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[クリニックインタビュー] 2011/05/27[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第114回
戸塚ヒロ眼科
佐久間浩史院長

内科医になりたいと思っていた学生時代

 医師を目指した理由はふたつあります。まずひとつは、人の役に立つ仕事をしたいと思っていたこと。そしてもうひとつは、小学校2~3年生の頃入院することがあったのですが、病院のスタッフの皆さんがとても親切で、特に主治医の若い医師に親身に接してもらい「自分もこういう風になりたい」と少なからず憧れを抱き、医師を目指すようになりました。
 実は研修医になるまではずっと内科医、中でも全身を診ることができる総合診療医になりたいと思っていました。
 でも、研修医になり眼科で研修をしたときに意識が大きく変わりました。様々な手術に立ち会わせていただく機会がありましたが、なかでも白内障の手術後に「見えるようになりました」と本当に嬉しそうに喜ぶ明るい表情の患者さんの顔は忘れられません。メスで病を治すことができる外科医の素晴らしさを垣間見ました。また、こう言うと今も医師仲間には笑われるのですが、網膜はく離などの手術で眼の中を顕微鏡で見たとき、そこには言葉では表現しきれないきれいな小宇宙が広がっていたのです。この美しい世界に魅せられたのも眼科医を選んだ理由のひとつですね。
 一般の皆さんは「目薬をもらう」と言って、眼科は薬で治療するというイメージを持たれている方が多いと思います。確かに身近な多くの眼の病気は薬で治療ができます。それも眼科の一面ですが、一方で手術で治すのも眼科の姿なのです。このようにたった直径2cmほどの小さな世界なのですが、外科的要素と内科的要素の両方を併せ持つ眼科に魅力を感じて、眼科医になろうと決めました。

勤務医時代の疑問に開業を決意

 色々な病院に勤務して外来診療をしましたが、中でも大学病院では3時間の待ち時間で3分の診察というのは当たり前のことでした。患者さんに申し訳ないと思いつつも、3分の診察ではたいしたケアもできませんし、当然患者さんご本人も満足しませんよね。そもそも大学病院は手術が必要な方など本当に重篤な患者さんを診るところなのですが、アレルギー性結膜炎など、大学病院に来る必要のない比較的軽い症状で通院している患者さんも多かった。聞けば、近所にいい医師が居なくてわざわざ大学病院まで来ているというのです。
 ならば大学病院に行く手前に身近でかつ敷居が低く、でも広い分野できちんとした治療ができる医師が必要なのではないかと考えるようになりました。そうすれば、軽症の患者さんが半日以上の時間をかけて大学病院に受診することはないですし、大学病院に軽症の患者さんが集中することもない。大学病院にかかる必要のある患者さんかどうか判断して、必要に応じて紹介すればよいのではないだろうか・・・と。
 また、自分自身の中でも3分診察ではなく、子どもから高齢者の方までひとり一人の患者さんときちんと向き合って、満足できる丁寧な診察をしたいという思いがありました。そこで、眼に関する手術以外のことはすべて対応できる医院を作ろうと思い、開業を決意しました。実は「手術以外」という部分は非常に悩んだところです。勤務医時代は手術をずっとやってきていたので、開業するときに手術室を作るかどうかは本当に悩みました。しかし結局、手術をしている間は外来を閉めなくてはならない。他の先生に代診してもらうという方法もありますが、私は自分のクリニックの診療は自らが責任を持ってやりたいと思っていたので、ウエイトは外来診察におくと決め、最終的に手術室は諦めました。

自分や家族が患者さんだったらどうして欲しいのか考える

 診察の時には自分が患者さんの立場だったらどうして欲しいのか、常に考えています。そのため、症状や治療方法や薬についてなるべくきちんと説明し、患者さんに理解していただけるように心がけています。自分だったらそうして欲しいからです。また、どんな病気もなぜその治療や薬が必要なのか?理解して治療を受けてもらわないと、結局は治療が続かないのです。
 現在私自身は手術をしていませんが、特に手術については時間をかけて患者さんと話し合います。どんなに簡単だとか安全だとか言われている手術であっても成功率が100%ということはありませんし、必ずリスクを伴うものだからです。長年の経験から素晴らしい結果をもたらす手術も怖さがある。安易な気持ちだけで手術をして欲しくないので、良い点ばかりでなく、悪い点も必ず説明します。
 また、身内を診るような気持ちで患者さんと接することも心がけています。たとえば手術を勧めるか否か悩んだときに、もし自分の親だったら手術を勧めるか?という基準で考えています。実際、患者さんに対して「もし自分の親だったら手術を勧めます」と言ってますね。
 他にも緑内障など長期間にわたる治療が必要な病気の場合も、患者さんとは長い付き合いになるわけですから、信頼されるようにならないといけないですし、そのためには家族のように親身になって接する一面も必要ではないかと思っています。長期の治療の場合、選択肢がひとつとは限らない。いくつもある治療の道筋で、患者さんにとって最も良い選択をしていくには、その方の生活や考え方も理解していないと出来ないと思うのです。
 もし仮に途中で通院を止めてしまった患者さんが居たら、それは満足してもらえていないということ。病院というのは病院自体を目的に患者さんが来る。一方で当院のように個人で開いているクリニックというのは医師自身を目的に患者さんが来るところだと思うのです。ですから「この先生、嫌だな」と思われたら、患者さんはさっさと居なくなってしまう。だからこそ、日々丁寧な診療を心がけています。

地域の方々には健康な眼でいて欲しい

 「失明するのは怖いからなかなか病院に行けなかった」とか「失明する事実を知りたくない」など怖さから、あるいはそういった現実と向き合うことが出来ずに足が遠のいてしまう患者さんも実際にはいらっしゃいます。緑内障がかなり悪くなってから診察に来る方や、糖尿病が原因の糖尿病網膜症を長く放置している方もたくさんいます。また、片目が見えなくなっていることに気づいていない子供や、適切な弱視治療を受けていない子供も多くいます。実はこういった方は早く受診をして治療を開始していれば進行を食い止めることができる場合も多いのですが、進行してしまってからでは治療する術も限られていますし、本当に失明してしまうこともあるのです。
 今は年に1回になってしまいましたが、当院では昼休みに患者さん向けの勉強会を開催しています。テーマを決めて地域の方々に眼の病気のことをお話しています。先ほどお話したような失明のリスクを負っている隠れた患者さんが、失明という最悪な結末にならないために、まずは知っていただきたいと思って続けています。
 また、春先は休診日に近隣の小学校、中学校、高校などの学校に検診に行きますし、近くの地区センターで健康講座を行う予定もあり、こうした地域への協力は受けられる範囲でやっていきたいですね。
 地域に根ざした医療というのは基本だと思っています。だからこそ地域の方々には、いつまでも健康で眼が見える生活をして欲しいですし、この地域の人々の眼は自分が守るんだという意識は常に持っているつもりです。だから、何でもいいのです。どんな些細なことでも眼で困ったことがあったらすぐに来て欲しいですし、そういうクリニックにしていきたいと思っています。

取材・文/酒井久美子(さかい・くみこ)
出版社、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライターに。新聞社や出版社の各種雑誌や書籍、ウェブサイトの企画編集、執筆や取材などを行う。

戸塚ヒロ眼科

医院ホームページ:http://hiroganka.com/

写真左:歯科、内科、耳鼻咽喉科の入った踊場メディカルセンター内にある。
写真中央:やさしい色味で統一された清潔な待合室でゆったりと待つことができる。
写真右:子供の患者さんも多く、キッズスペースが設けられている。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

眼科

佐久間浩史(さくま・ひろふみ)院長略歴
1996年 聖マリアンナ医科大学卒業
1996年 藤沢市民病院 臨床研修医
1998年 横浜市立大学医学部附属病院 眼科常勤医
2000年 佐伯眼科医院 医長
2002年 横浜労災病院 医長
2003年 横浜南共済病院 医長
2005年 横浜市立大学医学部附属病院 助手
2006年 戸塚ヒロ眼科 開設


■所属学会
日本眼科学会専門医、日本眼科学会会員、日本眼科手術学会会員、日本緑内障学会会員、日本白内障屈折矯正手術学会会員


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