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[クリニックインタビュー] 2014/11/21[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第169回
牧歯科医院 
牧 幸治院長

先輩の言葉をきっかけに歯学部へ 

 私自身、いつごろから医療に興味を持ったのかははっきり覚えていないのですが、小学校の卒業文集など見ると確かに書いてありますから、医師になる夢は持っていたようです。一緒に暮らしていた祖父が亡くなり家族が減ってしまった時のことや、怪我の多かった弟が救急車で運ばれた時のことなどをはっきりと覚えているので、そんなことが影響したのかもしれません。
 中学、高校の頃は部活ばかりで、成績はあまりふるいませんでした。進路をまだ決められずにいた高3の夏、数人の部活の先輩方から「(自分たちのいる)歯学部は面白いからよかったら入ってこないか?」と誘って頂きました。忘れていた医療に携わりたいという気持ちが再燃し、一念発起して歯科医への道へ進むことになりました。

勤務医時代の貴重な経験

 大学の研修医として1年強勤めた後、開業医に勤務することになりましたが、 本当の勉強はこれからでした。教科書的な型にはまった診断ができることはまれですし、治療にしてもどれ一つとして同じ状態はないので、経験を重ねて習熟しなければなりません。そこで、先輩歯科医師から学び、助けられ、励まされ、研鑽を積みました。
 また、勤務医にもかかわらず、アメリカ歯周病学会をはじめいろいろな海外の学会にも出席させていただきました。 常に最新の治療を学び、それを実践するという院長先生の教えの下、歯科医としての目標や喜びが大きくなっていきました。
 特に開業する前年、アメリカの歯科医療に直接触れられるようにと渡米させていただいた2か月間は、大学の歯学部やボストン、シカゴの開業医の見学など、とても貴重な経験をしました。保険制度の違いが大きな要因だと思いますが、より高度な医療が求められる場合、1本の歯の治療でも(日本の歯科医のようなGeneral Dentistとは別に)何人もの専門医が担当します。 そんな中で、日本人の先生が専門医として海外で活躍されていることに非常に感激しました。

自分や家族が受けたい治療を目指す

 私のポリシーは、基本的に自分が受けたい治療、あるいは家族に受けさせたい治療を提供するということです。そのことはスタッフにも口が酸っぱくなるほど言っています。麻酔ひとつにしてもあまり痛みを感じないように考えてしますし、些細なことにも全力であたります。
 しかし、専門の先生による診断が必要だと思ったら、すぐに当院での経過や所見を添付して専門医を紹介するようにしています。日本では、アメリカほどは細分化されてはいませんが、私の知る限りでもいろいろな専門医がいらっしゃいますから。また、専門の先生を紹介した場合でも、自らもできるだけ専門的な知識や技術の習得に励み、可能な限り一緒に診ていくようにしています。

選択肢を提示し、可逆的な方法から行う

 私は歯周病専門医ですので、それを中心に治療を組み立てていきます。そして治療方針をいくつか立てて説明をし、患者さんと一緒に考えて治療法を決めていくようにしています。もちろん「先生にお任せします」と言われたら、提供できる最善の治療を説明しますが、最初から私の方から「これがいい」とあまり言わないようにしています。 
 また、歯はなるべく削らないようにしています。一度削ってしまうと治療したところは人工物に置き換わります。ですから、年数が経つとどうしても再治療が必要になる場合があります。既に治療済の部分は仕方がないとしても、削らずに済む可能性があるなら、できるだけ削りません。
 最近では、「歯茎が下がった」と言って来られる方が増えています。知覚過敏を併発している場合や、根元が黒ずんで虫歯と思って来られる場合など、患者さんの主訴は色々です。ですが、そのほとんどは、長時間同じところを磨いていたり、歯ブラシの当て方が強い、動かし方が大きいなど、ブラッシング法の誤りが原因です。詰め物をすると、直ぐにしみなくなり、色も白くなるのですが、それをしてしまうと下がった歯茎が元に戻る機会を奪ってしまうことになります。しかも原因は歯磨きの仕方なので、原因を治さないとまた同じことが起きます。逆に、歯磨きの方法を変えれば生体の治癒能力で戻ってくる可能性もあります。知覚過敏なら、それを軽減させる薬を使うこともありますが、まずは可逆的な方法を選択していくことを心がけています。

同じ思いを持つ先生と協力して高度な診療を

 私が尊敬する先生のお一人で、時々各分野の専門医に来てもらい総合的な治療に取り組んでいらっしゃる先生もいます。それで、できれば私も、自分の医院の中で同じ思いを持つ先生と一緒に協力してやっていけたらと思っています。アメリカには同じ場所でありながら、今日は歯周病の専門チームが治療を行い、翌日は被せる専門の先生が診療を担当するといった、患者さんが違う医院に行くのではなく、スタッフ側が入れ替わってそれぞれの専門の治療を行うスタイルの歯科医院もあります。このようなスタイルの治療は、日本の現在の保険診療の中では難しいのですが、将来、専門医同士で高度な治療に対しても対処できる医院を作れたらいいなと思っています。
 休日は、研修会や学会に行くことが多いのですが、現在は元勤めていた医院での歯周病研修会が主です。この研修会には、全国の先生が歯周病治療の勉強のために来られるのですが、私は、そのインストラクターをさせていただいています。しかし、教えるというよりは、勉強したいという先生たちのエネルギーをもらいにいっているという感じです。その後の自分のモチベーションにつながっているので、自分を鼓舞するつもりでも行っています。
 趣味は、以前ゴルフやテニス、ジョギング等をしていましたが、腰を痛めてからは運動からは遠のいています。それで最近は、撮りだめしたテレビ番組を観たり、昔を思い出して将棋をしたりしています。

取材・文/後藤 玲(Rei Goto)
医療系を中心にWEB、紙媒体で執筆。健康、料理、お菓子作りなど生活全般における執筆も得意とする。病院取材の他、一般企業への取材活動も行っている。

牧歯科医院

医院ホームページ:http://www.maki-dentaloffice.com/

福岡市中央区薬院六つ角からすぐ。らせん階段のオレンジの看板が目印。インプラント治療にも力を入れている。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

歯科
歯周病治療(虫歯治療、虫歯予防、歯並び、歯茎、口臭)、インプラント治療、ホワイトニングなど

牧 幸治(まき・こうじ)院長略歴
昭和63年 鹿児島県立鶴丸高校卒業
同年 九州大学歯学部入学
平成6年 同大学卒業
同年 九州大学歯学部第一保存学講座入局
平成7年 中央区天神の船越歯科歯周病研究所に勤務
平成15年 日本歯周病学会歯周病専門医(当時歯周病認定医)認証
平成19年 船越歯科歯周病研究所退職
平成19年 薬院にて牧歯科医院開業
現在 アメリカ歯周病学会会員、日本歯周病学会会員


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