[シェーグレン症候群] 2018/07/31[火]

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 シェーグレン症候群は、ドライマウスやドライアイだけでなく、疲労感や関節の痛みなど、さまざまな症状が現れる自己免疫疾患です。日本の患者数は約7万人ですが、これは診断されている患者さんの数。実際にはもっと多くの患者さんがいると考えられており、その数は20万人とも100万人ともいわれています。それでは、シェーグレン症候群と診断された患者さんは、どのような症状がきっかけで病院を受診したのでしょうか。今回は、倉敷成人病センター リウマチ膠原病センター 主任部長 西山 進先生に、シェーグレン症候群の患者さんが受診に至ったきっかけについてお話を伺いました。

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●●が気になって…シェーグレン症候群患者さんが受診したきっかけは?

【シェーグレン症候群患者さんの受診のきっかけ】
倉敷成人病センター 原発性シェーグレン症候群患者97例の集計

シェーグレン症候群患者さんの受診のきっかけ

※検査異常 : ZTT高値、リウマトイド因子陽性、 抗核抗体陽性など
提供 : 倉敷成人病センター リウマチ膠原病センター 西山進先生

 私たちは、リウマチ膠原病センターで治療しているシェーグレン症候群患者さんの受診のきっかけについて、集計を行いました。目や口の乾燥症状が主な症状のシェーグレン症候群ですが、調査の結果、ドライマウスやドライアイのような乾燥症状で受診した患者さんは1/3に留まり、残りの2/3の患者さんは乾燥症状以外の症状で病院を受診していることが明らかになりました。乾燥症状以外の症状で病院を受診した患者さんの半数は、健康診断などの血液検査で異常値が出たことで受診。残りの半数の患者さんが、病院を受診したきっかけとして多く挙げていた症状は、「発熱」「関節の痛み」「皮疹・環状紅斑・下腿紫斑」「耳下腺腫脹」「レイノー現象」「脛の点状の出血」など様々でした。

【受診のきっかけとなったのはこんな症状】

関節痛 皮疹・環状紅斑 下腿紫斑
関節痛
足・手・肩などの関節の痛み
皮疹・環状紅斑
顔や首などにドーナツ状の赤い腫れが出る
下腿紫斑
すねに紫色の点状のブツブツが出る
耳下腺腫脹 レイノー現象
耳下腺腫脹
耳の前下部(上の奥歯のあたり)が腫れる
レイノー現象
寒い時期に指先が白くなり、しびれや痛みを感じる

 さらに、これらの乾燥症状以外の症状が気になって受診し、シェーグレン症候群と診断された患者さんに対して、口や目の乾燥症状の有無を確かめたところ、ほとんどの患者さんは乾燥症状を持っていました。しかしこれらの患者さんは、下記の症状を乾燥症状として自覚していなかったり、治療の必要性を感じていなかったりしていたこともわかりました。

「食べ物が飲み込みにくい」「ぐっすり眠れない」…乾燥症状のいろいろ

 一口にドライマウス、ドライアイといっても、単純に口や目のかわきを感じるだけではなく、さまざまな症状として自覚されます。ドライマウスは、「口がネバネバする」「食べ物が飲み込みにくい」「海苔やお煎餅など乾燥した食べ物が食べにくい」「舌と口の中の粘膜がくっついてしまい、しゃべりにくい」「水分をとらないと、長い時間しゃべり続けられない」といった症状として表れることがあります。一方ドライアイは、「悲しい場面なのに涙が出ない」「眩しい」「目にホコリが入っているような感じがする」「充血しやすい」「目が疲れやすい」といった不快感として自覚されます。

【こんな症状も実は「ドライアイ」「ドライマウス」の一環です】

しゃべりにくい お煎餅が食べられない 虫歯が増えた
しゃべりにくい お煎餅が食べられない 虫歯が増えた
涙が出ない 眩しい
涙が出ない 眩しい

 たかが口や目のかわき…と考えていませんか?例えば、ドライマウスの状態が続くと、話しにくい、眠れない、味がよくわからない、口角炎や虫歯になる、口臭が気になるなど、日常生活にさまざまな影響をおよぼす可能性が出てきます。口の中では、唾液が出ることで細菌を洗い流したり、食べたものの消化を促したりしています。唾液が出ないと細菌が繁殖しやすくなり、口腔カンジタ症を起こすことも。また目では、涙が異物を排出して目の表面を守っています。涙が少なくなると、目の表面が傷つきやすくなり、不快感につながるだけでなく、視力の低下が起こることがあります。

気になる症状があるなら、早めの治療でコントロールを

 今回ご紹介したような「乾燥症状以外の症状」と「ドライマウスやドライアイ」を感じている場合は、シェーグレン症候群の可能性が考えられます。気になる症状は、治療によって軽減することができます。また、ドライマウスやドライアイを放置しておくと日常生活にさまざまな影響をおよぼす可能性がありますので、このような影響が出る前に、適切な治療を始めることが大切です。治療をすることで気になる症状を緩和することができます。乾燥症状が軽い場合でも、全身症状があるシェーグレン症候群患者さんもいるため、我慢できるからといって放置は禁物です。

 気になる症状がある方は、毎日の暮らしを豊かに保つためにも、早めに治療を受けることをお勧めします。一人で悩まず、ぜひ医療機関を受診しましょう。医療機関を選ぶ際には、「シェーグレン症候群について相談(診察)できる病院を探す」を参考にしてみてください。

提供 キッセイ薬品工業株式会社

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倉敷成人病センターリウマチ膠原病センター主任部長 西山進先生

倉敷成人病センター リウマチ膠原病センター 主任部長
西山 進 先生

専門分野はリウマチ・膠原病など。
日本内科学会認定内科医・指導医・総合内科専門医、日本リウマチ学会認定専門医・指導医、ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター、日本リウマチ財団登録医、日本リウマチ学会評議員。

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