[医療人] 2011/04/22[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第112回
レッツメディカルガーデンクリニック
多田祐造院長

病気を治し、人の役に立ちたいと思った

 僕は幼い頃から医師になりたいと思っていました。父親は会社員だったのですが、親戚に医師が多かったので、物心ついたときからその姿を見て「僕も病気を治して、人助けができたらいいな」と、漠然と思っていたんです。
 僕の専門は、消化器科です。きっかけの一番の理由は、叔母のことです。僕の叔母は胃がんで亡くなりました。それからは、内臓、なかでも消化器系の病気を治せるようになりたいと、強く思うようになりました。

医師は、一生学び続けるもの

写真提供:レッツメディカルガーデンクリニック

 北海道大学の医局では内視鏡治療を中心としていましたが、以降は消化器系に限らずあらゆる病気を診てきました。風邪や肺炎、糖尿病高血圧、高脂血症など、患者さんにはいろいろな病気の方がいます。そのため、今でも日々勉強を怠らないよう、最新の手技や情報は積極的に取り入れるようにしています。
 治療法や薬は、日々進化していきます。その意味で、医学はアートやサイエンスとも似ているな、と感じます。時代に取り残されないようにすることは、非常に重要。そのため、学会はもちろん、先輩や同期の医師の話にも耳を傾け、常にアンテナを張るようにしています。
 僕はこれまで何人もの素晴らしい先生方にお会いしてきました。そのなかで特に印象深いのが、網走厚生病院在籍時の、上司の先生です。毎日とても忙しいのに、後輩の面倒をよく見てくださいました。技術も優れていて、いつも多くの情報をお持ちだったことも覚えています。消化器のプロフェッショナルとして、多くのことを学びました。また市立稚内病院で指導してくださった先生も大変素晴らしく、優秀な先生でした。その先生はピアノ演奏でも有名な方でしたね。
 僕は書籍から知識を得ることも大切にしていますが、それよりも信頼する先生から聞く「耳学問」を重視してきました。そのほうが、よく記憶に残るからです。医師として学び続ける姿勢も、諸先輩の姿を見て学びました。

患者の顔を見れば、体調がすぐにわかる

 今はクリニック内での診療のほか、在宅医療も積極的に行っています。老人ホームやグループホーム、個人のお宅へ、2週間に1回ほど定期往診しています。また「風邪をひいた」、「お腹が痛い」などの緊急連絡があったときはすぐお宅を訪問し、点滴をしたり、お薬を出したりと、適切な処置をします。
 在宅医療の患者さんは、糖尿病や高血圧が慢性化する60~70代をはじめ、高齢の方がほとんどです。高齢の患者さんはすでに病気だったり、脚が悪かったり、車が運転できないといった理由から、クリニックに来たくても来られません。そんな方々のために、医療側から出向くのが在宅医療です。糖尿病や高血圧を放っておけばどんどん悪化し、心筋梗塞脳梗塞といった重篤な病気につながることもあるので、定期的に診察することが大切です。
 在宅医療の最もいいところは、患者さんが家に居ながら、かかりつけ医の診察を受けられることですね。患者さんにとって、僕はなじみの医師なので何でも安心して相談できる。僕ら医療チームにとっても、何でも話してくださるのはありがたいことです。今では、患者さんの顔を見ただけで「今日は元気そうだな」「今日はちょっと具合が悪そうだな」と、患者さんの状態がわかります。

医師は確かに中心。しかし、偉くも特別でもない

 医師として年齢を経るごとに、僕はチーム医療の重要さを実感しています。医師になる前は、「医療とは、医師を中心として成り立つもの」と思っていました。でも、それは学生の未熟な考え方でした。社会に出て働くと、どんな仕事でもチームで協力して行いますよね。人にはそれぞれの役割があって、おのおのがベストを尽くすことで組織や社会が発展していく。医療も同じで、看護師、臨床検査技師、放射線技師、医療事務が一丸となって、かつ、それぞれがベストを尽くし、はじめて診療が可能となります。医師が中心になることはあっても、偉いとか、特別ということでは決してないのです。
 これは当然といえば当然ですが、残念なことに、世の中にはこのようなチーム医療がうまく機能していない医療現場もあります。当クリニックは2010年の9月に立ち上がりましたが、事務長に院長にならないかと声をかけて頂けたのも、チーム医療に対する僕の考え方と姿勢を評価して頂いたからでした。医療の発展を進めていけるような診療体制を、このクリニックから発信していきたいと思っています。

働きやすさは、自分が率先して作るもの

 当クリニックのスタッフはとても仲がよくて、お互いに何でも言い合えるのが自慢です。他のクリニックの院長先生から、どうしてそんなふうにできるのかと聞かれますが、特に技術などはありません。ただ、働きやすい環境を作るためには、真面目な話や、難しい話ばかりではなかなかうまくいかない。そのため、僕が率先して皆を誘って飲みに行ったり、カラオケに行ったりします。僕は、自分から殻を破っていくのがいいと思っているから。 
 また、患者さんにも自分からどんどん挨拶や雑談をしていきます。おかげさまで「先生になら何でも話せる」「リラックスできるし、親しみやすい」と、よくお褒めの言葉を頂きます。かかりつけ医は、患者さんの一番の相談相手でもあるし、病状を把握しておくのが仕事。ですから、親しみやすいと感じて頂けることはとてもありがたいですね。

北海道の雄大な山に、また登りたい

写真提供:レッツメディカルガーデンクリニック

 そうは言っても、実は、飲むことやカラオケが趣味というわけではないんです。学生時代はテニスを、北海道で勤務していたころは登山が趣味でした。特に登山は、北海道の雄大な自然を楽しむ最高の方法です。僕は大雪山や、十勝岳によく登りましたが、皆さんが想像するほどハードではないですよ。ただ、今はなかなか山登りの時間がないので、それが少し残念です。
 そうそう、僕は電車も好きなので、毎日の電車通勤は楽しいですね。電車の写真を撮りに行くほどではないけれど、電車のフォルムや駅の雰囲気などを観察して、密かに楽しんでいます。東京は路線も多いので、それがいいところですね。僕が特に好きなのは地下鉄南北線。ドアがしっかり二重になっていて、作りも格好いい。駅の雰囲気では、東横線沿線がいいですね。おしゃれで優雅なところが気にいっています。

取材・文/瀬尾ゆかり(せお・ゆかり)
フリーライター・編集者。編集プロダクション勤務を経て独立。医学雑誌や書籍、サイトの編集・記事執筆を多数手掛ける。ほかに著名人・文化人へのインタビューや、映画・音楽・歴史に関する記事執筆など、ライターとして幅広く活動している。

レッツメディカルガーデンクリニック

医院ホームページ:http://www.mxpg.jp

総武本線小岩駅より車で7分。病院とは一見思えないような内装は、ホテルをイメージしたもの。詳しい道案内は、医院ホームページから。

診療科目

内科、訪問診療

多田祐造(ただ・ゆうぞう)院長略歴
1997年 旭川医科大学医学部医学科卒業
2000年 北海道大学医学部附属病院 
2002年 網走厚生病院 
2005年 磯子愛敬堂クリニック 院長・在宅医
2007年 オホーツク海病院 院長
2009年 十勝の杜病院 内科部長
2010年 9月開院 レッツメディカルクリニック院長


■所属学会
日本内科学会、日本抗加齢医学会


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