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[クリニックインタビュー] 2008/12/16[火]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第2回
つだ小児科クリニック
津田正彦 院長

医師であり続けるために、学び続ける

tsuda_job.jpg 医師を目指した理由は、歯医者だった父親から「医者になるといいよ」と言われて育ったことが大きいです。ほかの職種に就こうという考えは特に抱くことなく医学部を受験し、小児科医になりました。小児科医でなければ、内科医になっていた可能性もあります。どっちみち医者という職業には思い入れがありますので、生まれ変わってもまた猛勉強して、医者になりたいと思いますね。その時は何科を目指すのかな。
 医学は文字通り日進月歩の学問ですから、医師は毎日新しい知識を習得し、技術の進歩に追いつかねばなりません。その手段は主に読書ですが、まとまった時間をとるのは難しいので、私は診療の合間や昼休み、また子どもの塾の迎えの際などの空いた時間で、こまめに情報を仕入れるようにしています。
 やはり同じ小児科専門医の誰もが、「この処置・処方は正しい」と頷けるような適切な診療をつねに行いたいので、自分のアップデートのための勉強は欠かせません。風邪ひとつをとっても、「薬を出さない」「最もふさわしい薬を出す」「注射を打つ」など、さまざまな治療の方法があり、子どもの体質と状態、また症状によってそれらの答えは変わってきます。確実に早く治すための選択肢の組み合わせを判断できるよう、慢心せず勉強しつづける医師でありたいと思っています。

日常は、自分から楽しもうとするもの

 我が家では犬を飼い始めて一年くらいになるのですが、朝の散歩を私が担当しています。その日課のために毎朝4時に起きるので、夜も10時には眠るようになり、早寝早起きの習慣がつきました。日々の適度な運動は健康維持のために大事なことですね。
 犬の散歩も好きなことの一つですが、基本的に私は多趣味で、映画鑑賞や読書などのインドア趣味と、ドライブ・海外旅行などのアウトドア趣味を両方持っています。どんなことでも楽しめる気質なのでしょう、本当になんでも楽しく取り組めます。
 たとえば読書にしても、はやりのものもひととおり読みますし、最近では啓蒙書などを好んでよく読んでいます。ただ、宮沢賢治が特別好きなので、いずれちくまの宮沢賢治全集を一冊ずつ集めて、ゆっくり読んでいけたらいいなと思っています。
 映画は洋画邦画の別なく、一人で観る場合はなんでも観ます。子どもと映画館に行く時には、子どもが観たいものを一緒に楽しく鑑賞していますね。
 開業する前は病院勤務でしたから、休みは不規則で、当直で帰らない日もしばしばあり、三が日も当然のように出勤していました。しかし、夏休みなどはまとめて休みを取ることができたり、学会で海外に行くこともできました。勿論自費ですが……。
 開業してからは長期に休める機会はなくなり、お盆休みとお正月休みだけで、いまでは年に一回一週間ほど、家族と海外旅行に行けるくらいです。これまでにハワイ、スペイン、イタリアなどに行きましたが、どこもいつか住んでみたいくらい、気候や料理が素晴らしいですね。とりわけハワイは、訪れることがもっとも多い場所でもあります。

テレビで取り上げられる「治療法」に言いたい

 昨今では、医学知識に関する情報を医師以外の人が発信することも増えました。テレビや雑誌、またネットなどで、「子どもの○○にこれが効く」「子どもの○○はこれで治る」など、耳に優しいフレーズが出回り、信じても仕方ないような甘い話が世の中には氾濫しています。それを見たお母さんたちが、具合の悪いお子さんを連れて来院される際に「テレビでやっていたあの方法で治療してください」とリクエストなさることもあるのですが、小児科専門医から言えば残念ながら、それらは何の論拠もない治療法である場合が少なくありません。特に子どもの疾患について巷でうたわれる安易な治療法は、往々にしてお母さんの時間と手間をとらない都合のよいものに仕上がっており、大変な育児の最中だからこそ、頼りたくなっても無理はないのかも知れません。
 しかし、お母さんにとって都合のよいものが、子どもにとって最善であるとは限りません。実証実験や数十年かけた治験の結果、「実はその方法はよくありませんでした」という事実がわかったとしても、最初に「これが効く」と発信したメディアは、何年も遡った記事に訂正を加えることはまずありません。ですから話題性だけで広まっている治療法を鵜呑みにせず、大事なお子さんに最適な治療を受けてもらうため、専門医の指導に従ってほしい、というのが私の主張です。

小児科医の醍醐味を常に感じて

 私自身も育児の際に感じたことでもありますが、3歳くらいまでの最も手のかかる時期や、大変だった時期のことこそ、あとあと感慨をもって思い出すことが多いんです。お子さんの具合が悪くて焦ってしまったり、お母さん一人で背負い込んでしまったりすることもあると思いますが、そんな時にお手伝いできるのが小児科医ではないでしょうか。どんな些細なこと、あるいはどんな専門的なことでも、相談してくだされば助けになりたいと考えています。もし私の知らないことがあればその場で調べてお答えしますし、困ったことを抱えずに来院してほしいなと。
 小児科医の醍醐味は、子どもたちの成長を長期にわたって見守っていけることです。同時に、子どもの身体や病気、発育などにまつわる膨大な英知を学ぶ環境にあることも、小児科医になってよかったと思えることの一つです。

取材・文/戸谷妃湖(とたに ひこ)
広告代理店のコピーライターを経て、現在フリーライターとしてロンドン・北京・東京の三都市を基点に活動。被虐待児童におけるトラウマティック・ストレス学、および漢方による精神疾患アプローチに関する研究をライフワークにしている。

つだ小児科クリニック

医院ホームページ:http://www.tsudashonika.com/
tsuda_gaikan.jpg小児科・内科・皮膚科・アレルギー科の各種診察・検査を専門に行うクリニックです。小児科に関する全ての相談を受けたいと考えています。私の知らないことは調べてお答えしたいと思います。
*対象:小児科一般・育児相談・乳児検診、アレルギー科、予防接種、内科、皮膚科
*各種保険取扱
◎東急世田谷線「松陰神社前駅」から、ゆっくり歩いても徒歩2分の距離。

閑静な住宅街のマンション一階にある当院は、線路沿いながら松陰神社のすぐそばという静かな立地。バギー用スロープ、駐車場あり。
詳しくは医院ホームページから。

津田正彦院長略歴
tsuda_doctor.jpg
1981年 日本大学医学部卒業
1985年 日本大学医学部大学院卒業/米国国立衛生研究所(NIH)客員研究員
1989年 駿河台日本大学病院小児科勤務
1991年 志木市立救急市民病院小児科医長
1994年 日本大学付属稲取病院小児科医長
1995年 駿河台日本大学病院小児科病棟医長・教育医長
1999年 つだ小児科クリニック開院・院長


■所属学会
日本小児科学会・外科小児科学会・アレルギー学会・小児アレルギー学会・小児神経学会・小児腎臓病学会・日本人類遺伝学会・東洋医学会 など



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