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[医療人] 2010/08/20[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第80回
清水産婦人科
清水喜代治院長

先々代、先代とは異なる診療分野に挑戦。

 祖父も父も医師という家庭環境に育ち、私は三代目の医師です。他に興味を持っていた分野もあるのですが、それらは「医師の仕事をしながらでも、趣味として楽しむことができるだろう」と考えました。
 それに「親が医者なら子も医者になるのが当たり前」の時代でしたから、三代目にもなると、好きで医師を選ばなかったとしても「あいつは、医者になれなかった」と言われてしまう。そう言われるのが悔しかった、という闘争心があったと思います。
 実は私の息子も、もう30代で医師になっていますから、4代医者の家系です。その環境で育つと、子供が親の姿を見て自然に意識する部分もあるでしょう。常に清潔感に気をつけたり、あまり変なことはしないようにしよう……と自覚を持ったり。
 私は産婦人科医ですが、実は祖父と父は内科医なんです。私が産婦人科を選んだのは、身体が丈夫すぎるからです。もう61歳になるんですが、大きな病気をしたことがないんです。ひどい風邪をひくこともなければ、熱が出ることもなく、腹痛になることもない。これじゃ内科の患者さんの気持ちは、わからないでしょう?(笑)
 それで選んだのが産科。「それじゃ女性の気持ちがわかるのか?」と思われるかもしれませんが、女性の身体はわからないからこそ、多角的・客観的に診られるという利点もあります。病気の経験で診るのではなく、多角的に診られる産婦人科を選びました。

「患者さんは何を喜んでくれるか」を大切に

 最初に研修医として赴任した大学病院はお産が多く、たくさんの妊婦さんと接しました。大学病院から私立病院勤務を経て、昭和59年3月に開業。30年間は開業医として現役で続けたかったから、年齢的には早い方だったと思います。
 大きい病院から私立病院、クリニック開業と、順に規模の小さい施設での医療に携わったことで、いろんなことが見えました。
 大きい病院では残念ながら、一人の妊婦さんをじっくり見ることはできません。お産を終えてから、さまざまな医療スタッフが担当して、事務で会計をしてもらって…と、医師が妊婦さんと最後までふれあうことができない。「医師は医師の仕事だけ」という分業なので、妊婦さんとは少し面識を持つものの、ほとんどカルテだけのおつきあいになってしまいます。だから病院から妊婦さんに、どんなものをお祝いとしてプレゼントしているかも知らなかったんです。
 開業医になって「出産を終えた産婦さんは、何を喜んでくれるか」を真剣に考えるようになりました。
 妻や女性スタッフが産婦さんたちとコンタクトを取り「産後どんなおみやげが欲しい?」などをヒアリングしてくれました。ありきたりのアルバムや食器を贈っても、それほど喜ばれはしない。だからオリジナリティにこだわったんです。私が趣味で書道をやっていたことから赤ちゃんの手型・足型付きの命名書をプレゼントするようになり、15年という長い期間続けていました。それを大切に取っていてくれた母娘二代の妊婦さんが来てくれた時には、本当に感慨深かったです。

離れた家族も、胎児・新生児を映像で確認


リアルタイムな赤ちゃんの映像が!

 今、導入しているサービスは、超音波によるお腹の中の胎児の3D映像や、新生児として生まれたばかりの赤ちゃんが、インターネットを通じて、リアルタイムで見られるシステムです。
 IDとパスワードでログインすれば、出張や残業などで仕事が忙しいお父さんや、遠く離れたおじいちゃん、おばあちゃんも見られる。ありきたりのサービスではなくて、オリジナリティがあり、本当に家族の方に喜んで頂けるものを模索しました。
 また妊娠をしても、事情があって産まないという選択をせざるを得ない女性もいます。中絶の場合には、親にも言えず、彼にも言えず、親しい人にも話せずに、苦しんでいるケースも多いんです。こういう患者さんを診る時は、医師として本当に頼られていることを実感します。電話でじっくり話をした結果、顔も知らない私を信頼して、遠方から新幹線で来てくれることもあるんです。だから私も、相談内容に応じて望まない妊娠を乗り越えるために、できる限りのことをしています。
 妊娠したのに産めない人のために何ができるか。産科の中ではあまり触れられない部分だからこそ、遅れている部分だからこそ、真剣に取り組んで行きたいと思っています。

クリニックを選ぶ時は必ず会って話すこと。

 私は嬉しいことに「61歳にしては若々しい」と言って頂けます。それは常に若い妊婦さんと接して、刺激を受けているおかげかもしれません。
 今の女性が何を考えているか、どんなことに興味を持つのかを同じ目線で吸収するように心がけています。
 今の女性たちは身体も立派になり、社会で活躍する方も増えてエネルギッシュで素敵ですが、「精神的には幼くなっている」と感じる部分もあります。
 今はインターネットの普及もあって、少し調べるといろんな情報が出てきます。出産に関してもあらゆる情報が氾濫していて、テレビやインターネットで見る出産や子育てのキレイな部分、「可愛い赤ちゃんを抱っこしている」という幸せな映像だけを思い浮かべている方が多いようです。でも実際には、産む苦しみや子育ての大変さもありますから、そちらもきちんと理解した上で、出産や子育ての喜びを味わって欲しいと思っています。
 クリニックを選ぶ際には、インターネットの情報はあくまできっかけととらえて欲しい。もちろん便利なものではあるけれど、医師と話もせずにwebサイトのイメージだけで判断してしまうのはおすすめしません。
 特にWebサイトの専門会社が作った美しい写真やデザインで、イメージをふくらませてしまうのは危険です。きっかけはインターネットの情報であっても、院長自身とじっくり話して自分に合ったクリニックを選んでほしいです。
 電話よりも実際に医師に会ってみるのが確実です。聞きにくい話も含めて、不安に思うことを聞いてみてほしい。誠実に応える医師なら信頼できると思います。

感性を磨き続けることが良い診療につながる

 私はプライベートでもアクティブなんです。健康のためにゴルフをしていますし、身体を鍛えるのが好きです。加齢で足腰が弱らないように、たくさん歩くようにしています。
 スポーツ以外では、創作文学も好きで、学生の頃から詩や小説を書いています。純文学を書くのが好きです。小説や詩を書くのは、脳の活性化にもいいと思います。また感性が鈍らないようにするのにも、役立っています。例えば若い頃にフレッシュだと感じたことが、年を取るとあまり感じなくなりますよね。それは現実を知るということなんだけど、悪く言えば感性が鈍っているということ。10代で感動したものも、20代になると「そんなことは珍しくない」になり、30代では「大人はこういうものだ」となってしまう。さらに私たちの年齢になると、「年寄りはこんなもんでええんだわ」と。これじゃ悲しいです。
 だから常に新しいことに目を向けて感性を磨いていたいと思っています。文章を書く時も日記風に淡々と書くのではでなく、表現を工夫するのが大切です。さらに「60を過ぎてからは、一年にひとつずつ新しいことをやろう」とシャンソンも始めたんです。そのサークルに行くと私が一番若くてフレッシュです。シャンソンも続けながら、また今年も新しいことを始めるつもりです。

取材・文/今井美香
情報出版社に勤務後、広告・編集プロダクションにて、コピーライター職を経験。2006年フリーランスとして独立。取材経験はビジネスマンを中心に500人以上。 2009年「ショートストーリーなごや」佳作受賞。

清水産婦人科

医院ホームページ:http://shimizuladiesclinic.web.infoseek.co.jp/index.html

名古屋地下鉄鶴舞線「塩釜口」駅2番出口より約500m。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

産婦人科

清水喜代治(しみず・きよじ)院長略歴
清水喜代治院長
1975年 東邦医科大学卒業 同大産婦人科入局
1977年 聖霊病院勤務 同産婦人科医長
1981年 大医会おりど病院医長
1984年 清水産婦人科 開業


■資格
医学博士、日本産婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本医師会認定産業医

■所属学会
日本産婦人科学会、日本不妊症学会



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