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[クリニックインタビュー] 2011/06/24[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第116回
ただともひろ胃腸科肛門科
多田智裕院長

「自分ならもっとやれる」と医師を目指す

 将来の職業を選んだのは高校時代でした。神戸市の灘高校に通っていたのですが、その学校からは毎年20人ぐらいの先輩方が東大の医学部に進学していたのです。医師は大変な仕事だとは思いましたが、先輩方を見ていて「自分もなりたい」と思ったと同時に、「自分ならもっとできる!」という自信のようなものを感じていました。
 進学して最初に指導を受けたのが、大腸がん治療では世界的に有名な先生で、その先生の影響で、これからさらに増えるであろう大腸がんという病気の予防、治療にあたる仕事がしたいと思いました。内視鏡などの技術がどんどん上がっていた時期でもあったので、それで興味を持った部分もあったと思います。
 どちらかというとテストの点数を取るのは得意ではなかったし、内科系より外科系の、体を動かすほうが合っているのではないかとも感じました。ですから、この科を選ばなかったとしても、眼科や美容外科など、外科的治療ができるところを選んでいたと思います。
 卒業後は大学病院に勤務しましたが、大学は、必ずしも最新の設備が入っているわけではありません。機器類はすべて、会議を通して年度の予算で買うので、新機種が出たからといってすぐには買えない。要望を出して、3カ月か半年に1度、下手したら1年ぐらい待たされることも。自分がオーナーなら買いたいものは自分の裁量で買えるし、内視鏡にしても他の機器にしても、最新機種をすぐ導入することができます。どうせやるなら、最高の環境で仕事をしたい。大腸がんの内視鏡検査にしても、よその病院でやるよりも、痛くなく安心して受けてもらえるようにしたいという気持ちがあり、開業しました。

患者さんにとっての「プラスα」を考える

 開業してもうすぐ5年になりますが、日々患者さんの治療にあたる中で心がけていることは、「うちに来てよかった、と思って帰ってもらえるような診療をしたい」ということ。検査や診察など、胃腸科の診療でベストを尽くすことはもちろんですが、それだけでなく、プラスアルファとして、何か患者さんの役に立つことができればと考えています。たとえば、胃腸科として出す薬はほかの病院と同じかもしれないけど、患者さんが頭痛で悩んでいるなら近くの神経内科を紹介したり、左の脇腹の後ろ寄りが痛いといえば、泌尿器科の領域かもしれないので最寄りの病院を紹介したり。
 今は、おなかの不調だけでなくさまざまな原因や症状がかさなっている患者さんも多いですし、機能性胃腸障害などの病気では、メンタル面や頭痛などの全身症状を伴うこともあるので、そういう場合は内科や心療内科についての情報を提供し、受診をおすすめすることもあります。何かひとつでも、ふたつでも、患者さんにとって役に立つ付加価値がつけられたらと考えながら診療しています。
 学生時代に4年間、マンツーマンで博士号取得のための指導をしていただいた教授がいました。大学というところは、どうしてもテストの点数や論文、学会での発表の数などで人を評価しがちな場所ですが、その先生は、そういうところだけでなく人柄などを重視して人を評価し処遇する方で、すごいなぁと感じたものでした。良い意味で「大学の教授らしからぬ」先生で、今は帝京大にいらっしゃって大腸が専門の教授なので、うちで見つかった大腸がんの患者さんは全部先生のところにお願いしていますし、うちにも帝京大から何人か先生が来てくださるなど、今もお世話になり、交流が続いています。

医療はもちろん、経済や哲学なども勉強

 開業してからは当直がなくなったので、日中は忙しいですが、健康を保つためにもなるべく睡眠は多く取るように心がけています。また、食事についても、なるべく3食規則正しく食べ、「脂っこいものは1日2品まで」「野菜は毎食」「豆や果物も1日1回はとる」など、ふだん患者さんに指導していることを、自分でも守りたいと考えています。今は、昼食はスタッフ全員分まとめて、近所のお弁当屋さんに頼んでいるのですが、日替わり弁当にすると、魚、こんにゃく、豆、野菜など5種類ぐらいのおかずとごはんが入っていて、いろいろな栄養が取れるので助かっています。
 趣味は、株や投資をしています。昔、医師会で「とうし」と言ったら、「え? バリウム検査が趣味なの?」などと聞かれたことがありますが(笑)、「透視」ではなく、株などの「投資」です。趣味と実益を兼ねて、ひまなときはネットなどで情報を集めています。ただ、プライベートでは7歳と0歳という元気で手のかかる子どもがいるので、休日はほとんど子どもの相手に追われるか、半日ぐらい寝て終わる、という感じです。
 今後の展望は、今続けている専門科で、検査や診察面での技術をさらにレベルアップさせていきたいというのがひとつ。また、スタッフを増員してフルオープンしたいとか、設備を充実させてもっと多くの患者さんを診られるようにしたという思いもあります。これからも、地域の患者さんの健康のために役に立ちたい。そのためにも、つねに新しいものを取り入れたり、勉強したりすることが必要だと考えています。
 医療や医学に関する雑誌や本は一通り読みますし、学会誌を読んだり学会に出席したりもしますが、ビジネス・経済情報誌などにも欠かさず目を通すようにしています。社会経済、心理学や哲学、歴史など、医療分野だけでなく、広い視野を持って専門外の知識もしっかりキャッチアップしていきたいと考えています。

取材・文/出村真理子(Demura Mariko)
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。

ただともひろ胃腸科肛門科

医院ホームページ:http://www.musashiurawa.jp/ichoka/

待合室では飲み物のサービスがあり、待ち時間もくつろいで過ごせます。土・日曜日も診療しており、休診日は水曜日。
JR武蔵浦和駅より徒歩4分、武蔵浦和メディカルセンター2階。詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

胃腸科、肛門科、外科

多田智裕(ただ・ともひろ)院長略歴
1996年 東京大学医学部医学科卒業後、同大学医学部付属病院外科
1997年 国家公務員共済組合虎ノ門病院麻酔科、東京都立多摩老人医療センター外科
1999年 東京都教職員互助会三楽病院外科
2000年 東京大学医学部付属病院大腸肛門外科、日立戸塚総合病院外科
2005年 東葛辻仲病院外科
2006年 武蔵浦和メディカルセンターただともひろ胃腸科肛門科開設


■資格・所属学会
日本外科学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本大腸肛門病学会専門医、日本消化器外科学会、浦和医師会胃がん検診読影医院、内痔核治療法研究会会員、その他


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