メニエール病
めにえーるびょう
- 耳鼻咽喉科
- 診療に適した科
メニエール病とは?
どんな病気か
めまいといえばメニエール病といわれるほど有名ですが、実際にはそれほど多い病気ではありません。メニエール病は内耳の病気で、繰り返すめまいに難聴や耳鳴りを伴うものです。一般に、片側の内耳の障害ですが、時には両側とも障害されることもあります。
原因は何か
内耳を満たしている内リンパ液が過剰になると内リンパ水腫になりますが、この状態によってメニエール病が起こると考えられています。しかし、この内リンパ水腫がなぜ起こるのかについては不明です。
先進国に生活する人に多く、発展途上国の人には少ないことから、ストレスがこの病気の発症に関係しているといわれています。
症状の現れ方
何の誘引もなく突然、回転性(ぐるぐる回る)めまいが起こり、めまいと同時に、あるいはめまいの少し前から、片耳に耳鳴りや耳の閉塞感、難聴が起こります。
めまいを繰り返す間隔は人によって違い、数日、数週間、数カ月、あるいは1年に1回などさまざまです。
激しいめまいは、普通30分くらいから数時間続き、めまいの軽快とともに耳鳴り、耳の閉塞感、難聴は軽くなったり消失したりします。しかし、めまいを何回も繰り返しているうちに、めまいがおさまっても耳鳴りや難聴は軽快しないようになります。
めまいが激しい時は、これらの症状以外にも吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸などが起こり、かえってこれらのほうが苦しいこともしばしばです。
検査と診断
聴力検査で、メニエール病に特徴的な難聴が認められます。特徴は、低音障害型(低い音が聞こえにくい)あるいは水平型で補充現象陽性(音が響いて聞こえる)などです。平衡機能検査では内耳障害の所見が認められます。
治療の方法
薬による治療が主に行われ、めまいを軽くする抗めまい薬や、内リンパ水腫を軽減する薬が使用されます。
しかし、メニエール病は難病に指定されている病気で、完全に治すことが困難な場合も少なくありません。薬でめまい発作の回数を減らしたり、軽くしたりすることはできますが、難聴の進行は薬では防げないことがあります。めまいがあまりにも頻繁に起こって仕事ができないような時や、難聴の進行が早い時には手術が行われることもあります。
病気に気づいたらどうする
メニエール病とはっきりわかっていればあわてることはないのですが、専門医でないと診断が正確に行われないことがあります。
初めてめまいに襲われると、パニックに陥ってしまうものですが、メニエール病で何回かめまい発作を経験した人は、めまいが起こってもあわてずに最も楽な体位で休んでいます。普通、めまいは長くても数時間でおさまることを知っているためで、非常によい対応といえます。
しかし、めまい発作はメニエール病とは限らず、他の生命に関わる病気かもしれないので、至急専門医の診察を受けてください。
メニエール病に関連する検査を調べる
迷路障害に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、迷路障害に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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ニコチン酸アミド散10%「ゾンネ」
ビタミンB剤(ビタミンB1剤を除く。)
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カリジノゲナーゼ錠50単位「サワイ」 ジェネリック
その他のホルモン剤(抗ホルモン剤を含む。)
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プレドニン錠5mg
副腎ホルモン剤
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ソル・コーテフ注射用100mg[注射剤]
副腎ホルモン剤
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コートリル錠10mg
副腎ホルモン剤
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プレドニゾロン錠1mg(旭化成)
副腎ホルモン剤
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ピーゼットシー散1%
精神神経用剤
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炭酸水素Na静注7%PL「フソー」
解毒剤
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イソバイドシロップ70%
利尿剤
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トラベルミン配合錠
鎮暈剤
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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コラムめまいの検査
①眼振の検査
めまいがする時に、患者さんは天井などのまわりの景色がぐるぐる回っていると訴えます。この時、実際に天井が回っているのではなく、眼球のほうが回っているためそう見えるのです。この眼球の動きを眼振といいます。
眼振をよく観察するためには「フレンツェルの眼鏡」を使います。この眼鏡は強い凸レンズです。そのため、まわりのものがぼやけてよく見えず、視線を固定することができなくなります(非注視状態)。この状態では弱い、かすかな眼振も観察しやすくなります。
耳が原因の眼振の多くは水平性、あるいは水平回旋混合性の眼振です。この時、眼球はゆっくりと右あるいは左に動いたあと、急速に反対に動いて元の位置にもどります。この動きを繰り返しています。
一方、垂直性の眼振がみられる場合などは中枢性(脳、とくに小脳、脳幹)のめまいの特徴で、すぐにCTやMRIなどの検査が必要となります。このように眼振の詳しい観察は、めまいの原因を知るうえで非常に重要なものです。
②温度眼振検査
ヒトの外耳道に冷たい水や温かいお湯を入れると、内耳の三半規管が刺激されて眼振が起き、また、めまいが起こります。この眼振の続いている時間(正常では約2~3分)や眼振の速度から、三半規管の機能がどのくらい保たれているかがわかります。
もし反応がまったくなければ、内耳(半規管)の機能をほとんど失っていると考えられます。前庭神経炎では、この反応が高度に低下します。メニエール病では初期のうちは正常のことが多いのですが、めまい発作を繰り返しているうちに、徐々にはたらきが落ちてきます。薬物などによる前庭機能高度低下例では、この反応が耳の両側とも高度に低下し、結果として常時ふらつきが起こることになります。
③瘻孔症状検査
耳を押さえたり、耳たぶを引っ張ると、めまいがすると訴える患者さんが時々います。このような患者さんの外耳道に陽圧や陰圧の刺激を与えると、めまいが起こり、眼振がみられます。このような症状を瘻孔症状といい、その有無を調べる検査を迷路瘻孔症状検査といいます。
慢性中耳炎、とくに真珠腫性中耳炎でよく起こりますが、鼓膜に穴があいていなくても、先天性梅毒、メニエール病、外リンパ瘻などでまれにみられることがあります。一般的には、「ポリツェルのゴム球」を外耳道に密着させ、ゴム球を圧迫して陽圧刺激を加え、次いで陥没したゴム球が元の形にもどることにより陰圧刺激を加えます。眼振の観察はフレンツェル眼鏡下で行ったり、電気眼振計に記録したりします。
1ヶ月ほど前にこじらせた鼻風邪と右耳の耳鳴りで耳鼻科を受診したところ、中耳炎、内耳障害(聴力低下)、副…