[クリニックインタビュー] 2016/04/15[金]

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患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医のお医者さん。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

緑かねこ整形外科 金子元春理事長

全身を診ることができる整形外科に

 父が医師だったので、小さい時から「医師を目指せ」という雰囲気はありましたが、特に決めていたわけではありませんでした。高校生になって将来のことを想像した時、やりがいを感じ、成果も分かりやすい職業が良いと考え、怪我や病気を治して人の役に立てる医師になると決めました。その時、外科医だった父に「全身を診られるようになった方がいい」と、アドバイスをされました。父は、私が18歳の時に亡くなりましたが、その後大学に入り、整形外科の先生のお宅で、家庭教師のアルバイトをすることになりました。先生は、とても人を惹きつける人で、いろいろな話をうかがっているうちに、父が言っていたように、全身を診られる整形外科は面白そうだ、と思ったのです。
 大学卒業後は、病院での勤務やアメリカンフットボールの松下電工インパルス(現 パナソニック インパルス)のチームドクターなどを務めました。大学の先輩だった、金澤淳則先生が院長をつとめていた時の旧緑かなざわ整形外科の手伝いもしていました。その後、元々開業を視野に入れていたこともあり、院長が引退する時に跡を継がせていただき、今の緑かねこ整形外科を開院しました。

患者さんに寄り添う医療を目指して

 整形の難しいところは、すべてを理詰めで考えていかなければならないところです。症状に対して、筋肉や筋の関係、そこからどんな動きをすればどういう障害が出て…など、理屈できちんと組み立てていかなければいけません。
 症状は患者さんによって人それぞれ。8割くらいの方は、ある程度一般的な治療をすればゴールまで辿り着くことができます。しかし、残り2割の方はそうはいかない場合もあります。その2割をどう埋めるかが難しく、一人ひとりに合わせて原因を追究し、治療方法を組み立てていかなければいけないのです。例えば、スポーツの怪我で来られた患者さんなら、もちろん完治して復帰することが治療のゴールになりますが、その怪我が使い過ぎからなのか、使い方が悪いからなのか、怪我の根本にある原因をきちんと解明した上で治療やリハビリにあたる必要があります。これを実現するためには、知識や経験はもちろんのこと、ゴールをどこに設定するかが重要です。膝や腰の痛みで来られた患者さんなら、「1時間続けて歩けるようになりたい」など、患者さんとともに治療ゴールを考える医療を目指しています。

地域の人々の”ハッピー”を叶える環境作り

 整形外科のひとつの柱は、お年寄りの膝・腰・肩こりなどの変性疾患、もうひとつは怪我による疾患です。怪我はスポーツが原因のことが多く、現在は専門知識のあるスポーツトレーナーを含めたチームで取り組んでいます。また、昔と比べてリウマチの薬は大きく改善されたため、かなりたくさんの患者さんの症状を抑えられるようになったと感じています。
 でも問題なのは、治る人ばかりではないということ。痛みの原因が分からず、その痛みを完全にコントロールすることが難しい場合もあり、どうしても痛みが取れずに悩んでいる患者さんもおり、そういう時はとても悔しい。どの科でも同じことですが、すべての病気が克服できるわけではなく、医師の仕事は嬉しいことも辛いこともたくさん経験しないといけません。でも、だからこそ、患者さんの役に立てることが、やりがいになっていくのです。
 今やっていることを続けていくことで、怪我や痛みが治って、地域の人々が”ハッピー”になること、そして、病院と連携し、手術後のリハビリに利用しやすい環境を作っていくこと。それが今後も変わらない目標です。

取材・文/佐藤裕子(Yuko Sato)
フリーライター。大手企業で、旅行・スクール関連の原稿作成に携わり、その後経験を活かしフリーに。独立後はWEBサイトを中心に、医療、旅行、求人などの取材、執筆を行っているほか、着物着付師、手作りアクセサリーのデザイナーとしても活動する、2児の子を持つママライター。

緑かねこ整形外科

医院ホームページ:http://www.kenshoukai.com/index.php

※写真左 緑かねこ整形外科提供写真
地下鉄今里筋線新森古市駅から徒歩約5分。大阪市営バス「緑一中」から徒歩約1分。479号線を1本南に入った道路沿いの角にある、レンガ造りの建物。詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

整形外科

金子元春(かねこ・もとはる)理事長略歴
大阪大学卒業 大阪大学大学院博士課程修了
国立呉病院
西宮市立中央病院
箕面市立病院
健康保険連合会 大阪中央病院
医療法人銀杏会 銀杏会クリニック 理事長院長
医療法人良秀会 高石藤井病院 リウマチ科部長


■所属・資格他
日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医、日本体育協会スポーツドクター、麻酔科標榜医、医学博士


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