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[クリニックインタビュー] 2010/06/04[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第68回
ほり泌尿器科クリニック
堀 大輔先生

人を「診る」、診察ではまず一礼から

 自分のスタンスはずっと同じ、人を「診る」ことです。病院では基本、人と人の1対1、人間関係だと思っています。泌尿器科では、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く診ます。診察では、どの年代の人に対しても、診察室に入って来られたら、まず自分は立って一礼します。病院に来られるほとんどの方がお年寄りで、自分よりも人生の先輩なわけですから。
 そして、その人に対して最善の治療となることを目指しています。その治療法は、もしかして医学的には2番目、3番目かもしれません。しかし、医学的にそのまま当てはめて治療するのではなく、まずその人にとって一番の治療であることが最も大事なことだと考えています。

特撮ヒーロー、正義を倒すのが大好きだった少年時代


受付に置いてあるキャンディー

 実は、自分の家系に医者はそれまで1人もいませんでした。自分と、5歳下の耳鼻科医になった弟だけです。ですので、大学で受験する学部を決めるまでは、まさか自分が医者になるとは考えていませんでした。
 ただ、今振り返ってみると、子どもの頃にガキ大将的な存在でヒーローものが大好きでした。『ゴレンジャー』『仮面ライダー』『タイムボカン』など、善悪がはっきり分かれているじゃないですか。そして小学5年の時、森村誠一さんの『悪魔の飽食』を読んで「間違った医者になったらいけないな」と、子ども心に衝撃を受けた記憶があって。その時もはっきり医者になるというよりは、人の役に立つ仕事がしたいなと思い始めた感じでした。そして高校で、学者か法律関係か医者かで選ぶ時に、数学が特に得意だったのもあり京都大学医学部を志望しました。
 実は、自分の専門となる講座を決めるのは、卒業の直前なんです。内科、形成外科、泌尿器科の説明会に行きました。そして、雰囲気が良さそうで、オンとオフのメリハリがはっきりしていたなどの理由で泌尿器科を選びました。

初めての土地、尊敬すべき医師たちとの出会い


待合室にあるマッサージチェア。
長くなりがちな待ち時間を少しでも快適に過ごしてもらおうと置いたところ好評という。

 京大医学部を卒業後は大学院に行かず、すぐ附属病院に勤務しました。ほとんどの学生が大学院に進む中で自分は「世のため人のため」というか、いち早く自分の力を世の中に還元したいという思いが強かったんです。
 この附属病院で、1人の医師と出会いました。当時、助手だった七里泰正先生です。見立ては鋭く、頭脳明晰、手術では日本で3本の指に入るほどといわれ、京大の先生方が一目置く存在で、すべてにおいて素晴らしい先生。今でも最も尊敬する医師です。
 そして約1年後、静岡県島田市の市立島田病院に赴任することになりました。この病院は、京大の関連病院です。しかし、生まれてからずっと関西だったので、まったく初めての土地で、いろいろカルチャーショックを受けました。
 まず最初の印象は、いつも晴れてるなと。雨が少ない。徳川家康が「最期は駿府で」と言った意味がわかるような気がしました。2つ目に、地元の人たちの人柄。道を聞いて来る時にいきなり「なあ!」から始まり、お礼のないまま去っていきます。もちろん悪気はなく、こちらが慣れてしまえば全然OK。そして最も驚いたのが、島田市川根地区の伝統で、亡くなった方を霊柩車に乗せず、自家用車の助手席に乗せて家に連れて帰るんです。死んでいるのではなく生きている人として迎える伝統があるとのことですが、医者としてくれぐれも死亡診断書だけはご遺体につけてくださいとよくお願いしたものです。
 この病院で1つ、大きな出会いがありました。泌尿器科の部長が日本初の女性の泌尿器専門医だったんです。男性の医師より男勝りでたくましく、手術の腕もピカイチでした。

専門科目を越えた連携プレー


レントゲン室の天井には「青空」。撮影する際にベッドを倒して上を向いても殺風景なよりは…との配慮。

 島田市で約5年勤務した後、大阪に戻ることになり、関西電力病院に1年ほど、それから高槻赤十字病院に着任しました。この病院は先生の数がとても少なく、研修医レベルではとうてい無理、回らないほどの激務でした。ただ、医師同士のチームワークはとても良く、例えば、自分が耳鼻科の手術を手伝ったり、こちらが脳外科の先生にヘルプを頼んだりと助け合って、専門科目を越えていろいろなことを学びました。
 また、この高槻赤十字病院の院長、部長にはとてもお世話になりました。特に院長は「みんなで一丸となって頑張ろう!」と自ら先導してくれました。どんなことがあっても、まず盾になってくれたので、こちらは安心して仕事ができました。正直、ここで骨を埋めてもいいかなと、本気で思ったほどです。

「泌尿器科の先生」として覚えてもらいたい


泌尿器科には尿検査がつきもの。水やお湯だけでなく、2種類のお茶も選べるサーバーを設置。

 やはり漠然と開業したい夢はずっとありました。ただ泌尿器科の開業は、一般的に難しいという常識があります。
 泌尿器科は内科と一緒にされている先生もおられますが、自分は「泌尿器科で勝負する」と決めています。「泌尿器科の先生」として覚えていただきたいので、内科もあるとそのあたりがあいまいになってしまいます。もちろん、アドバイスはさせていただきますが、基本的に自分で治療せず、他の先生をご紹介することにしています。
 趣味はもともと旅行や読書ですが、今はほとんど時間が取れません。健康づくりもしないといけないと思いながら、なかなか。旅行といえば、学生時代にメキシコに行き、英語がまったく通じなかったけど、とても楽しかった思い出がありますね。
 あと最近、できるだけ異業種の方と時々ご一緒させていただいています。医者の世界にいるとどうしてもせまくなるので、今後、いろいろな分野の方にできるだけお会いしてみたいです。

取材・文/飾磨亜紀(Aki Shikama)
関西を拠点に活動するライター/編集者。得意分野は人物インタビュー(スポーツ選手・文化人ら)。全国および世界各国を旅する経験も活かし、グルメ・観光紹介も多数行っている。

ほり泌尿器科クリニック

医院ホームページ:http://www.hori-hinyoukika.com/

地下鉄御堂筋線、南海高野線中百舌鳥駅から徒歩すぐでアクセス抜群。待合室にマッサージチェアを置き、待ち時間緩和のため「検査・処方オーダリングシステム」を採用している。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

泌尿器科全般、前立腺癌検診、性行為感染症検診、漢方治療

堀 大輔(ほり・だいすけ)院長略歴
堀 大輔院長
1995年 京都大学医学部卒業
1995~1996年 京都大学医学部附属病院
1996~2001年 市立島田市民病院(静岡県島田市)
2001~2002年 関西電力病院
2002~2004年 高槻赤十字病院
2004年 ほり泌尿器科クリニックを開院


■所属学会ほか
日本泌尿器科学会指導医・専門医、日本性機能学会専門医、日本医師会認定産業医、日本癌治療学会会員、日本温泉気候物理医学会温泉療法医



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