[選択肢が拡大する脳卒中予防の現在] 2013/10/29[火]

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 心原性脳塞栓症を予防する経口抗凝固薬として、長きにわたり採用されてきたワーファリン(ワルファリン)ですが、食事制限や定期的な血液検査が必要など、負担に感じている患者さんもいらっしゃいます。一方で、そういった課題を克服し、最近相次いで登場した新規経口抗凝固薬は、変更した患者さんの満足度も高くなっています。
 こうした、新旧の経口抗凝固薬に対する意識について、患者さんに最も近い存在である家族はどう感じているのでしょうか。弘前大学大学院医学研究科 循環呼吸腎臓内科学講座 教授 奥村謙先生監修のもと、経口抗凝固薬を服薬している患者さんの家族を対象に、調査を行いました。

より“我慢しない”治療が可能となる新規経口抗凝固薬も選択肢の一つに

今回の調査で、抗凝固療法で患者さんが感じるストレスや不満は、そのまま家族のストレスや不満として影響を及ぼしていることが分かりました。「抗凝固療法は、多くの患者さんが長期間、服薬をつづける必要があります。食生活や服薬管理の面などで、治療継続を負担に感じている場合は、より“我慢しない”治療が可能となる新規経口抗凝固薬も選択肢の一つに加え、かかりつけ医に相談してみるのも良いでしょう」(監修・奥村先生)
以下に調査結果の一部をご紹介します。

食生活や出血リスクを減らすための生活上の工夫に気を配らなければならないことを心理的または経済的に負担に感じますか。

「食生活」について、29.4%の患者家族が「かなり負担に感じる」「やや負担に感じる」と回答しました。具体的内容では、「納豆」「青汁」といった、ワーファリンと相互作用を持つ具体的な食材名を挙げた患者家族が多かったほか、「塩分や脂分を減らす」「和食中心にする」などの食生活習慣を変えた、とする意見も見られました。
一方、「出血リスクを減らすための生活上の工夫」では、21.1%の患者家族が「かなり負担に感じる」「やや負担に感じる」と回答しています。具体的には、カミソリやカッターナイフなど刃物を使わせないなどの「切り傷を作らないようにするため」とベッド周りの柵に緩衝材を巻くなどの「内出血・あざを作らないようにするため」の生活上の工夫をしている、という回答が多く見られました。

食生活への配慮は負担と感じるか・出血リスクへの配慮は負担と感じるか

ワーファリンから新規経口抗凝固薬に変更して、負担は軽減されましたか。

新規経口抗凝固薬に変更することで負担が軽減されたかどうかについて、「かなり負担が軽減された」「やや負担が軽減された」と回答した患者家族は、「食生活に気を配らなければならない負担」41.5%、「服薬管理に気を配らなければならない負担」21%、「患者から薬に関する不満を訴えられたり相談される負担」28%に上りました。

薬を変更して、食生活の配慮に対する負担は軽減されたか・薬を変更して、服薬管理に対する負担は軽減されたか・薬を変更して、患者から不満を訴えられたり相談される負担は軽減されたか

家族の立場から考える「望ましい抗凝固薬」とは?

最も多かったのが「他の薬との作用が少ない薬」で45.9%の患者家族が望んでいました。次いで、「食事制限が少ない・無い薬」「1日に飲む回数が少ない」となりました。

抗凝固薬に関して家族の立場で当てはまるもの(複数回答)

奥村謙(おくむら・けん)先生 弘前大学大学院医学研究科循環呼吸腎臓内科学教授

奥村謙先生

1976年 熊本大学医学部卒業
1979年~83年 熊本大学大学院医学研究科(医学博士)
1983年~85年 米国アラバマ大学医学部内科循環器部門
1987年 熊本大学医学部循環器内科講師
1993年 同助教授
1996年 弘前大学医学部内科学第二講座(現循環呼吸腎臓内科学)教授
現在に至る
所属学会・認定・資格
日本不整脈学会会頭、日本内科学会評議員(認定内科医・指導医)、日本循環器学会評議員(専門医)、日本心電学会理事、日本脳卒中学会専門医、日本脳卒中協会青森県支部長
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