専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

東京女子医科大学病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科

分野

消化器・一般内科

特色

65年に中山恒明先生が世に先駆けて消化器病センターを設立し、当科はその内科部門として72年に開設された我が国で最初の消化器内科学講座である。当科の特徴は、センター制を生かして外科、内科の隔たりなく、総合的に患者を診療し治療を行っていることである。いわば、患者とその疾患を中心とした臨床を文字通り実践していることである。もう一つの特徴として、設立時より医療練士制度を取り入れ、消化器病学を中心とした卒後教育の充実を図り、一般内科医および消化器専門医として優れた臨床医の育成に励んでいる点があげられる。日本内科学会をはじめ日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会の認定指導施設である。

症例数

消化器内科の病床数は75床、入院患者数は年間約1,000人。年間検査件数(検査数は消化器病センターとして)は上部消化管内視鏡検査12,500件、下部消化管内視鏡検査5,800件、超音波内視鏡検査300件、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)400件、腹部超音波検査15,000件、消化管造影検査1,200件、血管造影検査450件、腹腔鏡検査および超音波下肝生検250件などである

肝疾患=B型、C型などのウイルス性慢性肝炎に対しては、抗ウイルス薬やインターフェロンによる患者さんにあわせたテーラメイド治療を行っている。慢性肝疾患に対しては腫瘍マーカー、超音波検査による定期検査で肝癌の早期発見に努め、肝癌が疑われる症では、CT検査、MRIなどで確定診断をしている。肝癌の治療としては、肝動脈塞栓術(TACE、年間240件)、ラジオ波凝固療法(RFA)、経皮的エタノール注入療法(PEIT)、経口分子標的薬などの抗癌剤を選択し、実施している(年間100例)。外科的切除適応例は外科と連携し、すみやかに手術を行っている。自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆炎)、メタボリックシンドロームの肝病変として注目されている非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の診断と病態の解明にも力を入れている。また、肝不全に対して肝移植適応検討も行っている

膵・胆道疾患=早期診断が困難とされる膵癌、嚢胞性膵疾患に対し、超音波検査、超音波内視鏡検査、CT、MRCP、ERCP等で的確に診断し、治療方針を決定している。外科手術不能例に対しては化学療法・放射線化学療法などの集学的治療を行い、予後の改善、疼痛緩和に取り組んでいる。重症急性膵炎に対しても集学的な治療を行い、高い救命率を誇っている。閉塞性黄疸や総胆管結石に対しては、内視鏡的十二指腸乳頭切開術(EST)や乳頭拡張術(EPBD)、各種ドレナージ術、胆道ステント留置法を行っている(年間150件)

上部消化管(食道、胃、十二指腸)疾患=早期食道癌、早期胃癌に対しては、超音波内視鏡検査で正確な深達度診断を行うとともに、積極的に内視鏡的粘膜切除術や粘膜下層剥離術を行っている(年間140件)。胃・十二指腸潰瘍ではヘリコバクター・ピロリ除菌療法を積極的に行っており、一次除菌率は約70%である。一次除菌不成功例には二次除菌を導入し、その除菌率は95%となっている。胃・十二指腸潰瘍出血に対しては、高周波凝固法やクリッピングで止血治療している(年間50件)。食道胃静脈瘤に対しては超音波内視鏡検査で病態を把握し、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)、硬化療法を実施している(年間120件)。カプセル内視鏡、ダブルバルーン内視鏡検査を導入し、これまで診断困難であった小腸出血や腫瘍などが診断可能となっている(年間100例)

下部消化管(小腸、大腸)疾患=大腸の腫瘍性病変に対しては、色素法や拡大観察を実施し正確な診断を行い、ポリペクトミーや粘膜切除術を行っている(年間1,400件)。潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患の治療は、従来のステロイド治療等に加え、最新の白血球除去療法や抗TNF-α抗体薬、タクロリムスの投与を行い、重症例の寛解に成功している。また、炎症性腸疾患センターを設立し、単なる治療のみならず、炎症性腸疾患センター外科コメディカルを含めた集学的診療を行っている。(炎症性腸疾患センターとして、年間2.300人診療)また、眼科・皮膚科・リウマチ科・神経内科・血管外科との協力体制とのもと腸管ベーチェット病の診療を行っている。

医療設備

電子内視鏡、超音波内視鏡、超音波(ドプラ含む)、ヘリカルCT、MRI、DSAなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

消化器外科

分野

消化器・一般外科

特色

迅速、正確な診断治療を目指している。当センターの特徴的な点は外科、内科、内視鏡科、放射線科が一体となって診断治療にあたっていることで、病状に合わせて最も適切な医療が速やかに行われている。消化器の病気についてはすべての疾患を網羅し、食道、胃、小腸、大腸、肛門、肝胆膵等あらゆる消化器(胃腸科)疾患に対する検査、治療を行っている。治療では内科的、外科的治療の他、内視鏡下、腹腔鏡下あるいはエコー下の治療も積極的に行っている。具体的にはポリープの切除、静脈瘤・出血の治療、胆石の治療、早期癌の治療も開腹せずに可能となっている。腹腔鏡下手術では胸部食道手術、胆のう摘出、胃切除、結腸・直腸切除を行っている。

症例数

09年度の年間手術数は896件、うち開胸・開腹胸部食道亜全摘31件、胃切除術130件、腹腔鏡補助下胃除術27件、大腸・直腸切除術87件、腹腔鏡補助下大腸・直腸除術105件、肝切除術157件、腹腔鏡補助下肝切除13件、肝切除肝移植2件、胆道・胆管・胆嚢切除116件、腹腔鏡補助下膵頭十二指腸切除術22件、膵切除111件、その他95件。

医療設備

MRI、CT、ヘリカルCT、DSA、超音波、腹腔鏡下手術装置、内視鏡、PET、RI等。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

あらゆる呼吸器疾患に対応するために、各々の疾患の専門医が、呼吸器外科、放射線科、麻酔科、リハビリテーション科など関連各科と緊密に連携しながら高度で包括的な診療を行っている。本院は地域がん診療連携拠点病院にも指定され、肺癌に対する外来での日帰り化学療法にも力を入れている。また、喘息指導、禁煙外来、呼吸リハビリ外来などを通じて予防医学や管理医学の充実を図っている。

症例数

10年度の年間外来患者数は35,733人、入院患者数は643人。症例の内訳は、呼吸器感染症(気管支炎、肺炎、胸膜炎、肺結核、肺真菌症など)、腫瘍(肺癌、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫など)、喘息およびアレルギー性肺疾患(好酸球性肺炎、過敏性肺炎など)、慢性閉塞性肺疾患(COPD、慢性気管支炎、肺気腫)、びまん性肺疾患(間質性肺炎、膠原病肺、サルコイドーシス、過敏性肺炎など)、肺循環障害(肺塞栓、肺梗塞)、急性呼吸不全、慢性呼吸不全、睡眠時無呼吸症候群など呼吸器疾患全体を網羅している

喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)=重症度に応じて気管支拡張薬、抗炎症薬、抗アレルギー薬などを使い分け、症例によっては漢方薬治療も行っている。また気管支拡張薬やステロイドの吸入方法の実技指導やピークフローメーターを用いた自己管理の実際を細かく指導し、呼吸リハビリテーションや栄養指導も行っている

肺癌=呼吸器外科や放射線科との緊密な連携のもとに迅速な診断と治療を行っている。より正確な病期診断のために、PET-CTや超音波内視鏡などの最新設備を用いた検査を行っている。治療については、非小細胞癌の場合、I・II期とIIIA期の一部については手術、IIIA・IIIB期は化学療法+放射線療法、IV期は化学療法または最良支持療法を行っている。肺癌の手術適応は、呼吸器外科との詳細な検討を経て決定されるが、侵襲の少ない胸腔鏡手術を積極的に取り入れている。化学療法は呼吸器内科が中心となって行うが、占有の化学療法室を設置した日帰りの外来化学療法も充実している。しばしば問題となる肺癌の脳転移については、ガンマナイフによる非侵襲的放射線切除も多く行われている。院内には緩和ケア病棟も併設され、麻酔科、ペインクリニックなどと共同して治療にあたっている

びまん性肺疾患=画像診断、気管支鏡、肺生検を駆使した診断と治療を行っている。また、間質性肺炎の原因として重要な膠原病については、当院リウマチ痛風センターの膠原病専門医と連携しながら治療にあたっている。間質性肺炎以外にも、サルコイドーシスや過敏性肺炎などの紹介例も多い

慢性呼吸不全=在宅酸素療法および在宅人工呼吸を導入するとともに、呼吸理学療法士と連携して呼吸リハビリテーションを指導し、栄養士による栄養指導を行い呼吸筋力の増強を目指した包括的な医療を導入している

睡眠時無呼吸症候群=スリープスタディー(夜間の呼吸運動および動脈血酸素飽和度などのモニタリング)を外来でも施行し、原因を確認したあと、経鼻持続性陽圧呼吸法(CPAP)による治療や、歯科専門医作製による歯科装具を用いた治療を行っている

禁煙外来=週2回禁煙外来を常設し、専門医によるカウンセリングやニコチン置換療法を用いた禁煙指導を行い、予防医学の充実を図っている。

医療設備

X線(単純X線、ヘリカルCTなど)、MRI、核医学検査、PET-CT、気管支鏡、超音波内視鏡、胸腔鏡、ポリソムノグラフィー、呼吸機能検査、リニアックなど、大学病院として診療に必要な医療設備は整っている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

第1外科(呼吸器センター外科)

分野

呼吸器外科

特色

手術治療を要する呼吸器疾患を、第1内科(呼吸器センター内科)の協力のもと幅広く診療している。当施設は地域がん診療連携拠点病院でもあり、呼吸器系悪性腫瘍の治療に特に力を入れている。胸腔鏡手術を積極的に行っている。特に、小さい肺癌に対する区域切除(通常よりも肺の小さい単位で切除する)などでは、呼吸器外科医自らが手術前にCTから肺の気管支・肺動静脈分岐等の3次元画像をつくり、手術のシミュレーションを行っている。剥離を最小にし、術者間で手順を共有しながら手術することで、より低侵襲、より短時間の手術が可能である。この点は他の施設にない特徴である。心疾患、腎疾患、糖尿病などの合併症をかかえた症例が多く、これらの治療・管理にも習熟している。手術以外にも気管・気管支ステント、レーザー、EWS充填術などの気管支鏡治療、上大静脈ステント、気管支動脈塞栓術などの血管内治療も数多く行っている。

症例数

10年の呼吸器関連手術総数は266例で、内訳は肺癌102例、転移性肺腫瘍37例、縦隔腫瘍22例、自然気胸62例、膿胸15例などである。当施設では胸腔鏡手術が多く、268例(86.2%)が鏡視下手術であった

肺癌=手術が可能な場合、肺葉切除または肺摘除およびリンパ節郭清を第一選択とし、胸腔鏡手術を積極的に行っている。大動脈・上大静脈・左房など隣接臓器浸潤例には拡大手術(隣接臓器合併切除・再建)を行い、胸膜播種例には胸腔内温熱化学療法を行うなど、進行肺癌にも積極的に取り組んでいる。また、近年のCT検診の普及に伴い散見される小型肺癌には、厳密な症例検討とインフォームド・コンセントのもとに、区域切除や部分切除等の縮小手術を胸腔鏡下に応用している。当施設は併存疾患を持つ肺癌が多く、透析症例や間質性肺炎合併例にも積極的に手術を行うとともに、手術不能例や再発例に対しても、放射線治療や化学療法などを駆使した集学的治療を行う他、合併する気道狭窄にはレーザー治療やステント治療を、また上大静脈症候群にはステント治療を行っている

転移性肺腫瘍=原発巣(もともとの癌の出どころ)あるいは他転移病変がコントロールされており、短期間に新たな転移がみられない症例を手術対象としている。さらなる転移病変が現れる可能性があるため残存肺機能を重視し、原則胸腔鏡下肺部分切除を施行している。より中枢の血管系に近い腫瘍では、前述したCTから肺の3次元画像を作り、十分なマージンがとれる場合には気管支・血管系の解剖を詳細に検討し、胸腔鏡補助下に工夫した区域切除を行うことで、なるべく肺葉切除を回避する努力をしている

縦隔腫瘍=浸潤性胸腺腫や胸腺癌では積極的に隣接臓器合併切除・再建(上大静脈)を行っている。特に、胸腺癌では術前後に化学療法や放射線療法を併用した集学的治療に取り組んでいる。神経原性腫瘍や先天性嚢腫は、ほとんどが胸腔鏡下に摘出されている。悪性リンパ腫疑い例も胸腔鏡や縦隔鏡による生検を行っており、血液内科との連携で治療が行われている

自然気胸=虚脱の強い症例はまず持続吸引療法を行っている。再発例および空気洩れ持続例では、胸腔鏡下にのう胞切除術を施行している。高齢者にも積極的に手術をしており、顕著な肺気腫では術前胸腔造影(胸腔内に造影剤を入れ空気洩れ部位を同定)を行い、低侵襲化に努めている

その他=漏斗胸に対し、胸肋挙上術や胸骨翻転術、ナス法を施行し良好な成績をあげている。膿胸や外傷に対しても積極的に取り組んでいる。肺動静脈瘻や喀血症例では、血管造影検査とともに流入血管や気管支動脈の塞栓術などの血管内治療を積極的に行っている。

医療設備

MDCT、MRI、PET、各種シンチグラフィー、DSA、ガンマナイフ、温熱療法、レーザー、気管支鏡、胸腔鏡、縦隔鏡、気道ステント、血管ステントなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

心臓病センター・心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

当心臓病センターは、国内初の循環器専門施設である日本心臓血圧研究所として55年に開設されて以来、本邦の心臓血管外科学において重要な役割を担い、国内最多の手術実績を有している。新生児から高齢者まで、先天性心疾患、弁膜症、大動脈疾患、虚血性心疾患、不整脈、重症心不全等、あらゆる心臓・大血管疾患の外科治療を行っており、手術数は10年度で通算34,000例を超えた。各分野に豊富な経験を持つ層の厚いスタッフ陣を擁しており、長期遠隔予後の観点から、患者様にとって最も安全・確実・最善な治療法を実践している。また循環器内科・循環器小児科・麻酔科・臨床工学部・看護部と密接な連携を取り、医療安全とチーム医療に取り組んでいる。多数の手術実績と良好な手術成績は、世界的に高く評価されており、補助人工心臓、心臓移植、再生医療、複雑心奇形治療、弓部大動脈瘤のステントグラフト治療等の高度先進心臓外科治療で国内外の中心的役割を担っている。手術に際しては、わかりやすく丁寧な説明を行い、セカンドオピニオン外来にも対応している。 

症例数

年間手術例数は約500例であり、疾患別では先天性心疾患30%、弁膜症25%、大血管25%、虚血性心疾患10%、その他10%である

先天性心臓血管外科=新生児から成人先天性心疾患まで、幅広い心奇形に対する手術を行っており、ノーウッド手術、フォンタン手術等の難易度の高い手術を施行しており、手術成績も良好である。再生医療、同種組織移植等も積極的に行っている

弁膜症外科=通常の人工弁置換術はもとより、自己弁を温存した弁形成術、大動脈基部再建術(デイビット手術)、大動脈基部置換術(ベンタール手術)を優れた手術成績で多数行っている。僧房弁手術では形成術を積極的に行っており、心房細動に対するメイズ手術を合わせて行い良好な成績を得、再手術回避率は世界最高水準の成績を維持している

大血管治療=大動脈基部から下肢末梢血管までの人工血管置換術、バイパス術を施行している。弓部大動脈瘤や胸腹部大動脈瘤の難易度の高い手術を、多数、良好な成績で施行している。また、弓部大動脈瘤に対する高度なステントグラフト治療においても国内外の中心的な役割を担っている

冠動脈外科=動脈グラフトを中心とした多枝血行再建を全例心拍動下バイパス術にて施行し、良好な成績をあげている。糖尿病、血液透析など合併症を有する多数の重症例の治療実績がある

重症心不全治療=心臓移植認定施設であり、優れた移植成績をあげている。また当施設で開発した次世代型補助人工心臓EVAHEARTでは最多の治療実績があり、6年を超える長期補助や、在宅、就労復帰、就学復帰、結婚等の高いQOL(生活の質)を実現している。また心筋シートを用いた再生医療にも取り組んでいる。

医療設備

ICU、CCU、小児新生児ICU、シネアンギオ室、MRI、MDCT、心臓核医学検査、心エコー、人工心肺、PCPS(経皮的人工心肺装置)、補助人工心臓(体内植え込み型、体外式)、IABP(大動脈内バルーンパンピング)、セルセーバー装置、レーザーカテーテル抜去装置等を備えている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

腎臓内科

分野

腎臓内科

特色

腎臓病総合医療センター(腎内科、腎外科、腎小児科、泌尿器科および血液浄化療法科)における中心的な役割を果たしている。ほぼすべての腎疾患を対象に診療しており、腎疾患のみならず、全身的管理ができるような診療を基本としている。血尿や蛋白尿をきたす原発性あるいは続発性の腎炎・ネフローゼ症候群は約30%の割合を占める。その中でも、腎生検で診断されるIgA腎症、膜性腎症、ループス腎炎などが多い。腎センター専属の病理診断チームがある。遺伝性疾患である多発性嚢胞腎に対する専門外来も併設している。24時間血圧計による血圧管理および頸動脈エコーによるプラーク評価や脈波伝播速度を用いた動脈硬化の判定を行っている。血液浄化療法科と協力して、血液透析や腹膜透析の導入および管理を行っている。慢性腎不全に対する教育入院が約20%、透析導入が約20%、透析合併症による入院が約30%を占める。腎臓移植のグループと協力して、ドナー評価のための専門外来も行っている。全国から数多くの患者紹介を受け、腎臓専門医がその診断と治療を担当するとともに、病診連携にも力を入れている。

症例数

外来患者数は月間約3,500~4,000人、病床数42床、腎生検数年間150例、年間透析導入患者数は、血液透析約80人、CAPD約20人(外来通院患者数は、血液透析240人、CAPD 50人)

★IgA腎症は日本で最も多い腎炎であり、当科の腎生検による診断例の約50%は本症である。扁摘パルス療法を中心に、新しい免疫抑制療法および腎保護療法を行っている

★膠原病に伴う腎障害では、ループス腎炎が最も多い。ステロイド療法による副作用を軽減するために、血漿交換や免疫吸着を積極的に行い、プログラフによる治療成績も向上している

★慢性腎臓病(CKD)に対しては、教育入院によって、ステージ分類に応じた管理栄養士による食事療法と腎保護のための薬物療法を中心に、ライフスタイルに合ったマネージメントを行っている。特に、ハイリスク群に対しては生活習慣の改善、適切な降圧療法を指導している

★末期腎不全に対しては、腎移植を前提に、血液透析と腹膜透析の利点と欠点を説明し、30年間にわたる腎不全総合対策を実施している。透析合併症に対する対策も充実している

★腎移植に対しては、移植ドナー評価を中心に、内科的なアプローチを重視し、生着率の向上のために、移植チームと協力して診療を行っている

★当教室の病棟では腎臓小児科と一緒に診療しており、キャリーオーバーの患者に対して、小児期から成人に至るまで、一貫した治療システムを構築している。専属の超音波検査室があり、ドプラ検査を含めた腎泌尿器疾患に対して、専門技師が診断に協力している

★また、併設する血液浄化療法科とは医師の交流を密にし、臨床工学科の臨床工学技士と一緒に、新しい血液浄化療法の開発に従事している。透析ベッドは42床あり、患者のライフスタイルに合わせ、日に3回の透析療法を行うことにより、多様なニーズに対応している。さらに、多臓器疾患に伴う急性腎障害(AKI)に対する急性血液浄化に関しては、麻酔科や放射線科と協力して、ICUにおける総合診療体制を確立している

★高度先進医療として、先端生命研との共同研究で、腹膜再生医療にも取り組んでいる。

医療設備

透析ベッド42床、腎ドプラエコー、PWVやIMTの測定器、24時間血圧計、HDF対応機種、クリットライン、血行動態モニターなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

腎臓病総合医療センター・泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

世界有数の腎臓病総合医療センターの中心として、腎移植や透析医療はもちろん腎泌尿器疾患を幅広く診療している。治療は疾患群別に専門のグループが担当し、トップレベルの医療を行うよう努力している。最大の特色は、一般泌尿器科の分野に加えて、日本で最多の症例数を誇る腎移植術(腎移植の項参照)を積極的に行っているところである。医療スタッフの充実はもちろん、透析室、CAPD室、臨床生理機能検査室、移植免疫検査室、病理検査室などの医療設備を有し、緊急などいかなる事態にも即応できる態勢を有している。もう一つの特色は、腎臓癌を筆頭に前立腺癌や膀胱癌など癌症例が多いことである。その他、腎血管外科、小児泌尿器、泌尿器内視鏡、結石、男性不妊症、尿路感染症など専門分野が多岐にわたり、総合専門的な泌尿器科を目指している。

症例数

副腎腫瘍=年間40件近い副腎腫瘍切除を腹腔鏡下にて行っている。入院期間は3~5日である

前立腺癌=手術療法、ホルモン療法、放射線療法、化学療法などをバランスよく治療するための「前立腺腫瘍センター」を有し、すべての治療オプションをそろえている。手術はすべてda Vinciを利用したロボット手術ないし腹腔鏡手術であり、4~5日の入院である。放射線治療は小線源療法、強度変調放射線療法(IMRT)、高エネルギー放射線療法などほとんどの治療選択が可能となっている

膀胱癌=年間90~100例の治療が行われている。内視鏡手術が80例、再発率は約20%である。進行癌に対しては膀胱全摘除術(年間約10例)や抗癌化学療法を行う。患者のQOLを重視した尿路変更として現在、自然排尿型代用膀胱の作製を積極的に行っている。進行膀胱癌に対する膀胱全摘除術の癌特異的5年生存率は74.9%

腎盂尿管癌=腎尿管全摘除術を行っており、早期の場合(StageI、II)は予後良好である。手術を鏡視下直視下併用させた方法で行い、術後の疼痛軽減や入院期間短縮に努めている

腎癌=年間200例近い手術を行っている。鏡視下手術の頻度は年々増加しており、全体の60%を占めている。手術の基本は根治的腎摘除術であるが、腫瘍の大きさや占拠部位によっては腎部分切除術による腎機能の温存も選択される。また、下大静脈内腫瘍血栓を有する症例にも、積極的に切除術を試みて良好な成績をあげている。当科における腎癌の治療成績は5年生存率でStageI:100%、II:97%、III:70~80%、IV:30%。IFNやインターロイキン2(IL-2)などの免疫療法のほか、治療に抵抗性の腎癌に対してガンマ・デルタリンパ球注入療法や分子標的薬などの新しい治療法も積極的に行っている

精巣腫瘍=多くが進行性の症例で他院からの紹介が多いのが特色。95年から末梢血幹細胞輸血併用の超大量化学療法を組み入れた集学的な治療を行い、進行症例でも治癒できる症例が増え、約6割を救命できている

鏡視下手術=腹腔鏡を用いた内視鏡手術を副腎腫瘍や腎腫瘍、腎盂腫瘍などの癌手術をはじめ、ドナーの手術に対しても積極的に取り入れ、いわゆる患者さんにとって「最小の侵襲で最大の効果」という治療の概念に沿って治療法を選択している。当科にて学会により認定された腹腔鏡技術認定医が5人おり、安全な手術を心がけている

尿路結石症=外科的治療の中心は体外衝撃波結石破砕術(ESWL:年間250~300件)、経尿道的尿管結石砕石術(TUL:年間約30件)であるが、腎臓内の大きな結石やサンゴ状結石に対しては経皮的腎尿管結石破石術(PNL)も行い、各種治療を組み合わせてなるべく早期にstone freeになるように努めている

小児泌尿器疾患=腎臓小児科、母子センターと協力し、胎児、新生児に対する診療も行っている。腎尿路奇形に対する形成手術は専門チームがマイクロサージャリーなどを駆使して行い、良好な成績をあげている。これらの手術は、ほとんどが日帰りか2泊以内の超短期入院システムで稼働している。

医療設備

MRI、CT、DSA、ESWL、TUL、PNL、VLAP、TUR、TVR、経直腸エコー、軟性尿管鏡、軟性膀胱鏡、腹腔鏡セットなど、手術用ロボットda Vinci。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

腎臓病総合医療センター・泌尿器科(腎移植・腎不全・腎血管外科部門)

分野

腎移植

特色

当施設の特色は、腎不全に対し総合的治療を行えることにあり、小児から成人までのすべての腎不全患者に対し、透析から腎移植までの総合的ケアを行うことを目的としている。泌尿器科移植チームと腎内科、腎小児との密接な関係の下に治療を行っている。また、腎不全に伴う種々の合併症、ブラッドアクセス対策についても積極的治療を行っている。さらに腎血管性高血圧や腎動脈瘤など腎血管病変に対する治療に関しては、内科治療、血管内治療などを放射線科と共同して行うとともに、体外腎血管再建=自家腎移植を含め腎血管外科治療も積極的に行っている。ホームページアドレス:http://www.twmu.ac.jp/TWMU/Medicine/<KINKAI>RinshoKouza/094/Urology/index.html

症例数

腎移植=当腎臓病総合医療センターでは、71年の第1例目以来、約3,000例近い腎移植を行ってきている。泌尿器科腎移植チーム全体としては、本学、関連病院での症例を含め、年間150例前後の腎移植を行っている

★治療成績の特色:①腎移植治療成績は現在世界トップクラスにある。現在タクロリムス(プログラフ)、ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)などの使用により全体の腎移植成績は非常に向上しており、1年生着率は生体・死体腎移植を問わず97~98%である。さらに5年生着率は90%を超えており、10年生着率90%の成績である。また、現在、平均の拒絶反応発生率は10%前後と拒絶反応発生率の著しい低下が認められており、ほとんどの症例では拒絶反応を経験しないか、経験しても非常に軽症ですむことが多く、2週間前後で退院できている。②血液型不適合腎移植は可能であるばかりではなく、その成績は非常に良好であり、血液型同型例と比較し差を認めない。血液型不適合腎移植の成績は2年生着97%、10年生着率も90%前後と極めて良好で、拒絶反応発現率も10%前後と極めて低率となっている。この治療成績は欧米各国の国際学会でも発表し大きな注目を集めており、まさにこの分野では世界をリードしているといっても過言ではない。③抗ドナーHLA抗体の有無によるテーラーメイド免疫抑制の導入。最近われわれはLuminex(PRA)などの方法により非常に感度良く抗ドナー抗体の検出ができるようになってきている。これらの方法を用いてほぼ80%前後の確率で拒絶反応の発生を予知できるようになっている。このことは非常に重要であり、拒絶反応を起こしやすいグループの患者(PRA陽性)に対しては免疫抑制を強化し、PRA陰性の症例に対しては最低の免疫抑制で対応できるようになった。④内視鏡下ドナー腎摘出術によりドナーの入院期間は著しく短縮している。近年内視鏡手術の進歩によりドナー腎摘出術も、ほとんどの症例で内視鏡手術による手術が可能となっている。われわれは後腹膜鏡下ドナー腎摘出術という方法を採用している。この方法は、本来腎臓が位置する後腹膜腔と言われる空間から腎臓を取り出すため、ドナーに対する侵襲が非常に軽く理想的なドナー腎摘出手術と考えられている。現在までに泌尿器科腎移植チームとして1,000例近い症例に対し後腹膜鏡下ドナー腎摘出を行っており、安定した手術手技による安全な手術が可能となっている。手術前日に入院し、術後2~3日で退院しており、皮膚は特殊な方法で縫合し、抜糸の必要はないため術後2~3日でシャワーも可能となる。⑤免疫抑制剤を必要としない治療法(ドナー特異的免疫学的寛容誘導)の研究。泌尿器科腎移植チームでは、10年前より様々な方法を用いて、免疫抑制剤を必要としない治療法(以下、「ドナー特異的免疫学的寛容誘導」とする)の開発研究を精力的に行っている。本研究は文部科学省より2億円近い研究費の交付を受け、精力的に研究が行われており、基礎実験は、マウスでの臓器移植、さらには人への応用を前提としたサルを用いた実験を行っている。拒絶反応は起こさず、他の病原菌に対しての反応が保たれるという理想的治療法である。現在、基礎研究の段階であるが、次第に有望なデータが蓄積されつつあり、10年以内の人腎移植への臨床応用を目指し、日夜、精力的に研究が続けられている。

医療設備

MRI、CT他。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

産婦人科

分野

産婦人科

特色

当科は婦人科腫瘍を扱う婦人科と分娩を扱う母子総合医療センター母体・胎児部門(産科)の2つに分かれており、ベッド数は婦人科(24床)、産科(33床)である。婦人科手術では悪性腫瘍に対する拡大手術だけでなく、良性腫瘍に対する膣式、腹腔鏡下、子宮鏡下手術など低侵襲の手術療法も行われている。化学療法は原則外来で施行し、化学放射線療法でも可能であれば外来通院で行っている。母子センターは都内13カ所の総合周産期施設の一つとして、主として東京西部地域(新宿区、中野区、杉並区)の母体搬送や重症例を引き受けている。また当院には心臓病、糖尿病、腎臓病センターなど日本有数の施設があり、これら合併症患者は産科、婦人科を問わず紹介されている。その他外来では不妊治療、体外受精、更年期医療、思春期疾患(女性医療)、KSP(子宮頚癌診断外来)などの特殊外来があり、当院OBの先生方にも積極的にお手伝いを頂いている。

症例数

10年の産婦人科手術件数は約790件、広汎子宮全摘、傍大動脈リンパ節郭清など拡大手術を含む悪性腫瘍手術が約150件、腹腔鏡、子宮鏡などの低侵襲手術が約150件、帝王切開は約320件であった。分娩数は840件、総合周産期センターであり、帝切率は40%近くになっている。大学病院として婦人科、産科を問わず、多数の臨床研究および臨床試験が行われ、これに参加することにより良い治療を受けることも可能である

婦人科悪性腫瘍=当院では婦人科腫瘍学会専門医が3人、細胞診指導医が2人など子宮頚癌・体癌・卵巣癌・外陰癌の手術・化学療法・化学放射線療法など婦人科悪性腫瘍の診断・治療を得意としている。また稀な疾患ではあるが、絨毛癌や侵入奇胎の化学療法についても得意としている。病室数の関係から化学療法や化学放射線療法は外来で行うことが多く、入院期間の短縮を図っている

婦人科良性腫瘍=術前診断で良性と診断される卵巣腫瘍や子宮内膜症性嚢胞では原則として腹腔鏡下手術を行っている。また、粘膜下筋腫等では大きさにもよるが、子宮鏡あるいは膣式手術も積極的に行っている

不妊症・内分泌=症例に応じて体外受精など不妊治療を行っている。また先天性子宮奇形についても積極的に形成術などの治療を行っている

女性医学=閉経前後の更年期障害や骨粗鬆症など更年期専門医師が様々な悩みに積極的に対応している。また専属の更年期専門女性医師が診察する外来もあり、一度ご相談ください

周産期=都内13カ所の総合周産期センターの一つとして周産期医療に取り組んでいる。10年の分娩数は840件であり、心臓病、糖尿病、腎臓病センターなど日本有数の施設があり、これら合併症妊婦の取り扱いは日本有数の規模である。分娩件数は施設、人員から見ると限界に近いと思われるが、地域の周産期医療崩壊を来たさないように全員で頑張っている。

医療設備

PET-CT、MRI、CT、4D超音波など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

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小児科

分野

小児医療

特色

子どもの疾患のみではなく、子どもをとりまく環境・家族にも目を向け、思いやりのある包括医療を行っている。初診は15歳までの小児内科的疾患全般を対象としているが、成長発育過程での様々な問題に対応している。当科における神経疾患の診療研究は専門医が揃っており、多数の神経系の問題に悩む方が通院している。当院はセンター方式になっており、心臓病センターに循環器小児科、腎臓病センターに腎臓小児科、母子総合医療センターに周産期部門・小児保健部門、遺伝子医療センターがあり、各小児科が集合して小児総合医療センターを形成している。03年7月から総合外来センターが開院し、受診のしやすい1階に診療スペースが設置された。プレイルームや授乳室も充実している。隣のスペースでは小児外科が診療しており、ここでも連携を強化している。大学病院として、遺伝子診断などの先端医療を含む専門的検査や治療を行うことはもちろんのこと、日々成長発育していく小児を家族とともに総合的・全人的に見守ることを第一に考えて、パラメディカルスタッフと協力して毎日の診療を行っている。急増している子どもの心の問題や、その家族に対する支援(より良いかかわり方を一緒に考えることなど)に対応するため、小児専門の臨床心理士による心理外来を毎日行っている。また、反抗して困る、まばたきなどのチック、おもらし、何となく元気がない、落ち着きがないなどの、ちょっとした悩みの解決のための育児支援、さらには、学校に行けない、食べられないなどの相談にも応じており、児童精神専門医師による外来も行っている。大澤主任教授は、福山型筋ジストロフィーなどの筋疾患をはじめとする神経疾患の診療や遺伝相談などを専門としているが、いろいろな問題を抱える子どもの育児支援にも定評がある。小国教授は、小児神経疾患、特に小児てんかんの診療を専門とし、脳波検査などに基づいた、てんかんに関する臨床研究成果を数多く発表している。永木准教授は、てんかんなど神経疾患のほか、内分泌・代謝疾患の診療にも従事している。

症例数

09年度の初診患者数は2,993人(1日平均10人)、救急患者数は3,268人、通院患者延べ総数は39,719人(1日平均132人)であった

ミオパチー=筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、先天性・代謝性ミオパチー、重症筋無力症などの診療を行っている。遺伝子診断、筋生検も行う。「ひまわりの会」(筋ジストロフィー親子の会)を開催し、SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会に協力している

てんかん=年間の脳波検査は約3,000件に及び、点頭てんかんに対する少量ACTH療法、けいれん重積症の治療、光・図形過敏性てんかんの研究も行っている。長時間ビデオ脳波同時記録を用い、発作を分析して診療に応用している。難治性てんかんに対してケトン食療法や、脳神経外科と連携し、てんかん外科手術も実施している。てんかん専門医資格6人

重症心身障害児=てんかん、筋緊張異常、呼吸障害、嚥下障害、胃食道逆流などの合併症に対して、内科的治療に加え、小児リハビリテーション部門、小児外科との連携で治療・予防法を検討している。重症心身障害児(者)QOL(生活の質)向上懇話会を年に2回開催している

ミトコンドリア=生化学的、遺伝子学的、細胞生態学的に研究し、臨床に応用している。患者会も支援

小児精神=ADHD、自閉症などの発達障害、不登校、摂食障害、心身症、心因反応、小児うつ病などの診療にあたり、母子治療、家族療法、薬物療法、個人精神療法などを実施している。主に発達障害児を対象としたペンシルクラブを月2回、第2・4日曜日に開催している。遊びを通し、親子で学ぶ場を提供している。急増している心の問題のケアに対応するため、小児臨床心理士による心理検査・相談も毎日実施。常勤の心理士3人

小児保健=一般乳児健診のほか、ハイリスク児の発育・発達障害の早期発見、早期治療、発達支援によりQOLの向上を目指している。小児リハビリテーション部門と密接な連携をとっている

遺伝子研究=疾患の遺伝子解析や免疫組織化学などを行い、診療へ応用し、病因、病態の解明の研究をしている

内分泌=成長ホルモン分泌不全性低身長症、思春期早発症などを診療

糖尿病=小児例のほか、成人する症例が増加して、合併症予防・進行阻止のため他科と連携して診療している。サマーキャンプ、年長児に対するヤングキャンプにも協力している

アレルギー・膠原病=気管支喘息、アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー疾患、膠原病の診療を行っている。食物アレルギーに対しては負荷テストなども実施している。リウマチ痛風センターとも連携して治療に当たっている

在宅医療=ミオパチー、脳性麻痺児を中心に在宅人工呼吸療法、在宅酸素療法、経管栄養療法、中心静脈栄養療法などを指導管理し、必要な物品の提供を行っている。鼻マスク式人工呼吸管理35例

染色体=先天性奇形、染色体異常症の診療、療育、相談を実施している

血液・腫瘍=非常勤講師の指導のもとに診療を行っている。

医療設備

外来診察室12室、病床総数29床、電子カルテシステム。MRI、CT、SPECT、PET、各種超音波検査、脳波、長時間ビデオ脳波同時記録、筋電図、各種誘発電位検査、睡眠時無呼吸検査、筋生検、ミトコンドリア酵素診断、アミノ酸分析、筋ジストロフィー遺伝子診断、呼吸機能検査、各種アレルギー検査、内分泌負荷検査、心理・知能検査、小児心理療法、小児リハビリテーション部門。
  • セカンドオピニオン受入 △
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

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循環器小児科

分野

小児医療

特色

「至誠の心と愛」の理念のもとに、最高の医療を提供する世界のメディカルセンターを目指している。小児および成人の先天性心疾患を中心に、小児の心臓異常全般(川崎病、不整脈、血圧異常、心筋疾患など)について、診断、生活指導、遺伝相談、心カテーテル治療を含む内科治療を提供。我が国はもちろん、世界でもトップレベルの心臓病治療施設として、広く患者が集まる施設となっている。「世界最高の医療、最も安全な医療」のスローガンのもと、安全管理の充実を図っている。カバーする年齢は、生まれる前の胎児期から始まり、新生児期、乳幼児期、小児期、青年期、成人期、中高年期まで網羅している。胎児の心臓検診・診断(胎児診断)や胎児不整脈治療も行っている。手術が必要な場合には心臓血管外科と協力する。成人先天性心疾患の妊娠では、母子センターと協力して妊娠継続と分娩について最良の医療を提供している。その他、循環器内科、麻酔科、母子総合医療センター、小児科、精神科、放射線科画像診断部など関連各科と連携して包括的医療を行っている。心カテーテル検査やカテーテル治療、不整脈治療にも力を入れている。小児や成人の心房中隔欠損に対するアンプラッツアー閉鎖栓によるカテーテル治療も行っている。

症例数

年間の入院患者数700人、外来患者総数13,100人、心臓カテーテル検査400人、治療カテーテル105人、電気生理学的検査ならびに治療50人、ペースメーカー植え込み・植え替え20人、心エコー検査数3,100人、胎児心エコー検査80人、経食道エコー検査80人

胎児心疾患部門=ハイリスクの母親の妊娠、スクリーニングで異常が疑われる胎児などで胎児心エコーを施行。母子総合医療センター産科と密接に連携している

新生児乳児心疾患部門=新生児、乳児患者の集中医療を実施。未熟児も母子総合医療センターNICUと密接に連携して診療している

小児心疾患部門=先天性心疾患、後天性心疾患を含む幅広い小児心血管疾患を診療

カテーテル治療部門=先天性心疾患に対するカテーテル治療分野では、我が国をリードする立場を保ってきた。07年から心房中隔欠損症に対するカテーテル治療を開始している

成人先天性心疾患部門=年々、成人先天性心疾患患者が増加し、循環器小児科入院患者の約30%が20歳以上となっている。循環器内科、心臓血管外科、産婦人科と協力して有機的な「成人先天性心疾患診療ユニット」を形成している

心エコー検査部門=通常の心エコー検査に加え、3次元エコーや、最新の組織ドプラエコーなども施行

非侵襲的画像診断部門=CTやMRI、核医学など非侵襲的画像診断が充実している

不整脈部門=①先天性の不整脈要因があって(心奇形がなくても)不整脈が起こる場合、②先天性心奇形にともなって不整脈が発生している場合、いずれの場合でも、胎児から高齢の患者さんまで幅広い年齢層の方を診療。不整脈の治療のカテーテルアブレーションの成績は我が国のトップレベルである。ペースメーカーチェック外来も実施している

遺伝相談部門=先天性心疾患や、染色体異常、結合織疾患、先天性不整脈要因などの遺伝子解析を実施。遺伝相談外来では、患者様やご両親に、染色体や遺伝子の異常について詳しくお話しする。

医療設備

循環器疾患の診断のための最新設備が備わっている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

腎臓小児科

分野

小児医療

特色

日本の大学病院のなかでは唯一独立した診療科として、小児腎臓病を専門に標榜しているのが当腎臓小児科である。すべての小児腎泌尿器疾患に対して、最善の治療が提供できるようにと79年に開設され、約30年の歴史を有する。その間、全国の大学病院や基幹病院から多数の医師が当科で研修し、小児腎臓病診療における指導的役割を果たしてきた。それに伴い、全国レベルでの病診連携システムが確立されており、全国から多数の難治性腎疾患患者が紹介されている。小児腎臓病診療には、様々な職種の医療従事者が力を結集して対応するチーム医療が必要不可欠であるが、東京女子医科大学病院内の各科(泌尿器科、腎臓内科、腎臓外科、血液浄化療法科、小児外科、小児科、循環器小児科、麻酔科など)・各部門(臨床工学部、医療安全対策室など)と密接な連携を取りながら、難治性疾患の治療にあたっている。

症例数

年間の小児腎移植症例数は15~20例、小児透析患者数は10~15例前後、外来患者数は約8,000人、入院患者数は約250人、腎生検の実施件数は約100件、そして各種血液浄化療法の実施件数は約150件である

★小児のあらゆる腎疾患(先天性腎尿路系疾患から腎炎・ネフローゼ症候群、急性・慢性腎不全)を一貫して診療できる体制にある。なかでも、慢性腎不全に対する腎移植、重症の腎炎・ネフローゼ症候群に対する血液浄化療法を駆使した治療、そして救命救急領域における急性血液浄化療法が得意分野である

★慢性腎不全の患者に対しては、従来、透析療法を経てからの腎移植が実施されてきた。しかし最近は、近年の安定した腎移植成績を背景として、また患児のより良い生活の質(QOL)の向上を目指して、透析療法を経ないで腎移植を行う先行的腎移植(Preemptive腎移植:PRT)を積極的に実践しており、移植例の約30%程度はPRTである。10年末の時点での小児腎移植症例総数は302例、また同病院の臓器移植チームの協力のもと、腎臓とともに肝臓にも問題がある患児(原発性過シュウ酸尿症や常染色体劣性多発性のう胞腎など)に対する肝腎複合移植も6例に行い、安定した成績を示している

★先天性腎尿路疾患(水腎症、後部尿道弁、膀胱尿管逆流など)の患者には、小児外科や泌尿器科内の小児泌尿器専門グループと協調して対応しており、適切なタイミングで適正な外科的・泌尿器科的治療が行われている

★急性腎不全、難治性ネフローゼ症候群(特に巣状分節性糸球体硬化症)、重症腎炎(特に紫斑病性腎炎)、そして急性肝不全(劇症肝炎)や、薬物療法では治療困難な川崎病などの重症病態に対して、持続的血液透析濾過療法、血漿交換療法、LDL吸着療法などの各種血液浄化療法を駆使した治療を行い、国際的な評価を得ている

★小児難治性腎疾患のなかで頻度が最も高い巣状分節性糸球体硬化症の病因・病態の解明および画期的な治療法の開発に向けて国際レベルの研究が行われている

★学校検尿による小児腎疾患の早期発見と診療にも腐心しており、東京都予防医学協会の腎臓病検診の専門委員として、検尿陽性者の正確な診断と適正な治療に努めている。正確な診断を行うためには腎生検が必要であるが、腎生検の手技は習熟しており、さらに腎生検病理診断カンファレンスを週1回開催して、適正な病理診断とその結果に基づく最良の治療に努めている。

医療設備

高度先進医療施設として、ほぼすべての設備が備わっている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

小児外科

分野

小児外科

特色

小児外科診療科は第2外科学講座(一般外科)内の独立した診療科で、順天堂大学小児外科の関連施設であると同時に、独自も日本小児外科学会認定施設である。女子医大の特色である各臓器別センター内の小児関連診療科、特に一般小児科、腎臓小児科、循環器小児科、母子総合医療センター新生児部門との密接な連携のもとに、小児総合医療センターが設立されている。また女子医大東医療センターでの小児外科診療も担当している。

症例数

最近5年間の年間平均新入院数(院内他科入院数は除く)は約250人、手術数は約350件であり、増加傾向にある。新生児手術数は平均約15件であり、食道閉鎖症、横隔膜ヘルニア、胃破裂・穿孔、十二指腸閉鎖症、腸回転異常症、腸閉鎖症、臍帯ヘルニア、腹壁破裂、水腎症などが対象疾患となっている。周産期母子総合医療センターが併設されているため、出生前診断率は高い。乳児期以降は、肥厚性幽門狭窄症、胆道拡張症、胆道閉鎖症、鼠径ヘルニア、停留睾丸をはじめとして、頭頸部、胸部、腹部、体表、泌尿生殖器などあらゆる疾患を治療対象としているが、特に腹腔鏡・胸腔鏡手術は20年以上の経験をもち、毎年全手術数の約20%が腹腔鏡・胸腔鏡手術となっている。肺嚢胞性疾患、横隔膜疾患、漏斗胸、肥厚性幽門狭窄症、胃食道逆流症、メッケル憩室、急性虫垂炎、鎖肛、ヒルシュスプルング病、胆道拡張症、胆道閉鎖症、胆嚢・脾臓・腎臓・卵巣疾患などは、胸腔鏡・腹腔鏡手術を第一選択としている。

医療設備

NICU、ICU、CT、MRI、PET、RI、超音波、内圧測定装置、24時間pHモニター、膀胱鏡、気管支鏡、消化器内視鏡、腹腔鏡・胸腔鏡、HFO、NO吸入装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

眼科

分野

眼科

特色

"総合外来センターがオープンしてから約10年が経過した。総ガラス張りの明るく開放的な外来センターで、三つの特徴を備えている。第一に従来分散していた大学のすべての外来をここに統合し、受付や会計を一本化してわかりやすく、少ない待ち時間となった。第二は、入院病棟を含めすべて電子カルテとなり、他の診療科と情報を共有することで、より安全で質の高い医療を提供し、カルテ開示も速やかに行えること。第三は、医療福祉・心理・遺伝・栄養・食事・薬などの各相談室や在宅医療支援推進室を置き、情報サービスをきめ細やかに行うことなどである。眼科の特色は、午前中は一般外来としてどのような疾患にも広く対応し、専門的には網膜硝子体、角結膜、ぶどう膜疾患を三本柱にしている。午後には、網膜硝子体、角膜、ドライアイ、緑内障、神経眼科、斜視弱視、未熟児網膜症、色覚について専門外来を開設している。いずれも高い専門性を保ちながら、女性医師が多いこともあり、患者さんと十分コミュニケーションがとれるソフトな診療を心がけている。 "

症例数

当科の11年の年間受診患者延べ総数は約5万人で、うち初診患者数約4,000人、年間手術件数は約1,000件であった。24時間体制で当直医が常勤して救急外来で対応しており、外傷や網膜剥離などに対する緊急手術が多い。白内障、緑内障などの手術も数多く、全身状態良好な方には日帰り手術で対応している

網膜硝子体=主任の堀教授が失明頻度の高い糖尿病網膜症の第一人者であることから、軽症から重症までのあらゆる手術を行い、その成果を学会や論文で報告している。近年は加齢性黄斑変性症に対する光線力学療法(PDT)の他、抗VEGF療法(ルセンティス・アバスチン)などの、難治性黄斑疾患の最新治療を行い、成果があがっている。また、裂孔原生網膜剥離、網膜静脈閉塞症などに対する手術治療を積極的に行っている

角膜・ドライアイ=高村臨床教授と篠崎講師を中心に診察にあたっている。角膜外来では多数例の経験から角膜ヘルペスに対する治療法を検討し、抗ウイルス薬を中心とした治療には定評がある。アトピー性角結膜炎、春季カタルなどの重症例には、当院皮膚科の協力のもと、最近市販されたシクロスポリン点眼薬の導入によりステロイド薬の減量、中止が可能なものも増えてきている。一方、ドライアイ外来は全国に先駆け20年以上前に設立し、現在500人が通院している。多くの治療薬の開発にも携わり、シェーグレン症候群による重症ドライアイに対しては涙点プラグや自己血清点眼を取り入れ、良好な患者満足度を得ている

ぶどう膜=失明頻度が高い様々なぶどう膜炎の診療をしている。豊富な経験から原因の診断精度が高く、早期治療がなされ、他施設から多数の重症ぶどう膜炎例が紹介されている。特に難病のベーチェット病は約200人が通院し、最新の抗TNFα抗体(レミケード)療法の導入などを手がけ、その治療法には定評がある。その他のぶどう膜炎に対しては副作用の強いステロイド薬の全身投与は極力行わずに、きめ細やかな局所療法だけで成果を出し、良好な視力を保持させている。高度な技術を要するぶどう膜炎合併の白内障・緑内障などにも手術を積極的に行い、患者信頼度は高い。最近ではエイズ患者や、臓器移植患者にみられる壊死性網膜炎に対して抗ウイルス療法と硝子体手術を行い、その成果を米国の学会、論文で報告している。

医療設備

白内障・硝子体手術装置、各種レーザー装置等、先端医療に必要な設備は整備。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

糖尿病センター眼科

分野

眼科

特色

糖尿病による眼合併症を専門に治療する我が国唯一の診療科である。内科との密接な医療連携を取り、十分な全身管理のもとに、最新の医療設備を整え、最高レベルの糖尿病眼合併症治療を実践している。日本眼科学会専門医制度認定研修施設。

症例数

治療法=糖尿病センターは東京女子医科大学の特徴であるセンター方式のなかで、糖尿病患者さんのトータルケアを目指して設立されたわが国の医科大学で唯一の診療部門。糖尿病眼科は糖尿病センターの眼科部門であり、外来・病棟ともに内科と一体となり、糖尿病網膜症、糖尿病性白内障、血管新生緑内障などの糖尿病患者さんの眼合併症の治療に取り組んでいる。外来では電子カルテとともに画像ファイリングシステムを導入して、蛍光眼底造影やOCT(光干渉断層装置)などの最新の検査機器のデータを瞬時に取り出して、詳細な病状をコンピューターの画面を使って説明することができるようになった。糖尿病網膜症には、内科主治医の内科的管理のもとに網膜光凝固や硝子体手術を中心に行っているが、最近では薬物療法を併用することで侵襲の少ない治療法を選択している。一方で、残された視覚を最大限に活用して、QOL(生活の質)の向上を目指すケアであるロービジョンケアや再生医療の開発にも力を入れている

成績=10年度の延べ外来患者数は約43,700人で、初診患者数は約1,500人。蛍光眼底検査は約550件、OCTや視野検査などは約8,300件、ヤグレーザーや毛様体光凝固等の外来処置は約470件にのぼる。10年度の病棟手術件数624件で、その内訳は白内障手術320件、緑内障手術14件、硝子体手術275件であった。糖尿病黄斑浮腫や糖尿病網膜症の難治例、血管新生緑内障の併発といった眼科的な重症例のみならず、心血管障害などをもつ全身管理の難しい症例や透析患者においても、内科とのチーム医療により最善の治療を施している。大規模臨床試験の結果からも、内科との協力を得て高血糖、高血圧および高脂血症を是正することにより、糖尿病網膜症に対する網膜光凝固を31~56%において回避させられることが示されている

手術・治療法の適応基準=白内障手術では、術後の視力改善のみならず、特に術前、術後の網膜症管理に重点をおき、術後に網膜症が悪化して視力が低下しないように十分に配慮している。白内障手術の入院においても、必ず内科主治医がつき、血糖管理をはじめとした全身管理を担当している。日帰り白内障手術は、内科主治医との連携のもとに患者の全身状態を考慮した上で適応を選択。網膜光凝固では、蛍光眼底造影を繰り返し行い、新たな血管床閉塞の出現に対し、必要最小限の病巣凝固を追加していく方法で、黄斑浮腫は早期に対応して合併症を少なく、増殖網膜症への進行を阻止している。視野狭窄や黄斑浮腫などの合併症を極力抑え、約8割において視力良好のまま糖尿病網膜症の鎮静化が得られている。硝子体手術では、最新の照明装置システムや硝子体内視鏡を用い、生体への侵襲や患者さんへの負担が少ない、23ゲージシステムを用いた無縫合硝子体手術を導入して、より安全で確実な手術治療を実践している。10年度の増殖糖尿病網膜症に対する初回硝子体手術において、術後矯正視力が0.1以上の割合は88%、0.5以上は57%、0.7以上は44%、1.0以上は25%であり、一方で手動弁以下となったのは3%であった。糖尿病黄斑症には、全身管理のもと病状に合わせて、薬物療法、光凝固、硝子体手術を選択している。糖尿病網膜症のみならず、糖尿病の眼合併症である角膜障害や、虹彩毛様体炎、血管新生緑内障、外眼筋麻痺(動眼神経神経麻痺や外転神経麻痺など)、視神経障害(虚血性視神経症や視神経乳頭炎など)に対しても、豊富な臨床経験から良好な治療成績をあげている

試験的な治療法=糖尿病網膜症に対する治療も、ステロイドや抗VEGF抗体の注射を併用する最新の治療法を積極的に取り入れている。また、日本糖尿病学会や日本糖尿病眼学会に協力して糖尿病網膜症の治療実績の客観的評価を行っている。

医療設備

レーザーフレアセルメーター、光干渉断層計、蛍光眼底カメラ、超音波画像診断装置、ハンフリー自動視野計、マルチカラーレーザー、ヤグレーザーなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科 

特色

耳鼻咽喉科、頭頸部外科疾患全般の診療を行っている。特に耳下腺腫瘍をはじめとする唾液腺疾患の診断・治療、研究に重点を置いている。頭頸部癌については、放射線科、形成外科と協力して集学的治療を行い、患者さんのQOL(生活の質)の向上に努めている。さらに中耳炎に対する鼓室形成術tと鼻内視鏡手術が多数行われており、在院日数の短縮に心がけ、教室の診療のもう一つの柱となっている。花粉症をはじめとする鼻アレルギーの治療は薬物治療の他、外来手術としてレーザー治療や高周波治療を積極的に行い、良好な成績を挙げている。高齢化社会に対応して、そのニーズの増加から補聴器の適合を週2回行っている。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医研修施設。補聴器相談医在施設。女性医師の多い教室でもあり、やさしく、きめの細かい診療が特色となっている。

症例数

1年間の外来患者数は約35,000人である。年間手術件数は800件。耳下腺腫瘍は年間平均80例、その他唾液腺手術は20例に施行している。中耳手術のうち鼓室形成術は50例、外来レーザー手術は90例。唾液腺以外の頭頸部腫瘍は60例、鼻・副鼻腔疾患180例。口蓋扁桃摘出術60例、喉頭手術40例

★耳下腺腫瘍は全国屈指の症例数を誇っている。良性では特に顔面神経の温存が大切である。吉原部長自験例は900例を超える。腫瘍の他、多くの唾液腺疾患(唾液腺症、木村病、IgG4関連のミクリッツ病、唾石、がま腫など)の診療にあたっている

★中耳手術は野中准教授を中心に多くの症例を手がけ、良好な成績を挙げている

★めまいに関しては、軽症の場合は外来通院で、症状の重い場合は入院加療としており、ENG検査、カロリック検査、重心動揺計検査等の検査とMRIにより、中枢疾患との鑑別を行っている

★突発性難聴は、高度難聴やめまいを伴う例で、患者様が希望された場合は原則入院加療としている。入院の場合、ステロイド薬、ビタミン薬、循環改善薬による保存的療法の他、症例に応じて高圧酸素療法を併せて行っている

★顔面神経麻痺は、重症例では仕事や家庭の事情などで入院困難な場合を除き、入院治療を勧めている。ステロイド薬、抗ヘルペスウイルス薬、ビタミン薬などの保存的治療が中心となるが、改善傾向のみられない場合は顔面神経管開放術を選択している

★鼻・副鼻腔手術は鼻ポリープ、副鼻腔炎を内視鏡下鼻内手術(ESS)を中心に行い、良好な成績を収めている。鼻アレルギーに対するレーザー機器は外来に2台、高周波凝固装置1台を設置しており、予約にて毎週行っている

★頭頸部癌については、放射線科とともに化学放射線療法を、また形成外科、外科と共同で舌癌、咽頭癌の切除後の再建を行っている。治療にあたっては、患者本人、家族との十分なインフォームド・コンセントに重点を置き、検査、治療法の選択を行っている。セカンドオピニオン(他施設から当科へ、当科から他施設へのいずれも)は自由に行って頂いている。推定5年生存率は喉頭ん80.6%、耳下腺癌76.3%となっている

★がま腫・のう胞性疾患である正中頸のう胞やがま腫、さらにはのう胞状リンパ管腫でOK432注入による硬化療法を積極的に行っており、良好な成績を挙げている

★喉頭疾患には喉頭癌の他、喉頭乳頭腫、声帯ポリープ、喉頭白板症、声帯麻痺(反回神経麻痺)などがあるが、ラリンゴマイクロサージャリーによる治療やレーザーを用いた治療を行っており、また声帯麻痺には甲状軟骨形成術を行っている。

医療設備

MRI、CT、PET他、核医学検査、超音波検査、各内視鏡、レーザー、ハーモニック・スカルペル、サージトロン、マイクロデブリッダー、高圧酸素治療、ガンマナイフ、IMRT。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

歯科口腔外科

分野

歯科口腔外科

特色

口腔癌、顎骨骨折、顎変形症、口腔粘膜疾患など種々の口腔顎顔面領域の治療を行っている。一般歯科では、特に心疾患などの全身的疾患を有する患者を多く診ており、患者さんのための安全で質の高い医療を行っている。口腔癌、歯科インプラント、歯列矯正、顎関節の各外来は専門医が担当している。

症例数

年間外来初診患者数は約3,800人である。外来患者の約50%が心疾患、高血圧、糖尿病などの全身的疾患を伴う患者であり、埋伏智歯抜歯などの外来小手術は約3,000例にもなる。10年度の入院患者数は年間約370人で、入院手術は約150例、そのうち顎骨骨折などの外傷50例、腫瘍60例で、そのうち舌・歯肉などの口腔癌は40例、嚢胞性疾患30例、顎骨骨髄炎・骨膜炎などの炎症性疾患50例、顎変形症20例、心疾患などの全身的疾患を有する患者や静脈鎮静下での入院下での抜歯は180例などである

口腔癌=当院は地域がん診療連携拠点病院に認定されており、がんセンターも設置されている。治療は原則として外科手術を中心に行っており、症例により放射線科と合同カンファレンスを持ち治療方針を決めている。インフォームド・コンセントをしっかり行い、患者さんの納得のいく治療をしている。広範な切除手術では、顎顔面口腔の機能と形態回復を考え、形成外科との合同でマイクロサージャリー(手術用顕微鏡を使って行う微細手術)による皮弁等による即時再建手術を行っている。頸部リンパ節転移に対して、術後1年間は2~3週間に1度の外来診察、2年目は1カ月に1度の診察を行い、頸部リンパ節転移の有無を定期的に超音波検査、必要に応じてCT、MRI検査を行い厳重な経過観察をしている。諸検査にて頸部リンパ節転移が疑われた場合は、速やかに頸部リンパ節郭清術を行っている。病期別5年生存率(Kaplan-Meier法、すべての他病死も含む)はStageI:92%、II:84%、III:61%、IV:47%で、病期の進行とともに低下している

★顎口腔外傷は450例で、そのうち顎骨骨折は45例、軟組織創傷300例、歯牙脱臼・破折105例である。交通事故などによる顎骨骨折では、他部の合併外傷も多く関連各科との合同診療を行い、常時救急処置と即時入院ができる体制を整えている。骨折手術には生体親和性のあるチタンミニプレートにて口腔内よりアプローチを行っているが、最近はプレート除去のための二次手術を必要としない吸収性骨接合材を用いた固定法も行い、治療期間の短縮と早期の社会復帰に努めている

★顎変形症は20例で、歯科矯正治療だけでは咬合と顔貌の形態の改善が得られない下顎前突症などに対して、外科的矯正術(顎を口腔内より切断し移動させる手術)を行っている。当科常勤の矯正専門医が術前、術後の歯列矯正を行うとともに手術にも参加し、良好な咬合と顔貌形態の改善が得られている

★顎関節症は年間350例。そのうち50例が顎関節脱臼で、ほとんどが顎関節症(300例)である。顎関節症の治療は主にスプリント療法、薬物療法、理学療法などの保存療法を主体に行っているが、約90%に症状の改善を得ている

★歯科インプラント(人工歯根)義歯は20年以上前から行っており、当科は日本口腔インプラント学会の研修施設に指定されており、専門医の育成も行っている。インプラント治療も進歩発展は目覚ましく、各種のインプラントシステム使用してきたが、現在はドイツ製のカムログインプラントシステムとXIVEインプラントシステムを主に使用しており、年間150症例のインプラント手術を行い98%以上が良好に機能している。また腫瘍、外傷による顎骨欠損に対しては高度先進医療が適用される。

医療設備

CT、MRI、PET、超音波診断装置、リニアック、レーザーメス他、大学病院として診療に必要な設備は備えている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

糖尿病センター

分野

糖尿病内分泌内科

特色

75年の設立後、全国医科大学唯一の糖尿病センターとして糖尿病の初期治療・教育、急性・慢性合併症の診断と治療を中心に診療を行っている。糖尿病センターとして内科・眼科医、コメディカルが一体となり、チームとして若年から高齢者まで、すべての年齢の糖尿病患者のトータルケアに努めている。

症例数

"外来診療では、糖尿病内科一般外来の他に、糖尿病眼科、小児・ヤング、CAPD外来を含む糖尿病腎症、フットケア、糖尿病神経障害、糖尿病妊娠、さらに遺伝外来などの専門外来がある。外来患者数は1日約420人、年間の初診患者数は約2,700人、定期通院患者数は約15,000人である

★外来は総合外来センターの3階にあり、内科12ブース、眼科5ブースでの診療、別にフットケア専用診察室がある。病棟は糖尿病センター4階、5階にあり、総病床数58床で、その他に透析ユニット5床がある。年間入院患者数は約1,200人である

★2型糖尿病患者の治療は食事療法を重視しているが、重症症例が多く、病態に応じて経口薬治療、GLP-1受容体作動薬やインスリン治療も積極的に行っている

★1型糖尿病は現在約2,000人通院しているが、インスリン頻回注射法ないしインスリンポンプによる厳格な血糖コントロールを目指している

★ステロイド糖尿病、膵疾患・肝疾患・内分泌疾患に伴う二次性糖尿病、MODY(maturity-onset diabetes of the young)・ミトコンドリア遺伝子異常などの遺伝子異常による糖尿病の症例も少なくない

★小児・ヤング外来には約700人の患者が通院しており、そのうち約100人は18歳未満である。15歳未満の小児糖尿病の80%が1型糖尿病であるが、最近では若年で発症する2型糖尿病患者も増えている。小児・ヤング患者には摂食障害など思春期・成長期特有の心の悩みもある。このため、心療内科医、ヤング糖尿病外来の内科医を含むグループミーティングを定期的に行い、同世代の患者同士の交流を育んでいる

★腎症外来では、顕性腎症後期、腎不全期の患者の治療を行う。これまでの血液透析導入患者は約1,300人、CAPD導入患者は約130人である

★神経障害合併患者は多く、有痛性神経障害の症例も少なくない。無痛覚症の発見のため、簡便な痛覚検査と足の診察を定期的に行い、神経障害性の足病変の早期発見・治療に努めている

★妊娠外来では、挙児希望の糖尿病婦人、妊娠糖尿病、糖尿病合併妊婦、出産後の糖尿病婦人の治療・管理を行う。血糖正常化、計画妊娠を目標に、内科医、産科医、眼科医、新生児科医、教育ナース、管理栄養士、助産師の緊密な連携によるチーム医療を実践している。64年(昭和39年)からの46年間で1,500人近くの分娩を経験している

★肥満・脂質異常外来も充実している

★足病変の予防教育・治療を行うフットケア外来は全国でも数少ない。フットケアでは、爪の手入れ、胼胝(タコ)、鶏眼(ウオノメ)の治療、感染症、静脈瘤、膿瘍、シャルコー関節、潰瘍・壊疽、閉塞性動脈硬化症などの診断・治療を行っている。また、靴の中敷・装具の処方、歩行解析、足底圧測定などを行い、足病変の予防も行っている

★糖尿病眼科は、内科医との緊密な連携のもと、糖尿病網膜症、白内障、緑内障などの診療を行っている。年間、光凝固は約1,800件、硝子体手術は約240件、白内障手術は約250件である。入院患者には内科と眼科の主治医が付き、万全な全身管理のもとに手術を行う

★遺伝外来では、院内遺伝子医療センターとの連携のもと、遺伝子異常が疑われる症例の診断・治療と患者やその家族に対する遺伝カウンセリングを行っている。 "

医療設備

センター独自のものとして、超音波、光凝固装置、硝子体手術装置、白内障手術装置、足底圧検査、サーモグラフィー、人工膵臓などを完備。血液透析ユニット5床を併設。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

血液内科

分野

血液内科

特色

血液内科講座として91年に独立し、長い歴史がある。外来では常時2~4人の血液内科専門医が診療できる体制をとっている。当科で扱っている主な血液疾患は、急性ならび慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、多血症、再生不良性貧血などをはじめとする種々の貧血、特発性血小板減少性紫斑病など、幅広い血液疾患である。病床数は無菌室を含めて31床。造血幹細胞移植は85年から行っており、白血病には血縁者間造血幹細胞移植ならびに骨髄バンクや臍帯血バンクを介した骨髄移植や臍帯血移植、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫には自家移植を適応と考えられる患者に対して行っている。入院患者に関しては、教授・准教授・講師による回診および定期的な症例検討会を行うことにより、個々の患者に対する最良な医療の提供を目指している。日本血液学会認定施設、骨髄移植認定施設である。分院として東京女子医科大学八千代医療センター血液・腫瘍内科がある。東京女子医科大学病院はがん拠点病院であり、血液腫瘍を含む癌診療全般に関する種々の業務・支援体制が確立している。

症例数

10年度の外来患者数は月当たり約1,500人、入院患者総数は年間約300人であった

★急性白血病に関しては、日本成人白血病研究グループ(JALSG)に属し、そのプロトコールに基づいた治療法を行っている。急性骨髄性白血病の治療成績は完全寛解率88%、4年生存率は43%、急性リンパ性白血病では完全寛解率95%、5年生存率57%である。高度先進医療として「造血器腫瘍細胞における薬剤遺伝子産物P糖蛋白の測定」を用いて白血病細胞の抗癌剤に対する感受性の判定を行い、抗癌薬の選択に役立てている

★慢性骨髄性白血病については、グリベックなどによる治療を行い、5年生存率100%と優れた治療成績をあげている。急性転化例には同種造血幹細胞移植を行っている

★悪性リンパ腫に関しては、造血器腫瘍専門病理医とのカンファレンスを行い、適切な診断のもと、治療法の決定を行っている。リツキシマブ導入後の治療成績は非常に改善し、高齢者においても生存期間の著しい延長がみられている。予後不良因子を持つ患者に対しては、自家末梢血幹細胞移植併用の超大量化学療法を積極的に施行し、5年生存率は74%と良好な成績が得られている。難治性の患者には適応があれば、治癒を目指して同種幹細胞移植も行っている。放射線科と連携して放射線同位元素を用いた新規治療法も導入している。生活の質(QOL:Quality of Life)を重視して、できるかぎり外来で化学療法を行っている

★多発性骨髄腫に関しては、年齢などの条件を満たす例では自家末梢血幹細胞移植併用の超大量化学療法を積極的に施行している。難治性症例については、サリドマイドやレナリドマイド、ベルケイドによる治療を取り入れている

★骨髄異形成症候群では、国際予後判定基準に基づき個々の患者さんに適切な治療を提供している

★再生不良性貧血に関しては、厚生労働省難治性疾患研究班(特発性造血障害に関する調査研究)に基づき、重症患者には免疫抑制療法と造血幹細胞移植療法を行っている。免疫抑制療法による7年生存率は87%と良好な成績が得られている

★造血幹細胞移植に関しては吉永健太郎准講師を中心に、骨髄バンクを介した非血縁同種移植や血縁同種移植、臍帯血移植、さらに自家末梢血幹細胞移植を積極的に行っている。10年度の造血幹細胞移植施行例数は16例で、同種造血細胞移植7例、自家末梢血幹細胞移植9例である。大学病院という特色を生かし、幅広い領域の血液疾患について、他科と連携しながら質の高い医療を提供できる体制をとっている。難治性疾患に対する新しい治療法や臨床治験による先端治療法の導入に積極的に取り組み、成績の向上を目指している。

医療設備

無菌室6室を含む病床数31室、CT、MRI、PET-CT、RIなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

神経内科

分野

神経内科

特色

脳卒中、認知症、多発性硬化症、末梢神経障害、パーキンソン病、不随意運動は全国でもトップクラスの症例数を診療しており、外来患者数は日本で最も多い。全国の大学病院の中でも、これまでに最も多くの神経内科認定専門医を輩出しており、在籍する脳卒中認定専門医数も大学病院中最多であり、日本神経学会と日本脳卒中学会の認定教育病院である。脳卒中、神経心理、神経免疫、神経生理、神経病理、末梢神経・筋疾患を専門とするトップクラスのスタッフが揃っており、神経疾患をオールラウンドに診療できることが特徴で、多数の救急神経疾患患者に最新の治療を行っている。関連各科との協力体制、病診連携、地域連携を積極的に推進している。

症例数

10年の外来患者受診総数は43,471人、内訳は初診5,848人、再診37,623人、入院患者数は344人。外来患者の主な疾患と症例数は、脳梗塞2,884例、頭痛431例、末梢神経障害1,732例、変形性脊椎症・脊柱管狭窄症1,110例、内頸動脈狭窄症・閉塞症1,156例、てんかん1,464例、めまい1,370例、認知症993例、パーキンソン病・症候群705例、三叉神経痛・後頭神経痛・舌咽頭神経痛435例、頸肩腕症候群411例、本態性振戦374例、片側顔面けいれん・眼瞼けいれん371例、筋疾患261例、多発性硬化症222例、意識消失発作256例、重症筋無力症171例、脳炎・髄膜炎・脊髄炎142例、痙性斜頸・ジストニア131例、脳腫瘍・脊髄腫瘍105例、脊髄小脳変性症103例、顔面神経麻痺92例、運動ニューロン疾患76例など。入院患者の主な疾患と症例数は脳梗塞138例、認知症11例、多発性硬化症27例、末梢神経障害57例、運動ニューロン疾患6例、パーキンソン病29例、脳炎・髄膜炎・脊髄炎8例、重症筋無力症13例、てんかん30例、筋疾患8例など

★脳血管障害は外来・入院とも最も患者数が多く、脳卒中急性期患者を積極的に収容しており、専用当番体制によりt-PA治療を行っている。脳卒中の一次予防、急性期治療、後遺症対策、再発予防のシームレスなトータルマネージメントを目指している。原因不明の脳卒中や若年性脳卒中について多くの患者紹介があり、各種検査を駆使して鑑別診断や病態解明に努めている

★認知症も非常に多く、詳細な認知機能検査や最新の画像検査を用いて、早期診断や病態解明に取り組んでおり、有効な予防法や治療法を検討している

★免疫性神経疾患は非常に多く、多発性硬化症や重症筋無力症は全国でも最も多くの症例を診療しており、血液浄化療法、免疫グロブリン大量療法、ステロイドパルス療法などの治療を積極的に行っており、良好な成績を得ている

★末梢神経・筋疾患もきわめて多くの症例を診療しており、慢性再発性多発神経根炎(CIDP)は全国最多であり、ギラン・バレー症候群の臨床経験も豊富で、これらの疾患の詳細な電気生理検査や神経・筋生検による精度の高い鑑別診断と治療方針の決定に努めており、最新の治療を行っている

★顔面けいれんやジストニアなどの不随意運動に対しては、ボツリヌス毒素療法やMAB療法などの先進的な治療を積極的に行い、良好な治療成績を得ており、いずれの治療例数も全国で1~2位を競っている

★パーキンソン病についてもトップクラスの症例数があり、ガイドラインに基づく適切な治療を行うとともに、難治例には入院・精査の上、様々な治療を試みている

★筋萎縮性側索硬化症などの難治性神経変性疾患の病態解明にも積極的に取り組んでおり、病診連携によるサポート体制を推進している

★てんかんや片頭痛などの機能性神経疾患も数多く診療しており、良好な治療成績を得ている。

医療設備

MRI、MRA、CT、3D-CTA、DSA、脳波、SPECT、PET、各種筋電図、末梢神経伝導検査、各種誘発電位、頸動脈超音波、経頭蓋ドプラ、経食道心エコー、下肢静脈エコー、FMD、各種血小板機能検査、神経・筋生検など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

トップレベルのスタッフをそろえ、スタッフではないが脊椎外科(100例以上)では佐々木寿之助教、小児外科(50例程度)では藍原康雄助教(米国小児外科専門医・内視鏡専門医)も活躍し、術前・術後の管理を含めて鬼手仏心で手術医療を行っている。毎年開頭手術などの手術件数は900例を超えている。ガンマナイフ(三叉神経痛・転移性腫瘍・難治疼痛・良性腫瘍などに徹底した合理的治療を行っている)360症例を入れれば、血管内治療を合わせて1,300例以上の手術件数をこなしている。この手術件数は欧米の一流施設に遜色ない。成績も他院手術後や困難症例が多いが、毎年未破裂脳動脈瘤100例(約2割が大型/巨大脳動脈瘤)の手術死亡率0%、後遺症2%でわかるように、良好な手術成績をあげている。

症例数

良性腫瘍=下垂体部腫瘍、髄膜腫、超神経腫瘍などを中心に、年間約200例の手術治療を進めている。下垂体部の腫瘍は約100例で経鼻的アプローチで顕微鏡と内視鏡の両方を用いる方法で、安全で確実な腫瘍摘出を行っている。特に成長ホルモン産生腫瘍においてはコルチナ治癒基準を98%以上満たす治療成績をあげている。また、術前後に関しては内分泌内科と密な関連を保ち、内分泌学検査ならびに補充療法で厳密なチェックと管理で治療を確立している。髄膜腫は発生場所や大きさによって治療戦略を選択している。とくに頭蓋底部で脳神経や血管系を巻き込んでいる腫瘍に対しては脳神経の走行を術前のMRIとガンマプランにて画像化し、神経損傷を最小限にとどめ、残存腫瘍にはガンマナイフによる治療を計画する集学的な治療法を推進している。聴神経腫瘍においては聴力温存と顔面神経の損傷を最小限にとどめる手技の確立とガンマナイフとの共同治療法を基本とした戦略で対応している。これらの腫瘍の摘出に際して脳主幹動脈が巻き込まれている症例では脳卒中グループとも共同し、バイパス術なども応用し、より安全な良性腫瘍の摘出術を推進している

悪性腫瘍=再発腫瘍も含めて全国から患者が集積されている。00年以来、術中MRIを用いてナビゲーション、モニタリングを十分行い、MRIで描出される病変の95%以上の摘出を行ってきた。現在までの5年生存率はグレードII、III、IVがそれぞれ89.8%、78.0%、13.2%とグレードIVを除いてトップレベルの成績をあげている。自家腫瘍ワクチンなどを併用して、さらにグレードIVの治療成績の向上を目指している

脳卒中=大型/巨大動脈瘤は血行再建術を併用し、良好な成績を収めている。モヤモヤ病、脳虚血などに対するバイパス術は年間70例行っており、ステントを用いた手術手技を開発した岡田教授のチームで開存率は99.1%である。また頸動脈内膜剥離術は年間50例で、後遺症は0.3%と全国随一の症例数と手術成績をあげている

脊椎・脊髄外科=腫瘍、変性性疾患など100例以上の手術例数があり、最近漸増している

小児脳神経外科=頭蓋咽頭腫、松果体奇形腫、視床下部グリオーマ、視床・脳幹部グリオーマ・髄芽腫・上衣腫などに手術・化学療法を行って、好成績をあげている。また、胚腫では髄液中の胎盤性アルカリホスファターゼの計測で、手術せずに化学・放射線治療で治癒を得ていることは特筆すべきである

機能外科=ジストニア・書痙に関しては平医師が第一人者であり、症例数、成績も抜群である。痙縮などに対するDREZtomy(後根侵入部切載術)、後根切除術、神経縮小術、難治性疼痛などの機能外科症例数も多い。てんかん外科に関しては、腫瘍に伴うてんかん焦点切除はもちろん、視床下部過誤腫の焦点凝固術、皮質形成異常の焦点切除術、ラスムッセン脳炎に対する半球切断術、側頭葉てんかんに対する選択的海馬扁桃体切除術を中心にガンマナイフ併用など新しい治療にも取り組んでいる。

医療設備

通常の脳神経外科機器はすべて揃っている。特に手術用顕微鏡は現在5台を保有しており、多数の手術に十分対応可能である。またガンマナイフ(モデルC)、術中MRI(日立0.3テスラ)、神経内視鏡に関しても最新の機器を揃えている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

放射線腫瘍科

分野

放射線科

特色

東京女子医科大学病院本院はベッド数1,259床、1日平均外来患者数約4,250人を誇る大病院。本院は放射線腫瘍科と画像診断・核医学科の2診療科を有している。電子カルテ、オーダリングシステム、フイルムレス診断など患者情報の電子化が導入されている。放射線腫瘍科は悪性腫瘍の放射線治療を行っている。高精度放射線治療が可能な外部放射線治療装置が3台と遠隔証線源治療装置1台が完備されており、十分なインフォームド・コンセントの上、治療を行うとともに学内倫理委員会の審査を通過した多くの臨床試験を行っている。また化学療法も積極的に併用し、EBM(科学的根拠に基づいた医療)に準拠した治療法を行っている。

症例数

外来業務を行い、年間約800人の癌患者さんの放射線治療に当たるとともに、治療後の経過観察を行っている

★対象疾患は脳腫瘍、頭頸部腫瘍、肺癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、悪性リンパ腫など多岐にわたっており、癌を切らずに治すべく診療を行っている。特徴的なのは、他施設と比較して脳腫瘍の症例が多いことである。また、最近は乳房温存術後や前立腺癌の症例が急増している。10年度の新患治療患者数は823例で、主な治療部位は脳・脊髄123例、頭頸部51例、肺・気管・縦隔64例、食道44例、乳腺160例、泌尿・生殖器192例などであった

★高エネルギーX線治療装置を3台稼働させるとともに、肺癌に対する定位放射線治療や脳腫瘍、頭頸部癌ならびに前立腺癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)を行っている。特に前立腺癌に対しては、IMRT、放射性ヨード永久挿入、高線量率組織内照射を行っており、これらすべての放射線治療のオプションを持っている数少ない施設の中の1つである。さらに、治療計画から照射装置の制御までオンライン化して治療精度の向上に努めている。03年7月からは高線量率イリジウムRALS照射装置を導入し、頭頸部癌、子宮癌、前立腺癌などへの外来での組織内照射や腔内照射を可能とした。

医療設備

高エネルギーX線治療装置3台、治療計画専用CT1台、治療計画用コンピューター15台、高線量率イリジウムRALS1台、ガンマナイフ(脳神経外科)1台など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

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