[シェーグレン症候群] 2017/04/26[水]

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 シェーグレン症候群はドライマウス(口のかわき)やドライアイ(目のかわき)、つかれやすさ、関節痛など症状が多岐にわたり、生活の質が大きく低下する疾患です。しかし、患者さんが具体的にどのようなことに困っているのか、どう病気と向き合っているのか、その実態はあまり知られていません。そこでQLifeでは、シェーグレン症候群で通院中の患者さん100人に実態調査を実施し、患者さんの「生の声」を調査しました。また、アンケート結果について、佐川昭リウマチクリニック院長の佐川昭先生に解説していただきました。

佐川昭リウマチクリニック 院長
佐川昭(さがわ・あきら)先生

1969年北海道大学医学部卒業。1993年より山の上病院リウマチ膠原病センター長、1995年には同病院院長に。2006年札幌市中央区に佐川昭リウマチクリニックを開院。http://www.sagawa-akira-clinic.com

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患者さんの99%にドライアイ、98%にドライマウスの症状。うち8割以上「日常生活に影響あり」

 患者さんに現在の症状と日常生活に関しての影響度を聞いたところ、ほぼ全ての患者さんが「ドライアイ」(99%)、「ドライマウス」(98%)の症状を訴えていて、以下、「疲労感」(84%)、「関節痛」(82%)と続きました。また、各症状の影響度については、ドライマウスについて84.7%の患者さんが、ドライアイについて83.8%の患者さんが「非常に影響あり」「やや影響あり」と回答しました。さらに、今一番改善したい症状を確認すると「ドライアイ」33%、「ドライマウス」29%と多くの患者さんがこの2症状を改善したいと考えていることが分かりました。

佐川先生のワンポイント解説

 多様な症状が特徴のシェーグレン症候群ですが、特にドライアイとドライマウスは多くの患者さんが自覚し、日常生活に影響を与えるつらい症状です。ドライアイを改善させる目薬や唾液の分泌を促す飲み薬などがありますので、我慢せずに医師に相談しましょう。

様々な症状の日常生活への影響度様々な症状の日常生活への影響度
いま一番改善したい症状いま一番改善したい症状

 調査では、「ドライマウスやドライアイで困ったエピソード」を患者さんに聞きました。

ドライマウス

  • おせんべいやクッキーを食べるときには必ず水分がないと食べることができません。
  • 舌が荒れてヒリヒリするので、食事をするのが困難になりました。
  • 虫歯や歯周病になりやすいので、歯磨きの回数が増えました。口の渇きがひどいときは、頬の内側が歯にくっついてしまいます。
  • 乾燥がきついあまり、活舌が悪いのがわかるので人付き合いにも影響があります。
  • 水分をとるのでトイレが近いです。
  • 寝てるときに、舌が上あごにくっついて息ができなくなりました。

ドライアイ

  • 常に目が痛くて太陽がとてもまぶしく、お天気の良い日の外出はとても嫌です。
  • 目が悪くてコンタクトを入れていたが、目に張り付くし、取り外しづらいので怖くて使用できなくなりました。
  • 目が常に痛い。常に充血している。目が痛いので目を細めていることが多くなりました。
  • 目薬を携帯しないと目が乾いて困ります。持っていないときは、涙を出すためあくびを出します。

症状が出てからシェーグレン症候群と診断されるまで平均で3年、最長「44年」も

 なんらかの症状が出てからシェーグレン症候群と診断されるまで平均で3年、最長で44年が経過していました。内訳は、症状が出てから初めて医療機関を受診するまでの期間が平均1.8年。初めて医療機関を受診してからシェーグレン症候群と診断されるまでの期間が平均1.2年でした。

初めて症状が出てからシェーグレン症候群と診断されるまでの期間初めて症状が出てからシェーグレン症候群と診断されるまでの期間

佐川先生のワンポイント解説

 目や口のかわきを自覚しても、年のせいとあきらめたり、我慢したりし、医療機関を受診しない方がいます。目や口のかわきは病的な症状であり、その原因はいろいろありますので、原因を確認することが必要です。なるべく早く医療機関を受診しましょう。また、シェーグレン症候群かな?と思ったら、膠原病・リウマチ内科などの専門医を受診しましょう。

シェーグレン症候群の診断で、患者さんの40%「病気と向き合う気持ち、“前向き”に」

シェーグレン症候群の治療を開始することによる病気と向き合う気持ちの変化シェーグレン症候群の治療を開始することによる病気と向き合う気持ちの変化

 シェーグレン症候群と診断されることで「病気と向き合う気持ちに変化があったか」を聞いたところ、9%が「大いに前向きになれた」、31%が「やや前向きになれた」と回答しました。「前向きになれた」患者さんの声をご紹介します。

  • 原因が特定できて薬が効いたら、仕事したり外出しても寝込まないようになりました。
  • 長年「なまけ病」や「うつ病」「詐病」扱いされて嘘つき呼ばわりされてきたが、自分は正しかったとわかり安心しました。
  • 症状が比較的軽く、自分で対処できる範囲なので、頑張れるというか我慢できると思いました。
  • 原因が分からないときは不安だったけど、原因が分かってからは向き合えるようになりました。

無理せず、ストレスをためない~患者さんからのアドバイス

  • 無理はしないようにして、家族の理解も必要だと思うので、病気の事を伝えておいて、何かの際にはフォローしてもらえるようにしておくとよいでしょう。
  • 長期間の治療になるため、病院の大小に拘らず相性の良い、なんでも相談できる医師と出会うことが大切だと思います。
  • どんな病気でも痛みや辛さはなかなか共有し理解してくれることはないと思います。ストレスを抱えないように自分で自分を自由にしてあげられるように努めることができればいいと思います。
  • まず、病気だということを家族が理解してくれることが一番重要だと思う。理解してくれた上で、「普通に」接して貰う事で気持ちが楽になれます。「自分勝手でワガママなキャラ」になりきれたらもっと楽になれます。
  • 自分の体にほんの少し敏感になり、疲れた時や無理と感じた時には悩まずにひきこもりになることをお勧めします!無理は出来ない!しない!!必要以上に頼らないで、と家族や友人にも普段から知ってもらうことも大事。
  • 悩んだり悲しんだりすることなく、明るい心で対策を考えること。誰のせいでもないのだから、くどくど「なぜ私が・・・」などと思わないこと。そうすれば鬱病などにはなりません。家族や医療関係者には、常に感謝の気持ちを伝えること。関係良好の極意です。

シェーグレン症候群のつらさの軽減のために

 「シェーグレン症候群は、ドライアイ、ドライマウス、疲労感や関節痛など、つらい症状を伴うことも多いですが、医療機関を受診することで症状をやわらげ、生活の質を改善することが可能です。また、“病気と上手く付き合う”ためにも、医師だけでなく家族や周囲の方と“気軽に話せる”環境が重要です。1人で悩まずに、医師・ご家族・患者さんとお話をしてみて下さい。」(佐川先生)

詳しい調査結果はhttp://www.qlife.co.jp/news/170426qlife_research.pdfからもダウンロードできます。

提供 キッセイ薬品工業株式会社

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