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[クリニックインタビュー] 2009/03/10[火]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第11回
笠原クリニック
笠原大城院長

人命を救う医者になりたい

 もともと私は「空」に興味があって、飛行機のパイロットになることを夢見ていました。鉄の塊が私の操縦で空を飛ぶということに、畏敬と憧れを抱いていたんです。
 高校時代、私は得意科目にばらつきがありました。数学は好きだし得意、でも英語が苦手でしたので、「苦手な英語を克服して、パイロットになろう」と考え、集中的に英語の勉強をしました。すると、両親共に近視である遺伝が発現し、一気に視力が低下しました。その当時のパイロット採用試験に必須の裸眼視力・0.8を、両眼とも下回ってしまいました。必然的にパイロットの夢は、断念することとなりました。
 親や高校の先生などからは、「何代も続く医者の家系に生まれたんだから医学部に行ったら」と、少なからず提案されました。しかし、一種の反抗期のようなもので、「親が医者だから医学部受験」というのには強い抵抗があったのは、まぎれもない事実です。一方、好きな数学を職業とする自信も覚悟もなく、消去法で医学部を受験することになりました。大学受験の動機は不純かもしれませんが、6年間大学で勉強を重ねるにつれ「せっかく医者になるのであれば、人命に関わる医師になりたい」と思うようになりました。それで、当時の日本人に多い胃がんを扱う消化器外科を専門にしたいと考え、より多くの症例を経験できると思われた、一般病院での研修を選択しました。

切ないスタートを乗り越えて

 大学卒業後、日赤医療センター 外科研修医として医師としてのスタ-トをきりました。
 その後父の跡を継ぐことになるまでの12年間を常勤医師として、その後現在まで非常勤としての勤務は継続しています。
 専修医となった3年目から、当時の消化器・胸部外科 両部長の試みで、「頭と心臓以外は、診断・治療できる“スーパー外科医”を育てよう」といった趣旨の取り組みがありました。全身のあらゆるがんについて部長の直接指導のもと、数多くの症例を経験させていただきました。消化器6年・胸部4年間でしたが、密度の濃い日々で普通診療経験年数の倍以上の症例を勉強させていただきました。
 恩師からは知識習得や技術だけでなく、診療姿勢や患者さんとの接し方など、なにからなにまで学ばせていただきました。医者になってから、「病気を治してくれてありがとう」と患者さんに感謝されることもあります。感謝されるようなことを私ができているとするなら、それもすべては師のおかげだと私は思っています。
 当院が大規模リニューアルオープンする4年前、現役を退いていた父と病床にあった恩師が、相次いで他界してしまいました。気落ちしていたところ、恩師の奥様がオープンに合わせて「開院のお祝いに」と立派な版画を贈ってくださいました。奥様も大変な時期だったにもかかわらず、そうした気遣いをしてくださったことに、改めて恩師の徳やありがたみを感じます。
 今後は充実させた設備でますます診療にも精を出し、理想のクリニックを構築していけたらと思います。

外来機能を整えるために

 「大病院の外来機能と遜色ない開業医」。これが私の目指すクリニックの機能です。
 患者さんに必要な検査を行い、当院での治療か・より高次な医療機関への紹介が必要かを的確に判断する。風邪だと思ったら肝炎・便秘の原因が大腸がんなど、ありふれた症状に時として恐ろしい病気が隠れていることがあります。こういった病気を見落とさない。風邪からがんまで、とりあえず受診して安心、と信頼されるに足るクリニック。ありきたりかも知れませんが、患者さんが「ここに来てよかった」と心から思える、そんな医院の実現を目指して、努力していきたいです。
 スピーディーに検査を行い、結果をフィードバックし、必要な治療に取り組んでいく事は大切なことです。迅速な診断・治療システムは医者・患者の双方の負担を軽減しますから。 そのために必要なインフラは、やりすぎというほど投資して整えました。電子カルテ・画像ファイリングなど完全ペーパーレスのITシステムや、電子内視鏡・CTスキャンなどの機械設備、また「特別室」という予約制診療室、エレベーター・車椅子対応トイレのようなバリアフリー設計の内装など、気がついたところはすべて準備した上で、リニューアルオープンしています。患者さんがクリニックに求めるものはそれぞれ異なりますけれども、今後もソフトの充実でできるだけ対応していくつもりです。
 当院のもうひとつの売りは、私の専門である消化器内視鏡・特に大腸内視鏡検査と治療です。疼痛もほとんどなく、小さいポリープや癌は、入院することなく外来での治療も可能です。大きな病変やトラブルには、今も籍をおく日本赤十字社医療センターでの対応はもちろん、NTT東日本・がんセンターなどにも紹介しています。大病院との密な連携も、患者さんには安心なシステムでしょう。
 今も月曜午後に循環器内科・水曜午後に呼吸器内科の専門医が、当院の外来診療を担当しています。将来的には、より多くの専門医の先生方に当院で診察して頂き、今以上の大病院との連携を発展させていけたらと考えています。

好きなことを楽しみに

 私は現在まで取り立てて健康面での不安がなく、病気にかかったこともなければ、薬もほとんど飲んだことがありません。寝つきもよくて、夜は横になるとすぐ眠りに落ちますし、そういった面では頑健な体を与えてくれた両親に感謝するばかりです。
 そんなですから運動も、月に2回程行くゴルフ以外はほとんどしていません。以前は、週2-3日、1時間ほど通勤で歩いていた時期もありましたが、現在は時間がとれずほとんど歩いていません。生活習慣としては、煙草をやめて深酒も控えるようになりましたね。加齢に応じた健康への気配りを、最低限おこなっているという感じです。
 健康のためにはやっぱり、くよくよ考えこまないことが大事ですね。ダメなものはいくら考えたってダメだから、その辺りの割り切りが体にもいいのかも知れません。私自身、リニューアルしてからは土曜も診察しているため、まとまった休みをとることはありませんが、これからは定期的な運動もしていきたいと考えています。
 空を飛び回る夢は叶いませんでしたが、ドライブで地上を楽しむことも私はとても好きです。最近は遠出できていませんので、そのうちドライブにも出かけて季節感を楽しみたいですね。

取材・文/戸谷妃湖(とたに ひこ)
広告代理店のコピーライターを経て、現在フリーライターとしてロンドン・北京・東京の三都市を基点に活動。被虐待児童におけるトラウマティック・ストレス学、および漢方による精神疾患アプローチに関する研究をライフワークにしている。

笠原クリニック

医院ホームページ:http://www.kasahara-hiroo.com/index.html
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東京メトロ日比谷線「広尾」駅から徒歩5分。詳しいアクセスはサイト内地図から。

診療科目

消化器科・外科・呼吸器科・循環器科・放射線科
【設備:マルチスライスCT・デジタル単純レントゲン・電子内視鏡(胃・大腸)・フルデジタルカラーエコー・白黒エコー/特別室】
※各種保険取扱医療機関

笠原大城(だいじょう)院長プロフィール
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1984年 東京医科大学卒業/日本赤十字社医療センターにて研修。引き続き同外科にて消化器外科・胸部外科の診療・研究に従事
1999年~現職


■所属ほか
日本外科学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医・日本消化器外科学会認定医・日本医師会認定産業医/日本赤十字社医療センター 第一外科 非常勤嘱託


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