[感染症] 2021/01/29[金]

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この記事のポイント
・日本で確認されている変異株は「VOC-202012/01」「501Y.V2」「501Y.V3」
・いずれも感染性増加が懸念される変異がある
・開発中のワクチンがこれらの変異株に有効かどうかは検証中

新型コロナ3つの変異株「VOC-202012/01」「501Y.V2」「501Y.V3」

 新型コロナウイルスの新たな「変異株」が世界各地から報告されています。1月25日時点で、日本で確認された変異株による感染者数は、海外滞在歴があり国内で確認された7人、空港検疫により確認された27人、国内で確認された11人。変異株はこれまでの流行株と比べて感染力が高いともいわれています。

 国立感染症研究所は1月25日、新型コロナウイルスの新規変異株について現時点でわかっている情報を公開しました。どんな種類なのか、感染力は本当に強いのかなどについて、まとめました。

【1月25日までに日本で報告された変異株】
「VOC-202012/01」「501Y.V2」「501Y.V3」

■VOC-202012/01
・英国で2020年12月上旬に最初に報告された変異株
・感染性増加が懸念される変異がある
伝播のしやすさが5~7割程度増加すると推定する調査結果がある
・二次感染率30~50%増加を示唆する解析結果がある
約1.3倍の死亡リスク上昇と関連する可能性がある(不確かさあり、研究が必要)
・世界50か国以上で渡航者から検出されている
・23か所の変異があり、スパイクタンパク質※1の変異(N501Y、A570D、D614Gなど)とその他の部位の変異で定義される

■501Y.V2
・南アフリカで2020年8月に発生したと考えられる変異株
・感染性増加が懸念される変異がある
・より重篤な症状を引き起こす可能性を⽰唆する証拠は今のところ見つかっていない
・世界20か国で渡航者から検出されている
・スパイクタンパク質※1に8か所の変異のうち、ウイルス中和抗体※2からの逃避変異※3とされるE484K変異と、VOC-202012/01と同様の変異(N501Y)が確認されている

■501Y.V3
・ブラジルの渡航者から検出された変異株
・感染性増加が懸念される変異がある
・より重篤な症状を引き起こす可能性を⽰唆する証拠は今のところ見つかっていない
他の新型コロナウイルス株への既感染者で再感染したとの報告がある
・スパイクタンパク質※1に12か所の変異があり、VOC-202012/01と同様のN501Y変異を、501Y.V2と同様にE484K変異がある

※1 スパイクタンパク質=コロナウイルスの表面に存在するタンパク質の1つ。感染する時ヒトの細胞にくっつく部分であり、このタンパク質の変異は感染しやすさに影響を与えると考えられている
※2 ウイルス中和抗体=血液中にある抗体と呼ばれる免疫タンパク質のうち、ウイルス感染を阻止する能力をもった抗体。再感染を防ぐのにも重要な役割をもつ
※3 逃避変異=ウイルスが中和抗体に阻止されることから逃れるために、新たに起こす変異(ワクチン開発に影響する可能性がある)

 現在開発中の新型コロナのワクチンに対する有効性については、実験や抗体検査用に人工的に作られたウイルスを用いた検証で、「効果に影響がないことを示唆」(VOC-202012/01に対しファイザー社製ワクチン)という報告が上がっていますが、さらなる検証が行われています。

 また、厚生労働省は、「一般論として、ウイルスは絶えず変異を起こしていくもので、小さな変異でワクチンの効果がなくなるというわけではない」との見解を示しています。

今できることは「これまでと同じ」ことを、徹底的に!

 変異株VOC-202012/01と501Y.V2は、ウイルスの感染性(感染させやすさ)が増加している可能性があることから、「日本国内でまん延した場合には、従来と同様の対策では、これまで以上の患者数や重症者数の増加につながり、医療・公衆衛生体制を急速に圧迫するおそれがある」と、同研究所は指摘しています。

 日本政府はすべての外国からの入国者や帰国者に対して検査を実施するなど水際対策を強化していますが、渡航歴のない人から変異株が見つかっていることから、これまで以上に感染対策の重要性が増しています。
では、個人が変異株の感染対策としてできることは何があるでしょうか?

外出の自粛、三密の回避、マスクの着用、手洗いや消毒、換気 など

これまで通りの感染予防対策です。

 テレワークの実践、買い物はなるべく1人で行くなど、できるだけ外出を控えて、感染予防を続けていきましょう。(QLife編集部)

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