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[クリニックインタビュー] 2015/04/03[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第177回
コウクリニック
大嶋康院長

「ワクワク」を求めて医師の道へ


大嶋院長と、院長の愛犬で「副院長」のぷーちゃん

 私は外科医の息子として育ちました。父は新潟の田舎町で開業医をしていて、小さな診療所だったのにとても忙しそうで、子どもながらに「父はいったいいつ寝ているんだろう」と思っていました。そんな父を尊敬していましたが、「自分も医師になりたい」というよりは、むしろ「これは大変な仕事だ」と遠ざけるような意識を持っていましたね。
 高校卒業の時期になっても将来どんな職につきたいかわからず、「お坊さんになって世界中を旅していろんな人の話を聞きたい」などと真剣に言って、親や教師を驚かせました。根拠はないけれど、自分の人生には何か楽しいことが待っているに違いないとワクワクしていました。でも、何をしたらいいかわからない。だからそれを見つけるために旅にでるんだと。
結局浪人し、自分の将来について考えるうち、ふと「どんな仕事をしていても”楽しいこと”は見つけられるんじゃないか?」と気づいたのです。その時、人間をみることのできる医者という職業はすごく面白いのではと思い、医師になろうと決めました。
 研修医として患者さんと接するなかで、「心身一如」「陰陽」といった東洋医学の考え方に共感し、漢方に関心を持つようになりました。学生時代に空手をやっていて治療を受けていたこともあり、最初は鍼灸、整体などの勉強から入り、その後、漢方薬を取り入れた治療をおこなうようになったのです。

集中しすぎて時間を忘れてしまう

 父ががんを患ったのを機に新潟に帰り、3年ほど父のもとで勉強させてもらった後、こちらに戻って2001年にコウクリニックを開業しました。0歳の乳児から最高齢は98歳まで、また、内科に限らず整形外科や皮膚科、婦人科の領域までさまざまな患者さんの治療にあたっています。
 患者さんと向き合うときは、まずは正しい診断をするために、できるだけ心を真っ白に、穏やかにすることを心がけています。情報をしっかりキャッチするためのセンサーである五感をしっかり働かせて、その人の心身のバランスを整えるためには何ができるかをじっくり考えます。そういうわけで、1人1人の患者さんに時間がかかります。計ったことがないので正確にはわかりませんが、30分ぐらいは当たり前かもしれません。患者さんを診ることに集中すると時間を忘れてしまうので、スタッフが何回か様子をうかがいに来てはじめて、過ぎていることに気付くこともあります。クリニックは一部予約制をとっていますが、それでも患者さんをお待たせすることが多く、申し訳ない気持ちです。でも、スタッフが私のそういうところをよく理解し、調整してくれているのでとても助かっています。

体のバランスを整えるための処方と生活のアドバイスを

 西洋医学的な治療は、現在の患者さんの状態、諸検査結果から病名を診断し、薬を処方します。一方、東洋医学では、過去、現在、未来という時系列の中で変化する体の状態を診て、推測します。例えば、インフルエンザでも、筋骨隆々のプロレスラーのような人がかかるのと、吹けば飛ぶような華奢な人がかかるのとでは違いますし、毎日規則正しく栄養も睡眠もしっかり取れている人と、毎日残業で寝る間もなく食事も不規則な人とでは、体の状態も対処法も大きく変わります。現在の患者さんの状態だけでなく、そこに至るまでの経過を見ることも大切です。患者さんが同じ症状を訴えていても、体の中で起こっている変化は様々なのです。熱が出たといっても汗をかいているのか、いないのか、熱は外に発散されているのか、内側にこもっているのか、乾いているのか潤っているのかなど、さまざまな要素を見て病態を判断し治療法を決めます。
 一般的に、インフルエンザにはタミフルなどの抗ウイルス薬を処方しますが、漢方の場合は、西洋医学の病名に対する薬という考え方はないので、その人の状態から、おなかの症状に効く薬を出すこともあります。患者さんは驚きますけど(笑)。また、薬を出すだけでなく、その人の自然治癒力を高め、薬の効果を高めるための養生の仕方、例えば栄養のとりかた、姿勢のありかた、呼吸のしかたなど、日常生活でのアドバイスも一緒にしています。

これからも「明るくやさしくあたたかく」をモットーに

 高校生のころに感じた人生へのワクワク感は、いまだにあります。自分自身が健康で、患者さんと向き合う生活を続けていくためにも、この気持ちは大切だと思っています。落ち込むこともありますが、そんなときも「でも、これってひっくり返せば大チャンスかも?」と考えてしまう。そういうポジティブさを大事にしていきたいと思います。また、体を動かすことも大切ですね。診察のときはどうしても頭ばかり使うので、バランスを整えるためにも仕事以外のときは運動を心がけています。散歩をしたり、昔やっていた空手や体操をしたり、最近はゴルフにもハマっています。全くうまくできないのがすごくおもしろくて、「なんでできないんだろう!」と。何発打ってもダメなんですが、楽しいんです。自然破壊だと言われることもありますけれど。
 仕事では、今まで通り「明るくやさしくあたたかく」をモットーに、スタッフと一緒に、背伸びしすぎることなくコツコツと地道に診察を続けていければと思っています。できれば、患者さんとのコミュニケーションや、患者さんの健康管理を促進するために、セミナー的な旅行などができたらと思いますね。病気や治療に関する考えをお互いに話し合うとか、糖尿病や高血圧の人なら糖尿病食や減塩食などを一緒に作って食べるとか。いつかそういう機会を作りたい、というのが今の夢です。

取材・文/出村真理子(Demura Mariko)
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。

コウクリニック

医院ホームページ:http://www.myclinic.ne.jp/koucli/pc/index.html

JR「小岩」駅、都営新宿線「瑞江」駅から京成バス「鹿骨1丁目」バス停下車、徒歩3分。
運がよければ院長先生の愛犬で「副院長」の「ぷーちゃん」と会えるかもしれません。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、小児科、呼吸器科、アレルギー科、理学診療科、漢方診療科

大嶋康(おおしま・こう)院長略歴
1985年 日本大学医学部卒業、同大学第一内科学教室入局
1986年 新潟県上村病院内科
1987年 横須賀中央病院呼吸器科
1991年 国立がん研究センター中央病院
2001年 コウクリニック開設



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