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[クリニックインタビュー] 2010/08/27[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第81回
入野医院
入野宏昭先生

幼少期のあこがれは「野口英世」

 この入野医院は、祖父である入野静喜(せいき)が開業して叔父の入野忠芳が継ぎ、さらに私が3代目として2008年10月から院長に就きました。特に医師だった祖父の影響で幼少期から医療を非常に身近に感じていましたね。
 当時憧れだった偉人は野口英世さんです。幼いころに野口さんに関する伝記を読んで、病気で苦しんでいる人がいれば1人でも多く救いたいとすごく思いました。そしてその気持ちは昔も今もまったく変わっていません。昨年やっと初めて福島県猪苗代町にある「野口英世記念館」にも行ったんですよ。
 ただ、自分が本当に医者になるかは大学の入試を受ける段階まで実を言うと迷っていました。「のんびり海をながめて生きていけたらいいな」などと考えて船舶系の大学も受験しましたが、あえなく不合格になってあきらめがついたといいますか。
 あと、野口さんの影響もあってか、救急医療や海外での治療スタッフ、無医村での医者などにあこがれた時もありました。とにかく1人でも多くの患者さんを自分の手で助けたかったんでしょう。

だんだん若年化する「めまい」の患者さんに接して


全国的に珍しい「総合めまいセンター」を開設

 当院は「めまい」を治療する病院として広く知られていて、日本全国から患者さんが来られます。その年代も小学生からお年寄りまで非常に幅広いです。そして最近特にストレスに悩む現代社会を反映してか、以前は40代、50代の働き盛りの方が多かったんですが、今は20代、30代の女性がとても多くて、患者さんがだんだん若年化していることや、女性の患者さんが増えてきていることを感じています。職業別だと、パソコンを長時間使う仕事、マスコミや美容師などの時間がやや不規則な仕事に携わる方に多い傾向が見られます。
 私たちはめまいの原因の一つとして「水流傷害」を考えており、脳脊髄液、リンパ液、そして血流の3つがストレス等の要因により本来とは違う流れになるのではと考えております。その他、枕の高さや寝相の悪さといった不自然な格好や姿勢によってめまいが起こるなど、身体の中よりもむしろ外に原因があることがけっこう多いという実感もあります。
 また、めまいは頭痛や吐き気、耳閉塞感などを併発する場合がありますので、まず内科を受診したり、耳鼻科に行ったり、さらに脳外科にかかったりと1つの科で解決しないことも多々あります。めまいの原因が脳なのか耳なのか、もしくは目のような首のような、または心かもしれないと患者さん自身で「これだ」とわかりにくいのも、あちこちの科をたらいまわしにされるような結果となる一因です。そして最後に当院に来られるのですが、薬で治る人、カイロプラティックや針きゅう、ストレッチなどで治る人、いろいろなケースが見られますね。
 めまいを総合的に診る体勢を確立したのが前院長です。まさに「医は仁術」、医は人命を救う博愛の道であること実践し、病気で困っている人々のためには自分の時間を割いてでも治療を続けたような人でした。そして叔父である前院長は、自分が最も尊敬する師でもあります。

患者さんの持つ「背景」を聞いて理解する


個人医院では珍しくMRI機器を完備している

 治療でいつも心がけていることは、患者さんに親切丁寧に対応すること、患者さんの立場に立つことはもちろんのこと、患者さん自身が持つ「背景」を常に考えながら治療を行っています。この背景を重視するのは、めまいの原因は多岐にわたっていて、一元的に治療方針を決定するのが非常に困難だからです。主に内科的な立場から総合的にめまいを治療していきますが、まず患者さんの持つ背景を聞き出して理解することが大切ですね。めまいの原因のほとんどは実は患者さん自身にヒントが隠されていることが本当に多いのです。
 あと、上手く表現しにくいのですが“医者らしくない医者”を目指しています。患者さんにとって、「何でも相談できる、身近な存在」として感じてもらえるようになりたいですね。
 そして、当院としての方針は、1人でも多くの患者さんを治療することです。これは先代から今もまったく変わっていません。また、より高度な治療を目指すために常に最新の知見を取り入れて“積極的治療”を目指したいと考えています。このため、学会や研究会にはできるだけ参加して、他の耳鼻科や脳神経外科の先生方の意見も参考にしながら、研究書、統計データなども積極的に治療に取り入れるよう心がけています。

“多趣味”が趣味

 忙しい毎日ではありますが、逆にオンとオフの切り替えはしっかりするよう心がけています。たとえば家には仕事を持ちこまないようにしていますね。また、趣味が割と多くて、釣りやゴルフをはじめ、ダイエットも兼ねてバドミントンやフィットネスジムも始めました。
 また、高校の時に吹奏楽部だった影響で音楽もとても好きです。最近は矢野顕子さんや財津和夫さんらのコンサートを聴きに行ってとてもよかったですよ。ただ、木村カエラさんのコンサートに行った時は恥ずかしながら「世代を間違えてしまった」と思いましたが。
 それと旅行も大好きです。以前はハワイやヨーロッパなどに行くこともありましたが、最近は国内旅行が中心です。勤務医時代は連休や夏季、冬季休暇があれば良く出かけていましたね。現在のマイブームは「東北」で今度は青森まで行きたいなと計画しています。また身近なところでは近所の「スーパー銭湯めぐり」なんてこともしています。
 これらの趣味は、医者仲間だけでなく中学や高校時代の友人らと一緒に楽しんでいます。自分の趣味が多いことも患者さんの治療にはもしかして役立っているかもしれませんね。

取材・文/飾磨亜紀(Aki Shikama)
関西を拠点に活動するライター/編集者。得意分野は人物インタビュー(スポーツ選手・文化人ら)。全国および世界各国を旅する経験も活かし、グルメ・観光紹介も多数行っている。

入野医院

医院ホームページ:http://www.irino.jp/

地下鉄・南海・近鉄・JRそれぞれのなんば駅から徒歩3~10分ほど、御堂筋と四ツ橋筋が交わる交差点に面していて便利でわかりやすい。全国的に珍しい「総合めまいセンター」があるのをはじめ、MRI機器も完備。人間ドックや脳ドックなども実施している。待合室には前院長が執筆した「めまい」などの著書も。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、耳鼻科、心臓外来、脳外科、神経内科、眼科、めまい・頭痛外来、脳ドック・人間ドック、MR・CT、レディース(婦人科・乳がん)、糖尿病外来、大阪市民健診

入野宏昭(いりの・ひろあき)院長略歴
入野宏昭院長
1998年 兵庫医科大学卒業
1999年 大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学、河内総合病院勤務
2001年 国立病院機構大阪医療センター勤務
2004年 国立病院機構大阪南医療センター勤務、看護学校非常勤講師
2009年 入野医院理事長就任


■所属学会
日本循環器学会、日本心臓病学科、日本めまい平衡機能医学会、日本内科学科、日本救急医学会、ICLS認定ディレクター



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