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[医療人] 2016/12/09[金]

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患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医のお医者さん。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

長尾クリニック 長尾和宏院長

父親の病気を機に医師を目指す

 高校の時は漠然と教師になりたいと思っていました。しかしうつ病で入退院を繰り返す父親への医療に疑問を感じ、自然と医師を目指すようになりました。中学・高校時代からアルバイトをし、卒業後は1年間の社会人生活を経て医学部に入学。入学の日に無医地区研究会に入会しましたが、母子家庭で支送りが無いので何軒かの家庭教師を掛け持ちしていました。人口800人ほどの長野県の無医村に年3回ほどこもり独居高齢者を巡回しては、高血圧の栄養指導などの予防医療のお手伝いをしていました。6年間の無医地区活動は、現在の在宅医療の原型とも言えます。

 大学卒業後は大阪大学第二内科に入局し、聖徒病院(現医療法人協和会聖徒クリニック)で2年間、激しい研修を受けました。外科研修も充実していて毎日手術室に入りながら麻酔の勉強もさせていただきました。一生の財産となる経験をしたと思います。多くの肝臓病や末期がんの患者さんの主治医になり、たくさんのお看取りを経験しました。多くの経験から、自宅での自然な最期に寄り添いたいと考えるようになりました。

 市立芦屋病院の勤務医時代は多忙で開業は考えていませんでした。しかし阪神・淡路大震災が開業のきっかけになりました。被災した患者さんが続々と運び込まれ、混乱の中、無我夢中で目の前の患者さんから処置していきました。廊下にまで負傷した患者が溢れ野戦病院状態のなか、働きました。震災直後、自分の理想形を求めて開業を決意。子供時代に一時期暮らした尼崎の商店街の雑居ビルの2階の狭い場所で開業医生活をスタートしました。

人間だけではなく、生活まで診る医療を

 開業当初は私と事務員さんの二人きり。患者さんはほとんど来ませんでした。しかし在宅で看取った患者さんが商店街の評判となり、徐々に患者さんが増えてきました。

 2001年に現在の場所に近距離移転し2003年からは医師3人態勢に。現在では私以外に常勤医師6人と看護師25人など約100人のスタッフとともに、年中無休の外来診療と在宅医療を提供しています。病気だけはなく全身、そして生活までをも診る総合医療を目指しています。種々の検査機器による迅速かつ的確な診断を行い、地域の身近なかかりつけ医として予防から看取りまで行っています。勤務医時代には1,000人の「延命死」を、開業後は1,000人の「平穏死」を経験しました。今後も地域の人たちと共に泣き笑いながら一緒に年を取りたいと願っています。

住み慣れた地域で最期を迎える「町づくり」が目標

 在宅医療に従事していると休日や夜間という感覚はあまりありません。たとえ夜中でも携帯電話に往診の要請があれば駆けつける義務があります。ファーストコールは僕が受けていますが、僕が行けない場合は他の医師にお願いすることもあります。がんや認知症になっても住み慣れた地域で生活できる「町づくり」も医師の大切な仕事だと思います。「向上心、慈悲心、和の心」が法人の基本理念です。これを全職員で共有することで、たとえば受け入れ先が無いような地域の困難事例も率先して受けるようにしています。誰もやらない仕事でも喜びとしてやろう、という気概はあるつもりです。

現場だからこそ、さまざまな発信ができる

 院外においてもさまざまな活動を行っています。産業医、校医、大学の先生、医師会の雑務などのほか、私塾である国立(こくりゅう)かいご学院を開設し地域の介護職員のレベルアップを試みています。また全国各地での講演会や著書の執筆、そしてメディアでの発信も多数あります。現場にいるからこそ発信できる、と考えます。

 これらのモチベーションは、今の医療への疑問と人間への好奇心です。たとえばライフワークの一つにお薬に関する諸問題があります。90歳で20種類もの薬を飲んでいる患者さんや、薬を止めたら症状がよくなった、食事が美味しくなったという患者さん。そんな多剤投与や副作用に苦しめられている人たちをたくさん診てきました。今の病院医療は、地域包括ケアという概念を共有できる形に変わらなければいけません。そのためには、医師だけではなく多職種や市民ももう少し賢くなることが必要なのです。今日生まれた赤ちゃんたちのためにも、医療の現場から世の中に役立つ情報を今後も発信し続けたいと思います。

※記事内の写真は、すべて長尾クリニックより提供

取材・文/佐藤裕子(Yuko Sato)
フリーライター。大手企業で、旅行・スクール関連の原稿作成に携わり、その後経験を活かしフリーに。独立後はWEBサイトを中心に、医療、旅行、求人などの取材、執筆を行っているほか、手作りアクセサリーのデザイナーとしても活動する、2児の子を持つパワフルママライター。

長尾クリニック

医院ホームページ:http://www.nagaoclinic.or.jp/

阪神電車「尼崎駅」徒歩10分、「出屋敷駅」徒歩6分。阪神バス停「難波(なにわ)」徒歩1分、尼崎市バス停「昭和通八丁目」徒歩2分。提携コインパーキングあり。詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、消化器科、循環器科、リハビリテーション科

長尾和宏(ながお・かずひろ)院長略歴
1984年 東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局、聖徒病院勤務
1986年 大阪大学病院第二内科勤務
1991年 市立芦屋病院内科勤務
1995年 長尾クリニック開業
2006年 在宅医療養支援診療所登録


■役職
医療法人社団裕和会・理事長、日本慢性期医療協会・理事、日本ホスピス在宅ケア研究会・理事、日本尊厳死協会・副理事長・関西支部長、全国在宅療養支援診療所連絡会・理事、一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会・理事、一般社団法人抗認知症薬の適量処方を実現する会・代表理事、NPO法人つどい場さくらちゃん・理事、関西国際大学・客員教授、東京医科大学・客員教授

■資格
医学博士(大阪大学)、日本消化器病学会・専門医、日本消化器内視鏡学会・専門医・日本内科学会・認定医、日本在宅医学会・専門医、日本禁煙学会・専門医、労働衛生コンサルタント


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