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[医療人] 2016/12/22[木]

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患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医のお医者さん。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

医療法人社団真愛会 札幌ファミリークリニック 鈴木重裕院長

夜を徹して話し合った学生時代

 「支えてあげたい」。そんな気持ちを、私は子どものころから持っていたようです。寂しそうにしている子を見ると、そばに行って、ちょっとしたおしゃべりをしながら一緒にいるような、そんな感じの子どもでした。小学生の時は生徒会長でしたが、みんなを先頭で引っ張っていくリーダー的なタイプではありませんでした。

 父親は高校の教師、母親も小学校の元教師で、両親とも愛情深く私を育ててくれたと思います。次第に私は、「人間とは何かを知りたい」という思いが芽生えるようになり、高校を卒業すると生まれ育った北海道を離れて、早稲田大学の教育学部・生物学専修に入学しました。

 ここで、最初の転機がありました。夏に参加した、生物学教室の合宿のときです。「人間の生命とは何か」というテーマで話し合っていたら、一人が「人間はモノだ」と言ったのです。「生命は、科学ですべて解明されるはずだ」と。私もそうは思っていましたが、つい「それは違う」と反論しました。「人はモノではない。人が花を見て美しいと思う心は、物では無いでしょう」と。みんなが寝静まった後も、彼とは明け方まで激論を戦わせました。それ以来、人間の生命の本質とは何か、ということを考えるようになったのです。それを知るには医学部だ、と思いました。そこで早稲田を1年で中退し、地元に戻って1年間勉強した後、札幌医科大学に入り直しました。

メルボルン大学で女性の心身医学を研究する日々

 次の転機は、郷久鉞二(さとひさ・えつじ)先生との出会いと、メルボルン大学への留学経験です。札幌医科大に入学した当初は、精神科に進むことを考えていました。しかし、進路を決めるころ、ちょうど実習をしていた産婦人科で郷久先生に出会ったのです。郷久先生は女性領域における心身医学の専門で、マタニティー・ブルーや女性の心身医学などの本も出されている方です。人間の生命の本質を明らかにしたいと願っていた私は、人の一生が見られる産婦人科こそ、自分の進むべき道だと気づきました。

 産婦人科の研修医をしていたときには、オーストラリアのメルボルン大学(大学院)が創設した留学制度の第一期生として、3年半の間勉強する機会に恵まれました。国際女性心身医学学会の会長で、世界的にも先駆的な研究をされていたローレイン・デナスタイン教授がおられ、そこで心身医学をしっかりと学んだのです。

 私は、主に妊婦さんに多い睡眠障害について研究しました。睡眠障害はメラトニンというホルモンを出す松果体など、間脳の働きが大きく関わっています。そのほかにも間脳から出る各種のホルモンが人の心の動きに大きな影響を与えていること、あるいは人間の心の動きがホルモン状態にも影響を与えていることを知りました。最先端の医療に触れたことで、私が進むべき治療への方針も見えてきました。

病気を治すカギは、患者さんの自然治癒力を高めること

 札幌医科大病院で心身症専門外来に所属した後、道内の病院や診療所などを経て、2002年に札幌ファミリークリニックを開院しました。心療内科、婦人科、内科など幅広く診ています。専門外である肺などの呼吸器を診る際には、患者さんのレントゲン画像などを送り、専門医の診断を返送してくれる遠隔画像診断システムを使用し、提携する専門病院へつなぎます。

 治療の基本とするキーワードは自然治癒力です。そして、西洋医学と東洋医学を合わせした「統合医療」で患者さんを治せるのではないか。そう考えて、私は道内各地の病院で診療に当たってきました。

 患者さんの自然治癒力を高めるために、当院ではオリジナルの「ホ・オポノポノ」カードを患者さんに手渡すこともあります。カードには、それぞれ「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」と書かれています。この言葉を日常のなかで繰り返すものです。このカードは、私が統合医療の限界を感じていたとき出合った、ハワイ大学のイハレアカラ・ヒューレン博士が広めている伝統的なヒーリング法「ホ・オポノポノ」を採りいれたものです。

 それとあわせて、患者さんには3つのポイントをアドバイスしています。1つ目は「自分のゴールを決めること」。例えば病気が治るだけではなくて、好きな趣味をやりたいでも、今悩んでいることの解決でもいいんです。大きなゴールをいきなり設けるのではなくて、まずは当面のゴールを段階的に設定するといいですね。2つ目は「ゴールに入ったときに喜んでいる自分の姿を、具体的にイメージすること」。3つ目は、「普段の自分の口癖に注意すること」です。「でも」「だって」といった言葉の後には、否定的な言葉しか出てきません。否定的な感情は、病気の回復に向かうための力、つまり人間の持つ自然治癒力を妨げてしまうのではないか、と私は考えています。

同じ人間として、つらい患者さんに寄り添った対応を

 風邪や糖尿病、高血圧、アトピー性皮膚炎、更年期障害など、当院にはさまざまな病気の患者さんが訪れます。最近増えてきているのは、メンタルで悩まれている方ですね。処方された薬の副作用で、舌が回らなくなった状態で当院に来られた方もいました。前の病院では「その症状は治らない」と言われたそうで、何かで調べてうちを知ったんですね。通ってもらううちに、最初は筆談だったのが、今では普通に話せるようになりました。道内でも稚内や十勝、先日は青森から泊りがけで来られた方もいましたよ。

 院内にはマニュアルがあるわけではありませんが、医学のはじまりである「病気に苦しんでいる人をなんとかしたい」という思いを、私やスタッフは共有するようにしています。患者さんがつらそうだったら、別室で休んでもらったり、診察の順番を先にしたりと、そういったことはスタッフが自然にしています。

 家庭の父親としては、診療がいつも夜遅くまでかかってしまうので、子どもと遊ぶといったことはできませんでした。その代わり、家族で旅行などのレジャーにはよく出かけています。東京ディズニーリゾートは何回も行っていますよ。初めて行ったときは、ミッキーマウスのショーやパレードがブロードウェイ並みに素晴らしくて感動しました。

 今では、子どもたちも20歳前後になり、長男は政治家を目指しています。次男と長女は大学の医学部に進みました。医師になれとは一度も言っていなかったんですけどね。私の夢は「メディカル・スパ」をつくることで、仲間と計画もしています。ブラジルのパンタナールや北海道など日本各地、そしてハワイや東南アジアなどに癒しの場をつくっていきたいですね。そしてクリニックでは、病気で苦しんでいらっしゃる方に、いつでも見える灯台の光のような存在でありたい、そう思っています。

取材・文/高橋明子(たかはし・あきこ)
東京の業界紙や編集プロダクション勤務を経て、札幌移住を機にフリー。各種雑誌や書籍、ウェブサイトで北海道の観光情報や人物、住宅などの取材を行う。

医療法人社団真愛会 札幌ファミリークリニック

医院ホームページ:http://www.family-clinic.net/index.html

JR函館本線「星置(ほしおき)」駅下車、徒歩5分。駐車場7台。詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

心療内科、内科、婦人科(リハビリテーション科、皮膚科)

鈴木重裕(すずき・しげひろ)院長略歴
1987年 札幌医科大学医学部卒業
1993年メルボルン大学医学部大学院修了
函館五稜郭病院、市立室蘭総合病院、札幌医科大学附属総合病院心身症専門外来、
北海道立天売島診療所、 医療法人亀田病院などを経て
2002年 札幌ファミリークリニック開設
2007年より高知大学医学部臨床教授(兼任)


■所属・資格他
日本心身医学協会


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