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[クリニックインタビュー] 2011/04/15[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第111回
とおさかクリニック
遠坂顕院長

優しかった叔父が、医師をめざすきっかけに

 小学校4年生くらいのとき、優しくて大好きだった叔父を胃がんで亡くしました。叔父は内科医だったので、その後も在りし日の姿がずっと印象に残っており、いつしか自分も医師になりたいと思うようになりました。
 数ある専門のなかで、なぜ泌尿器科を選んだか、理由は二つあります。一つは、当時は今より泌尿器科の医師が少なく「これから発展する科」という印象があったからです。新しい技術が出てきた頃でもあり、「多くの人を治せるようになるだろう」との期待がありました。
 もう一つは、医局の雰囲気がよかったことです。卒業してすぐ師事したのは大島博幸先生でした。先生は医療に対する姿勢が素晴らしく、いつでも患者さん本位で、かつ手術がとてもお上手でした。雲の上の存在でしたが、いつか先生のようになりたいと思い、泌尿器科を志すようになりました。

甘さを叩き直され、技術を叩きこまれた研修医時代

 私にはもう一人、とても影響を受けた先生がいます。関東中央病院で当時部長をなさっていた、岡薫先生です。超音波がご専門の、手先が器用で見立ても素晴らしい先生でした。
 またとても厳しい先生だったので、大いに鍛えられました。私が病院に入った当初、それまで研修医だったこともあり、大事な仕事をさせてもらえませんでした。また私自身にも、どこか「お客さん」の意識があったのだと思います。しかし先生から「一人前の給料をもらうなら、一人前に働け」と叱られ、目が覚めました。
 といっても、何をすればよいか分からないので、常に先生の後ろについて歩いていました。すると今度は「金魚のフンみたいについてくるな」。そのとき外来と病棟、交互に患者さんを診ていたのですが、「ついてくるな」と言われたので、外来の仕事が終わって自分の持ち場に戻りました。すると先生がやってきて「そんなにヒマなら病棟を手伝いに来い」。こうして病院に在籍していた3年間で、私の甘えた根性は叩き直されました。
 そして超音波の技術も徹底的に教えて頂きました。私が臓器の超音波を撮って所見を述べ、その後先生がレントゲンを撮り確認する一連の作業がありました。そのときは、もし私が何か見落とそうものなら「お前、医者やめろ。この人が死んだらお前のせいだ」と罵倒されました。落ち込むこともありましたが、先生から医師としての高い意識と技術を教えて頂けたことを、今は心から感謝しています。

早期発見、早期治療がしやすくなった前立腺がん

 これまで、泌尿器科の超音波診断学や神経泌尿器科学など、さまざまな分野の仕事をしてきました。開業後は、分野にこだわらず泌尿器科疾患全般を診ています。
 疾患のなかで特に多いのは、膀胱炎などの感染症、尿失禁、前立腺肥大や前立腺がんです。膀胱炎は、膀胱に細菌が入って起こる病気です。尿を我慢したとき、また免疫力が下がったときに膀胱に菌が入ると起こりやすくなります。免疫力は疲れていると落ちるので、引越しの後になる方がけっこう多いですね。また、ストレスが長期にわたってかかると免疫力が下がるので、膀胱炎になる方が多いです。
 前立腺がんが多いのは、近年健康診断で行う血液検査の技術が発達し、見つけやすくなったからです。前立腺がんは早期発見なら多くの場合治ります。最近、某タレントさんがマラソン中に前立腺がんを克服しカムバックされましたが、あれも早期発見だったからこそ完治が可能だったのです。

セルフケアは、まず診察を受けてから

 私は雑誌やテレビなどで、よく女性の尿失禁(尿漏れ)についての意見を求められます。高齢化が進み、尿漏れに悩む方が増えているためです。
 しかしどんな病気に対しても、一言でアドバイスをするのは難しいものです。たとえば尿漏れには、骨盤底筋体操が有効になることがあります。これは、お尻を10秒ほどぎゅっと締め、その後50秒休むというもの。これを1日10回、3ヵ月ほど繰り返すと、症状が軽減されることがあります。
 しかし、多くの方は、3ヵ月も続けるのが難しい。その間、尿漏れや違和感を我慢して診察を受けずに過ごし、重大な病気を発見するのが遅くなってしまうケースもあります。体操をするのもよいのですが、適応の人とそうでない人がいること、万能でないことを念頭に置いて頂きたいと思います。何か違和感を覚えたら、まずは病院で診察を受けて頂きたいですね。
 また、診察を受けても医師の指示を守らないと、疾患の治癒や症状の緩和が遅くなります。たとえば、内科医から脳梗塞の予防として「水をたくさん飲みなさい」と言われ、やたらに水を飲んでしまって頻尿に悩む方がいます。水分不足はもちろんいけませんが、水は一定量以上飲んでも効果はありません。そのため夕方から夜にかけては飲む水の量を減らすようお伝えしますが、「たくさん飲まなければ」と思い込んでいると注意を守って頂けず、病気がなかなか治りません。
 薬も同様で、特に年配の方はあまり飲みたがらない傾向にあります。しかし用法と用量を守って服用して頂けないといつまでも症状が軽減せず、ストレスばかりたまってしまいかえって体に障りますので、ぜひきちんと服用して頂きたいと思います。

尿失禁の辛さは他人に伝わりにくい

 手術も、最近では女性の尿失禁手術が増えてきました。昔の泌尿器科医師、そして世間の目は「出なくなるよりもマシでしょう」「おむつを当てておけばいいのだから」と、尿失禁の患者さんの苦しみやストレスを理解できていなかったように思います。結果として満足いく治療がなされず、多くの方が辛い思いを抱えてきました。しかし10年ほど前から手術が普及しはじめ、今では多くの患者さんが尿失禁から解放されています。
 手術を行っていて感じるのは、出ない尿を出るようにする手術より、出てしまう尿を出ないようにするほうが、喜び方が大きいということ。先日手術した50代の女性は、「とても辛くて、何度も死んでしまおうかと思った。でも、完治した今は毎日が幸せ。生きていて本当によかった」と、お会いするたびにお礼をいってくださるので、こちらが恐縮してしまいます。
 でも、患者さんが良くなって喜んでいる姿を見ると、私も心から嬉しいですし、これからも頑張ろうという気持ちになりますね。多くの方に喜んで頂きたいので、これからも泌尿器科疾患と治療について啓蒙していきたいと思います。

健康はすべての基本。適度な運動は欠かさずに

 当クリニックは木曜と日曜が休診ですが、木曜はほかの病院で外来を担当しているので、休みは日曜のみです。学生時代は空手の一派から発展した躰道(たいどう)部に所属していたので、けっこう体を動かしていました。あまり知られていませんが、歴史のある武術なんです。しかし卒業後は時間がなくて練習があまりできないので、辞めてしまいました。
 開業したてで時間があった頃はスポーツクラブに通っていましたが、やはり時間がとれず、行かなくなりましたね。でも運動不足は体によくないので、最近は日曜に近所の公園を走っています。走っているときはきついですが、終わると爽快なのでストレス解消にも役立っています。

取材・文/瀬尾ゆかり(せお・ゆかり)
フリーライター・編集者。編集プロダクション勤務を経て独立。医学雑誌や書籍、サイトの編集・記事執筆を多数手掛ける。ほかに著名人・文化人へのインタビューや、映画・音楽・歴史に関する記事執筆など、ライターとして幅広く活動している。

とおさかクリニック

医院ホームページ:http://www.tosakaclinic.jp

JR中央線三鷹駅北口より徒歩1分。泌尿器科専門医、超音波専門医としての長年の経験に基づいた確かな診察で評判。
院長はテレビや雑誌、新聞などメディアにも登場し、泌尿器科疾患治療の啓蒙を進めている。
詳しい道案内は、医院ホームページから。

診療科目

泌尿器科

遠坂顕(とおさか・あきら)院長略歴
1986年 東京医科歯科大学医学部卒業、同大学研修医
1987年 藤沢市民病院泌尿器科研修医
1988年 公立学校共済組合 関東中央病院泌尿器科医員
1991年 埼玉医科大学総合医療センター泌尿器科助手
1995年 東京医科歯科大学泌尿器科助手
1998年 東京都保険医療公社東部地域病院泌尿器科医員
2001年 公立昭和病院泌尿器科医長
2003年 とおさかクリニック開業


■所属学会
医学博士、日本泌尿器科学会専門医、指導医、日本超音波医学会超音波専門医、日本排尿機能学会所属、武蔵野市医師会所属、東京泌尿器科医会理事


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