消炎剤の使用は慎重にすべき」としています。知人からもらった解熱剤や残薬を勝手に使わないように注意しましょう。)

昨シーズンにどの薬を多く使ったのかを医師に確認したところ、処方比率(患者数)は、平均値でタミフルが57%と最も多く、次いでイナビル20%、リレンザ19%、ラピアクタ2%の順でした。今後の処方意向に関しても「対成人」、「対10歳未満」の両方でタミフルが多いようです。

ただし、自由回答コメントのなかには「必要ないと思われる場合でも、薬を強く希望する人が増えた」などと、薬に頼り過ぎる患者さんに対して苦言を呈す医師も見られました。あくまで治療の前提は自宅安静と水分補給であることを忘れないようにしましょう。

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