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[クリニックインタビュー] 2010/12/17[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第98回
医療法人 社団飛越会 沖クリニック
沖和彦院長

生物に対する興味から医師の道へ

 子どもの頃から生物、動物が好きでした。医師にならなかったらおそらく生物学者になって研究者の道に進んでいたと思います。医師を目指すようになったエピソードめいたものはないのですが、生き物全般に対する興味が最終的に人間に対する興味になった……、そんなところでしょうか。
 医学部に入って勉強していくうちに呼吸器という臓器に興味を持つようになりました。たとえば消化器は入り口(口)と出口(肛門)が別ですよね。循環器もそう。でも呼吸器は出口と入り口が一緒なんです。生きていくうえでなくてはならない臓器ですし、さらに外界とつながっている上、血管の集まりでもあるので病気も多種多様。こういったところにおもしろさを感じたんですね。
 内科全般を診ていますが、専門は呼吸器、アレルギー疾患です。大学時代に所属した医局がぜんそく研究のグループだったことから、呼吸器疾患のなかでも特にぜんそく治療には30年近く携わっています。最近ではCOPDと呼ばれる慢性閉塞性肺疾患の患者さんなども多いですね。

変わるぜんそく治療

 ぜんそくは呼吸器疾患の中では一般的な病気です。ぜんそくというと子どもの病気というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、大人になってから発症する人の方が多く半数以上が40歳を超えてからの発症なんです。患者さんの数も増えており近年の有症率は5%位でしょうか、日本国内の患者数は約500万人ともいわれています。ぜんそくの発症原因にはアレルゲンといった環境因子の影響が大きいと考えられていますが、最近の住宅は気密性が高い上に、エアコンによって室内の温度が一定であるためダニやカビといったアレルゲンが発生しやすくなったことや、ホルムアルデヒドなどの化学物質による室内汚染などがぜんそくの増加に影響していると考えられています。
 その一方でぜんそくの原因が気道の炎症にあることなどもわかってきましたし、治療方法も変化しています。昔は年間1万人の患者さんがぜんそくで亡くなっていましたが、最近では2,000人にまで減ってきました。
 薬も進歩しています。20年以上前はぜんそくの薬といえばほとんどが内服のステロイド剤で、副作用の心配もありました。しかし吸入ステロイド薬も開発された今では内服ステロイドの減量に成功する患者さんもいらっしゃいます。長いお付き合いの患者さんが内服ステロイド剤の減量に成功したときなどは、本当にうれしかったですね。

ぜんそく治療の普及啓蒙活動にも尽力

 大学卒業後は岡山大学病院に勤め、その後東京に戻り清瀬市の複十字病院呼吸器科に勤務し、ぜんそくの患者さんの治療にあたっていました。当時は、日本はもちろん世界的にもぜんそくの治療が大きく変わっていく時代でした。1993年に日本アレルギー学会が日本おけるぜんそく予防・管理のガイドラインを発表し、私もその普及・啓蒙のための講演活動などを行っていました。また治験に参加し、研究活動も行っていました。
 このクリニックを開いたのは2000年です。当時、津田町に住んでいたのですが、たまたま建築中のこのビルを見かけて、ここがいいなと直感で決めました。
 車いすの患者さんもお見えになるだろうと入り口はスロープにしました。今でこそ珍しくありませんが、開業した当初は個人クリニックでのスロープはまだ珍しかったようで、よく話題にしていただきました。

専門性を活かし患者さんのための診療を

 診察にあたって普段心がけていることといえば、常に患者さんの立場にたつということですね。診療方針や診察内容、薬など患者さんに理解していただけるまで丁寧に説明していますし、また、自分の専門外の分野であれば専門医を紹介するようにしています。個人クリニックは大学病院や複十字病院など大きな病院に比べれば小回りも利きますし、患者さんに自分の考えがダイレクトに伝わりやすい面がいいですね。
 私自身、交通事故にあったり、けがで入院した経験があります。自分自身が患者として通院したり入院生活を送ったことで、初めてわかること、気づいたこともありました。そうした経験も診療に活きているのではないかと思います。
 内科全般を診ていますので患者さんの半分は地元の方ですが、複十字時代からの患者さんや紹介の方などぜんそくの患者さんは埼玉あたりからもお見えになっています。
 複十字時代からの患者さんは20年近くのお付き合いになる方もいらっしゃいますね。一人の患者さんを長いスパンで診察できるのも他科にはない呼吸器科の特長といえるかもしれません。
 最近の患者さんはとてもよく勉強されています。インターネットなどで情報を集めるとある方向に偏りがちになるようですが、こちらの説明も素直に聞いてくださるので問題に感じたことはありません。自分の病気について自分で勉強することはいいことだと思いますね。
 自宅が近いので通勤は自転車。気分転換は休日のゴルフですね。後は読書くらいかなぁ。今でも年に1・2回は学会や研究会での発表も行っていますし、製薬会社さんを対象にした講演などを依頼されることもあります。これからも自分の専門性を活かして患者さんのお役にたてるよう努めていきたいと思っています。

取材・文/土肥可名子(どひ・かなこ)
フリーライター・編集者。大手出版社勤務を経て独立。実用書、ビジネス書の編集や雑誌、Webサイトの記事執筆を手掛ける。

医療法人社団飛越会 沖クリニック


西武国分寺線 たかの台駅より徒歩1分。詳しくは、医院詳細ページから。

診療科目

内科 呼吸器科 アレルギー科

沖和彦院長略歴
1982年 鳥取大学医学部卒業
1982年 岡山大学第二内科入局
1989年 複十字病院呼吸器科
2000年 沖クリニック開設


■所属学会
日本内科学会、日本アレルギー学会、日本呼吸器科学会

■認定医
日本内科学会認定内科医、日本アレルギー学会認定専門医


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