第24回 「人間相手の仕事」に就きたくて
[クリニックインタビュー] 2009/06/19[金]
大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。
第24回
藤が丘南口クリニック
後藤隆太院長
「人間相手の仕事」に就きたくて
数学が得意だった私は、高校を出てから東京理科大の応用数学科に入りました。そこで将来の進路について考えたんですが、応用数学を専攻して卒業すると、多くの人が商社や銀行に入社するんですよね。私はそういうのを見ていて、「確かに数学は好きだけれども、本当に自分は数字を相手にする仕事をやりたいのだろうか?」と疑問を抱くようになりました。色々考えていくうちに、「自分は人間を相手にする仕事に就きたい」ということに思い至り、得意な数学を活かして医学部を目指すことに。この時点で、すでに妻とは大学で出会っており、私の医学部受験に彼女も賛同して、一緒に受験することを決めました。
その後、ふたりで予備校に一年通い、受験しなおして、大分医科大学に入学しました。医科大卒業後は、彼女は聖マリアンナ医科大学病院へ、私は昭和大学藤が丘病院へ進み、現在一緒に、ここ藤が丘でクリニックを営んでいます。
医者になりたいと最初から夢見ていたわけでもなければ、開業医の家に生まれたわけでもありません。「人のためになろう!」と考えて医者を目指した人にくらべたら、私の場合は志が不足していると思います。なんとなく、感じたことや考えたことで今まで来てしまいましたが、思いつきで行動してきた割には振り返るととても満足していますし、今現在の自分にも満足しています。
いつでも頭の片隅にあるのは、治療中の患者さん
泌尿器科は別名を後腹膜外科ともいい、腎、尿管、膀胱、尿道、前立腺など、尿路に関係する臓器のすべてを扱う重要な科目です。老若男女に関係なく人を診ることができますし、全身管理もできて、診断から治療までトータルに担当できますので、そこに魅力を覚えて泌尿器科を専門にしました。
藤が丘は子どもの多い街なので、ご家族を診させていただく機会が多く、大学病院のサテライトとしての機能も果たせているかと思います。
開業医も忙しいですが、大学病院は重篤な患者さんも多く、もっとバタバタしています。なので、開業医としてできることはできるだけしておきたいというスタンスです。患者さんに細かな説明をきちんとしたり、大学への紹介前に、こちらでできる処置は慎重に施したり、退社後に受診できるよう夜遅くまで開けていたり。
そんな毎日の中で、「長年抱えていた尿の悩みが治った」と言って喜んでくれる患者さんも少なくありませんが、たとえ100人の患者さんを治しても、いつも気にかかっている何人かの患者さんのことが、つねに頭の片隅にあります。
ふとした瞬間に思い出すのは、そんな風に気になっている患者さんのこと。バタバタしていて話をちゃんと聞けなかったりすると、「次に見えた時にはちゃんとお話し聞こう」と思いますし、「あの患者さんどうしたかな、咳は止まったかな」とか、治療後の様子についてもよく心配しています。治療が無事済んだ患者さんに対して、「治ってよかったね」という思いも当然あるんですが、診療時間が終わった時やオフの時には、いま現在治療中の患者さんのことを、ずっと考えてしまうんです。
医者という職業には、どこにいても、いつでも、“患者と医者”という独立した関係性がついてまわります。かかりつけ医にしてくれている患者さんというのは、クリニックの設備や立地といった要素ばかりでなく、最終的には医者としての私を評価して来てくれているわけです。それに応えなくちゃとも思いますから、ついつい一生懸命になりますし、心配もしてしまいますね。
健康維持の秘訣はゴルフと“子どもの運動会”
最近はゴルフが好きです。私は中学・高校・理科大・医大と16年通してラグビーをやってきて、たくさんのことを教えられました。ただ、団体スポーツは負けた時に、失敗を他人の責任にしたり、ミスの言い訳をしたりすることがあります。
その点、ゴルフは完全に自分の責任で行われるから、絶対に言い訳がききません。スコアも自分の出した結果であって、誰かに助けられたものではない。全てが自分の行動の結果ということで帰結している。初めてゴルフをプレーした時、そういうスポーツがとても新鮮に感じられて、すぐに好きになりました。“患者と医者”という独立した関係性も、ゴルフの“すべて自分の責任”という点に通じるんでしょうね。
また、年を取ると身体が硬くなりますから、できるだけやわらかく保つよう、運動はスポーツクラブで週2回くらいやるようにしています。中学生と小学生の子どもがいるので、それぞれの運動会が近くなると、結構がんばってシェイプアップしますよ。保護者参戦種目では、カッコいいとこ見せたいので、いい成績を残せるように気合が入ります(笑)。
広告代理店のコピーライターを経て、現在フリーライターとしてロンドン・北京・東京の三都市を基点に活動。被虐待児童におけるトラウマティック・ストレス学、および漢方による精神疾患アプローチに関する研究をライフワークにしている。
藤が丘南口クリニック
医院ホームページ:http://www.fujigaoka.info/index.html

東急田園都市線「藤が丘駅」南口改札直結のビルの3階。エレベーター、スロープ完備。詳しい道案内は医院ホームページから。
診療科目
腎泌尿器科・内科(泌尿器科一般・ED治療・一般内科)
皮膚科・皮膚アレルギー科(皮膚科・小児皮膚科一般・美容皮膚科)
後藤隆太院長略歴
昭和60年 私立東京理科大理学部入学
昭和63年 国立大分医科大学医学部入学
平成 6年 国立大分医科大学医学部卒業・昭和大学藤が丘病院泌尿器科入局
平成11年 日本泌尿器科学会 専門医取得
■資格
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医/日本泌尿器科学会泌尿器科指導医/日本性機能学会専門医
■現職
藤が丘南口クリニック院長/昭和大学藤が丘病院泌尿器科兼任講師
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