アトピー性皮膚炎
あとぴーせいひふえん
もしかして... 気管支喘息 アレルギー性鼻炎 結膜炎 アトピー性白内障や網膜剥離 ヘルペス
アトピー性皮膚炎とは?
どんな病気か
かゆみの強い慢性の湿疹で、増悪や軽快を繰り返します。多くの場合、アトピー素因(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎などを生じやすい体質)をもつ人に生じます。主に小児期に発症し、成人では軽快することが多いのですが、成人になって再発したり、重症になることもあります。
原因は何か
多くは環境中のダニや食べ物などの成分がアレルゲン(アレルギーの原因物質)となり、それらに対する免疫グロブリンE(IgE)抗体がつくられて、皮膚にアレルギー性の炎症を起こします(表7)。
小児では、卵、牛乳、小麦などの食物が原因として多くみられます。その他、イヌ、ネコなどのペットのフケや毛、体内や皮膚の表面にすんでいる真菌(カビ)などの成分もアレルゲンになります。
また、皮膚の最上層である角層内の天然保湿因子やの細胞間物質(セラミドなど)の異常などにより皮膚のバリア機能が損なわれ、冬の乾燥や夏の発汗、衣類などの刺激に対して皮膚が弱く、炎症を起こしやすい状態になります。炎症を起こした皮膚の表面には細菌が増殖しやすく、さらに悪化させる要因になります。
成人では、これらにより生じた皮膚の炎症が職場や家庭内の精神的ストレスで悪化することがあります。家族にアトピー素因のある人が多く、他のアトピー疾患の合併も多くみられます。
症状の現れ方
年齢によって症状が異なります。乳児期には滲出液の多い紅斑が顔面や体幹、四肢にみられ、幼小児期になると首や四肢の関節部などに乾燥性の病変がみられます。
思春期や成人になると全身、とくに顔面、くび、胸背部などに紅斑や丘疹(ぶつぶつした隆起)などの症状が強くみられます。ざらざらした黒ずんだ乾燥肌(アトピー皮膚)のことが多く、かゆみが強いために掻破による傷(かき傷)がみられます。眼のまわりの症状が強い場合には、アトピー性白内障や網膜剥離を起こすことがあります。
アトピー性皮膚炎に単純ヘルペスが感染すると顔面や上半身などに小さな水疱(直径が数mmの水ぶくれ)が多発し、ぴりぴりした痛みを伴います。これはカポジ水痘様発疹症と呼ばれ、感染が広範囲に及ぶと発熱を伴います。
検査と診断
多くはそれぞれのアレルゲンに反応する免疫グロブリンE(IgE)抗体が上昇し、血液中の総IgE抗体量も上昇します。皮膚炎の悪化時には、白血球のうちアレルギー疾患で増加する好酸球の割合が増えています。しかし約20%はIgEが上昇しないアトピー性皮膚炎として存在します。
治療の方法
皮膚のかさつきを抑える目的で白色ワセリンや尿素などを含んだ保湿剤を、炎症を抑える目的でステロイド軟膏を用います。免疫抑制薬の軟膏タクロリムス(プロトピック)も有効ですが、刺激感や感染症などの副作用に注意が必要です。
内服薬では抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を用います。抗炎症作用のある漢方薬が有効なこともあります。細菌や単純ヘルペスの感染症を伴った時には、それらに対する治療が必要になります。
病気に気づいたらどうする
原因対策を行います。家のなかのダニ対策や小児では原因食物の除去を行います。ただし、過剰な食物除去は成長障害を来すため注意が必要です。皮膚の清潔を保つことは重要ですが、石鹸の使用により皮膚は乾燥するので、入浴後は保湿を十分に行います。
掻破によるびらんが著しい場合には、軟膏を塗った上にガーゼや包帯を巻いて掻破から皮膚を守ります。十分な睡眠をとることや胃腸の調子を整えること、精神的安定を図ることも重要です。
アトピー性皮膚炎に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、アトピー性皮膚炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
-
▶
強力ネオミノファーゲンシーP静注20mL
肝臓疾患用剤
-
▶
オロパタジン塩酸塩ODフィルム5mg「マルホ」 ジェネリック
その他のアレルギー用薬
-
▶
ジルテック錠5
その他のアレルギー用薬
-
▶
ザイザル錠5mg
その他のアレルギー用薬
-
▶
リンデロン点眼・点耳・点鼻液0.1%
眼科用剤
-
▶
ビフロキシン配合錠
混合ビタミン剤(ビタミンA・D混合製剤を除く。)
-
▶
亜鉛華軟膏シオエ
鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤
-
▶
ネリゾナユニバーサルクリーム0.1%
鎮痛,鎮痒,収斂,消炎剤
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
アトピー性皮膚炎に関する記事
-
アトピー性皮膚炎の患者数は日本で約125.3万人と報告されており、最も多い皮膚疾患に挙げられています。2023年の分子標的薬の適応拡大によって、小児アト…
-
あの片岡愛之助さんも。当事者しかわからないアトピー性皮膚炎の悩みとは?
かゆみのある湿疹が、良くなったり悪くなったりを繰り返すアトピー性皮膚炎を持つ患者さんの悩みを知っていますか? 厚生労働省の患者調査(2017年)<sup…
-
「皮膚の病気はうつる」はスティグマ 正しい知識を基に行動の判断を
「スティグマ」という言葉を聞いたことはありますか? 性や国籍、人種、年齢、外見、障害、信仰など、特定のカテゴリー・集団に注目して貼られるレッテル…
おすすめの記事
アトピー性皮膚炎に関する病院口コミ
-
的確な診断と薬の処方!
ハッチさん 30~40代男性 2018年06月28日投稿
アトピー性皮膚炎の悪化で受診。 だいたい季節の変わり目や疲れが溜まっている時にひどくなるのですが、自分は医療的な事はよくわからないので、薬の知識的な事を教えてもらっています。 待ち時間は、だいたい夕… 続きをみる
-
些細な疑問に対しても親身に教えてもらえ、気軽に相談しやすい!!女性の医師!!
としのりさん 30~40代男性 2017年12月07日投稿
皮膚の病気に対する些細な疑問に対しても親身に教えて頂き、気軽に相談しやすい!! そんな印象の若い女性の先生でした。 アトピー性皮膚炎はネットを検索してもいろんな情報が溢れていて混乱していましたが、先… 続きをみる
-
安心して通院できます
患者さんの声さん 20代以下女性 2017年11月24日投稿
アトピー性皮膚炎で年に3、4回通院させていただいております。 毎回、期間を開けて来院していますが、先生はとても優しく、丁寧に処方するお薬や症状はどうかなどの確認をしてくださるので、とても安心して通院す… 続きをみる
アトピー性皮膚炎です。 コレクチムについて質問です。 1.コレクチムとステロイド(たとえばボアラク…