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新規会員登録(無料) ログイン第20回 4000年の「治験」結果を受け継いで
[クリニックインタビュー] 2009/05/22[金]
大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。
第20回
ジーク夏見クリニック
神野伸司院長
4000年の「治験」結果を受け継いで
子どもの頃、「将来は何か人の為になる価値ある職に就きたい。」と思っていました。幾つかの選択肢の中から医学の道を選びましたが、親族に医師はおらず私が初めてです。
その後、医学を学んで実際に患者さんと向き合うようになると、西洋医学だけでは改善できない症例があまりにも多いことに気づきました。西洋医学の治療は基本が対症療法ですから、症状を抑え込む事に主眼を置いており、抜本的な病気の解決にはつながらないことが多く、必然的に古来伝統ある漢方に目を向けるようになりました。そして病気の根本を探って元から治す事を目指す漢方のあり方に共感しました。
漢方医学の講義は最近正式に医学部の授業で行われるようになってきていますが、今から10数年前にはそういう状況に無かったため、日曜日などに開催されている漢方の勉強会に幾つか出席して研鑽を積んで参りました。その結果、今まで治らないと諦め 諸々の症状で苦しんで来られた患者さんの訴えにできる限り耳を傾け、局所だけでなく全身を診て症状を総合的に判断し治療することを モットーとする今の診療のスタイルができあがりました。
開業してからは、中心科目は内科ですが、外科、および皮膚科の疾患も診ており、老若男女を問わず一通り対処します。治療の手段としては 西洋医学だけでなく東洋医学(漢方薬その他)も採り入れ、現在最善と思われる治療法で幅広く治し、必要に応じ高次の病院へと紹介しています。
つい最近まで、漢方を処方する医師というと色眼鏡で見られるような風潮がありましたが、漢方薬の効能が見直され 2、3年前から医学部の講義でも取り上げられるようになった事を考えると隔世の感があります。私が漢方医学を学んで感じる事は、見方(あるいは診方といった方が正確かもしれませんが)、考え方に大きな広がりができた事です。例えていえば、西洋医学しか知らない時は片目でしか世の中を見ていず、漢方を知ったあとは両目をしっかりと見開いて世の中を見ている、それぐらいの格差があるということです。
西洋医学と東洋医学を融合した統合医療の実践を目指したい
西洋医学、東洋医学 両方の薬が使える事で、患者さんのその時の状態に最適な治療薬の選択の幅が広がり、最良の効果を発揮できる治療ができます。場合によっては両者を併用して、それぞれの長所を生かし、短所を補う治療が可能です。
『ジーク夏見クリニック』というのは変わった名前のクリニックだ、「ジークっていったい何ですか?」とよく聞かれますが、他と違った洒落た名前をつけようと考え、自分の好きな飛行機の名ジークを上に冠しました。ちなみに”ジーク”というのは太平洋戦争中に米軍が零戦に付けたコードネームであり、ドイツ語では“Sieg”と表記され、勝利を意味する言葉です。そして、地元の医療レベルの向上を図り社会に貢献し地域に根付いた医療を実践すべくここ船橋の地名である”夏見”を合わせ『ジーク夏見』としました。この地の駅はターミナル駅で交通至便である上に付近の薬局の方々が漢方を使った医療に非常に理解があり好意的である事に感謝しております。乾癬などの難治性疾患の患者さんは、海外も含めて遙か遠方から来られる方も多く、さらに皆さんに少しでもいらして頂きやすい環境作りに努めていきたいと思います。
医師になってよかったと感じる至福の時
東洋医学的なものの見方とは、病気を大局的に診て、その本質を捉える事にあります。そしてその治し方も、一番根本にある悪いところから治そうとするため治りがよいのです。
漢方薬は「保険が使えないのでは?」とか「即効性はないのでは?」などとまだまだ誤解が多いのですが、そんなことは全くありません。保険は昭和42年から適応となっていて安価な薬代で利用できますし、適正に使われて正しい“証”(漢方薬と患者さんの相性を表す言葉)の元に出されればすぐに効き、速効性があります。たとえば今話題のインフルエンザなどは漢方薬が2000年前から治して来た疾患であり、漢方医学のバイブルである『傷寒論』の傷寒とはインフルエンザのことであります。漢方薬の発達の歴史は、言い換えると先達が昔からインフルエンザを如何にして治そうとしてきたかの歴史でもあります。その間に、効かない薬や人体に有毒な薬は無くなってきたでしょうし、それだけに現在残っている漢方薬は幾多の風雪を経て歴史の篩(ふるい)にかけられた身体にいい薬だけという感じがあります。よって正しい“証”で処方された漢方薬は、難治の感染症を一晩で治し即効性を発するのです。それだけに証が合わないと副作用も出るため漢方処方に対する正しい訓練、経験が医師にとって不可欠なものとなってきます。
最近苦しむ方が多いアトピー性皮膚炎、気管支喘息などは内面から治す事で体質が改善され丈夫になり治癒することが多いのです。その他漢方薬が著効を示す疾患は数え上げればきりがないほどです。
「漢方なんて古くさい」という意見も聞かれますがこれも的を得ていません。例えば抗ガン剤治療で、10人のうち2人は改善したが残り8人は副作用が強くて却って死期を早めた。というような事例から最近の抗ガン剤は各患者さんの遺伝子型まで調べて各個に応じた薬を作り投与するオーダーメイド治療の方向に向かっていますがこの発想こそ、漢方薬が2000年以上前から実践してきた方針であり、この意味では漢方治療の方が西洋医学より遙か先を行っていて、この思想にやっと西洋医学が追いついてきたといって良いかもしれないのです。
写真左:密閉されるレントゲン室の圧迫感をなくすため、空の模様の天井のほかに、まだスゴイ仕掛けが!/写真右:点滴などの処置室として使っている和室。年配の方に人気
漢方治療は非常に奥が深い為、まだまだ極められていない部分があり、現在治せない疾患を将来治癒できる可能性を多く秘めております。よってその習得にこれからも日々努力して奥義を極め、最善の治療を提供できますよう毎日刻苦勉励する所存であります。
10年以上苦しんでこられ当院で改善された尋常性乾癬の患者さんのうれしそうな笑顔、生まれてから重症のアトピーで苦しんでこられ漢方で改善されたお子さんをもつお母さんの涙ながらの感謝のことばなどを受ける時、また以前しょっちゅう風邪を引いては喘息の発作をおこして来院されていたお子さんが、来られなくなって心配していたところ、道でばったりお会いしたお母さんからおかげさまで喘息の発作も起きず、風邪一つひかなくなって丈夫な身体になりましたと感謝された時などは、月並みな言葉ですが医者冥利に尽きるという感じがし、医師になってよかったとつくづく思いそれが私にとって大きな喜びです。
広告代理店のコピーライターを経て、現在フリーライターとしてロンドン・北京・東京の三都市を基点に活動。被虐待児童におけるトラウマティック・ストレス学、および漢方による精神疾患アプローチに関する研究をライフワークにしている。
ジーク夏見クリニック
医院ホームページ:http://www.zeke-clinic.com/index.html
写真左から、[1]ロゴ・看板の筆文字は、すべて院長によるもの。 [2]マンションの1Fに広くスペースを取ったクリニック。 [3]セミナーも開催できるカラフルな待合室。
医院へはJR線・京成線・東武野田線「船橋駅」から徒歩8分・東葉高速鉄道「東海神駅」から徒歩6分。
詳しい道案内は医院ホームページから。
診療科目・対象疾患
◎内科・皮膚科・外科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科
*糖尿病、高血圧、狭心症、不整脈、高脂血症、痛風(高尿酸血症)、甲状腺疾患、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、慢性疲労症候群、巻き爪、アテローマ、アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、掌蹠膿疱症、にきび、疣、水疣、感冒(急性上気道炎)、急性気管支炎、気管支喘息、難治性の咳、更年期障害、便秘、冷え性、花粉症、インフルエンザ、めまい、耳鳴りなどを治しております。
*健康保険適用
*車いすの方も楽に使えるトイレ完備
神野伸司(かみの しんじ)院長 略歴
東京医科歯科大学大学院卒業・醫學博士取得
ジーク夏見クリニック開設/現在に至る
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