第189回 患者さんの「つらい」に速さで応えたい
[クリニックインタビュー] 2015/10/02[金]
患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医のお医者さん。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。
喜平橋耳鼻咽喉科 村川哲也院長
耳鼻科は子どものころから身近な存在

もともと、人の役に立てる仕事がしたいという思いがありました。高校生のころ、新幹線で急病人が出て、「どなたかお医者様はいらっしゃいませんか」とアナウンスが流れ、名乗り出た医師がテキパキと対処し事なきを得るという場面に遭遇し、いつどんな場面でも社会の役に立てる医師という職業に憧れたんですね。
子どものころ、鼻風邪をひいて耳鼻科に通うことが多くありました。耳の奥のほうに水が溜まっている感じがして聞こえが悪くなり、つばを飲むとパチンと音がして軽い痛みとともに音が入ってきたという記憶があります。耳鼻科医になって「ああ、あれは滲出性中耳炎だったんだな」とわかったわけですが、そんなふうに耳鼻科は自分にとって身近な場所であり、存在でした。
また、大学時代にお世話になった教授が当時の日本レーザー医学会の会長で、まだ耳鼻科領域であまりレーザー治療が普及していなかった時代に、研修医のときから最先端の機器を使って数多くの手術をさせていただきました。この経験も他にはないアドバンテージと思い、耳鼻科を専門に選びました。
「早く見つけ早く処置できる」のが耳鼻科の魅力

耳鼻科のクリニックを開業して、もうすぐ8年になります。耳、鼻、喉の病気全般のほか、花粉症やアレルギー性鼻炎などのレーザー治療、花粉症の免疫療法などの専門治療、予防接種、補聴器外来などもおこなっています。季節によって異なりますが、1日に平均150人ぐらい、保育園帰りのお子さんから補聴器のご相談に来られる高齢の方まで、幅広い年代の患者さんが来院されます。
診療においては、とにかく「治してお帰りいただくこと」を心がけています。心臓や肝臓といった臓器は目では見えないので、聴診器をあてて音を聞いたり、超音波やCTなどの画像検査が必要になりますが、耳鼻科では、鼻や耳、喉を直接のぞいて見ることができ、ほとんどの病気を初診で診断できます。
例えば、年配のヘビースモーカーの方が、「最近声がかすれるけど、がんではないか」と来院されたとき、胃カメラが必要だった場合、「食事を抜いて、次、○日に来てください」となります。患者さんは「がんではありませんよ」と言ってもらいたくて病院に来ているのに、その安心が先送りされてしまう。しかし、咽頭がんなどは食事に関係なく内視鏡ですぐに見ることができます。万が一、悪性の病気なら、すぐに専門の医療施設を紹介できますし、炎症やポリープなら「病気はありますが、悪いものではないので安心して治療しましょう」と言うことができる。迅速な診断、治療ができることも耳鼻科の魅力のひとつだと思っています。
西洋医学と漢方薬の併用で治療の選択肢を広げる

当院では、治療に漢方薬も取り入れています。従来の治療では治りにくい耳鳴りやめまいなどに漢方を使うことで、治ったり、症状が軽くなったりすることがあります。また、花粉症や鼻血の治療でも、血液が固まりにくくなる薬を服用しており、一般的な治療薬やレーザーが使えない人や、妊娠中や授乳中の人などには、漢方薬を使うことで治療の選択肢を広げることができます。
治療がうまくいくと嬉しいですが、一方で、なかなかよくならない人もいます。悲しいかな、人間の体の老化を止めることはできません。病理学的には人間の体は血管から老化すると言われており、とくに耳のように細い血管から詰まりやすくなっていきます。それによって栄養や酸素が届きにくくなり、めまいや耳鳴り、難聴などが起こりやすくなるのです。
心臓の太い血管が詰まって心筋梗塞などになると命に関わりますから、慌ててすぐに病院に行きますが、耳のような末梢血管だと、ちょっと気になる症状が続いても、忙しいとついつい後回しにしてしまいがちです。でも、耳鳴りなどは、症状が起こってすぐに受診すれば治る確率が高いといえます。気になる症状があれば、なるべく早めに受診していただきたいですね。
「推理する力」が診察にも役立つ

プライベートでの今のいちばんの楽しみは、海外ドラマを見ること。「CSI科学捜査班」などの犯罪捜査ものや推理ものが好きです。ミステリー小説を読むときも同じなのですが、作者が種明かしをし、犯人が明らかになる前に推理して犯人を当てられたら「勝った!」と思う(笑)。でも、最近のドラマは非常によく作られていて、思いもよらぬ着眼点や発想に驚かされることも多く、そんなときは「負けた‥」と(笑)。
この趣味のおかげで、物事の裏を読んだり、推理したりということが習慣づいているのか、診察でも患者さんの言葉を鵜呑みにせず、良い意味で疑って、カルテや問診票、検査の結果、患者さんの様子や症状を細かく観察することにつながっているように思います。
そんなふうに今、目の前の患者さんをしっかり見ることが第一ですが、同時に将来のことも考えなければとも思っています。例えば、富士フィルムやブラザーなどは、時代の流れでフィルムを使ったカメラやミシンの需要が減った現在も、それまでに培った技術で別の分野に参入し、発展しています。同じように、私は耳鼻科の医師ですが、耳鼻科の専門領域をきっちりおさえた上で、アレルギーや小児、呼吸器など周辺の領域にまで幅を広げて勉強したり、新しい治療法を取り入れたりすることも検討していきたいと考えています。
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。
喜平橋耳鼻咽喉科
医院ホームページ:http://www.kihei.jp/index.html

西武多摩湖線「一橋学園」駅より徒歩15分。西武新宿線「花小金井」駅からバス「国分寺駅北口」行き、JR・西武線「国分寺」駅からバス「公立昭和病院」「花小金井駅南口」行き、「警察学校」下車、徒歩1分。緑に囲まれたクリニックで、待合室にはウイルスや花粉を除去する空気清浄機能が完備されています。
詳しい道案内は医院ホームページから。
診療科目
耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科
村川哲也(むらかわ・てつや)院長略歴

1997年 香川労災病院耳鼻咽喉科
1999年 防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座
2001年 自衛隊札幌病院耳鼻咽喉科、耳鼻咽喉科麻生病院
2002年 防衛医科大学校医学教育部医学研究科入校
2004年 カリフォルニア大学バークレー校ローレンスバークレー研究所に留学
2006年 熊本市民病院耳鼻咽喉科
2007年 医療法人社団玉翠会喜平橋耳鼻咽喉科開設
■所属・資格他
日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本気管食道科学会専門医、日本レーザー医学会専門医、日本アレルギー学会、耳鼻咽喉科臨床学会、日本鼻科学会、日本咽頭科学会、補聴器相談医
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