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[ヘルスケアニュース] 2022/09/12[月]

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患者数は約6,500人、女性に発症が多い

 視神経脊髄炎(NMOSD)という病気を知っていますか。目と脳をつなぐ神経(視神経)や背骨の中を通っている神経(脊髄)に炎症が起きやすい「自己免疫疾患」の1つで、視力の低下、目の痛み、しびれ、排尿・排便の障害、吐き気などさまざまな症状を引き起こす病気です。

 NPO法人日本視神経脊髄炎患者会と製薬会社の田辺三菱製薬は2022年9月3日、オンラインでNMOSDの啓発を目的としたセミナーを開きました。

 自己免疫疾患では、本来、ウイルスや細菌などの敵を排除する役割を担う免疫システムが、なんらかの要因で自分自身を攻撃してしまう病気です。なぜ、自分自身を攻撃してしまうのか、原因はよくわかっていません。

 NMOSDは女性に多い病気で、国内の患者数は約6,500人1)ですが、セミナーで講演した富沢雄二先生(順天堂大学医学部脳神経内科)は「患者さんの数は比較的少ないが、ものすごく珍しい病気というわけではない」と指摘します。「日常的に遭遇する可能性がある人数だ」(富沢先生)

 富沢先生はNMOSDについて、「数日をかけて発症することが特徴。あるとき突然発症する、数年かけて徐々に発症することは少ない」と解説。発症後は、再発を起こすことで症状が進むため、「再発予防が最も重要だ」と強調しました。

 富沢先生はまた、「病気の多くは、問診で診断がつくといわれている。医療機関を受診する際、自分の症状や病気の経過を詳しく話せるようになることは大切だ」としつつ、「NMOSDは診断が難しい疾患だ」と問題視。病気について広く啓発していく必要があるとしました。

 「NMOSDをはじめとした病気を持っている人だけでなく、どんな人にとっても、社会の支えは大事だ」と富沢先生。さまざまな背景をもつ人に社会として理解を示し、受け入れる必要性を指摘しました。「多様性の時代。病気をもっていても、健康な人と同じように社会生活を送ることができるよう、日本のみならず全世界の人が目指していけたらいい」(富沢先生)

患者会の坂井田さん「何かに夢中になる、必死になると痛みが和らぐ」

 セミナーでは、患者さんの立場から、日本視神経脊髄炎患者会代表の坂井田真実子さんと、同患者会会員の鈴木智美さんも登壇しました。

 2016年に発症したという坂井田さんは、「微熱や肌のぴりぴり感、まぶしさなどが1か月程度続いた。医療機関を受診し、帯状疱疹と診断を受けた後、症状が急激に悪化し、NMOSDであることがわかった」と発症までの経緯を振り返りました。現在は、「胸から下が麻痺し、リハビリで歩けるようになったが、疲れやすい」「髪が背中に当たるだけでも痛みを感じる」などの症状があるといいます。

 坂井田さんは痛みを和らげる工夫として、「何かに夢中になったり、必死になったりすること」を挙げました。「走ってみたいという気持ちがあり、最近走り始めた」という坂井田さん。「走っているときや、歌の仕事で舞台に立っているときは痛みが和らぐ」と笑顔を見せました。

 一方、鈴木さんは、2013年に発症したそう。「嘔吐が止まらず、3週間入院したものの、原因がわからなかった」といいます。その後、肌のぴりぴり感、左目での色の見え方に異変を感じ、「診断がつく頃には、左目は見えなくなっていた」と診断にたどりつくまでの難しさを吐露しました。片目が見えないことから遠近感がつかめず、「火傷やケガは多い」と苦労を明かし、また、「排便障害や足の裏のしびれにも悩んでいる」と話しました。

 鈴木さんは、入院日数が多いことから、職場で厳しいことを言われた経験もあるとしつつ、「現在は職場で病気に対する理解を得られており、正社員として働くことができている」と周囲の理解に感謝を表しました。

 日本視神経脊髄炎患者会と田辺三菱製薬は2022年10月22日、都内で「HOME COMING DAY 2022~愛でつながる視神経脊髄炎~」と題したイベントを開催する予定です。オンラインでも配信するとしており、参加費は無料です。同患者会では、会員先行で参加申し込みを開始しているそうですよ。気になる方は、患者会のホームページをのぞいてみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

1)難病情報センター 多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)
[https://www.nanbyou.or.jp/entry/3806](2022年9月7日閲覧)

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