大阪公立大学医学部附属病院

専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

大阪公立大学医学部附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科

分野

消化器・一般内科

特色

カプセル内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)など最先端医療を駆使し、今まで難航を極めていた小腸の診断・治療では本邦最多の症例数を誇る。また、胃食道逆流症に対する内視鏡的治療は本邦最初の症例となった。さらに、治療困難な胃静脈瘤は放射線科IVRと共同で治療を行っている。炎症性腸疾患でも有数の基幹病院となっている。これらの先進医療を求めて他府県からも患者さんが紹介されてくる。内視鏡件数も年間1万件を遙かに超える。早期癌には内視鏡治療を積極的に行っている。その他、胆道膵管系を含めすべての消化器疾患を網羅している。消化管出血などの緊急例にも時間外オンコール体制で臨んでいる。また、癌死亡数の1/3を占める消化器癌の化学療法も手がけている。一方で、先進的医療に埋没することなく、患者さんの目線に立ったこころ豊かな医療を心がけている。

症例数

2009年の年間外来患者数約20,456人、入院患者数14,752人。病床数は46床で常に満床に近い。入院患者に占める消化器疾患患者は24.95%を占めている。09年の内視鏡総件数は11,190件で、全国大学病院中でも有数を誇る。そのうち治療件数は1,187件。上部消化管6,207件、下部消化管2,431件、ERCP 197件、カプセル内視鏡146件、DB小腸内視鏡385件、超音波内視鏡412件

悪性疾患=食道・胃・大腸の早期癌に対する内視鏡的粘膜下剥離術(ESD)は年間75件に達する。進行癌に対しては化学療法を、一部放射線科と協力し、放射線化学療法を行っている

食道疾患=食道静脈瘤は、09年には175例に内視鏡的硬化療法または内視鏡的結紮術を行い、再発予防のためアルゴンプラズマ凝固療法(APC)を追加し、良好な成績を得ている。胃食道逆流症に対しては、インピーダンス法、24時間pH・ビリルビンモニタリング、マノメーターによる内圧・運動機能、食道内酸還流による知覚過敏の測定を行い、病態把握に努めている。薬物療法以外に内視鏡的治療も積極的に行い、大半の患者で薬剤からの離脱に成功している。当科が本邦で最初の症例を手がけた。アカラシアで薬物療法に抵抗する場合は、内視鏡的バルーン拡張術を実施している

胃・十二指腸疾患=この部位に静脈瘤は少ないが、破裂すると致死的となる。カラードプラ超音波内視鏡を用いて予防的治療の必要性を判定し、放射線科IVRチームと協力してB-/RTOやPTOなどを行っている。消化性潰瘍はピロリ菌除菌療法の普及で減少したが、NSAIDs潰瘍は高齢化によりかえって増えている。内視鏡センターでは24時間オンコール体制で臨んでおり、09年では238例に止血術などの緊急内視鏡を実施した。機能性ディスペプシアは致命的な疾患ではないがQOLを著しく損ねる。24時間心拍モニタリングや胃排出シンチを駆使し病態把握に努めている。当科では積極的に漢方薬を用いて良好な治療効果を得ている

小腸疾患=カプセル内視鏡とDBEで可視できる領域になったが、両者を取り入れている施設は全国に数施設しかない。対象は、上部・下部内視鏡検査で原因不明の消化管出血がほとんどである。これまで突き止められなかった出血源が分かり、内視鏡的止血術の適応も多いので喜ばれている。狭窄がある場合は内視鏡下にバルーン拡張術を行っている

大腸疾患=クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を得意分野とし、患者数は全国でもトップレベルである。抗TNFα抗体による標的治療や白血球除去療法、ステロイドパルス治療、栄養療法などを積極的に行っている。また、消化器外科との連携もスムーズである。内視鏡的切除術は09年に559例実施した。

医療設備

施設:内視鏡検査台5、透視室2、回復ベッド6。機器:電子内視鏡、超音波内視鏡、カラードプラ超音波内視鏡、DB小腸内視鏡、カプセル内視鏡、CT、MRI、シンチ、PETなど。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

消化器外科(第1外科)

分野

消化器・一般外科

特色

食道、胃、大腸および肝胆膵を中心とした消化器疾患全般を扱い、特に癌については国内有数の患者数を誇っている。最近では食道癌、胃癌、大腸癌、消化管の良性腫瘍、食道裂孔ヘルニア、潰瘍性大腸炎、副腎腫瘍、肝胆膵疾患、脾臓疾患などに対し内視鏡手術を積極的に行っている。その他、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、鼠径ヘルニアなどの治療経験も豊富。多くの疾患でクリニカルパスを使用した術前・術後管理を行い、患者さんご自身が病気や治療のことを十分に理解したうえで安心して治療が受けられるように努力している。

症例数

年間の全手術数は約900例

食道癌=初診患者数は年間約90例、切除数は約50例。胸腔鏡、腹腔鏡補助下手術を積極的に取り入れ、術後合併症も少なく良好な治療成績を得ている。進行癌に対しては術前化学療法・化学放射線療法も積極的に行っている。また、東京大学医学科学研究所との多施設共同臨床試験として、標準療法不応食道癌に対するペプチドワクチン療法を行っている。5年生存率:Stage 0:97%、I:91%、II:72%、III:44%、IV:8%

胃癌=年間約190例で、そのうち手術例が約150例を占める。近年の傾向として腹腔鏡による低侵襲手術の割合が年々増加している。進行癌に対しては手術だけでなく、抗癌剤感受性試験に基づいた補助化学療法を実施しており、それらは外来化学療法センターにて行われており、QOLを重視した治療を実践している。胃癌腹膜播種に対する先進の治療法や遺伝子治療さらにはワクチン療法確立に関する研究も積極的に行っている。術後5年生存率:StageI:90%、II:70%、III:30~40%、IV:10%

大腸癌=年間約160例。内視鏡的切除が困難な早期癌や一部の進行癌に対しては腹腔鏡補助下手術を行っている。高度進行癌には化学療法、放射線療法の併用を行っている。5年生存率:StageI:95%、II:86%、III:65%、IV:20%。またクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に対しても、消化器内科専門医と協連携して治療に当たっており、腹腔鏡補助下手術も積極的に行っている

肝癌(転移性肝癌を含む)=年間約40例。術前肝予備能を的確に評価し、症例に応じた切除範囲を決定し肝切除術を施行。切除不能例には肝動脈塞栓療法、ラジオ波治療、マイクロウエーブ治療、エタノール注入療法とともに動注化学療法も行っている。切除例の5年生存率約30~40%

膵癌=年間約30例。CT、MRI、US、ERCP、PETや血管造影、超音波内視鏡検査にて早期診断に努め、根治的切除可能症例には膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術などを積極的に行い、切除不能例に対してもバイパス術、胆道ステント留置や術中放射線療法、化学療法を症例に応じて施行している。モノクローナル抗体による診断、免疫治療の臨床応用についても検討中である。治癒切除5年生存率約25%

胆道癌=年間約20例。胆嚢癌は早期診断に努め、根治性とQOLを重視した術式を選択、胆管癌については画像診断を的確に評価したうえで治療方針を決定している

鼠径ヘルニア=年間約30例。ほぼ全例に局所麻酔下の日帰り手術を施行しており、入院は不要。再発防止を重視した人工メッシュを用いている

★その他:食道、胃などの良性腫瘍(GISTなど)に対する内視鏡手術:年間約10例。食道裂孔ヘルニアに対する内視鏡手術:年間約5例。副腎腫瘍に対する腹腔鏡下副腎摘出術、血小板減少性紫斑病などに対する腹腔鏡下脾摘術が合わせて年間約10~15例。

医療設備

CT、MRI、DSA、PET、RI-SPECT、超音波など、いずれも最新の医療設備を設置。現在の病院施設は93年開業、18階建て、18階は特別個室病棟、当科病棟は15階。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

肝胆膵外科

分野

消化器・一般外科

特色

肝胆膵外科では、肝胆膵領域の悪性疾患(原発性肝癌、転移性肝癌、胆管癌、胆嚢癌、膵癌)や良性疾患(胆石症、胆嚢ポリープ、胆道拡張症、膵管胆道合流異常症)および後腹膜腫瘍などに対する外科治療を行っている。また、末期肝疾患や劇症肝不全に対する生体肝移植も行っている。これらの領域において最先端の治療法を導入あるいは開発し、内科や放射線科など他科との協力により個々の病態に応じた総合的治療体系の確立と実践を目指している。さらに内視鏡下手術やラジオ波焼灼療法、マイクロウエーブ治療、経動脈的治療など低侵襲治療も積極的に行っている。他臓器浸潤や転移を有する場合や合併症を有する場合でも、循環器外科や呼吸器外科とも連携して治療にあたっている。小児の重症肝疾患に対する生体肝移植は、小児外科と協力して行っている。患者さんに丁重な情報提供した後、十分な話し合いを行い、治療方針を決定している。また、各種検査、治療用クリニカルパスを積極的に導入、院内感染対策も重視した医療水準の向上を目指している。一方、紹介医やかかりつけ医との緊密な連携のもとに、当科での治療後も安心して治療を継続できるように配慮している。

症例数

現在までに、1,600例以上の肝切除術を施行し、過去3年間の肝胆膵悪性疾患入院治療患者数は600例以上。最近の肝切除術は年間約120例

★肝癌に対しては、肝切除術のみならず術前に内科や放射線科との合同カンファレンスによって治療方針を決定し、ラジオ波焼灼療法、マイクロウエーブ治療、肝動脈塞栓術や肝動脈内抗癌剤注入療法などの経動脈的療法、放射線治療および全身化学療法などを含めた集学的治療による治療成績の向上を図っている。肝機能不良例や大量肝切除例に対して、術前経皮経肝門脈枝塞栓術を併用することにより切除可能例が増加し、大量肝切除術の安全性が向上した。現在までに経皮経肝門脈枝塞栓術は約150例施行。なお、現在ほとんどの肝切除術が無輸血で行われている。一方、腹腔鏡下肝切除術を積極的に施行し、腹腔鏡下や胸腔鏡下マイクロウエーブ治療も病状に応じて行うなど、低侵襲治療にも積極的に取り組んでいる。肝細胞癌の主な原因である肝炎ウイルスに対するインターフェロンなどの抗ウイルス療法の併用によって、特にC型肝炎による肝細胞癌に対する治療成績が飛躍的に向上した。最近、B型肝炎による肝細胞癌例でも活動性肝炎の場合、抗ウイルス療法の併用により、治療成績が向上してきている。さらに限局した肝細胞癌であるにもかかわらず、肝機能低下による治療困難例に対する生体肝移植も施行し、肝癌患者に対する総合的治療体系の構築を目指している。全国における先進的治療の臨床試験にも積極的に参加し、常に最先端治療に取り組んでいる。5年生存率はI期80%、II期67%、III期58%、IVA期28%。C型肝炎関連肝細胞癌術後インターフェロン投与例の10年生存率は約80%に向上した。転移性肝癌に対しても積極的に肝切除術を施行。転移性肝癌の年間治療症例数は約25例

★胆管癌、特に肝門部胆管癌に対しても、術前経皮経肝門脈枝塞栓術を併用した拡大肝切除術からステント留置と放射線治療の併用療法まで、個々の病状に応じた治療を駆使し、治療成績の向上を図っている。化学療法も積極的に行っている。胆管癌、胆嚢癌など胆道癌の年間治療症例数は約60例

★膵癌に対しても手術と化学療法の併用による治療成績向上を目指している。膵癌の年間治療症例数は約30例。先天性胆道閉鎖症、原発性胆汁性肝硬変、ウイルス性肝硬変、その他の原因による肝硬変などの末期肝疾患や劇症肝不全に対する生体肝移植を施行している。

医療設備

CT、MRI、血管造影装置、DSA、超音波検査、PET、腹腔鏡下手術装置、内視鏡、ラジオ波焼灼療法装置、マイクロウエーブ凝固装置、手術用顕微鏡。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

気管支喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・肺癌を中心に、呼吸器関連学会の指導医・専門医を有し、呼吸器疾患全般に幅広く対応できる体制をとっている。確実な診断から、個々の患者のQOL(生活の質)向上を目指した適切な治療、運動療法を中心とした呼吸器リハビリテーション、さらに患者会を通じた健康維持までトータルに対応している。日本内科学会・日本呼吸器学会・日本アレルギー学会・日本呼吸器内視鏡学会認定施設。

症例数

現在、気管支喘息患者400人以上、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者300人以上、肺癌患者200人以上、間質性肺疾患患者100人以上が通院中である

★気管支喘息・COPDはアレルギー検査、一般肺機能検査、気道過敏性検査、運動負荷検査による肺生理学的評価に加え、誘発喀痰や呼気NO濃度測定などによる気道炎症の評価や高分解能CT(HRCT)検査などによる形態学的評価により、気管支喘息やCOPD患者の確実な診断や評価をしている。治療は、ガイドラインによる標準的治療に加え、個々の患者のQOL向上を目指し、最新の科学的なエビデンスに基づいた薬物療法や吸入指導に力をいれている。気管支喘息では、原点に戻り、個々の患者の喘息の誘引因子や増悪因子の原因を積極的に解明し、減感作療法やピークフロ-による自己管理と喘息発作時の対応などの指導に力をいれている。またCOPDでは20年の歴史のある2ヶ月間8回コースの外来呼吸器リハビリテーション教室での病気に対する理解と治療法に関する患者や家族教育、去痰法、リラクセーションや口すぼめ腹式呼吸法などの呼吸法の習得や栄養療法や運動療法の指導を行い好評を得ている。最近増加しつつある治りにくい慢性の咳嗽に関しても、本邦で多い咳喘息・アトピー咳嗽・慢性副鼻腔気管支症候群の確実な診断と、肺結核などの感染症や肺癌などの悪性疾患や逆流性食道炎などの鑑別診断も行い、原因に応じた適切な治療を行っている

★肺癌は縦隔腫瘍・胸膜中皮腫を含めは年間約150人の新規患者の診断、入院加療を行っている。診断はCT、MRI、PET、シンチなどの画像による病期診断と気管支鏡検査による確定診断を行う。気管支鏡検査は年間約500件、CTガイド下針生検約30件、更に呼吸器外科による胸腔鏡下肺生検による確定診断も行っている。IIIB/IV期の進行癌には抗癌剤による治療を行い、再治療例も含めると年間約200人の患者に抗癌剤治療を行っている。ガイドラインによる標準的治療に加え、臨床研究グループと共に新規抗癌剤あるいは新しい併用療法による臨床試験、治験も積極的に行っている。遠隔転移のない局所進行型のIII期の肺癌については、放射線治療科との共同で放射線化学療法、あるいは呼吸器外科による切除も含めた集学的治療により治癒を目指した治療を行っている。抗癌剤治療は短期入院及び化学療法センターでの外来治療が中心になっており、また緩和ケアも積極的に取り入れ患者のQOLの改善をはかっている

★間質性肺疾患では、胸部高分解能CT(HRCT) や気管支鏡による気管支肺胞洗浄(BAL)や肺生検(気管支鏡下肺生検や胸腔鏡下肺生検など)のよる診断やガリウムシンチなどによる活動性の評価、さらに運動負荷試験による病態評価により、個々の患者に適した治療を行っている

★睡眠時無呼吸症候群では、ポリソムノグラムによる診断と持続陽圧人工呼吸器(CPAP)による在宅治療を行っている

★低酸素血症を示す慢性呼吸不全患者では在宅酸素療法の導入と指導や、換気不全合併症例では在宅人工呼吸器(BiPAP)の導入と指導も積極的に行っている。また慢性呼吸不全患者を中心とする患者会(さわやか会)を後援し、患者教育、包括的呼吸器リハビリテーション、患者相互の交流、バス旅行なども好評を得ている。

医療設備

アレルギー検査(皮内反応)、一般肺機能検査(肺拡散能、Body box法などを含む)、気道過敏性検査、運動負荷検査、呼気NO検査、誘発喀痰検査、咳感受性検査(カプサイシン吸入検査)、気管支鏡検査、CT、MRI、PET、各種シンチ検査、エコー検査、CTガイド下肺生検、胸腔鏡検査、換気応答検査、睡眠時無呼吸検査、リニアック、ヤグレーザー、ガンマーナイフなど。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

すべての心臓・血管疾患を対象としているが、成人例の虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)、弁膜疾患、大動脈疾患が多い。手術成績の向上には内科医、麻酔科医の協力が不可欠との考えから、CCU、ICUとの緊密な連携体制のもと手術を行っている。手術適応は循環器内科医との協議のうえ決定し、確立された標準的な手術を行う方針をとっている。

症例数

最近3年間(2007~2009年)の症例数・治療成績:心臓・胸部大動脈疾患手術は451例(うち人工心肺使用体外循環下手術は410例)、腹部大動脈瘤・閉塞性動脈硬化症等の末梢血管疾患手術が185例、総手術数は700

★心筋梗塞・狭心症に対する単独冠動脈バイパス手術は緊急手術(23例)を含め142例で、手術死亡はなかった。重症多枝病変例が大部分であるが完全血行再建を目指しており、1人あたりの平均バイパス数は3.3本であった。遠隔成績に優れた動脈グラフトを多用しており、内胸動脈グラフトは緊急手術例を含めほぼ全例に使用し、橈骨動脈グラフト使用は47例であった。グラフト早期開存率は95%。心拍動下冠動脈バイパス手術施行例は22例

★弁膜症に対する単独手術は152例で、手術死亡は3例、死亡率は2.0%

★高齢者石灰化大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換手術症例が増加しており、最近の3年間では70歳以上(70-88歳)の石灰化大動脈弁狭窄症38例に手術を施行し、死亡は1例(死亡率2.6%)のみであった

★僧帽弁閉鎖不全症に対してはワーファリン投与を必要とせず、遠隔成績に優れた僧帽弁形成術に積極的に取り組んでおり、49例で施行した。前尖、前・後尖逸脱例でも良好な結果が得られており、僧帽弁閉鎖不全症では弁形成術を第一選択としている。心房細動合併例に対するメイズ手術は13例で施行した

★社会の高齢化とともに弁膜症・虚血性心疾患合併例が増加しつつあり、22例で弁手術と冠動脈バイパス手術を同時に行い、死亡は2例であった

★先天性心疾患については、心房中隔欠損症と動脈管開存症を中心に26例で手術を行い、死亡は成人の冠動静脈瘻破裂の1例のみであった

★大動脈弁輪拡張症に対するベントール手術は6例で死亡はなかった

★胸部、胸腹部大動脈瘤、大動脈解離などの胸部大血管手術は89例で(うち23例では心臓手術も同時に施行)、手術死亡は5例、死亡率5.6%。胸部大動脈に対するステントグラフト内挿術は20例、うち6例では手術侵襲の軽減、早期退院を目指して胸部大動脈瘤手術中にステントグラフト内挿を併用するハイブリッド治療を行った。また、下行大動脈瘤手術後の重症吻合部動脈瘤もしくは大動脈-肺交通症に対してステントグラフト内挿術を施行し良好な結果を得ている

★腹部大動脈瘤手術は131例で、死亡は破裂症例に対する人工血管置換の2例のみで、予定手術での死亡はなかった。また放射線科と協力して経カテーテル的ステントグラフト挿入術(血管内手術)を導入しており、23例で施行した。当院はステントグラフト実施施設認定を受けており、大動脈瘤の治療では全身状態に合わせた治療を選択することが可能である

★閉塞性動脈硬化症やその他の末梢動脈疾患に対する血行再建手術は64例であった

★ペースメーカー移植術は循環器内科で行っている。植え込み型除細動器の移植は内科との協力のもとに行っている

★静脈瘤に対する治療(硬化療法を含む)は近くの関連病院(高津病院)で行っている。

医療設備

心カテ室、血管造影装置、DSA、各種心エコー診断装置、血管内エコー、MRI、高速CT、三次元CT、心筋シンチ、PET、経皮的心肺補助装置、補助人工心臓装置。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

腎臓内科

分野

腎臓内科

特色

腎臓内科全般の診療をしている。糸球体腎炎・ネフローゼ症候群患者の腎生検と病理診断(光学顕微鏡、蛍光抗体法、電子顕微鏡)。ステロイド治療。難治性ネフローゼ症候群に対するシクロスポリン治療。IgA腎症に対する扁桃摘出術・ステロイドパルス治療。難治性腎炎や血管炎症候群に対する血漿交換療法。保存期腎不全の高血圧治療や代謝異常の治療。糖尿病性腎症・腎不全の治療、積極的にインスリン治療。血液透析導入。透析患者の合併症治療。カルシウム・骨代謝異常の治療。

症例数

外来月間約600~1,000人、病棟20床、腎生検年間95例、年間透析導入45人

★IgA腎症は日本で最も多い慢性糸球体腎炎であり、発症10年後に末期腎不全に至る率は約15%と報告されており、早期に発見し根治する治療が求められる。当科では、耳鼻科と協力して扁桃摘出術後にステロイドパルス治療を行っており、良好な根治成績をあげている(日本腎臓学会総会208年、2009年発表)。入院約4週間

★ネフローゼ症候群の診療では、当科で改良を加えた腎生検針を用いて安全な生検を行い、病理診断は病理部(若狭研一教授)とともに腎臓内科医が、光学顕微鏡、蛍光抗体法、電子顕微鏡の病理診断をしている。ステロイド、シクロスポリンを用いて最新の治療を行っている。ステロイド治療マニュアルを作成しており、合併症を完全に防止した治療を行っている。難治性ネフローゼ症候群では血漿交換治療、LDL吸着療法も行い成果をあげている

★膠原病にともなう腎障害では、腎生検診断後、リウマチ専門医と協力して治療している

★糖尿病性腎症は、近年もその患者数が増加している。その発症阻止と進展防止は今日の腎臓内科診療において非常に重要な課題である。当科では糖尿病専門医とともに診療をしており、糖尿病性腎症の初期より微量アルブミン尿の定期的チェックを行い、レニン・アンジオテンシン抑制薬(ACE阻害薬、ARB)を用いて発症と進展阻止の治療を行っている。糖尿病性腎症・腎不全の進行防止においては、高血圧治療とともに、血糖コントロール、とりわけインスリンによる血糖コントロールが重要であることを見出しており(Diabetes Care 2005)、インスリン治療を積極的に行っている

★腎不全の進行を阻止するために、最も多い合併症である高血圧治療に力を入れており、腎保護を考慮したACE阻害薬やARBを第一選択薬とした多剤併用高血圧治療で、至適血圧120/80未満を目指す治療を行っている。腎性貧血へのエリスロポエチン治療、カルシウム・リン代謝異常に対し最小量のビタミンD補充治療、クレメジンによる腎保護治療を行っている。減塩・減蛋白質の食事療法を管理栄養士の協力のもとに行っており、腎不全教育入院もしている(1‐2週間)

★透析導入にあたっては、保存期腎不全期に内シャントを造設し、当科入院のうえ人工腎部(武本佳昭准教授)と協力して行っている(入院約10日)。緊急透析にも対応している。透析患者の骨合併症(副甲状腺機能亢進症など)、血管合併症(ASOなど)の診断と治療では、入院したうえで治療方針を決めて、外科各科と連携して治療している。

医療設備

エコーガイド下腎生検(専用エコー2台)、腎血流エコー、各種血液浄化装置(血液透析、血漿交換、各種吸着)、動脈硬化症診断装置(Bモード超音波、コーリン社Form PWV/ABI)、骨塩定量装置(Hologic社QDR 4500、Stratec Pforzheim社XCT-960)。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

一般泌尿器科疾患全般と慢性腎不全に対して、常に最新の設備で最先端の治療を行っている。癌治療においては従来の外科的治療に加え、小さな傷のミニマム創手術を積極的に行い、術後回復の短期化に努めている。また、前立腺癌に対しての永久挿入密封小線源治療や、腎癌に対しての腹腔鏡手術や高度先進医療であるラジオ波焼灼術(RFA)等の非侵襲的治療も行っている。癌以外でも、難治性の間質性膀胱炎に対しては水圧拡張や高気圧酸素療法等の最先端の治療を行っている。さらに、社会的なニーズに対応し、男性更年期外来を開設している。腎不全治療に関しては透析患者のシャントトラブルや手根管症候群、ばね指に対する日帰り手術を行っている。二次性副甲状腺機能亢進症に対しても、クリニカルパスを用いた短期入院手術治療を行っている。腎移植に関しては、高齢者移植を始め、夫婦間移植や血液型不適合移植、糖尿病患者への移植にも積極的に取り組んでいる。

症例数

★腎移植は当施設では86年から現在までに約200症例以上の腎移植を実施しており、良好な成績を収めている。特に最近の免疫抑制の進歩とあいまって、2001年以降の生体腎移植の成績は、2010年3月末現在で生着率、生存率ともに100%と優れた成績を収めている。また、ドナー(腎提供者)の腎臓摘出には安全性を最重視しつつ、かつドナーの術後疼痛が少なく、美容的な面でも傷の目立たない、最先端の「内視鏡補助下小切開ドナー腎摘除術」を行っている。内視鏡を入れる穴が数カ所と腎臓を取り出すための約7cmの小さな切開創での手術なので、術後の痛みも少なく手術の翌日から歩行が可能となり、退院までの期間も術後1週間程度となっている

★透析療法における当科の歴史は古く、66年から人工透析室を開設している。現在では主に外科治療を中心とした慢性腎不全の診療を行っており、当院でのシャント手術の成功率は97.3%(1カ月以内の閉塞を失敗とした場合)。1年間の開存率は85.6%、3年75%、5年67.5%、10年52.2%となっている。また当院では年間20例以上の二次性副甲状腺機能亢進症に対する外科的治療を行っている

★前立腺癌に対してのこれまでの主な治療法は①ホルモン療法②放射線治療(外照射)③根治的前立腺全摘除術の主に3つから選択されてきた。当院ではこれまで一般的に行われてきた上記の3つの選択肢以外に「前立腺癌永久挿入密封小線源治療」と呼ばれる新たなる治療法を開始。最小限の入院で早期に回復し、速やかに通常生活に戻ることができ、10年後の転帰も良好で合併症頻度も他に比べ低いという治療法の利点がマスコミ報道、インターネット等により広く紹介されており一般に知られるようになった治療であるが、実施できる医療機関は限られている。また、外照射でも最新鋭の強度変調放射線治療装置(IMRT)を備え、癌部分へ放射線を集中して治療効率の向上と副作用の軽減を達成している

★EDに対する治療として、漢方薬による治療以外にバイアグラ、レビトラ、シアリス等の内服による治療も積極的に行っている。また男性更年期障害の患者に対して、男性ホルモン(テストステロン)値の低下を認める患者様にはホルモン(テストステロン)補充療法を施行し、効果をあげている。性機能障害は一般的に命にかかわる疾患ではないが、男性の生活の質に大きく影響する。悩んでおられる方は、一度勇気を出して受診されることをお勧めします

★男性不妊症に対する治療として、お薬による治療の他、ホルモン剤の注射による治療、精索静脈瘤に対する腹腔鏡手術や塞栓術を行っている。また人工授精、顕微授精を希望する患者様の相談も行っている

★女性の尿失禁や頻尿に対する診療も行っており、骨盤底筋体操、薬物療法、手術療法により良好な成績を収めている

★腎・尿管結石に対して当院では85年より、全国の国公立大学・公的病院で最も早く体外衝撃波結石破砕治療器(ESWL)による治療を導入し、これまでに約7,000人の患者の治療を行ってきている

外来診療=一般外来は月〜金の午前。仲谷教授=月・木を担当。専門外来=月〜金の午後、前立腺癌放射線治療外来=月、腎不全=火、結石=火、腎移植=水、神経因性膀胱=水・木・金、性機能障害=火午前と金午後。

医療設備

MRI、3次元CT、PET、血管造影装置、各RIシンチ、リニアック、断層装置、ESWL、高気圧酸素療法装置など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

泌尿器科

分野

腎移植

特色

当院泌尿器科では、末期慢性腎不全に対して1986年より生活の質と生命維持の面で最も優れ、生体恒常性の面で最も自然な腎代償療法である腎移植を可能な限り多くの方に、安全に行うことを目標としてきた。当科は末期慢性腎不全治療の一環として血液透析、腹膜透析にも積極的に取り組んでおり、西日本を代表する腎不全の総合治療施設であり、より質の高い腎移植医療が提供できる施設である。また、地理的にも大阪府のちょうど中心に位置し、交通のアクセスも良いことから、この近隣エリアの腎移植を中心とした腎不全治療を一手に引き受けている都市型の医療施設である

★腎移植は86年以来、年々増加傾向であり、総移植件数は200件(2010年2月の時点で206件)を超えた。2001年から2009年まで合計生体腎移植を89件施行しているが、生着率、生存率は100%である。2001年以降の症例にはハイリスクと考えられているABO血液型不適合腎移植や従来禁忌と考えられていた抗ドナー抗体陽性腎移植などより高度な医療技術が必要な難易度の高い腎移植も含まれている。特にABO血液型不適合腎移植ではリツキシマブを使用した脾摘回避プロトコールを近畿圏内で早期に確立した施設であり、また抗血液型抗体価が高値であるABO血液型不適合腎移植についても独自の免疫抑制療法を確立し、全例生着に導いている

★従来、腎移植が困難と考えられていた糖尿病性腎不全患者に対する腎移植や70歳を超える高齢者腎移植、夫婦間腎移植に対しても術前のきめ細やかな評価のうえ、積極的に生体腎移植を施行し、生着率100%を達成している

★その他、透析を経ない腎移植(先行的腎移植)を推進しており、患者の生命予後の改善に努めている。更に腎移植後、長期生着率、生存率100%を目指して、移植後のフォローアップ体制にも力を入れている。腎移植後の定期的なプロトコール生検を行い、慢性移植腎症、腎炎再発、ウイルス腎症などの早期発見を心掛けている。また、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満といった生活習慣病やメタボリックシンドロームへの対策、悪性腫瘍のスクリーニング検査を行っており、より安全で質の高い移植後QOL維持を提供できることも目標としている

★亡くなられたから腎提供を受ける献腎移植についても対応が可能な施設である。近年は全国的にドナー不足であり、献腎移植自体が日本全体で停滞している。2010年7月には臓器移植法案が改正され、脳死を含めた献腎移植症例の増加が期待されるが、献腎移植が増加した場合も、脳死下、心停止下腎摘出、その後の腎移植と全てのシステムに対応が可能であり、献腎移植における大阪府腎臓移植施設会議の世話役施設となっている

★イラストを多用した患者向けの腎不全治療の手引書「末期慢性腎不全に至った患者さんへ―治療法の手引き」(A4判27ページで無料)を作成し,明確で分かりやすい医療を提供することを心がけている。透析施設のスタッフ、患者会にも腎移植勉強会を積極的に行っている。要望があれば、透析施設でスタッフまたは患者を対象とした腎移植全般について院内勉強会を行う体制にある。

症例数

当施設では86年以来、現在に至るまで(2010年2月時点で)、生体腎移植術139例、献腎移植67例を行っている

★献腎移植は近年、全国的にドナー不足であり、日本全体で停滞している。献腎移植の減少に対して生体腎移植症例数は増加傾向で、00年以降は年平均10症例以上の生体腎移植術を行っている。生体腎移植希望患者が移植手術まで半年間待機することが必要な場合があり、現在、多数の腎移植件数に対応が可能となるシステムの構築を行っている。2001年以降の生体腎移植成績は前述の如く、生着率は100%である。生体腎移植ではクリニカルパスを導入して、術後2週間で外泊、3週間で退院している。また、ドナー(腎提供者)の腎臓を摘出する際には安全性を最重視し、かつドナーの術後の疼痛が少なく、美容の面でも傷の目立たない、しかも入院期間が短縮できる最先端の「腹腔鏡下ドナー腎摘術」を行っている。内視鏡を通す穴が数カ所と腎臓を取り出すための約7cmの小さな切開創をおくだけなので、術後の痛みも少なく手術の翌日から歩行が可能となり、退院までの期間も術後1週間程度である

★献腎移植については2010年7月には臓器移植法案が改正され、脳死を含めた献腎移植症例の増加が見込まれるが、当院は大阪府における有数の献腎移植登録施設であり、新規献腎移植登録を随時受け付けている。現在も約120人の患者さんが献腎移植登録を行っている

腎移植専門外来=水午後。

医療設備

MRI、3次元CT、血管造影装置、各RIシンチ、リニアック、超音波(血流ドプラー)、レーザー治療装置。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

整形外科

分野

整形外科

特色

診療面では最先端医療技術を駆使し、患者さん本位の診療を心がけている。整形外科領域のすべての分野に対応し、各専門クリニックの専門医が責任を持って診療にあたる。他大学、他研究機関との交流も活発に行っている。ホームページhttp://www.med.osaka-cu.ac.jp/orthoped/

症例数

年間手術件数約950件。入院ベッド数約80床

リウマチクリニック=関節リウマチの治療は大きく変化し、生物学的製剤の導入により、劇的に改善するリウマチ患者さんがたくさんみられるようになってきた。我々整形外科医は手術を主たる治療手段とするが最も良いのは手術せずに済むことである。エビデンスがしっかりしている薬物療法を生物学的製剤を含めて使いこなしている。現在日本で認可されている生物学的製剤は4種類であるが、合わせて300例以上に使用している。整形外科医が関節リウマチの治療を行う最大の利点は手術のタイミングを逃さないことであり、そのためには全身の手術が出来なければならない。我々のチームは、肩・肘・指・股・膝・足のすべての人工関節を手がけ、足ゆびの変形にも対処している。外来は木、金曜に延べ7人体制で開き、手術件数は年間約100症例。また、関連病院を含めてリウマチネットワークを構築し、開業医の先生方の所へ通院されている患者さんの診療のお手伝いもしている

手の外科クリニック=手関節の外傷や障害(舟状骨骨折、橈骨遠位端骨折、キーンベック病、TFCC損傷など)、手足の先天奇形(多合指症、裂手症など)、関節リウマチ(人工指関節置換術、手関節形成術、人工肘関節置換術、伸筋腱断裂再建など)、デュプイトラン拘縮、手根管症候群、肘部管症候群、胸郭出口症候群などを中心に年間約200件の手術を行い、コンピューター支援手術も積極的に取り入れている。先進医療(実費必要)として「実物大立体模型を用いた術前計画」を行える施設であり、上肢の変形治癒骨折の治療などに応用し正確で安定した治療成績をあげている。また、マイクロサージャリーの技術を用いた四肢再建外科、創外固定を用いた四肢骨の短縮・欠損に対する骨延長・変形矯正、四肢の末梢神経外科も併せて行っている。国内外でもマイクロサージャリーと創外固定による四肢再建の両方を行う施設は少ない

股関節・膝関節クリニック=変形性股・膝関節症、大腿骨頭壊死症、関節リウマチなど下肢の大関節(股、膝)の慢性疾患に対するトータルケアを行っている。人工股関節置換術症例数は年間100例で、患者さんの年齢、骨質を考慮しセメント使用の有無を使い分けている。最小侵襲手術(MIS)も積極的に行っており、皮膚切開が6~8cmと従来の半分以下で済み、皮膚、筋肉へのダメージが小さくなり早期の社会復帰が可能となる。比較的年齢が若く、変形の軽い患者さんには骨切り手術を行っている。大腿骨頭壊死症に対してはできるだけ人工物を使用せず、関節温存の骨切り手術を行っている。中でも大腿骨回転骨切り術は年間約15例で、大腿骨を切って回転させ壊死の部分を体重のかからない所へ移動、正常な骨の部分で体重を支えて関節破壊を防ぐことが可能となる。人工膝関節置換術は年間約90件、機種は様々な病態に対応して使い分けているが、膝関節のより生理的な運動を再現するためのセラミック製オリジナル機種も開発、臨床応用し、その有用性に関してエビデンスを得ている。股、膝人工関節でより正確な手術のためコンピューターナビゲーションシステムを導入している。術後感染の対策として手術室はクリーンルームを使用し、術者も宇宙服のような特別な手術着を着用し、感染率は0.2%程度。術後の痛み対策には硬膜外麻酔を併用し、スムーズなリハビリ導入ができ、術後1~2日での起立歩行が可能である。輸血回避のため股関節では術前に自己血を貯血、股、膝両方で術後回収式の自己血輸血をして輸血回避率はほぼ100%である

小児整形クリニック=先天性股関節脱臼、ペルテス病、大腿骨頭すべり症などの小児股関節疾患、先天性膝関節脱臼、習慣性膝蓋骨脱臼、膝関節拘縮などの小児膝関節疾患、先天性内反足、麻痺性足部変形疾患などの足部変形疾患、筋性斜頸、スプレンゲル変形、外傷後変形治癒などの治療に力を入れている。新しい先端医療の導入にも積極的である。たとえば、先天性股関節脱臼に対しては新しい牽引法や関節鏡視下整復術による低侵襲整復術、ペルテス病に対しては新しい骨切り術の導入や治療用自転車の開発、大腿骨頭すべり症に対しては3次元画像に基づく高度な技術を駆使した、正確かつ安全な手術治療法の開発・導入、下肢・足部変形に対するイリザロフ法という画期的な治療法の導入などである。小児の運動器疾患罹患患児に対して、成長・発達を念頭に置きながら、最良の運動器機能の獲得という目標に向かい、エビデンスに裏付けられた高度な医療を行っている

肩肘関節クリニック=肩関節、肘関節、上肢のスポーツ外来を開設している。投球障害肩、野球肘、テニス肘などのスポーツによる肩肘関節の傷害や関節軟骨損傷に対して保存治療、手術治療を行うほか、傷害予防や能力向上に関する医学的側面からのアドバイスも行っている。また、中高年者の肩の痛みの原因となりやすい五十肩、腱板断裂、インピンジメント症候群をはじめとして、反復性肩関節脱臼、動揺肩等の治療に関しても経験豊富である。MRI、CT、各種関節造影、超音波などの最新の画像によって得られた情報から総合的診断を行っている。特に肩関節疾患に対しては、手術侵襲の軽減による機能回復訓練の促進を目的に、肩関節鏡視下手術を行っている。鏡視下手術では最新の技術で治療を行い、入院期間の短縮が可能である。当院および関連施設における肩肘関節鏡視下手術件数は年間約300件である

脊椎クリニック=手術は年間200件程度。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、頸椎症性脊髄症、後縦靱帯骨化症、胸椎黄色靭帯骨化症、胸腰椎圧迫骨折後偽関節、側彎症、脊椎脊髄腫瘍など脊椎脊髄疾患全般に対する手術加療を行っている。地域の中核病院として難治症例や合併症を有する症例の手術依頼も多い。当クリニックでは、全国でもいち早く顕微鏡や内視鏡を用いた低侵襲手技を取り入れてきており、安定した手術成績が得られている。また、変形が強く固定術が必要な場合には、脊椎ナビゲーションシステムを導入して、より安全な手術を行うことができる。大学病院ならではの綿密な術前計画と手術適応の吟味によって、より良い手術成績が得られるように努めている

腫瘍クリニック=骨軟部腫瘍を診断、治療する専門外来である。まず診察と画像診断により腫瘍の局在を確認、必要であれば生検を施行し病理組織診断を行う。この結果から治療の必要性や治療方法を決定している。検査としては血液検査、X線検査、MRI、エコー、CT、シンチグラフィ、PETなどの最新鋭の機械を用いている。手術法は可能な限り患肢機能の温存(人工関節、人工骨、自家処理骨、血管付き自家骨移植、遊離筋皮弁など)を行っている。高悪性度骨軟部腫瘍に対しては腫瘍への感受性を増強させるカフェイン併用化学療法を行う。年間手術件数は約100件

スポーツクリニック=下肢を中心に膝関節、足関節などスポーツ関連障害を専門的に診察。スポーツ障害は使いすぎ症候群といわれるスポーツ障害(疲労骨折、ジャンパー膝、野球肘など)と、一度の大きな外力により生じる怪我であるスポーツ外傷(靭帯損傷、半月板損傷、脱臼など)に分類される。骨折より靭帯、腱、軟骨の損傷が多く、X線検査のみでなく専門的な徒手検査手技、MRI、CT、ストレス撮影などで詳細に診断し、手術療法は関節鏡視下手術を施行している。膝前十字靭帯損傷には、より正常な膝関節の再現のために解剖学的2ルート再建術を行っている。半月板縫合、半月板切除、離断性骨軟骨炎に対する骨軟骨柱移植等の手術を行っている

外来診療=初診は予約制。紹介元の医療機関等から地域医療連絡室を通じてご予約をおとりください。

医療設備

MRI、CT、骨塩定量(DEXA)、筋電図、術中モニタリングシステム、各種シンチグラム、PET、コンピューター支援ナビゲーション手術システム。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

小児科

分野

小児医療

特色

小児科という診療科の性格上、臓器別の専門性に偏ることなく、いわゆる全人的医療が実践できるよう心がけている。そのため、子どもの社会的背景や心理的特性をよく勘案することが重要と考えている。また、子どもの特性である“発達”という時間的視座をもって、年齢と段階に応じた対応と治療ができるよう配慮している。加えて、教育や保健行政などとも連携を密にし、多方面からのアプローチによって、疾患の治療に努力することを重要と考えている。入院患者は大阪市中央急病診療所の後送入院(月4回)や地域の開業医院からの紹介入院などプライマリケア疾患、感染症から、各スタッフの専門性を生かした高度医療を要する特殊疾患に至るまで、幅広い受け入れを行っている。また、小児外科、小児整形外科、耳鼻咽喉科、眼科、形成外科など関連他科との連携も重視している。大学医学部の附属病院という立場上、臨床的および基礎的研究も積極的に行い、小児医学ならびに医療の情報の発信源となれるよう努力している。

症例数

一般小児病棟は小児外科および小児整形外科との混合病棟(17階西)で42床を運用している。入院患者は悪性腫瘍、神経疾患など難治性慢性疾患の方が多数を占めている。周産期病棟では20床を運用(産科管理のMFICU3床を含む)している。そのうち6床のNICU(新生児集中治療ユニット)を含む17床は病的新生児、低出生体重児のための小児科専用病床となっている。外来では、初診、再診、専門外来(詳細は下記)を含め、8つの診察室で診療を行っている。大阪市および大阪府南部からの来診が多いが、専門性の高い分野では、近畿一円、中国・四国地方からも来診される

小児神経=てんかん、変性疾患、神経系感染症、発達障害その他幅広い範囲の神経疾患の診断、治療、生活指導を行っている。CT、MRIなど画像検査、脳波、聴性脳幹反応などの生理的検査に加えて、脳磁図(MEG)やポジトロンCT(PET)など高度技術による診断装置を利用している。スタッフすべてが、けいれん性疾患の薬物療法に関わる豊富な経験と知識を駆使して診療にあたっており、最新の薬物療法や外科的治療法など新しいアプローチにも関心をもっている。また、神経疾患の子どもの学校生活、社会生活を支援すべく様々な活動を行っている。特に在宅人工換気療法など重症児の管理の支援にも積極的に関わっている。また、専属の心理士が心理検査、カウンセリングに従事しており、発達障害の診断にも取り組んでいる

代謝性疾患=糖代謝異常(糖原病、ガラクトース血症など)、アミノ酸・有機酸代謝異常(フェニルケトン尿症、メチルマロン酸血症など)、リピドーシス、ムコ多糖症など、すべての先天性代謝異常の診療を扱っており、全国の医療施設から依頼される尿や血液検体の生化学診断を行っている。また、遺伝子解析による病態の解析を行うとともに、近い将来現実化するであろう遺伝子治療に向けて準備している。治療ではムコ多糖症に対する酵素補充療法や高フェニルアラニン血症に対するテトラヒドロビオプテリン(BH4)療法など最先端の治療を実施している。社会的活動も重視しており、諸種の代謝性疾患の患者会への協力(フェニルケトン尿症の会、日本ムコ多糖症親の会)や医学指導にも関わっている

血液悪性腫瘍=化学療法を中心とした小児の悪性腫瘍の治療を行っている。また、放射線療法や小児外科との連携のもと、手術療法にも関わっている。骨髄移植の経験例も相当数にのぼり、病棟では移植後合併症のコントロールをはじめとして、高度な管理体制を確立しており、最近は治癒率、寛解率ともに大いに改善がみられている。悪性腫瘍のみならず、血液疾患一般と免疫疾患(膠原病)も扱っている。他方、疾患の治療のみでなく、子どもの健全な発育をも鑑み、院内学級の教員やボランティアスタッフの協力のもと、教育的および心理的アプローチにも努力している

新生児=NICUでは、最新の医療機器を運用し、超低出生体重児をはじめとする未熟児医療と重症仮死児、感染症、先天異常など、その他の疾患に対する高度な治療を行っている。入院患者の多くは院内出生児であるが、大阪府の新生児相互援助システム(NMCS)の参加施設として院外出生児の搬送入院も承っている。周産期施設として産科との連携も良好で、毎週周産期カンファレンスを行い、常時専任の当直医がハイリスク分娩に立ち会っている。重症児や慢性疾患を抱える児が成長した後は、外来でのフォローや一般小児科病棟への入院で対処している

小児内分泌疾患(糖尿病、生活習慣病含む)=成長障害を中心に診療しており、正確な病態の評価と成長ホルモン療法の効率的運用に心がけている。下垂体疾患の他に、甲状腺疾患、副腎疾患、カルシウム関連疾患、性分化および思春期異常を扱っている。小児糖尿病の患者数は全国有数でセンター施設の一つとして、よりよい血糖コントロールに向けた最新のインスリン療法や糖尿病性合併症の予防に努力している。他の小児慢性疾患に対するのと同様、生活の質(QOL)を高めるべく、心理的アプローチを重視した患者教育を行っている。糖尿病キャンプの運営など、独自の患者会(杉の子会)の支援をするとともに、糖尿病協会を通じて活発な社会的活動を行っている。また、肥満、高脂血症など生活習慣病にも対応している

小児腎臓疾患=腎生検による組織診断に熟達し、ネフローゼ症候群や難治性腎炎に対してステロイド療法や免疫抑制療法を行っている。また、腹膜透析、血液透析による慢性腎不全の治療と管理を合併症の予防も含めて行っている。また、画像検査、機能検査による泌尿器科的疾患の診断にも努力している。その他、血尿、蛋白尿を主訴に外来を受診する患者は多数にのぼっている。ネフローゼの患者の会に対するサポートも行っている

小児循環器疾患=先天性心疾患と川崎病を中心に診療を行っている。X線検査、通常の心電図の他、超音波検査、ホルターおよび負荷心電図、MRアンギオ検査、核医学検査に加えて、心臓カテーテルを用いた造影検査を駆使して診断を行っている。心不全の管理や不整脈の治療も行っており、代謝異常、腫瘍性疾患、内分泌疾患などの他の診療グループの扱う疾患の心臓機能評価にも努力している

小児アレルギー疾患=アトピー性皮膚炎の治療は、患者個人の状況にあわせて生活の質(QOL)の向上を第一目的とし、軟膏療法、薬物療法、スキンケア、食事療法などを総合的に勘案して実施している。気管支喘息の治療では、自己管理レベルの向上を目指し、吸入療法や経口薬の運用方法などに関する患者指導に力を入れている。また、地域の保健センターで行われるアレルギー教室、その他、喘息キャンプや喘息児水泳教室などに対しても積極的な支援を行っている。研究面では呼気一酸化窒素濃度(eNO)の測定による気道過敏性の評価、唾液中コチニン測定による受動喫煙の影響などを調査している

小児消化器疾患=炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、肝疾患(ウイルス性肝炎)などを診療している。最新の診断法や、近年、疾患単位として確立されたシトリン欠損症などの新しい診断法の開発を手がけている。

医療設備

附属病院は特定機能病院として認定を受けており、あらゆる疾患に対し、最新の医学に基づいた医療を提供できるよう努力している。93年に新築された地上18階の病棟は1,000床の病床と1,000人の医療スタッフを有する西日本随一の規模で、大学病院としてふさわしい最新の設備が多数整備されている。また、大規模な中央臨床検査部門、栄養部、薬剤部を擁し、医師や看護スタッフとともに高度医療の推進に注力している。07年5月より、新システムの稼働が始まり、すべての医療情報が電子化された。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

小児外科(第2外科)

分野

小児外科

特色

外科的疾患を持つ子どもに対して全人的医療を実践し、心身の発達を援助することを医療姿勢とする。産科・新生児科・小児科および第2外科の各診療グループと連携して、小児外科および小児泌尿器科診療を行っている。出生前診断された症例については母体搬送し、産科で母体管理を行い、適切な分娩時期・方法を選択して出生後に迅速に外科治療を行っている。低侵襲治療を目指して胸腔鏡や腹腔鏡を用いた手術を導入している。小児悪性腫瘍に対しては、小児血液腫瘍科と連携し手術と化学療法を行っている。また、第2外科肝胆膵グループと共に小児生体肝移植を実施している。大阪新生児外科診療相互援助システム参加施設、近畿小児ストーマ・排泄創傷治癒研究会参加施設。

症例数

年間の手術件数は250~300例、このうち新生児は約15例である。鼠径ヘルニアは約130例で、ほぼ全例腹腔鏡下に行っている

★新生児症例は、直腸肛門奇形(鎖肛)・小腸閉鎖症・食道閉鎖症・横隔膜ヘルニア・消化管穿孔などの外科治療を行っている

★悪性腫瘍では、神経芽腫・横紋筋肉腫・肝芽腫・腎芽腫に集学的治療を行っている

★胆道閉鎖症、先天性胆管拡張症などの小児肝胆道疾患にも力を注いでおり、胆道閉鎖症の早期発見のためのスクリーニングを積極的に行っている

★鏡視下手術も鼠径ヘルニア・漏斗胸をはじめ積極的に行い、美容的にも満足いく結果を得ている

★小児生体肝移植では血液型不適合症例も経験しており、全例経過良好である

★ストーマを持つ患児や排泄障害のある患児に対しては、WOCナース(創傷オストミー失禁看護師)と連携して指導を行い、患児のQOLの向上を目指している

★手術死亡例は皆無である

諸冨=火・金。初診受付は午前9時~10時30分。紹介状はなくても可。

医療設備

CT・MRI・超音波、血管造影、リニアック、消化管内圧検査、pH検査。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

眼科

分野

眼科

特色

加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑円孔、黄斑上膜(網膜前膜)、網膜静脈閉塞症などの眼底疾患と緑内障、眼外傷を中心に、最新の検査機器や手術器具を導入して、最先端の医療を行っている。大阪市内、大阪府南東部、南大阪湾岸沿岸部、奈良県北部、時に和歌山県からの紹介が多い。

症例数

08年度の年間初診患者数4,097人、新入院患者数1,191人、平均在院日数11.6日、手術件数1,503件(外来手術を含む)であった。手術は木曜日を除く月曜日から金曜日まで週4日行い、緊急を要する手術は定期手術枠外で夕方以降に随時行っている

★特色の一つである加齢黄斑変性に対する光線力学的治療を04年10月より開始し、08年1月から12月までの1年間の治療件数は322件で、10年10月付の読売新聞によれば全国で5番目に多い治療実績を有する。最近では光線力学療法に加えて抗血管成長因子抗体等の薬剤を眼内に注入する治療法を多く行っている。治療計画立案に際しての眼底検査には、欧米で広く使用されている共焦点式走査型レーザー検眼鏡眼底撮影装置(HRA2)や光干渉断層計を使用している

★糖尿病網膜症の中でも糖尿病黄斑症、黄斑円孔、黄斑上膜(網膜前膜)、網膜静脈閉塞症には、目への侵襲の少ない23ゲージや25ゲージの細い器具を導入して硝子体手術を行っている。08年1月から12月までの硝子体手術件数は、314件であり、そのほとんどは23ゲージまたは25ゲージでの硝子体手術であった

★糖尿病網膜症では、増殖性糖尿病網膜症による硝子体出血および網膜剥離に対する硝子体手術、糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術を数多く行っている。また増殖糖尿病網膜症の硝子体手術では23ゲージや25ゲージの微細な器具も併用して、目に優しい手術を行っている

★網膜剥離に関しては、青壮年の症例では強膜内陥術を行うが、急激に発症する50歳代以上の症例では硝子体手術と白内障手術を行って後日人工レンズを再手術で挿入している

★緑内障では、ソフトウエアーの開発のめざましい光干渉断層計や、ハンフリー視野計およびゴールドマン視野計の結果を踏まえて手術の要否を検討している

★白内障は、内科的疾患を有する方や難症例の紹介が多く、現在すべて入院手術で行っている。白内障手術は小切開無縫合手術で行っており、08年1年間の白内障手術件数は913件であった。片目の手術で5~6日、両目の場合10日前後である

★眼外傷については、眼球打撲によって引き起こされる様々な鈍的眼外傷および異物の飛入などによる穿孔性眼外傷など、広い守備範囲を専門領域としている。鈍的眼外傷では、各種眼底造影装置による正確な病態把握と、外傷性低眼圧症ではレーザー治療さらには観血的手術を行っている。穿孔性眼外傷では緊急的に創の縫合を行うとともに硝子体手術などを行って視機能の維持に努めている

★加齢黄斑変性、中心性漿液性網脈絡膜症、網膜静脈閉塞症などの黄斑疾患に関しては火曜午後、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑症は水曜午後、緑内障は金曜午後の完全予約制特殊外来で担当している。

医療設備

HRA2、デジタル蛍光造影眼底撮影システム、光干渉断層計、眼底自発蛍光撮影装置、超音波断層検査装置、生体超音波顕微鏡、マルチカラーレーザー光凝固装置、単眼鏡レーザー光凝固装置、マイクロパルスレーザー光凝固装置、ヤグレーザー後嚢切開装置、光線力学療法レーザー装置、網膜電位図、多局所網膜電位図、視覚誘発脳波、ゴールドマン動的視野計、ハンフリー自動静的視野計、自動屈折計、大型弱視鏡、走査型レーザー検眼鏡、硝子体手術および白内障手術装置、23ゲージおよび25ゲージ硝子体手術器具等。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

耳鼻咽喉科・頭頸部外科全般の診療を行っているが、特に①真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術を中心とした中耳手術、外耳道閉鎖症・狭窄症に対する外耳道形成術、②頭頸部腫瘍の治療、③めまい疾患の治療、④耳鳴りの治療に重点をおいている。

症例数

年間手術件数は約400例。外来での日帰り手術は約300例

★中耳手術は、鼓室形成術、あぶみ骨手術、鼓膜形成術を行っており、鼓室形成術では聴力改善をより望める術式の改良を行っており、良好な成績を収めている。また、外耳道閉鎖症は手術が非常に困難で、手術による顔面神経麻痺の可能性が他の疾患に比べて高いこと、術後聴力の改善が思わしくないこと、術後外耳道の再狭窄が高頻度に認められることなどにより、手術が行われないことがほとんどであるが、当科では術式の改良により、手術による合併症の危険性の減少、術後再狭窄の防止、術後聴力の改善が得られるように、積極的に手術を行っている

★頭頸部腫瘍は年間約120例で、化学療法、放射線療法、手術療法などの治療方法をご本人の意思を尊重して治療をすすめている。放射線と化学療法を併用する放射線化学療法は良好な成績を収めている。口腔・咽頭など、術後に構音障害を及ぼす可能性の高い部位の手術においては、術前に化学療法を行うことにより切除範囲の縮小や手術の回避を試み、術後の構音機能および予後ともに良好な成績を収めている。特に舌癌に対する抗癌剤の動脈内投与については、高い根治率を得ている

★めまい疾患では年間約800例で、良性発作性頭位めまい症約200例、メニエール病約100~150例。メニエール病に対しては症例により利尿剤の種類を考慮することにより、より効果的な薬物治療を目指すとともに、難治例に対しては鼓室内ゲンタマイシン注入を行っている。良性発作性頭位めまい症では、浮遊耳石置換法とともに自宅にて行えるリハビリの指導を行っている

★耳鳴りの治療では、従来の治療法に加えて、TRT療法を行っており、カウンセリングを組み合わせることにより、良好な成績を得ている

★難聴に対しては薬物療法、補聴器のフィッティングに加え、両側の重度難聴の方に対する人工内耳手術などを行っている。突発性難聴に対してはステロイドの内服・点滴治療を基本として、LV治療(ラシックス・ビタミン療法)を行っている

★鼻・副鼻腔手術については内視鏡下鼻内手術が中心となっている

★嗅覚・味覚障害に対しては、嗅覚検査・味覚検査を行い、原因の検索をするとともに薬物治療を中心に治療を行っている

★睡眠時呼吸障害に対しては、自宅での睡眠における簡易無呼吸検査を行うとともに、まず生活習慣に関する指導を行い、次に外科的治療である手術の適応につき検討し、患者さんの希望により手術を行う。他には内科的治療であるCPAP療法(マスクを介し気道内に陽圧をかけ、気道の閉塞を防ぎ無呼吸を取り除く療法)を行っている

★言語障害に対しては、小児の言語障害が中心。言語発達遅滞、機能性構音障害の割合が高く、その他、口蓋裂や先天性鼻咽腔閉鎖機能不全症等の器質的な原因による構音障害の言語管理や吃音の相談も受けている



専門外来:めまい外来=月午後・木午前、中耳炎外来=水午前午後、腫瘍外来=月午後・水午前・金午前午後、難聴耳鳴外来=水午前、嗅覚・味覚外来=月午前、睡眠時無呼吸外来=水午後、アレルギー外来=木午前。外来診察は初診以外完全予約制。

医療設備

MRI、CT、PET他核医学、リニアック、超音波、各内視鏡、KTPレーザーなど

専門検査=聴覚検査(純音聴力検査、乳幼児聴力検査、語音聴力検査、中耳機能検査、耳管機能検査、内耳機能検査、後迷路機能検査、耳鳴検査、インピーダンスオージオメトリー、聴性脳幹反応、耳音響放射、補聴器装用のための検査、人工内耳のための検査など)、平衡機能検査(電気眼振図を用いた検査:眼振検査、温度刺激検査、視運動性眼振、指標追跡検査、赤外線CCDカメラを用いた眼球運動検査、重心動揺検査、足踏み検査およびVEMP検査など)、味覚検査(ろ紙ディスク法、電気味覚計)、嗅覚検査(基準嗅覚検査、静脈性嗅覚検査)、簡易無呼吸検査(自宅での検査)など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

診療については「患者第一主義」を基本方針に、すべての皮膚疾患の治療に当たっている。大学病院である以上、紹介患者が多く、難治例がかなりの割合にのぼる。西洋医学的薬物療法のみで軽快しない例も多く、従来の治療に加えて、食の養生、東洋医学的観点に基づいた治療を組み合わせて好成績を収めている。また、皮膚科の知識に基づいた外科的治療および皮膚悪性腫瘍の集学的治療、ならびに各種光線療法など高度先進医療を総合的に展開している。さらに、糖尿病患者をはじめ各種皮膚潰瘍に対する診断および治療、水疱症に対する研究室レベルまで踏み込んだ解析、各種アレルギー疾患に対する原因検査とアレルゲン除去などを精力的に行っている。

症例数

1年間の外来初診患者数は約4,600人、延べ患者数は約35,000人、病棟入院患者数延べ483人、手術件数約400件(全身麻酔および腰椎麻酔)。なお、皮膚科の入院ベッドは21床でおおむね90%程度の満床率である

アトピー性皮膚炎、汎発性(全頭)脱毛症=石井教授をはじめ小林准教授、水野講師などが中心となって外来診療を行っている。通常の西洋医学的な検査・治療で不十分な場合は、まず食の養生について徹底的に指導し、対症療法ではなく、体の中から治すことを心がけている。具体的には、毎日の食事表を記入してもらい、個別に何が良くて何が悪いのかを時間をかけて説明する。また、漢方薬も単にアトピーだからこの処方と言う単一的な処方ではなく、個々の患者の「証」に見合った処方を考慮している

遺伝性皮膚疾患=深井准教授は遺伝子解析の技術を駆使して該当疾患の治療に当たり、遺伝相談も担当している。遺伝性色素異常症のDNA診断も行っている

皮膚外科=加茂講師を中心に毎日担当医が診療を行っている。年間手術数は約320件(09年)。内訳は入院160件、悪性腫瘍80件(悪性黒色腫15、有棘細胞癌15、基底細胞癌14、乳房外パジェット病5など)、良性腫瘍40件、皮膚潰瘍17件、その他10件である

皮膚潰瘍=皮膚以外に病変がありながら、その診断が不十分なために悩んでいる患者さんは多い。そのためには、皮膚科の知識にとどまらず、関連領域に精通した専門的診断が重要である。動脈系、静脈系、膠原病、糖尿病など極めて複雑な原因を徹底的に分析し、関連各科および他院と連携しながら中西講師を中心に治療をすすめている

水疱症=鶴田講師を中心に、蛋白レベルまでの詳しい解析を行い診断している。難治例に対しては、従来の薬物療法にとどまらず、血漿交換療法なども行っている

接触皮膚炎・食物アレルギー・薬疹=アレルギー疾患は、原因を特定し除去することが重要である。曽和講師を中心に、皮膚テストを施行し原因検索に努めている。化粧品、金属、ヘアダイなどの「かぶれ(接触皮膚炎)」に対してはパッチテスト、食物アレルギー、口腔アレルギー症候群に対してはプリックテスト等を行っている。重症の薬疹は入院にて治療を行い、症状軽快後に皮膚テスト、内服テスト等を施行し原因薬剤の特定に努めている

★対外的活動:05年度は第4回女性のための抗加齢医学研究会、第8回日本アロマセラピー学術総会、10年度は9月に第61回日本皮膚科学会中部支部学術大会を主催、また10年前より皮膚科糖尿病循環障害研究会を立ち上げ、事務局を担当している。他施設との共同研究も積極的に行っている

★指導施設:日本皮膚科学会、日本東洋医学会、日本アレルギー学会の認定専門医研修施設である。

医療設備

スキャナ機能付き炭酸ガスレーザー、その他各種レーザー(Qスイッチ付きルビーレーザー、フラッシュランプ式色素レーザー、脱毛レーザーなど形成外科にて実施)、半導体レーザー、スーパーライザー、ABIフォルム、カーボセラ(人工炭酸泉)、ナローバンドUVB、PUVA、ダーモスコピー、指尖脈波計、血管エコー。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

血液内科・造血細胞移植科

分野

血液内科

特色

骨髄バンクおよび臍帯血バンクの認定施設として、造血器悪性疾患の根治的治療である同種造血幹細胞移植の適応疾患の拡大と、移植合併症の軽減による予後の改善を目指した先進医療を行っている。関連病院(大阪市立総合医療センター、大阪府済生会中津病院、大阪府済生会野江病院、府中病院、大阪鉄道病院、寺元記念病院、三好病院、四天王寺病院など)と協力(コンソーシアム)して、多くの血液疾患の診療を行っている。厚生労働省研究事業に参加し、多施設臨床研究を行う一方、難治性疾患に対する治療法の開発や治療に伴う合併症の軽減対策など、独自の先端的臨床研究も行っている。いちはやく新薬が利用できるように国際臨床治験に参加している。多職種のコ・メディカルスタッフと協力して移植サポートチームを結成し、同種移植患者さんのQOL(Quality of Life::生活の質)向上をめざした医療を行っている。患者会(市大HIKARI会)と協力して患者さんのための日曜セミナー開催や、ホームページ゛を通じて、白血病や悪性リンパ腫をはじめとした血液疾患の最新情報を発信している。

症例数

急性白血病、慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器悪性疾患と各種貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病などの良性疾患を含む血液疾患の診療を行っている。09年の血液内科外来新患者数は1,300人、血液内科病棟入院患者数は270人。入院患者の内訳は、急性骨髄性白血病40人、急性リンパ性白血病34人、慢性骨髄性白血病17人、悪性リンパ腫98人、成人T細胞性白血病19人、骨髄異形成症候群18人、多発性骨髄腫3人、再生不良性貧血7人、ドナー(骨髄または末梢血)30人

★同種造血幹細胞移植は09年12月までに280例(骨髄移植156例、末梢血幹細胞移植80例、臍帯血移植44例))を施行しており、年間30~40例施行している

★治療に関しては、エビデンスに基づいた標準治療と研究段階の最新治療を行っている

★急性白血病に対しては、日本成人白血病研究グループ(JALSG)の施設としてプロトコールに従い初期治療を行っている。急性白血病に対する治療は、寛解導入療法(寛解率は約80%)と地固め療法を原則入院で行っている。予後不良の急性白血病に対しては、同種造血幹細胞移植を行っている。同種移植後5年無イベント生存率は、急性骨髄性白血病52.5%、急性リンパ性白血病41.2%(標準リスク群では54.5%)

★悪性リンパ腫に対しては、標準治療であるCHOP-Rを初期治療として行っている(一部、HyperCVADなど例外もあり)。初回治療を入院で行い、その後は外来化学療法センターで通院治療を行っている。G-CSFの投与により感染症の予防を行っている。再発例に対してはサルベージ治療を行っている。予後不良例や難治例に対しては自家造血幹細胞移植や同種造血幹細胞移植を行っている

★成人T細胞性白血病に対しては、標準治療であるLSG15プロトコールに従って治療を行い、移植適応例には同種造血幹細胞移植を行っている。全国のコホート共同研究班(JSPFAD)に参加している

★慢性骨髄性白血病に対しては、分子標的療法(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ)で良好な成績を得ている。効果不十分な症例に対しては同種造血幹細胞移植を行っている

★骨髄異形成症候群に関しては、国際予後スコアリングシステムに基づき、予後不良例に対して同種移植を行っている。なお、同種造血幹細胞移植については、原則として若年者に対しては骨髄破壊的前処置を用いた同種造血幹細胞移植、高齢者(70歳まで)や臓器障害のある症例に対してはミニ移植(骨髄非破壊的前処置を用いた造血幹細胞移植)を行っている

★治療成績はホームページに公開している。治療成績の向上と患者さんのQOL向上のために多くの臨床研究を行っている

★外来においては、かかりつけ医と病診連携を積極的に行い、質の高い医療を目指している。

医療設備

造血幹細胞移植などの高度医療を行うための無菌病棟と血液内科病棟(無菌室18床、一般病室14床)。CT、MRI、PET、成分採血装置3機、全身放射線照射可能。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

骨・リウマチ内科(第2内科)

分野

リウマチ・膠原病内科

特色

リウマチ性疾患は筋骨格系を中心に多臓器障害を来す疾患であるため、炎症のコントロールとともに運動および臓器機能の障害防止を目標として、他科との連携を密に取りながらその中心となって総合的な治療を目指し診療にあたっている。大阪市内の唯一の大学病院として最新の医療の提供を心がけている。

症例数

外来通院中の関節リウマチ(RA)患者は700人、年間の紹介患者数も約500人を数える。どちらも増加傾向にあるため、治療により安定した場合は、病診連携を取りながら紹介元医療施設に日頃のフォローアップを依頼し、定期的に当科で専門医によるチェックを行っている。それらをあわせると管理症例は1,500人を超える。その他、関節炎を来す疾患、骨代謝異常を来す疾患を中心に強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、掌蹠嚢胞症やざ瘡に伴うSAPHO症候群、炎症性腸炎関連関節炎、RS3PE症候群、再発性多発軟骨炎、多中心性細網組織球症、全身性変形性関節症、骨パジェット病、線維性異形成症、続発性骨粗鬆症、骨軟化症、オクロノーシス、ヘモクロマトーシス、成人T細胞性白血病関連関節症をはじめSLE、混合性結合組織病、強皮症、皮膚筋炎、血管炎、CREST症候群、シェーグレン症候群、リウマチ性多発筋痛症、ベーチェット病などの膠原病類縁疾患に及ぶ多種多様なリウマチ性疾患の診療にあたっている。病床数は68床、治療抵抗性の重症例、多臓器の合併症を伴った症例が中心であるが、必要に応じて生物学的製剤の導入や自己注射指導のための短期入院、合併症精査入院も行っている

★RAの薬物療法では発症早期よりメトトレキサート(MTX)を中心とした抗リウマチ薬を使用し、さらに生物学的製剤の積極的な導入を考慮することにより、ほとんどの症例で寛解導入が可能となっている。RAに対するステロイド剤の全身投与は合併症を来している重症例に限定しており、必要最少量にとどめ、局所投与(関節内注射、外用剤)を組み合わせている。治療効果の判定には検査データのみに依存せず、関節機能障害を防止することを目標に腫張の改善に重きをおき、それぞれの関節の重症度を見極め局所的な変化を見逃さないようにしている。合併症があるため治療に制約を受ける症例についても常に最良の医療を提供すべく診療に当たっている。難治性進行性の関節破壊を来すが未だ治療法の確立していない多中心性細網組織球症などの特殊なリウマチ性疾患に対して骨粗鬆症治療薬であるが抗リウマチ作用、関節保護作用を持つビスフォスフォン酸を投与し著明な成果をあげている。またリウマチ性疾患治療薬について十分な知識と経験を持った薬剤師により服薬指導、副作用管理を行っている

★予後に影響する慢性期の合併症対策として続発性骨粗鬆症、動脈硬化症、睡眠障害、炎症や薬剤による耐糖能異常、脂質代謝異常、腎不全などに取り組んでいる。骨粗鬆症については全身性のみではなく、RAに特徴的で関節破壊に関与する傍関節性骨粗鬆症にも注目し、末梢定量CT(pQCT)を用いた関節近傍での骨病変の評価を行っている。RAでは動脈硬化の進行が促進されることを当科から世界に先駆けて報告したが、近年RAの生命予後規定因子として注目されている。超音波法や脈波測定により早期の動脈硬化性変化を見逃さないよう定期的な検査を行っている。SLEではもちろんのこと、RAでも合併症として腎機能障害は不可避の問題であるが、必要に応じて腎生検を含めた積極的な評価を行い、進行予防に努めている。充実した透析施設において血漿交換や白血球除去などのアフェレーシス療法も可能

★リハビリテーション科との連携により運動療法に加えて早期より作業療法士による障害予防のための教育に力を入れている。また自助具の利用、装具療法を積極的に取り入れADLの改善、関節負荷の軽減による変形の予防に努めている

★整形外科との連携により、術前術後のコントロールや合併症の管理なども行っている。また、外科的治療の適応決定を内科的立場から助言している

★社会的・経済的な問題に対してメディカルソーシャルワーカーのカウンセリングを行っている。以上のようにQOL改善を目指して全人的なアプローチを行っている。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

①当科の最大の特色は高度な手術治療技術である。1968年の開設以来、手術が最も難しいとされる頭蓋底部髄膜腫、頭蓋咽頭腫、聴神経腫瘍、大型下垂体腫瘍の外科治療に対して積極的に取り組んできた。これらの疾患においては神経機能を温存しながらの外科的な根治(治癒)を最大の治療目標としている。②脊髄脊椎疾患においては、教室開設以来の豊富な経験があり、現在では日本脊髄外科学会訓練施設として脊髄髄内腫瘍、後縦靭帯骨化症、頭蓋頸椎移行部疾患など、特に治療困難な疾患の手術を行っている。③脳血管障害については治療困難な脳動脈瘤、脳動静脈奇形などに対して、頭蓋底手術到達法と血管内治療を組み合わせた治療を行っている。④PET検査、脳磁図(MEG)、機能MRI、術中ナビゲーションシステム、術中蛍光診断装置、覚醒下手術、神経生理モニタリング設備など、最先端の診療技術、診療機器を用いて、すべての脳神経外科疾患に対して最良の治療結果を得ている。

症例数

2009年度年間手術件数は約360例で、他施設から紹介される治療困難症例が大部分を占める

★脳腫瘍(年間約130例)。当科は髄膜腫、下垂体腺腫、聴神経腫瘍、頭蓋咽頭腫を含めた頭蓋底外科手術の草分け的存在で、聴神経腫瘍では最近10年聞の術後顔面神経機能温存率は100%である。また腫瘍切除後の再発率が高いとされる頭蓋咽頭腫においても、経錐体到達法などの頭蓋底到達法を駆使した手術により、初回手術例での再発はほとんど認めていない。下垂体領域の腫瘍に対しては神経内視鏡技術を用いた低侵襲治療を行っており、安全な腫瘍摘出と早期の社会復帰を確立している。これまでに蓄積した頭蓋底外科手術にニューロナビゲーションなどの支援装置を組み合わせて、さらなる手術成績の向上に努めている。また、神経膠腫をはじめとする脳実質内腫瘍については、PET、機能MRI、MEG(脳磁図)など最先端の診断装置を使用して質的診断および脳の機能領域を同定、神経生理モニタリング、術中蛍光観察、覚醒下手術などを必要に応じて用いる事により機能温存を確保する手術治療を行っている。また術後の化学療法、定位放射線照射(SRS、SRT)との組み合わせにより、悪性脳腫蕩に対しても生存期間の延長を図っている

★脊髄脊椎疾懇においては、日本脊髄外科学会訓練施設として、特に高度な手術手技を必要とする脊髄脊椎疾患(年間約50例)を専門的に治療している。脊髄上衣腫の全摘出率(94%)は世界のトップであり、脊髄機能を温存した腫瘍切除を行っている。また、変形性脊椎症については前方到達法、後方到達法ともに最大の手術結果を得るため最新の手術法を開発し良好な結果を得ている

★脳血管障害、脳血管内治療(年間約70例)では、直達手術(クリッピング)不可能な治療困難動脈瘤に対し、血管バイパス術と血管内治療を組み合わせた治療を行うなど、外科手術と血管内治療を組み合わせた治療を積極的に行っている。また、血管内治療単独においても、血管内治療指導医、専門医をスタッフにそろえ、未破裂脳動脈瘤、頸部内頸動脈狭窄症などで良好な結果を得ている

★その他:顔面けいれん、三叉神経痛に対する微小血管減圧術では、これまで1例も大きな合併症はなく、良好な結果を得ている。

医療設備

3テスラMRI、機能MRI、PET、MEG、3D-CTA、DSA、ニューロナビゲーター、神経内視鏡、定位放射線治療装置(SRS、SRT)、神経生理モニタリング装置など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

神経精神科

分野

精神科

特色

精神科全般にわたる疾患について、薬物と精神療法による治療を行っている。摂食障害、社会不安障害、強迫性障害、パニック障害、児童精神障害の専門外来がある。その他、統合失調症、躁うつ病、うつ病、老年期の精神障害、認知症、身体疾患に伴う精神障害、職場不適応や職場に関係して生じる精神障害など精神疾患全般にわたり診察を行っている。さらに地域の精神科病院と連携し役割分担を行い、身体合併症の治療を優先的に行っている。

症例数

当科への新患者数は1日約10~15人、再診患者数1日200~250人、年間入院患者数総数約400人、平均在院日数約30~35日である。摂食障害については80年頃より数多くの治療経験と実績を持っている。摂食障害を「身体、心理、社会的要因が複雑に絡み合って発症する」とする観点からとらえており、精神療法、行動療法、認知行動療法、薬物療法などを併用して治療を行っている。外来治療が中心であるが、短期間の入院治療も受け入れている。社会不安障害や強迫性障害、パニック障害の専門外来では、薬物と行動療法や認知行動療法を中心に治療を行い、難治例に対しては短期間の入院治療も受け入れている。職業性ストレスによるうつ病などの治療や、職場介入等による環境調整を行っている。認知症の診断にSPECTを用いるなどの実績がある。児童は外来中心に、注意欠陥多動性障害などの診断と治療に実績がある。

医療設備

MRI、CT等の放射線検査、RI等の核医学検査、脳波、心電図などの生理学検査等。

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乳腺・内分泌外科

分野

乳腺・内分泌外科

特色

乳腺、甲状腺、副甲状腺、副腎疾患および内分泌腫瘍を対象としている。わかりやすい説明に基づく納得のいく治療を信条に診療を行っており、内科、形成外科、放射線科とも連携して治療を行っている。

症例数

乳腺疾患の手術は年間180例。そのうち乳癌は約150例で温存手術は64%である。また、センチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清の省略や低侵襲性治療も行っている。乳癌の内分泌・化学療法、放射線療法はエビデンス(科学的根拠)に基づく最適な治療内容を提示し、インフォームド・コンセントのもとに施行している。外来化学療法は化学療法センターにて癌化学療法認定看護師、専任薬剤師、臨床検査技師、医療ソーシャルワーカーなどの多職種によるチーム医療として行っている。乳癌の10年生存率は、StageI:89%、II:71%、III:55%、IV:25%

★甲状腺・副甲状腺疾患の手術は年間105例で、甲状腺癌の手術は63例である。また遠隔に転移例にはアイソトープ治療を、未分化癌に対しては最新の放射線・化学療法を行っている。バセドウ病や副甲状腺腫瘍の手術も行っている

★副腎腫瘍:年間約25例の手術を施行しており、うち90%は腹腔鏡下手術である。

医療設備

超音波、マンモグラフィ、CT、MRI、マンモトーム、RI、リニアック。

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放射線科・放射線治療科

分野

放射線科

特色

日本医学放射線学会の専門医が14人で、このうち3人は放射線腫瘍学会などの認定医となっている

★放射線診断部門では、医師は検査に立ち会い、疾患別に撮像プロトコルを設定、各科の要望に応えることができるように検査室で直接指示を行い、CT・MRI等はほぼ全例を読影し、依頼医に対して画像診断レポートを作成している

★血管造影部門では、他病院では困難な高度先進的IVR治療(門脈圧亢進症の治療、CTガイド下針生検や肺腫瘍および肝腫瘍に対するラジオ波焼灼治療、その他各種血管閉塞に対する開通術、大動脈ステント留置など)を実施している

★放射線治療部門では、2台の直線加速器による悪性腫瘍および良性腫瘍に対する放射線治療を行っている。直線加速器による頭蓋内病変に対する定位放射線治療や、食道癌、子宮癌等に対する小線源治療も行っている。各科とのカンファレンスを頻回に行い、EBM (evidence based medicine:科学的根拠に基づいた医療)に沿った最善の集学的治療が施されるように努めている。前立腺癌に対するヨード125を用いた組織内照射を06年12月より開始した。

症例数

★画像診断部門はCT は多列検出器CTを含む4台であり、MRIは高磁場(3T)装置を含む4台が稼働している。05年の検査件数はCTは約30,300件、MRIは約12,000件であり、大阪市立大学病院の医療を支えるインフラとしての重要な機能を担っている。インターベンショナル・ラジオロジー(IVR:画像診断装置を用いて行う低侵襲治療)の分野では、肝臓癌に対してカテーテル治療が年間約400例、経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)、経皮的エタノール注入療法(PEIT)が年間約20例施行されている。また、胃静脈瘤に対するカテーテル治療は年間約50例、下肢動脈閉塞に対する経皮経管血管形成術は年間約50例、大動脈瘤に対する経皮的ステントグラフト留置術が年間約20例行われている。その他、特殊な治療として、門脈圧亢進症に対する経頸静脈的肝内門脈静脈短絡術(TIPS)は年間約5例、肺癌に対する経皮的ラジオ波焼灼術が年間約20例、子宮筋腫に対する動脈塞栓術が年間約10例、圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術が年間約5例行われている

★放射線治療部門では、初診患者数は年間約800例であり、各種悪性疾患の進行度に応じて、治癒を目標とする根治照射から短期間の治療で症状緩和を目指す姑息治療まで、幅広く対応している。各診療科と密に連携し、肺癌での新たな化学放射線療法の多施設共同研究、頭頸部腫瘍における加速過分割照射などの新たな治療法の開発に力を注いでいる。また、血液疾患に対する全身照射、脳腫瘍に対する定位放射線照射、子宮癌・肺癌・胆管癌などに対する腔内照射などの特殊治療も積極的に行っている。さらに、ケロイドや甲状腺眼症といった良性疾患に対する治療も行っている。さらに、06年12月からは前立腺癌に対するヨード125のシードを利用した小線源治療を開始している。

医療設備

MRI、CT、CTアンギオ、シネアンギオ、乳房撮影装置、骨塩定量装置、リニアック、マイクロセレクトロンなど。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

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