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[クリニックインタビュー] 2011/10/28[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第125回
医療法人 梅野小児科内科医院
梅野英輔院長

恩師との出会いで決めた進路

 父がこの場所で小児科・内科を開業していて、それで私も医学部へ進学しました。卒業後、研修医時代に出向先の上司だった西間三馨先生(現・国立病院機構福岡病院名誉院長)と出会いました。西間先生が喘息、アレルギーを専門とされていて、それで私も喘息とアレルギーの道を進むことに決めました。西間先生は仕事にとても厳しい人でして、上司だった時代、私がヘトヘトになって帰宅したとたん、「カルテの記載が足りないぞ!」と呼び戻されたり(笑)。ですが、西間先生からは、医師としての技術はもちろんですが、仕事観や生き方を教わったように思います。今もよくメールなどで連絡を取らせて頂いています。まさに私にとっての恩師ですね。

アレルギーと向き合い続ける

 当院の診療内容はアレルギー診療(食物アレルギー、喘息、アトピー)、デイケア、通常の小児科・内科診療と大きく3つの診療内容に分かれます。
 喘息は、吸入器や薬も発達し、以前に比べてコントロールがきちんとできる例が多くなってきています。逆に症例が増えてきているのが、乳幼児の食物アレルギーです。卵、牛乳、小麦などですね。アレルギー反応が出るお子さんには、予防的治療として除去食というアレルギー反応の原因となる食べ物を取り除いた食事で、耐性が出来るのを待ち、万が一誤食などで症状が出たら、薬などで抑える方法があります。これは「消極的治療」とも言えるものですが、多くのお子さんは7~8歳で耐性ができていくことが多いです。
 しかし、中には、小学校に入る頃になってもアレルギー反応が出てしまうお子さんもいます。そこで、当院では外来診療にて、アレルギーの原因となる食べ物を極少量から摂ってもらい、慎重に判断しながらその量を増やしていく「食物経口減感作療法」という方法で、アレルギー反応を起きにくくしていくアプローチを採っています。これはいわば「積極的治療」というもので、3歳児くらいの小児から行っています。というのも、小さいころから特定の食べ物を食べてはいけないと教えられてきたお子さんは、幼児期になると、もうなかなか食べてくれないことも多いのです。アレルギー反応が出れば、もちろん薬などですぐ抑えます。日本では数年前から注目され始めた治療法で、根気が必要ではありますが、これで少しでも元気に、色々な食事やお菓子を食べてくれるお子さんが増えたらいいなと思います。

デイケアで働くママをサポートできれば

写真提供:梅野小児科内科医院

 福岡市には各区に2つずつ、委託を受けて病気にかかったお子さんを預かる医院があります。そのうちの1つが、当院です。水ぼうそうやインフルエンザなどにかかったお子さんは、保育園や幼稚園を休まなければならず、かといって最近は働いている女性も多いのも現状です。3階がデイケアルームになっており、症状別にお子さんたちを別の部屋で過ごしてもらえるようにし、保育士・看護師・医師が一緒にケアできるようにしています。特にインフルエンザなどの感染症が流行している時などは、通常の診療も行っていますので、朝は大忙しです(笑)。

スタッフ全員、プロであること

アレルギー教室にて。子供が退屈しない工夫も

 当院のモットーは、「信頼される医院」です。小児科では、お子さんはもちろん、保護者の方から信頼されることも重要です。先ほどの食物アレルギーの診療では、診察の時に、こちらの判断で摂取する量を少しずつ増やし、食べてもらって反応を見て、次の来院までその量で摂取してもらうのですが、その際に、中にはアレルギー反応が出て、薬や注射などで対処することもあります。その時に、医師からちゃんとした説明を受けて納得していないと、親御さんとしてはとても心配になると思います。小さなお子さんが普段つらい思いをしているだけに、その心配はさらに大きくなるのではないでしょうか。どの方にも、必ずご納得して頂けるまで、説明をするようにしています。
 また、スタッフが9名いますが、「全員、プロであるように」と常に言っています。たとえば、待合室を通りかかった看護師に、患者さんが質問したとします。それにもパッと答えられるようにしておいて欲しいと。時々、患者さん親子を対象に「アレルギー教室」や「喘息教室」という講演を行っているのですが、その際の資料作成・発表もスタッフが行います。スタッフもよく勉強しており、一丸となって信頼される医院づくりを目指しています。

バイクで気分転換

写真提供:梅野小児科内科医院

 私はバイクが好きで、たとえば土曜午後に仕事が終わり時間ができると、家に連絡を入れ、そのまま愛車のハーレーで熊本や、大分の日田なんかに出かけたりします。お気に入りの店や宿もあり、もう顔見知りになっているくらい(笑)。時には仲間と、急に思い立ったときはひとりで、バイクを走らせることが気分転換ですね。あとは、この仕事はずっと椅子に座っているので、足がむくんだり、腰が痛くなりがちです。そこで運動がすぐにできるよう、2階にジムの部屋を作ってしまいました。週1回はそこでみっちり体を動かすようにしています。そして夏は毎年、博多祇園山笠にも出ているので、それに向けて、毎年春から準備のために走り込んでもいます。忙しい毎日ですが、ストレスを溜めないように、体を動かし、好きなことをする時間はなるべく持ちたいと思っています。

取材・文/松田はなこ(まつだ・はなこ)
市場調査会社、広告代理店勤務後、広告プロダクションにて、コピーライター職を経験。その後福岡でフリーペーパー記事やTwitterのbotのツイートライティング等を行う。

梅野小児科内科医院

医院ホームページ:http://www013.upp.so-net.ne.jp/umeno_m_d/

JR鹿児島本線吉塚駅徒歩3分。バス:粕屋・宇美町方面からは『吉塚駅東口』下車、天神方面からは『妙見』下車。
駐車場20台分あり。詳しくは、医院ホームページから。(写真提供:梅野小児科内科医院)

診療科目

小児科、内科、アレルギー科

梅野英輔(うめの・えいすけ)院長略歴
1980年3月 福岡大学医学部卒業
1980年5月 福岡大学医学部小児科勤務
1983年6月 国立療養所南福岡病院(現:国立病院機構福岡病院)小児呼吸器科勤務
1987年7月 カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。Cardiovascuiar Research InstituteのJay A.Nadel教授のもとで喘息の呼吸生理学の研究
1989年7月 国立療養所南福岡病院小児科医長(臨床研究部肺生理研究室室長兼任)
1993年8月 梅野小児科内科医院副院長、南福岡病院臨床研究部院外研究員、国立病院九州がんセンター非常勤研修員
1994年4月 梅野小児科内科医院院長
2010年4月 福岡大学臨床教授就任


■医学関係資格
医学博士(1994年11月14日)、日本小児科学会専門医(1989年5月26日)、日本アレルギー学会認定医(1990年4月1日)、身体障害者福祉法第15条第1項に規定する医師の指定(1992年9月28日)、日本アレルギー学会認定専門医(1995年4月1日)

■所属学会及び研究会
America Thoracic Society(米国胸部学会)、日本呼吸器疾患学会、日本小児科学科会、日本アレルギー学会、日本内科学会、日本小児アレルギー学会、日本呼吸器疾患学会、ニューロペプタイド研究会、西日本小児アレルギー研究会、福岡アレルギー研究会、福岡小児呼吸器疾患研究会、小児難治喘息研究会、日本外来小児科学会、福岡外来小児科研究会


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