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[クリニックインタビュー] 2009/08/07[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第29回
鳥羽クリニック
鳥羽昌仁院長

医療は人生をかける価値のある仕事

toba_01.jpg 私の父親は産婦人科医だったので、子供の頃から医療と身近な環境で育ちました。昼も夜もなく働いている姿を見て大変な仕事だと思っていましたが、やりがいのある、人生をかける価値のある仕事だと思い、高校時代に医学部に進学することを決意しました。その時点から外科に興味を持っていましたね。大学に入ってからは、心臓外科医の教授の講義と人間性に感銘して、心臓外科医になりたいと思っていた時期もありました。
 しかし、大学5、6年の臨床実習のときに、消化器外科である第一外科で素晴らしい先生に出会い、また実際に臨床に触れたとき、消化器診察、手術に強く興味を惹かれ、卒業後は日本医科大学第一外科学教室に入局しました。それから約13年の間、診察、研究、学会活動と外科という治療学の醍醐味にひかれて、走り続けてきました。大学在任中は消化器疾患診断やその治療に欠かせない内視鏡技術を先輩医師の下で学び、食道静脈瘤の内視鏡治療を専門に行っていました。そのなかで、将来自分自身で一次診療をやってみたいと思うようになっていきました。

内視鏡医の専門家として

toba_02.jpg 自分自身でクリニックを開設したいと思うようになったのは、大学病院では忙しい毎日に追われて患者さんとゆっくり話をすることができない、というのが大きな理由でしたね。診断から治療までひとりひとりとコミュニケーションをとりながら医療をしていきたいと思うようになったんです。そのためには、内科学も学ぶ必要があると考えて、友人の診療所で約6年間、一次診療に携わりつつ、大学では外科学をさらに研鑽しました。消化器外科でも、今では一般的になっている内視鏡による治療が始まり、教授からの命題もあって内視鏡医としても専門医、指導医を目指してきました。
 このクリニックを開設したのは平成11年ですから、今年で11年ほどたちます。世田谷区には開業医がたくさんありますが、近隣の先生方からも多くの患者さんを紹介していただいてます。特に患者さんに対して意識していることは、ほとんどの方が来院されるとき、少なからず緊張感や不安感をもってこられますから、まずそれを取り除くことですね。
 患者さんは内視鏡は辛い、苦しいというイメージを持ってらっしゃいますが、実際に受けたあとは「意外と大丈夫だった」とおっしゃる方も少なくないです。うちで主に使っているのは直径5mmほどの極細い管を鼻から通す、経鼻内視鏡というものです。内視鏡で一番苦しいのは通るときの喉の反射なんですが、鼻から通すことによってこれが押さえられます。また麻酔をかけてうとうと眠った形での検査もできますから、あまり怖がらずにきちんと検査をうけてほしいと思います。

オーダーメイドの医療を提供したい

 受付をして、診察を終えて帰られるまで、できるだけ緊張感をほぐし、リラックスできる雰囲気づくりをハード面でもソフト面でも気を使っています。例えば内視鏡の診察室は患者さんがベッドに横になったときに、気分が安らぐように天井を青空の模様にしたり、受付のスタッフも笑顔で患者さんに接するように気を配っています。
 そうしたなかで患者さんが何を求めているのかを把握しながら、気軽にどんな相談でもできるような診察を心がけています。同じ疾患でも、患者さんの性格や家族背景、環境、人生観はひとりひとり違いますから、それぞれに合った治療やアドバイスをしていく必要があるんです。一律ではなく、オーダーメイド的な医療を提供していきたいと常に思っています。
 それから的確な医療を行っていくのは当然として、最も大事なことは患者さんとの信頼関係です。そのためにはコミュニケーションが必要で、できるだけ患者さんやご家族の話を聞き、納得してもらえるまで説明をするというスタンスをモットーとしています。
 大学の医局に入局したときの教授が私の恩師ですが、その先生が「外科医であろうとも診療の基本は視診、聴診、触診であることを忘れてはならない」とおっしゃっていて、その教えを今でも実践しています。どんなに医療機器や医療技術が発展しても、“人が人を診る”ということは変わらないと思っています。

緊張感と新鮮な気持ちを忘れないように

ajisai_03.jpg できるだけストレスをためないように、気分転換を心がけているのが、健康の源ではないでしょうか。ここ数年は写真を趣味にしています。特に季節の景色、季節の花や植物の写真を撮るのが好きです。気に入った写真は待合室や診察室に飾って自己満足していますが、ときどき患者さんに褒めていただくと嬉しくなってまた撮りにいきます。あとは、きちんと食事をして、十分に睡眠をとるようにしていますね。普段、運動不足になりがちですから、休日にはなるべく外出して歩くようにしています。診察の始まる前にはストレッチ運動をしたり、集中力を高めるために、少ない時間でも昼寝をするのを習慣にしています。
 毎日毎日の診察が常に患者さんの生命に関わっているために、緊張感と新鮮な気持ちをもって仕事をするようにしています。

取材・文/松本春子(まつもと はるこ)
編集者として10年間出版社に勤務した後、独立。フリーライター・フォトグラファーとして、心身の健康をテーマに活動中。理想的なライフスタイルの追究をテーマに執筆を手がけている。

鳥羽クリニック

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清潔感のあるすっきりした待合室の隅には、気持ちを和ませるぬいぐるみたち。内視鏡の検査室の天井は青空の模様。小田急線成城学園前駅から徒歩3分。詳しい道案内は病院ページから。

診療科目

内科、胃腸科、外科、肛門科

鳥羽昌仁(とば・まさひと)院長略歴

鳥羽昌仁院長

昭和54年3月 日本医科大学卒業/日本医科大学第一外科教室入局
昭和59年3月 日本医科大学大学院医学研究科(病理学専攻)修了
昭和59年4月 医学博士取得
平成4年10月 日本医科大学兼任講師
平成11年1月 鳥羽クリニック開業

■学会活動
日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器外科学会認定医、日本外科学会指導医、日本門脈圧亢進症学会評議員

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