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[クリニックインタビュー] 2010/02/12[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第54回
医療法人みずほ会 高橋内科
高橋啓文 院長

救急に担ぎ込まれる患者さんをみて、予防と管理の大事さを思い知った

takahashi_clinic01.jpg 「なぜ医師を目指したか?」と訊かれても…申し訳ないのですが(笑)、壮絶な逸話やカッコよい志が子供の頃にあったわけではありません。自分の進路に確信を持って医大を受験したタイプではありませんね。でも今から思うと、出発点が医学かぶれでなかったことが、逆に私の強みとなっているかもしれないです。常に「患者さんと対等な立場で診療したい」と思ったり、そのためにITを活用しようと発想するのは、まだまだ医療機関で一般的ではありませんが、私にとっては極めて自然なことだったりします。
 勤務医時代には、救急医療に携わりました。次から次へと、脳卒中や心筋梗塞の患者さんが担ぎこまれます。がんの末期の方も。回復が難しい患者さんをみて私は、「もう少し日頃から、血圧やコレステロールの管理をすることはできなかったのだろうか」「がん検診をなぜ一度も受けていなかったのだろうか」と思うわけです。もっと病気を予防したり、早期発見して管理していたら、違った人生が送れたはずですから。地域医療でそれを実現したいと、開業に至りました。

もはや介護なしには、地域医療は成立しない時代になった


高橋先生の運営施設である、
シルバーホームおおの郷(グループホーム)内部

 私のところの特徴は、医療と介護施設が併設されていることです。先に述べたとおり、「地域の皆さんの日頃の健康管理」をさせて頂きたくて開業したわけですが、現実を見ると、高齢者には頻繁に通院できない人も多い。「急性期以外で入院はできない時代」ですから、じゃ別の受け皿が必要だと、グループホームを開業2年目にすぐオープンしました。
 当時は「グループホーム」と言っても誰も知りませんでしたが、今では介護の役割、社会的地位が上がってきたと思います。もはや介護施設なしでは、今後の地域医療において適切な医療は成立しません。なぜなら患者さんが継続的に医療を受けられる環境を作らなければ、「一生かかわる」ことなどできないからです。
 おかげさまで、私の考えに賛同してくれるスタッフも多く集まり、今では5つの医療・介護施設を運営するようになり、近く7施設になります。

高橋先生の運営施設一覧

  • 高橋内科
  • シルバーホームおおの郷(グループホーム)
  • ケアビレッジすさき(グループホーム、通所リハビリテーション(デイケア)、ヘルパーステーション、居宅介護支援事業所の介護複合施設)
  • ケアハウスすさき(ケアハウス)
  • 近隣自治体の上ノ加江診療所を、指定管理者として運営

※さらに現在、有料老人ホーム1施設、グループホーム1施設を建設中
※そしてこの春、本拠診療所の全面建て直しを着工予定


写真は左から、高橋内科、シルバーホームおおの郷、ケアビレッジすさき、ケアハウスすさき。

限られた診療時間帯でも、いかに患者さんに十分な説明をするか

 当院は、総合病院にもひけをとらない最新の医療機器を導入して、正確で迅速な判断ができるようにしています。と同時に、IT(情報活用)面でも最新の工夫をしており、その仕組みは高知県の成長分野育成支援研究会事業化プランに認定されたり、マイクロソフト社のITベンチャー支援事業に採択されています。
 ことの発端は、「病状や診療方針などについて、どうしたら患者さんに十分な説明ができるか」と考えたことでした。自作したイラストや動画を診察室のパソコン画面でお見せするようにしたら、高齢の患者さんにも「わかりやすい」と好評だったので、コツコツと中身を充実させてきました。今ではコンテンツ数が1000枚におよび、他の病院や診療所でも使われるほどになっています。地域の診療所が果たすべき役割はプライマリケアですが、プライマリケアはカバー領域が広いので、真剣に勉強したり説明しようとすると膨大な資料点数が必要です。これでは診察室がペーパーの山で埋もれてしまう。でもパソコンに収めれば、素早く取り出せるし、看護師がじっくり説明する時でも正確にお伝えできます。特に動画はわかりやすいですから、いいことづくめなのです。

生まれ育ったこの地域に、長期的に信頼される医療体制を作る

 実は、この診療所を閉鎖して、隣に新たな医療施設を開設する予定です。「大病院に匹敵する外来をつくる」をコンセプトに、最新の医療機器を導入し、それらを扱う技師も大病院に匹敵する人材を配置し、地域No.1の医療を実現したいと思っています。名称も、「高橋内科」ではなく、地名を取って「須崎医療センター」とするつもりです。もちろんITもフル活用しながら、「チーム医療」を実現して、患者さんと医療従事スタッフの双方がハッピーになるような診療体制を確保しますよ。このセンターで患者満足度が高い医療サービスを実現し、一方で介護施設にて利用者の長期的な安心を実現する、そんな両軸がかみあった地域医療体制を目指していきます。
 私は元々この近所の葉山村の生まれです。地域の皆さんにも大変お世話になっていますし、この地域の大らかさ、豊かさが好きです。車で30分も走れば、好きなゴルフもすぐにできますし(ちなみに、シングルの腕前だそうです!)。必要に応じて仕事の拠点は関東地方や海外にも構えますが、私自身の診療本拠地はあくまで地元です。

取材・文/QLife

医療法人みずほ会 高橋内科

takahashi_clinic_b01.jpg takahashi_clinic_b02.jpg takahashi_clinic_b03.jpg
JR土讃線大間駅から徒歩で5分。複合介護施設の「ケアビレッジすさき」と隣接した、モダンな診療所。

診療科目

内科・呼吸器内科・消化器内科・循環器内科

高橋啓文(たかはし・ひろふみ)院長略歴
高橋啓文院長
1990年 高知医科大学卒
1990年 高知医科大学附属病院内科
1995年 近森病院
1997年 田野病院 内科医長
2000年 須崎くろしお病院 内科医長
2002年 高橋内科消化器科(現・高橋内科)開業


■資格・所属学会他
日本内科学会総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会内視鏡専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本糖尿病学会指導医、日本医師会産業医、高知病診連携研究会代表世話人、須崎市医師会会長

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