[感染症] 2021/03/05[金]

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この記事のポイント
・新型コロナの感染に関わる2つのタンパク質と大気汚染物質の関係を調査
・PM2.5などを注入したマウスの肺の細胞は、新型コロナウイルスが侵入しやすい状態に
・屋外でもマスク着用など、感染予防対策の継続を

黄砂とともに飛来する大気汚染物質、新型コロナと関連?

 世界中で大気汚染が問題となっています。中でも、大気汚染物質の1つで「PM2.5」と呼ばれる、大気中に浮遊する小さな粒子は、肺の奥深くまで入りやすく、ぜんそくや気管支炎など呼吸器の疾患に影響することが懸念されています。また、春先には「黄砂」が日本に飛来しますが、黄砂にはPM2.5が含まれています

 そのPM2.5が、新型コロナウイルスへの「感染のしやすさ」や重症化に関わっている可能性があるという研究結果が、京都大学の研究グループから報告されました。

 PM2.5などの微小粒子(Particulate matter,PM)による大気汚染が深刻な地域で、新型コロナの発症者数や重症者数、死亡者数が多いという疫学的調査結果がこれまでに報告されていましたが、その理由は明らかにされていませんでした。

新型コロナウイルスが体内に侵入するのに重要なタンパク質の量が増加

画像はリリースより

 新型コロナウイルスは、ウイルスが体内の細胞に侵入する際にくっつく部分である「ACE2」と、細胞への侵入を促す「TMPRSS2」と呼ばれる2つのタンパク質が多いほど、感染を起こしやすく、重症化しやすいと考えられています。

 研究グループは、この2つのタンパク質とPMとの関係について研究を行いました。具体的には、大気中から採取したPMをマウスの肺に注入し、その後どのような細胞の変化が起こるかを確認しました。

 その結果、肺の伸展維持に重要な細胞でACE2とTMPRSS2の量が増加していることがわかりました。つまり、PM2.5などを肺に取り込むことで、肺の細胞はウイルスが侵入しやすい状態になる可能性が示されました。

 しかし、マウスは新型コロナウイルス感染症を発症しないため、実際に人でも起こるかどうかについては、さらなる研究が必要とされています。

 「今後は、ヒトの細胞や他の動物種における研究とともに、どのような粒子や成分がCOVID-19の発症・重症化をもたらすのか、また、それを予防・軽減する薬剤にはどのようなものがあるのか、明らかにしていく予定」と、研究グループは述べています。

 暖かい日が多くなり、密を避けて屋外でのレジャーなどを検討されている人もいらっしゃるかもしれません。その場合でも、新型コロナウイルス、そしてPM2.5の体内への侵入を防ぐ意味で、マスクを着用しておきましょう。

 また、PM2.5など大気汚染の状況については、環境省が発信する情報【そらまめ君】などで確認することができるので活用してみましょう。(QLife編集部)

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