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[クリニックインタビュー] 2015/02/06[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第174回
漢方緑川クリニック
緑川沢樹院長

子どもの頃から母の姿を通じて憧れた漢方の道へ

 漢方薬局を営む薬剤師の母の影響で、私にとって漢方薬は子どもの頃から身近なものでした。薬局へ来る方たちに、西洋薬や漢方薬をおすすめし体調が改善された方から感謝の言葉をいただいていた母の姿を見ているうちに、私も漢方薬を扱う仕事がしたいと思うようになりました。
 高校生の時、進路を決めようと母に相談すると医師の道を勧められました。漢方薬を扱うなら薬剤師ではなく、患者さんの診察や治療ができ、他の医療機関との連携も取れるという点で医師免許はあった方がいいという母の助言がきっかけで、私は医学部へ進学することを決意しました。
 医学部を卒業後は、漢方外来での勤務を経て、中国へ留学しました。1年間みっちりと漢方の勉強をし、帰国後は東洋医学外来でさらに研鑽を積みました。勤務医として働きながら、処方する漢方薬を、もっと自由に選べたらいいのにという思いが強くなっていきました。「健康保険の範囲外だけどこちらの生薬の方がこの患者さんには合うのではないか」「この生薬はやっぱりこれくらいの用量が必要なのでは」そう思っても、健康保険の審査をクリアできる内容でしか処方はできない環境でした。 いろいろな経験をさせていただきましたが、最終的に、中国で学んできたことを生かせて、こだわりを実現できる環境も必要だと思い、開業に至りました。

悩んでいる患者さんにとって「最後の砦」になりたい

  当院へ来られる患者さんは、長い間症状に悩み続けてこられた方が多くいらっしゃいます。何年も皮膚のかゆみに悩まされてきた方や、重い病気で痛みに悩まされてきた方、食事が十分にできない方などもいらっしゃいます。
 患者さんの抱えておられる症状の表面的な要素を見るだけではなく、じっくり話をうかがい、病気の気配を感じることで、治療や体質改善の方向性を見極めていきます。時には治すためではなく、その苦しみを和らげるだけにとどまることもあります。それでその方が少しでも自分らしい時間を過ごせるのであれば、意味のある治療だと思っています。
 医師としての仕事に、同じものはありません。似たような症状でも患者さんによって少しずつ背景が違いますし、同じ患者さんでも治療の進み具合や体調の変化、季節によっても治療方法を変えていかなければなりません。ですから、常にもっといい方法がある可能性があり、日々の経験を糧に少しずつでも自分自身をバージョンアップしていくことを目標にしています。どれくらいかかるのか、実際に可能なのか分かりませんが、症状が改善せず悩んでいる方にとっての「最後の砦」になることが私の夢です。

患者さんに100%の理解をしてもらう

 漢方というと、ぼんやりしたイメージはあっても詳しく知らない、よく分からないという方も多いと思います。ですから、最初に患者さんに丁寧に説明してから治療にあたるようにしています。慢性疾患の治療においては、漢方は「今日飲めば、明日治る」というものではありません。治療の進み具合は個人差がありますが、早い方でも数か月、長い方になると年単位の時間が必要となる場合もあります。私が診察で皮膚の状態などが改善してきていることをお伝えしても、体調にはバイオリズムのような変動の波があり、徐々に変化していく場合には、ご本人にはなかなか改善していることが実感して頂けないこともありますし、残念ながら途中で治療をやめてしまう方もいらっしゃるのが現実です。あと少し続けていれば・・・と思ったこともありました。
 一人でもそんな患者さんを減らしたい、いやゼロにしたい!それが私の今後の課題です。そのために、より一層丁寧な診察・診断をすること、じっくりと説明して治療方針について理解していただくことを心がけています。特に漢方の専門用語を避け、できるだけ分かりやすい言葉を選び、話の順序を考えたり例えを用いたりして常に工夫しています。治療は、医師と患者さんの二人三脚で行うもの。お互いの信頼関係がなければ進みません。信頼していただいてはじめて毎日の治療を継続していただくことができますし、実際の治療効果にもプラスの影響が出ます。私のところへ来られた患者さん全員に治療について理解していただき、信頼してもらうこと。元気になっていただいて、逆に私が元気をいただくこと。これが、私のこれからも変わらない目標です。

取材・文/佐藤 裕子(Yuko Sato)
フリーライター。大手企業で、旅行・スクール関連の原稿作成に携わり、その後経験を活かしフリーに。独立後はWEBサイトを中心に、医療、旅行、求人などの取材、執筆を行っているほか、着物着付師、手作りアクセサリーのデザイナーとしても活動する、2児の子を持つママライター。

漢方緑川クリニック

医院ホームページ:http://www.midorikawa.net/

地下鉄梅田駅・JR大阪駅・阪急梅田駅から徒歩約10分、地下鉄西梅田駅・JR北新地駅からは徒歩約5分以内の大阪駅前第一ビル2階、東側エスカレーターを上ってすぐ右側にあります。完全予約診療で、一人ひとりじっくりお話をお伺いしております。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

漢方外来

緑川沢樹(みどりかわ・さわき)院長略歴
1998年 奈良県立医科大学付属病院
1998年 松原市立病院 内科
2000年 国立西奈良病院(現:奈良医療センター) 内科・東洋医学外来
2002年 中国上海中医薬大学留学(附属病院での臨床実習含む)
2003年 木津川厚生会 加賀屋病院(東洋医学外来)
2003年12月1日 漢方緑川クリニック開院


■所属・資格他
日本医師会、日本内科学会、日本東洋医学会、日本臨床漢方医会、日本中医学会


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