新型コロナによるネガティブ感情、「未来の自分」へ手紙を書くことで軽減?
[感染症] 2021/03/12[金]
・厚生労働省のメンタルヘルス関連の調査で、コロナ禍で不安を感じていた人は約半数
・「未来の自分を想像しながら手紙を書く」実験で、ネガティブ感情の軽減を証明
・パンデミック下でもすぐに始められるセルフケアの一手法となる可能性
約2割は不安やストレスをうまく解消できていない
厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査 概要・結果」<概要版>よりコロナ禍での暮らしが1年以上経過しました。行動制限や生活スタイルの変化で、心の健康も損なわれてしまったという人は多いのではないでしょうか。
厚生労働省が行った、コロナ禍でのメンタルヘルスに関する調査(2020年9月実施、回答約1万件、インターネット調査)では、2020年2~9月までの期間中、回答者のうち何らかの不安を感じていた人は約半数にのぼることが明らかになっています。いずれの時期でも、6割以上が「自分や家族の感染への不安」を抱えていたようです。
また、不安やストレスをうまく発散・解消できているかについて、約半数はできている(「まあできている」を含む)と回答しましたが、約2割はできていない(「あまりできていない」を含む)と回答していました。
気晴らしに外出やレジャーを楽しむことがまだ難しい今、「未来の自分」に手紙を書くことが、ストレスの軽減に一役買うかもしれないという研究成果が発表されました。
手紙を書くと「現在の状態はずっとは続かない」という認識が高まる?

京都大学の研究グループは、コロナ禍での心理的な負担の軽減に、手紙を書くことが効果的なのではという仮説のもと研究を開始。1回目の非常事態宣言下の2020年4月に、738人の参加者に以下のいずれかの課題を行ってもらう実験を行いました。
・「未来への手紙条件」-1年後の自分へ手紙を書く
・「未来からの手紙条件」-1年後の自分から現在の自分に手紙を書く
・「統制条件」-現在の生活についてのみを書く
新型コロナウイルスの影響について書くことが全員必須で、手紙とは別に、実験の前後で感情状態などの測定も行いました。
その結果、「未来への手紙条件」と「未来からの手紙条件」を行った人で、ネガティブ感情の減少が認められましたが、「統制条件」では大きな変化がなかったことがわかりました。この理由として、手紙を書くことにより「現在の状態はずっとは続かない」という認識が高まり、ネガティブ感情が軽減されたことが考えられるといいます。
効果の持続性についてはこれから検討するとのことですが、今回の研究から「一時的」にネガティブ感情が軽減されることがわかりました。「手紙を書くという作業は、人との接触も不要で、パンデミック下でもすぐに始められるセルフケアの一手法として今後普及していく可能性があります」と、研究グループは述べています。
ステイホーム期間中、1年後にタイムスリップした気持ちで、自分への手紙を書いてみませんか?(QLife編集部)
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