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[医療人] 2010/09/03[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第82回
医療法人社団みぶな会 産科・婦人科 ひなたクリニック
三橋裕一先生

女性のすべてを包むケアを

 私は福島の会津若松市で生まれまして、中3のときに父親が病気で亡くなりました。高校生のころは飛行機やロケットが好きだったので航空宇宙工学科などへの進学を考えていましたが、母のことを考えると地元で開業できる仕事として医学部への道を選びました。家族や親族に医師は全くいませんでしたし、このクリニックを開業するときも融資は自分だけで借りるめどをつけてから母親に報告しましたね。結局は実家から離れた札幌での開業になりましたが、母も「自分で最後までやるなら、頑張りなさい」と応援してくれました。
 学生時代には外科か産婦人科のどちらを選択するか迷いました。外科は手術がメインになりますが、産婦人科は手術以外に分娩もあります。決め手は学生時代の分娩実習でした。命の誕生でも感動しましたが、一方では、出産の際の陣痛の度合いによっては、ある意味壮絶なわけです。そのつらい姿を見て、自分には忍びない…と他の道を選ぶ友人もいました。けれども、私はそういった場面だからこそ、すべてを含めてのケアをしたいと思ったわけです。また出産時だけではなく、婦人科では若いときから年配になるまでトータルに患者さんを診られるという意味でも魅力を感じました。

感動を与える医療をするために


カフェのようにスタイリッシュな待合室。雑誌も豊富。

 女性が産婦人科を受診するときは、ドアを開けるまでに不安があったりかなりの勇気が必要だったりするのではと思います。「ひなたクリニック」の名前は、そういった女性にとっての“ひなた”でありたいという意味を込めました。安心して、温かい気持ちで帰ってもらいたいというのが私の願いです。
 ですから、受診する患者さんの敷居を低くするために、病院勤め時代から温めていたさまざまなアイデアを形にしました。まず、診療予約は初診も含めて携帯やパソコンのサイトからできるシステムにしています。クリニック内の待合室は患者さん同士が対面しないようカウンター式のチェアにする、呼び出しはモニターの番号で行う、診察室や内診室は完全個室でスタッフも入らないようにするなど、患者さんのプライバシーを最優先しています。さらに、初めての方には「相談外来」と名付けてお話を十分にお聞きします。例えば「内診に抵抗がある」「料金が高いのではないか」など不安に感じる方もいますので、こちらから十分な説明を行い、患者さんに納得していただいたうえで診療方針を決めていきます。また、検査などでは必ず事前に料金の提示もします。患者さんの負担が大きいということでしたら、検査を数回に分けて1回の支払い額を少なくできるようにもしています。
 実は、料金を事前に提示するというのは計算上かなり手間のかかることではあります。しかし、患者さんとの信頼関係を築くためにも必要なことだと考えています。また、当院はオフィス街のビルにあり会社勤めの方も多いので、診療時間外でも受診や検査の時間を取るときもあります。たとえ時間外であっても、会社のお昼休みや買い物の合間をみて患者さんが気軽に来られるような医院でありたいと思っています。
 ひなたクリニックのポリシーは「患者さんに、満足だけでなく感動を与えること」。来院される方が、そこまではしてくれないだろうと思っていることをあえて行い、アドバイスやケアをすることで“満足”を“感動”までに高めていきたいと日々努力をしています。

病気ではなく患者を診る。恩師の言葉を原点に


内診室は完全個室になっており、安心して受診ができる

 私自身は、医療はサービス業であると思っています。そのためにも、学会や研究会に出席するほか、数々の異業種交流会にも積極的に参加しています。一般企業や経営者などの方々と接していると、サービス業として得られるノウハウはとても多いですね。
 私が最も影響を受けた先生は、今はもう退官されましたが昭和大学の産科婦人科教授だった矢内原巧(やないはら・たくみ)先生です。私が初めて医局に入ったころ、患者さんに対する接し方をよく教えてくださいました。その中でも印象に残っている言葉が「君たちは病気を診ているんじゃなくて、患者さんを診ているんだよ」とおっしゃったことです。
 実際に患者さんが痛みや不快を訴える部分だけをみていると、診断を誤ってしまうことも多いように感じます。でも患者さんの話をよく聞き、その方が持っている背景など外側からアプローチをしていくと最終的には病気の診断が的確にできる。このことは、診療をしていて私も実感していることです。患者さんとしっかりかかわっていくという矢内原先生の教えが、今のひなたクリニックの根底にあるのかもしれません。

趣味はジムカーナに夢中

 もし私が医師にならなかったら、車や機械関係が大好きなので自動車や航空関係のエンジニアになっていたと思います。今も、趣味ではジムカーナというバイク競技を約10年間続けています。ジムカーナはパイロンなどでつくられた迷路のようなコースを駆け抜けるタイムレースです。非常にテクニックが要求されますが、そこが面白さでもありますね。仕事より夢中になっているかもしれません(笑) 最近はタイムが出てきて、トップタイムから105%以内のB級で戦っています。ほかには地元のアイスホッケーチームに入っています。これは子どもたちが先にアイスホッケーをやっていまして、それがきっかけになって私も始めました。
 休日の趣味はリフレッシュになりますが、やはり普段の生活でも健康のためなるべく体を動かすようにしています。いつも朝7時過ぎにはクリニックに出勤して、ひとりで筋力トレーニングを行っています。その後は雑務がいろいろあるので、すぐ診療時間になってしまいますね。帰るのはやはり雑務をこなしてからで、ビルを出るのは夜の9時ぐらいでしょうか。
 平日に家族とのコミュニケーションはなかなか取れませんが、朝には子どもたちの勉強を見ています。子どもは4人いまして、上の2人は中学生なので自分で勉強ができますが、下の2人は小学生なので私が付いています。朝6時からの勉強ですが、みんなしっかり起きて勉強をやりますよ。また週末には子どもたちのアイスホッケーを応援に行ったり、また家族が自分の試合を観に来てくれたりしています。
 私の将来に対する夢は、子育て中の女性医師の方たちがローテーションで働けるクリニックを新しく立ち上げることです。当院でも看護師や事務など女性スタッフが非常に頑張ってサポートしてくれていますが、やはり家庭の事情で続けられなくなる人もいます。女医さんであれば、なおさら当直やフルタイムで勤務することは難しい。ですから、そういった方々の力になりたいと強く考えています。
 ひなたクリニックでは、一身上の都合で辞めた女性スタッフが先日また戻ってきてくれるといううれしいことがありました。結果的に今のスタッフも安心して仕事ができるし、ひいては患者さんに質の高い医療の還元ができるのでありがたく思っています。新しいクリニックでは医療を受ける側だけではなく医療をする側も含めて、すべての女性を応援する“ひなたの場”をつくってあげたいと思うのです。

取材・文/高橋明子(たかはし・あきこ)
東京の業界紙や編集プロダクション勤務を経て、札幌移住を機にフリー。各種雑誌やウェブサイトで地域情報や人物、住宅などの取材を行う。

医療法人みぶな会 産科・婦人科 ひなたクリニック

医院ホームページ:http://www.hinataclinic.com/

地下鉄札幌駅10番出口より徒歩1分、JR札幌駅より徒歩3分。駅前通りを大通方面に向かった右側。日本生命札幌ビル3階。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

産科、婦人科

三橋裕一(みつはし・ゆういち)院長略歴
三橋裕一院長
1994年 昭和大学医学部卒業
昭和大学病院、亀田総合病院、千葉西総合病院、せんぼ東京高輪病院、牧田総合病院(医長)、大和徳洲会病院(部長)を経て
2004年 札幌マタニティ・ウイメンズホスピタル
2007年 ひなたクリニック開設・院長就任


■所属学会
日本産科婦人科学会、日本産婦人科内視鏡学会



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