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新規会員登録(無料) ログイン第135回 外科・内科・消化器科 - 「三足のわらじ」で地域の人々の健康をサポート
[クリニックインタビュー] 2012/06/22[金]
大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。
第135回
奥田クリニック
奥田武志院長
ロボットから人体へと興味がうつり、医師の道を選択
もともとは、ロボットや機械が好きで工学系を目指していたのですが、高校生のとき、「知られざる世界」というテレビ番組がありまして、そこで義手について取り上げられたのを見て人体に興味を持つようなったんです。そこから、ロボットよりも生きている人間のほうが面白いのでは…?と医療に興味を持ち、医学部を目指すことになりました。
当時は薬を使って治療をする内科よりも、直接自分の手で患者さんを治すのが医療の醍醐味だという意識があり、外科を選択しました。ドラマ「白い巨塔」にも影響を受けましたね(笑)。
医大卒業後20年近く外科と消化器科の医師をしてきましたが、4年前に開業しました。
大学病院時代、ほとんど「胃」の研究や治療ばかりをしてきたのに比べると、今は風邪、花粉症から高血圧、糖尿病などの生活習慣病、胃カメラなどの内視鏡、切り傷、やけどなどの外傷まで、さまざまな症状にひとりで対応するようになりました。非常にやりがいのあることですが、その分勉強もたくさん必要だと実感しています。来院される患者さんのおよそ3分の1が消化器系疾患の患者さんですが、あとは高血圧など生活習慣病の患者さんと、内科系疾患の患者さんです。内科系は私にとっては新たな分野なので、ほかの先生に遅れを取りたくないと思い、今も週に3~4回、診療の後に講演会やセミナーに参加したり、大学病院時代の元同僚である内科医と情報交換したりと、日々勉強しています。とくに同級生たちはとても頼りになる存在ですね。
ビジュアルを駆使して患者さんにわかりやすい説明を
大学病院時代はチームとして、完全にシステム化された中での治療でしたが、今はひとりなので、自分の考えをそのまま治療に活かせるのはうれしいところです。ただ、それが間違った方向に行ってしまっては困るので、つねに新しい知識や情報を取り入れなければというプレッシャーはありますね。
毎日の診療のなかで心がけていることは、シンプルですが、とにかく患者さんに「わかりやすく説明する」ということ。言葉だけでなく、なるべくビジュアルを使って説明できるように、自分で資料を作って治療に使っています。たとえば、月に1回来院される生活習慣病の患者さんには、ただ薬を処方したり、「野菜を食べましょう」と説明したりするだけでなく、「長野県と青森県では死亡率がとても違う。それはなぜか。塩分はどちらも同じようにとっているのに、長野県の人は日本でいちばん野菜をとっていて、カリウムを多く摂取しているから尿のナトリウム排泄量が多い。それが死亡率低下につながっている」と、目で見てわかるような資料とともに説明をするのです。
講演会で聞いた話をもとに、講師の先生のスライドを真似したり、医療専門サイトで情報を探したりして、資料を自作し、患者さんの治療に活かすようにしています。大学時代に学会や先輩のためのスライド作りをした経験から、そういう作業が好きなこともあるのですが、患者さんもただ話を聞くより、目で見てわかりやすかったり、具体的な実例をあげることで、より身近に感じて、実践していただけるのではと思っています。
スタッフにも、「患者さん目線で」ということはつねに伝えています。例えば、生活習慣病は患者さんが気付かないうちに進行していることもあるため、患者さんの自覚がないことについても、きちんと納得し、理解してもらえるような説明をすることが重要です。患者さんが何を求めてこの病院に来ているのかを把握し、そのニーズに応えられる治療やケアを行う。このことはスタッフにも伝え、クリニックの方針として浸透させることを心がけています。
日々勉強しつつ、好きな外科も続ける
目下の悩みは、日によって患者さんの数に大きく変化があり、患者さんが集中する日はひとりひとりの患者さんに十分な時間をさけなくなってしまうことです。たとえば、雨の日は患者さんが少なくて、次の日が晴れたりすると患者さんがドッと来ることになりますし、連休明けや午後の診療が短い土曜日も大混雑します。患者さんの診察時間もそうですが、待ち時間も長くなってしまうので、なんとかしなければと思いますね。今は、一部の診療を予約制にしようと検討しているところです。
導入したいと考えている新しい検査もありますし、治療や検査の幅も広げていきたいのですが、そのためにはスタッフや機器などの設備も必要になるので、それも今後の課題だと考えています。
今は、毎日のクリニックの診療に加え、診療後には講演会に参加し、休診日は大学のPETセンターに内視鏡検査をしに行ったり、先輩の病院に手術をしに行ったり、企業の健診を請け負ったりと、ほとんど休みがない状態。以前は読書やDVD鑑賞などの趣味もありましたが、ほとんどできません。今は、休日に家族で食事に行き、3人の子どもたちと将来の話しをしたり、アウトレットに買い物に行ったりするのが唯一の楽しみですね。子どもたちも大きくなって、もう親とは出かけてくれなくなりましたが、買い物に行くといえばスポンサーとしてついて行けますから(笑)。
本当はスポーツもしたいのですがとても時間がないので、今はなるべく歩くことを心がけています。毎日、病院からの帰りは1駅手前で降りて歩くようにしています。また、自宅がマンションの6階なのですが、去年の震災以降、一度もエレベーターを使っていません。最初は階段で6階まで上がったら息が上がって大変でしたが、今では走って上がれるようになりましたよ。
忙しい毎日ですが、私自身が健康でいられるように、これからも体力の維持とリフレッシュを心がけ、勉強も続けていくつもりです。内科系や消化器科系の病気と、外科系のけがややけどなど、どちらもみられるのがクリニックの強みのひとつだと思っているので、これからも「三足のわらじ」で地域のみなさんの健康をサポートしていきたいと思っています。
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。
奥田クリニック
医院ホームページ:http://www.okuda-cl.com/
JR「板橋」駅より徒歩2分。建物や内装もきれいで、スタッフの笑顔と言葉があたたかい気持ちにさせてくれるクリニックです。
詳しくは、医院ホームページから。
診療科目
内科、外科、消化器科
奥田 武志(おくだ たけし)院長略歴
1994年 日本医科大学大学院卒業
1995年 尾花沢中央診療所
1996年 北村山公立病院
1997年 私学共済下谷病院
1998年 三菱重工大倉山病院
1999年 日本医科大学付属病院
2008年 奥田クリニック開設
■所属・資格他
日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本癌治療学会、日本癌学会、日本外科学会、日本消化器外科学会
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