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[医療人] 2016/12/16[金]

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患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医のお医者さん。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

東邦大学医療センター佐倉病院 長尾建樹院長

男勝りな母の背中を見て育った幼少期

 私に大きな影響を与えた医師は、母でした。東京の下町で診療所を開業した母は、朝から夜遅くまで診察を行う多忙な女性医師でした。診療所には毎日たくさんの患者が訪れ、昼食もとらずに働いていた母の姿を覚えています。小学生だった私は、診療所の受付に鞄を投げ出して遊びに出掛け、暗くなって診療所に戻ると、診察室の受付の下で漫画を読んだり宿題をしていたものです。

 忙しかったため食事は外食ばかりでしたが、私が高校生になると母は毎日弁当を作ってくれました。忙しい中、一生懸命に弁当を用意してくれる母を、鬱陶しく思うこともありましたが、本当は大好きでした。「医者になれ」と言われたのはこの頃のことです。最初は反抗しましたが、熱心に医業の素晴らしさを説かれ、最終的には医師の道を志すことに決めました。

 男勝りで世話好きな母は、82歳になるまで診療を続けました。最後の頃は大して病気を診ていませんでしたが、母のファンたちが診療所を訪れ、話をしたり血圧を測ってもらうだけで診察料を払って帰っていくのです。母が積み上げたものの大きさを実感しました。

 以前、「大学病院をやめて、医院を継いでもいいよ」と母に本気で提案したことがあります。しかし、母は私の提案を一蹴して言いました。「人を馬鹿にするのもいい加減にして!あたしがやってきた50年をそう簡単にあんたができるわけないでしょ」喜んでくれると思ったのに、本気で怒られてしまいました。

 そんな母も脳梗塞を患い、引退を余儀なくされました。当時、脳梗塞で療養中の母には私の教授就任をわかってもらえず残念でしたが、私の名前は覚えてくれていたので嬉しかったです。そんな一人の医師である母との思い出が、私の人生に大きな影響を与えているのは確かです。

ぬくもりの連鎖を地域に広げていきたい

 東邦大学医療センター佐倉病院は、三番目の東邦大学医学部付属病院として平成3年9月に開院しました。緑豊かな環境に囲まれたこの病院は、大学病院としての高度医療を担いつつ地域中核病院として地域の方々の健康を支えています。

 私は2015年7月に東邦大学医療センター佐倉病院長に就任しました。

 日頃から大切にしている理念は「ぬくもりの連鎖」です。昔読んだマザー・テレサの記録に、こんな話がありました。彼女は共に働くシスターたちが貧しい人々にスープを配り終えて帰ってくると「スープボールを渡す時に微笑みかけた?ちょっと手に触れてぬくもりを伝えた?短い言葉がけをすることを忘れなかった?」と尋ね、確認をしたそうです。マザー・テレサは言葉や触れ合いでぬくもりを伝えることで、それを感じた人がまた他の人にぬくもりを伝えてくれると確信していたのです。

 佐倉病院におけるフィールドは、「地域」にあり、すべての原動力は「人」にあります。教職員のぬくもりの連鎖が地域に広まれば、やがて強い信頼関係が築かれるでしょう。教職員全員が社会貢献を実感し、働き甲斐のある、そして高い医療レベルを持った魅力的な病院を作るためにも、「ぬくもりの連鎖」は不可欠であると考えています。

 学祖・額田 晉先生の著書「自然・生命・人間」の中の一節に「しずかに自分の心を大自然の偉大な力に通わせながら、人間として生きられるだけ生き、そして、社会のため、人類のため働けるだけ働いてみようではないか」という言葉があります。自然豊かな場所にあるこの病院で、地域の人々に貢献していけるよう「ぬくもりの連鎖」を広げていきたいと思っています。

地域の医療機関と連携し、そを目指す

 現在、日本は人口急減・超高齢化という大きな課題に直面しています。各地域が特性を活かし、持続可能な社会作りを目指す地方創生が政策の一つとして推進されていますが、医療も重要項目のひとつと言えるでしょう。当院では、地域に住む人々が健康であることが地方創生の重要なインフラであることを認識し、行政との連携を取りながら地域住民を対象にした市民公開講座の定期開催をはじめとして、地域の医療機関とも連携を図り、認知症診療体制および救急診療体制の強化、放射線治療部門の開設や緩和ケアチーム、災害派遣チーム(DMAT)の整備、災害拠点病院としての体制づくり等を行い、質の高い医療の提供を目指しています。関係医療機関との連携を密に行うことによって、地域医療の活性化を実現していきたいと思っています。

取材・文/佐藤愛美(Megumi Sato)
フリーライター。 子育て支援情報、法律関係、芸術など幅広い分野で記事を執筆。元保育士の経験を活かし、人の心に触れる情報発信を目標にしている。

東邦大学医療センター佐倉病院

医院ホームページ:http://www.sakura.med.toho-u.ac.jp/index.html

詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、呼吸器内科、神経内科、小児科、外科、心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、産婦人科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、麻酔科、循環器内科、消化器内科、消化器外科、救急科、腎臓内科、神経精神科、糖尿病・内分泌・代謝内科

長尾建樹(ながお・たけき)院長略歴
1980年 東邦大学医学部卒業、同年 東京女子医科大学付属病院脳神経外科学教室入局
2012年 東邦大学医療センター佐倉病院 脳神経外科 教授
2014年 東邦大学医療センター佐倉病院 救急センター部長
2015年 東邦大学医療センター佐倉病院 病院長


■専門分野
脳神経外科学、救急医学

■公的活動
日本脳神経外科学会評議員、日本脳神経外科漢方医学会評議員


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