[インフルエンザ調査] 2009/10/29[木]

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季節性ワクチンの希望者19%増で、
医療機関の86%が「足りない」、充足率は東京低い
接種価格は昨年と変わらないが、地域格差は1000円超

 新型インフルエンザの流行にともない、生活者は季節性のインフルエンザに対しても予防意識が高まっており、ワクチン接種希望者は昨年よりも多い。ところが供給量は逆に昨年より少ないために、需給バランスは崩れており、「接種はキャンセル待ち状態」「今年は予約制では対応できない」医療機関も出ている。

1.季節性インフルエンザのワクチン接種価格

 インフルエンザワクチン接種費用の全国平均は、3122円。昨年調査の3066円と比べてほとんど変化がなかった。後述するように、医療機関にはワクチン接種希望者が昨年よりも多く押し寄せている状況だが、高騰はしておらず、むしろ価格設定はほとんど変えていないようだ。

 医療機関の86%が、 2000円~4500円の間で価格設定している。

季節性インフルエンザワクチンの大人用接種費用:概要

 <参考>昨年度の同じ調査結果
 ※昨年度版の調査報告は、以下をご参照のこと。⇒『インフルエンザ予防接種の費用対効果とは?

病院/診療所の別

 「病院」の平均値は3181円、「診療所」の平均値は3046円と、病院の方がわずかに高い。
 「病院」のグラフは山がなだらかで、「診療所」の方が「3000円以上3500円未満」帯への集中度合いが高い傾向は、昨年と変わりがない。
 ただし、「病院」では3500円ないし3600円設定が若干増えている。これは、政府が新型ワクチンの接種価格を一律3600円と設定したことに影響を受けたのかもしれない。

 ※なお昨年度の調査で、「診療所」では各種割引制度が珍しくないことが分かったので、実勢価格では診療所の方が、もう少し安くなっている可能性がある。(家族まとめての接種を奨励する「家族割引」や早期予約を奨励する「早期割引」など)


地域別の平均費用(参考値)

 地域別の傾向は、昨年とあまり変わりなかった。東京・神奈川はじめ都市圏の価格が高く、地方の方が安い。ただし大阪は例外的に安い。地域平均値の最大格差は、「神奈川」-「四国」=1091円。

※昨年度版の調査報告は、以下をご参照のこと。⇒『インフルエンザ予防接種の費用対効果とは?

2.季節性ワクチン接種希望者の数

 ワクチン接種希望数の状況を確認するために、「昨年同時期比較で何%か」を「10%きざみ」で聞いたところ、「昨年より少ない」医療機関は7%にとどまり、57%は「昨年より多い」と回答した。しかも22%は「昨年比50%以上の増加」としている。

 全体の増加率を「回答%x回答者数」で単純算出すると、昨年比19%増であった。病院では18%増、診療所で20%増。すなわち、昨年比2割増しの人が、ワクチン接種で医療機関を訪ねている。

 この背景として、新型インフルエンザの流行で季節性に関しても国民の予防意識が高まっていることと、ワクチンに関するマスコミ報道が重なるなどしてワクチン全般へ過剰な期待が寄せていることなどが、回答した医師からのコメントからうかがえた。

  • 「ワクチンは万能だと思っている人が多い。」(病院、愛知県、40歳)
  • 「ワクチンはあくまでも軽減効果を求めるものであることを今以上に徹底して伝えてもらいたい。」(病院、秋田県、55歳)
  • 「ワクチンを打たせろ、抱え込むななどクレームが多い。」(病院、北海道、32歳)
  • 「「私の分は確保しておいて」と取り置きを要求する方が増加しています。」(診療所、高知県、35歳)

※「わからない」とした回答(9.0%)は集計から除いた。また増加率算出時には「200%以上」は一律「200%」として計算したので、実際の増加率はもっと高い可能性がある。
※この表とグラフでは、10%、20%、30%、40%、50%回答者を「50%以下」に集約した。

季節性ワクチン接種希望者数(昨年同時期比)

3.季節性ワクチンの供給確保予想

 ワクチンの需給状況を確認するために、「必要分の何%を確保できそうか」を「10%きざみ」で聞いたところ、14%が「充分に確保できる」と回答した。ただし、病院と診療所では開きがあり、病院では21%が確保できるとしたが、診療所では7%に留まる。

 逆に、「必要量の半分以下しか確保できない」とする医療機関は、病院・診療所で差はなく、どちらも約17%であった。

回答した医師のコメントを見ると、特に地方で、需給バランスが逼迫している印象を持つ。

  • 「国には、新型よりも季節性ワクチンの安定供給を望む。」(診療所、岩手県、44歳)
  • 「季節性は供給量が完全に足りない。」(病院、千葉県、52歳)
  • 「今までは企業に出向き、集団接種できたのに、今年はいつ手に入るかわからず、出向くことを断っている。・・(略)・・季節性インフルエンザ作成が昨年と比べ、80%になっているといわれても、もっと少ない実感だ。」(病院、沖縄県、71歳)
  • 「ワクチンの製造数の制限で、希望者全員にワクチンが行き渡らないことを、もっと告知してもらいたい。」(病院、和歌山県、37歳)
  • 「地方には十分な量のワクチンが届いていないことをもっと報道して欲しい。」(病院、北海道、32歳)

 なお、需給状態の平均を、「回答%x回答者数」で単純算出したところ、病院で76%、診療所で72%、全体では74%の充足度にとどまった。一般的には「季節性ワクチンの製造量は例年の8割程度」と報道されているので、需要が増していること(前問の結果をご参照)を鑑みると、うなずける数値だ。すなわち患者視点でみると、接種希望者のうち4人に1人は受けられない可能性が高い。

 これを地域別にみると、地方よりも都市圏の方がむしろ需要ひっ迫度合いが激しい傾向が見える。東京が最も低く66%で、大阪の68%が続く。最も充足度が高い北海道は86%だが、上記で紹介の通り「地方に十分届いていない」とのコメントは北海道の医師からも出ており、同一地域でも医療機関によって需給状況に差があると想像される。

※「わからない」とした回答(8.0%)は集計から除いた。また、需給状態算定においては、「50%以下」を一律「50%」として計算したため、実際はもっと平均充足度が低い可能性がある。

※この表と次のグラフでは、10%、20%、30%、40%、50%回答者を「50%以下」に集約した。

病院/診療所別の季節性ワクチンの充足度

地域別の季節性ワクチンの充足度(参考値)

詳しい内容はこちらのpdfファイルから⇒季節性インフルエンザ・ワクチンの需給実態(2009年10月医師調査)

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