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[クリニックインタビュー] 2013/10/25[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第155回
中島小児科
中島正樹院長

長年の経験を活かして病気の早期発見を目指す

 私自身が子どものころ、体が弱くて何度か入院したり、手術を受けたりしたことがあり、幼いころから「お医者さんってありがたいものだな」という気持ちがありました。実家では何種類も犬を飼っていて、いちばん好きだったプードルとは夜、一緒に寝ていたぐらい動物が好きだったので、獣医など動物に関する仕事につくことも考えたのですが、結局、医学部に入り、大好きな子どもを診る小児科医になりました。
 開業前に勤務していた病院では、未熟児・新生児科でわずか1000gにも満たない小さな赤ちゃんを診察していました、三次救急レベルの、重篤な子どもたちの治療にも携わっていました。そういう臨床現場での経験や、開業してからの20年以上の経験を活かして、子どもたちの隠れた病気の早期発見や迅速・適切な治療を目指しています。

予防的な長期投与が必要?「過剰な投薬・検査は慎む」

 医院の基本方針は、検査や投薬といった医療介入は、できるだけ必要最小限に留めるということ。これまでずっと多くの子どもを診てきたので、通常の診察だけで「この子はこういう病気だな」ということが早期にわかりますし、その後の経過についても数多くのパターンを経験してきたので、だいたい予測ができます。もちろん、必要と判断すれば迅速に検査をおこなう準備はできています。病気に対して無知で必要以上に心配しすぎると、検査も薬も、あれもこれもとどんどん増えてしまいます。時々夜間に咳が出るだけで「喘息」と診断され予防的に長期間内服薬・吸入薬を用いている子が多くいますが、乳幼児期にはカゼを引いたとき一時的に喘息様の症状が出るものです。これは気管支喘息ではありません。小さな患者さんに負担をかけないためにも、不必要な検査・過剰な投薬は避けたいと考えています。

まずは全身状態をチェック

 子どもを診る時は、まず全身の状態を一通りチェックするようにしています。鼻水や咳、発熱など「おそらく風邪だろうな」と思われる症状で来院された子も、耳やおなか、胸などもみて、髄膜炎や尿路感染症といった重篤な病気が隠れていないかという意識をつねに頭に入れて、ひとつひとつ「これは大丈夫」「大丈夫」とチェックしていきます。最終的に「風邪ですね」となることが多いですが、まれに大きな病気が見つかることもあるので、最初は全ての病気を疑って全身をくまなく診察します。
 とくに小さい子はなかなか熱が下がらないと、すぐに肺炎に移行することがあります。その場合、入院して治療しなければならないケースと、うちでみていてもいいケースとの境というのがとても微妙なのです。ですから、疑わしいグレーゾーンの場合は血液検査・尿検査・レントゲン検査をして、白血球の増加や強い炎症の反応などを確認し、早目に近隣の大きな病院に転院できるようにしています。
 乳児健診でも、例えば生後6か月健診では超音波検査で、大泉門から脳の異常がないかを見たり、心臓の壁に穴があいていないか、部屋が4つあるかなどをチェックしたりします。生後9か月健診では、肝臓や腎臓の位置の異常・奇形がないか、腫瘍ができていないかなどを確認します。もう4、5年前になりますが、乳児健診で小児癌が腎臓にできているのが見つかり、すぐに大学病院を紹介し、治療してもらったことがあります。これ以外にも水腎症や片腎症など早期発見しています。今もその子達は、風邪などをひいて来院することはありますが、皆元気に大きくなっています。

適切なアドバイスで症状の改善を

 私が小児科医になったころと今とでは、小児医療もずいぶん変わってきています。ぜん息などは薬が良くなり、以前は大きな病院では年に1人か2人、亡くなる子もいたのですが、最近はほとんどそういうこともなくなり、薬でコントロールできるようになっています。抗生物質も抗ウイルス薬も進歩してきて、選択できる薬は増えていると思います。
 時代とともに親子関係や育児なども変化しています。昔はどこのご家庭にも子どもが3~4人いるのが当たり前でしたが、今は1人か2人というご家庭がほとんどです。
 そのせいか、保護者が過剰に心配しすぎたり、ケアしすぎたりする傾向があるような気がします。もちろんお子さんを大切に思っているからなのですが、それがかえってよくないこともあります。
 例えばアトピー性皮膚炎などは、アレルギーが関係することもありますが、実は、スキンケアの誤りでかえって悪くなってしまうのです。アトピー治療のマニュアルを見ると、「毎日沐浴させ、石けんを使ってよく洗って清潔に」と書いてあります。もちろんお湯と石けんは皮膚を洗浄するために有効なものなのですが、かえって皮脂を奪い、肌が荒れる原因になることがあるのです。もともと脂汚れなど乳幼児の皮膚には付着していません。
 当院は小児科ですが、アトピー性皮膚炎などの治療も精力的に続けています。最初に来た時にとてもひどい状態の場合は、まずはステロイド剤で炎症をおさえ、あとは洗いすぎるのを控えて様子をみてもらうように、お風呂の入り方や洗い方のアドバイスをしています。皮膚は毎日再生しているので、しばらくすると新しい皮膚に入れ変わります。最初は全体にガサガサで一部ジュクジュクして、かゆくて夜も眠れないとか、血が出るほど掻いてしまうという状態の子も、1年後には生まれた時とおなじツルツルの肌になる、なんてこともあります。余計な刺激で皮膚が傷つけられるのを避け、ナチュラルな方法で皮膚の構造を少しずつ元にもどすことで健康な皮膚を取り戻すことができるのです。強い薬を長く塗り・飲み続けなくても治すことができるのです。
 お母さんたちはわからないことがあると育児書を頼りにしますが、書いてあることが全て正しいとは言えないこともあるので、そういう部分のアドバイスをすることもあります。

取材・文/出村真理子(Demura Mariko)
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。

中島小児科

医院ホームページ:http://towndoctor.jp/nakajima/

東武スカイツリーライン五反野駅からすぐ。窓が多く光、風を取り入れやすく、明るく開放感あふれる待合室・診察室には絵本やおもちゃがいっぱい。赤ちゃんもお母さんも安心して受診できるクリニックです。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

小児科

中島正樹(なかじま・まさき)院長略歴
1982年 滋賀医科大学医学部卒業
東京医科歯科大学小児科入局
1983年 草加市立病院小児科
1984年 取手協同病院小児科
1985年 東京医科歯科大学小児科
1986年 土浦協同病院小児科・未熟児・新生児科
1988年 JR東京総合病院小児科
1989年 中島小児科開設


■所属・資格他
日本小児科学会認定専門医、日本小児アレルギー学会、日本小児皮膚科学会、日本小児腎臓病学会、日本・東京小児科医会、園医・校医・保健総合センター嘱託医、足立区医師会予防接種・夜間・休日診療所委員会


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