専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

大阪大学医学部附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科

分野

消化器・一般内科

特色

00年の診療科再編により、大学病院特有の診療内容の分かりにくい第1~3内科という分別を撤廃し、各科から消化器内科の専門医が結集することによって、より高度の先進医療を推進することが可能となった。関西地区における基幹病院として、検査入院から治療困難な症例に対する積極的な加療に至るまで、十分な実績に支えられた確実な医療を幅広く行い、飛躍的な治療効果をあげている。また移植も含めた高度先進医療を可能にする卓越した医療技術を備えた当院の消化器外科や、広く西日本一円からの受け入れ体制が整備された高度救命救急センターのスタッフとの連携により、さらに充実した医療を実現することが可能になっている。

症例数

胃腸疾患ならびに肝胆膵疾患をはじめ広く消化器疾患を診療対象にし、高度先進医療の実践を目標にしている。大学病院ならではの重症症例や緊急症例のほか、平均して年間肝癌200例、慢性肝炎100例、膵癌20例、炎症性腸疾患50例、胃・大腸ポリープ90例、胃癌60例、食道癌30例、大腸癌 30例の入院がある

★肝疾患では、C型慢性肝炎やB型慢性肝炎を対象に、インターフェロン(IFN)や新しい抗ウイルス剤を用いた治療法を開発、確立しており、この分野では世界でも中心的な役割を果たしている。具体的には、C型肝炎ではIFNの投与方法を92年に確立し、さらにIFNにより肝癌の発生が抑制されることを98年に世界で初めて解明した。この実績から、肝炎から肝硬変、肝癌に至る病態の早期診断や適切な治療には、きわめて高い定評を得ている。また、阪大病院を中心としたOLF(Osaka Liver Forum)参加施設全体では、4,000例以上に国際的な治療法であるペグインターフェロンとリバビリンとの併用療法を行い、良好な治療成績をあげるとともに、その集計結果の解析から治療効果や副作用の予測が可能となった。B型肝炎には、従来から用いられていたIFNやラミブジンのほか、アデホビルやエンテカビルなど新しい抗ウイルス剤による治療も積極的に行っている

★肝癌の治療では、世界でも最高水準の機器を用いたインターベンショナルな治療を推進している当院放射線科との連携で、最先端のCT、MRIや血管造影装置により、早期の肝癌病変をとらえて診断し、的確な治療スケジュールを立てながら専門のスタッフが治療を行っている。手術不能な肝癌患者にもラジオ波焼灼療法、エタノール注入療法などの集学的治療により、外科的切除術に匹敵する成績をあげている

★劇症肝炎の治療は高度救命救急センターにおいて、消化器外科医ならびに救命救急医とともに「劇症肝炎ワーキング」にて治療方針を決定し、血漿交換などの集中治療を行っている。連日のワーキングにより、内科的治療が困難な場合、速やかな肝移植療法の施行が可能である

★胃腸疾患では胃癌や大腸癌の早期発見に努め、ESDなど内視鏡的切除による低侵襲な治療を積極的に行いつつ、病理科、消化器外科とのカンファレンスを通じて集学的治療を行っている。胃癌や膵癌などの消化器癌に対する化学療法や放射線化学療法などの臨床試験も行っている。また、消化管間葉系腫瘍に対し私達が明らかにした原因遺伝子産物を標的とした分子標的療法を行っており、極めて良好な成績を収めている。炎症性腸疾患に対しても白血球除去療法や分子標的療法など、最先端の治療法を行っている。また、06年より新たに内視鏡センターが設立され、常時、内視鏡手技に精通した熟練スタッフによる内視鏡検査、治療が行われている。消化管出血などの緊急時には、高度救命救急センターと連携して、全身管理下での内視鏡止血術を行っている

★以上のような極めて質の高い医療技術を基盤とし、患者様やご家族の考えを尊重するヒューマニズムあふれた包括的な医療を心がけている。

医療設備

CT(multidetector-row CT)、MRI(MRCP)、内視鏡(EUS)、放射線治療。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

消化器外科

分野

消化器・一般外科

特色

消化器外科の全疾患を扱う。特に、悪性腫瘍(食道癌、胃癌、大腸癌、消化管間葉系腫瘍、肝癌、胆道癌、膵癌)と臓器移植(肝移植、膵移植)が主な診療対象である。感受性試験に基づいた抗癌剤治療(高度先進医療適応)、食道癌や膵癌に対する術前化学放射線療法、消化管間葉系腫瘍に対する分子標的治療、再発直腸癌に対する積極的外科治療、高度進行肝癌に対するインターフェロン併用肝動注化学療法など、従来難治と考えられた高度進行癌・再発癌に対する新しい外科治療を開発している。腹腔鏡下手術は国内で最も早く開始した施設の一つで、最先端の技術と豊富な経験を有する。また、脳死臓器移植実施施設の認定を受け、臓器移植を行う。生体部分肝移植を154例、脳死下肝移植を9例、脳死下膵(腎)臓移植を19例、生体膵移植を1例、施行した。

症例数

上部消化管:食道癌=早期癌には内視鏡治療や化学放射線療法による低侵襲治療を基本としている。一方、進行癌には手術・化学療法・放射線療法を組み合わせた集学的治療により予後改善を図っている。たとえば、①リンパ節転移症例には、術前化学療法後手術を施行。化学療法は、5FU+アドリアシン+シスプラチンの3剤併用(FAP)療法で奏効率は約60%。②他臓器浸潤を疑う症例には、化学放射線療法や化学療法を行い、奏効例には根治切除を施行(約60%の症例で治癒切除が可能)。③それ以外の症例に対しても、手術のみならず症例に応じて化学放射線療法を施行している。手術の標準術式は、頸部・胸部・腹部リンパ節郭清を含む食道亜全摘であるが、リンパ節の術中迅速遺伝子・病理診断によって頸部のリンパ節郭清の省略を図り、根治性を維持したQOL向上を目指している。また、切除不能な進行再発症例には、NY-/ESO-1蛋白を用いた免疫療法(癌ワクチン療法)を施行している。09年の入院治療例数は120例。うち一期的根治手術は76例、化学療法は20例、放射線化学療法は11例、その他13例。成績:Stage別5年生存率は、I:86%、II:63%、III:36%、IV:32%である

胃癌=早期胃癌に対しては、腹腔鏡を用いた低侵襲手術を基本としており、現在進行胃癌への適応拡大も検討している。術後再発率の高い進行胃癌症例には、術前化学療法、手術、術後化学療法を組み合わせた集学的治療を行い、予後の改善を図っている。特に、胃壁外側の漿膜への浸潤がある進行胃癌には、全例、治療前に腹腔洗浄液検査を行い、腹腔内の微小な播種病変を細胞診と遺伝子検査で調べている。これにより、術前治療例を選別する臨床研究を行っている。また切除不能高度進行胃癌に対しては、従来の抗癌剤治療に血管新生に関わる分子に対するペプチドワクチン治療を併用する新たな化学免疫療法の臨床試験を行っている。09年度の胃癌入院総数259例、胃切除術112例、うち腹腔鏡下手術82例(73.2%)。高度進行胃癌に対する化学療法目的入院122例、腹腔鏡検査等その他25例。成績:Stage別5年生存率はI:97%、II:74%、III:43%、IV:18%である

★胃粘膜腫瘍に対する、腹腔鏡下胃切除術をより低侵襲で行う経膣NOTES (Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery)を世界に先駆けて施行した

下部消化管=早期大腸癌から高度進行癌、再発癌まで、あらゆる大腸癌治療の最先端治療を行っている。また炎症性腸疾患にも積極的に取り組んでいる。我々の特色の一つに低侵襲手術への取り組みがある。我々は日本で最も早く腹腔鏡下手術を開始した施設の一つである。最近では、臍部の2.5cmの小さな傷から行うシングルポート手術を取り入れている。この手術は腹部に傷跡が残らず、腹腔鏡下手術をより低侵襲に発展させた技術である。さらにTEM(経肛門的内視鏡下腫瘍切除術)など腹部に傷をつけずに腫瘍を切除する技術も取り入れている。腹腔鏡下手術には日本内視鏡外科学会の技術認定資格を持つ大腸外科専門医5人を擁し、開腹手術と全く変わらない根治的手術を行っている。さらに、従来は人工肛門となっていた直腸癌にも、TEMや超低位直腸切除などにより肛門温存が可能となった。他施設では治療を断念するような高度進行大腸癌(他臓器に浸潤した直腸癌や、局所再発した直腸癌)を積極的に引き受けているのも我々の特色である。こういった治療には骨盤内臓全摘術などの高度な手術が必要だが、我々は国内の各所から紹介患者を引き受け、現在国内最多の経験を持つ施設の一つと自負している。他院で切除不能とされた症例を当科で根治できたケースは多い。局所再発治療では、再発癌であるにもかかわらず5年生存率38%と優れた成績を残している。また、手術で根治できない症例への新しい治療法を開発している。特に抗癌剤治療では最新の治療法を取り入れるだけでなく、独自のレジメを開発している。潰瘍性大腸炎やクローン病には、可能な限り腹腔鏡下手術など低侵襲治療を取り入れ、多数の手術を行っている。またこれらの疾患による難治性創傷に対し,再生医療を応用した新たな治療法の開発を行っている。09年の大腸手術341件、うち初発大腸癌手術183件。93年以降の初発大腸癌の5年生存率はStageI:100%、II:91%、IIIa:89.3%、IIIb:73.3%、IV:25%(大腸癌研究会取扱い規約第6版)

肝胆膵・移植=我々は肝胆膵領域の全悪性腫瘍の治療を行い、肝・膵移植を実施している。このような広範な領域に対する外科治療を実施できる施設は、国内で我々の施設だけである

肝細胞癌=治療方針の決定に消化器内科、放射線科と3科で検討することで、単に外科手術だけでなく幅広い治療法の中で患者さんに最も適した治療法を選択している。09年までに約850例の肝切除を施行し、Stage別の5年生存率は、StageI:79%、II:62%、III:44%、IVa:23%である。特に教室では、一般施設では治療できない大型肝癌(過去5年で約210例)や、門脈や下大静脈・右心房に腫瘍が入り込んだ症例(同約70例)などにも積極的治療に取り組んでいる。こうした症例の予後は極めて悪いが(通常約6-12カ月以内に死亡)、我々が独自に開発した治療法であるインターフェロン併用動注化学療法(FU Arterial infusion and Interferon Therapy:FAIT)により、多くの患者さんを救命し得るようになった。例えば門脈内腫瘍栓を伴う肝癌の1年生存率は49%とされるが(日本肝癌研究会追跡調査報告)、我々の施設の1年生存率は100%、3年生存率83%ときわめて良好な成績である

膵悪性腫瘍=05~09年(最近5年間)に307症例を経験、139例に切除を行った。ほとんどの症例がStageIVa/bであり、3年生存率は31%であった。近年では門脈や動脈侵襲を伴うStageIVa/bの症例に対して、術前に放射線併用化学療法を行っている。この治療法により、これまでの3年生存率がStageIVa:21%、StageIVb:7%(日本膵臓学会、全国膵癌登録)であったのを、59%と著明に改善させた

胆道系悪性腫瘍=05-09年(最近5年間)に234例を経験し、手術療法をその第一義として129例に手術を施行した。特に難治性である肝門部胆管癌・胆嚢癌の治療に積極的に取り組んでいる。肝門部胆管癌症例の3年生存率は53%、5年生存率は38%で、胆嚢癌67例の治癒切除例53例の3年生存率72%、5年生存率66%、また、乳頭部癌の79%に治癒切除を行えている。最近では、肝移植手技を応用し門脈合併切除・再建に加えて、肝動脈合併切除・再建症例も施行している。また、切除不能局所進行胆道癌に対しては化学放射線療法を応用し、ダウンステージングに努めるとともに切除症例への適応拡大をも目指している

肝移植=生体肝移植154例、うち成人肝移植は102例、脳死肝移植を9例施行した。胆汁うっ滞性疾患(原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎)、劇症肝炎、先天性代謝異常症の他、ウイルス性肝硬変(HBV、HCV)、肝細胞癌に加えて、内分泌系腫瘍の転移性肝癌や進行肝癌などにも高度先進医療や研究的治療として取り組んでいる。症例全体の3年生存率81%。うち胆汁うっ滞性疾患の1年生存率96%、5年生存率90%(全国平均の86%、83%)、ウイルス性肝硬変(ミラノ基準内肝細胞癌を含む)の5年生存率72%(全国平均の71%)。肝移植成績の向上には原疾患の再発制御がポイントとなるが、HCV肝硬変に対する移植後の再発予防には消化器内科と共同しインターフェロン+リバビリン療法を行い、また世界に先駆けて生体肝移植におけるステロイド完全フリー免疫抑制法を確立した。さらに、肝細胞癌合併症例には先述したFAITを応用し再発予防に関する臨床研究を行っている。ABO不適合肝移植にも取り組んでおり、これまでに術前IgG抗体価x8196倍を含む4例に行い、その生存率は100%である

膵移植=1型糖尿病に対する根治療法として膵(腎)臓移植を行っている。98年に臓器移植法施行後、00年の本邦第1例目の脳死下膵腎同時移植の成功以来、脳死下膵臓移植19例、生体膵腎同時移植1例の計20例の膵移植を経験した。ほぼ全例において移植膵は生着し、経過は良好である。最も多くの膵臓移植を行っている施設として、我が国の膵臓移植の指導的立場にある。また、膵島を分離純化し、門脈内に点滴移植する「膵島移植」の実施施設の認定を受け、今後教室にて開始予定である。この技術により、ドナー不足のために移植を受けることができなかった多くの難治性糖尿病の患者を救うことができるようになる。

医療設備

国内で最新鋭の医療機器が整備されている。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

肺癌や肺線維症など、癌・非癌を問わず難治性の呼吸器疾患の診療に取り組んでいる。肺癌では外科および放射線科との合同症例検討会を毎週行っており、治療方針の決定や他科にまたがる治療は迅速に行っている。また当科は免疫・アレルギー内科と医局が同じであり、間質性肺炎と膠原病肺、肺気腫と喘息など類縁疾患との鑑別診断にも長けている。当院は先端医療とともに緩和医療にも力を注いでおり、近隣医療施設とのネットワークも充実している。

症例数

08年度の外来患者数は12,172人、入院患者数は367人であった。入院患者の内訳は、肺癌164人、気管支鏡・CTガイド下針生検121人、間質性肺炎34人、呼吸器感染症21人、慢性閉塞性肺疾患11人、在宅療養訓練その他16人である

非小細胞肺癌の治療=肺癌の約8割を占める非小細胞肺癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)に対しては、III期が放射線と化学療法の併用、IV期が化学療法である。最近用いられる抗癌剤は以前に比べると副作用が軽いので、最初のコースは入院で行うが2コース以降は外来で行っている。外来では、化学療法部が運営する外来化学療法室において、快適な環境のもとに抗癌剤の点滴を受けることができる。ゲフィチニブやエルロチニブなどの分子標的薬剤や癌抗原を用いた免疫療法の臨床試験を推進している。後者に関しては、白血病の腫瘍関連抗原として同定されたWT1抗原の断片ペプチドが肺癌をはじめ、乳癌、消化器癌、脳腫瘍など多くの固形癌にも発現されていることが判明し、我々はそのペプチドをアジュバントとともに皮内投与することが強力なHLA拘束性抗腫瘍キラーT細胞を誘導することを立証してきた。目下非小細胞肺癌をはじめ各種の進行癌既治療例を対象に、WT1ペプチドによる癌免疫療法の多施設共同臨床試験を行っている

小細胞肺癌の治療=肺癌の約2割を占める小細胞肺癌に対しては、限局型の場合は放射線同時化学療法、進展型の場合は化学療法単独で治療を行っている。いずれも強力な化学療法であり、全行程が入院で行われる

緩和医療=通常の鎮痛剤で制御しがたい癌性疼痛に対しては、専従の医師、看護師、薬剤師や臨床心理士からなる緩和ケアチームが回診し、症例ごとに最適の治療を行っている

慢性閉塞性肺疾患(慢性肺気腫・慢性気管支炎)=臨床所見や高解像度CTで難治性気管支喘息との鑑別を行い、慢性閉塞性肺疾患との診断が得られたら、強力な禁煙指導とともに各種吸入療法を開始する。しばしば新規吸入薬剤の臨床試験を行っており、その都度紹介している。また本疾患には感冒や気管支炎が引き金となって急性悪化を来すことが多く、感冒の季節到来前にインフルエンザワクチン投与を励行する

間質性肺炎・肺線維症=臨床所見、高解像度CTおよび気管支鏡検査(器官支配法洗浄および肺生検)で診断を進める。特に膠原病肺や過敏性肺炎との鑑別が重要である。原因不明の特発性間質性肺炎・肺線維症が最も多いが、本症の場合ステロイド剤と免疫抑制剤との併用が中心となる。また本症においても感冒や気管支炎が引き金となって急性悪化を来す場合が多く、感冒の季節到来前にインフルエンザワクチン投与を励行する

慢性呼吸不全=慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎・肺線維症が進行し呼吸不全状態に陥ったら、在宅酸素療法や簡便なマスク型人工呼吸療法を用いた在宅療養を推奨している

在宅療養指導=肺癌、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、慢性呼吸不全はいずれも長期の療養生活を余儀なくされる。当院には保健医療福祉ネットワーク部があり、専従の看護師や医療社会福祉士が患者の病状だけでなく、個々の希望や家庭環境に応じて療養計画を策定し、最寄りの訪問看護ステーションや医療施設との連携を推進している。

医療設備

X線(単純、ヘリカルCT)、MRI、PET-CT、気管支鏡、ポリソムノグラフィ、胸腔鏡、肺機能検査、リニアック、ガンマナイフ。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

呼吸器外科

分野

呼吸器外科

特色

肺癌、転移性肺腫瘍、胸膜中皮腫、気胸などの嚢胞性肺疾患に対する外科治療、肺気腫に対するvolume reduction surgery(肺容量減却術)、縦隔腫瘍手術、重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術、気道狭窄に対するステント治療など、外科診療全般を行っている

★肺移植認定施設であり、末期呼吸不全に対する肺移植手術を行っている。10年3月までに脳死肺移植15例、生体肺移植11例を実施

★常勤スタッフ7人全員が医学博士号・呼吸器外科専門医の資格(そのうち4名が呼吸器外科指導医)を持ち、米国・英国・カナダ・ドイツなど海外留学経験がある。他に非常勤医師2人と初期臨床研修医が病棟診療を担当している

★呼吸器内科、放射線科との合同カンファレンスで診断・治療方針を決定する。進行病期の肺癌・縦隔腫瘍には化学療法・放射線治療による術前導入療法も施行する。良性疾患と早期の悪性腫瘍には胸腔鏡下の低侵襲手術が主として適用される一方、進行病期の悪性腫瘍に対しては心・大血管の合併切除・再建を体外循環下に行う複合拡大手術も行っている

★心疾患・呼吸器疾患・免疫抑制状態などの合併症を有する場合も、院内の各診療科との連携の下に可能な限り外科治療を検討する。

症例数

入院患者総数は約330人。全身麻酔手術数は約230例。疾患別年間手術数は肺癌100例、転移性肺腫瘍20例、良性肺疾患20例、縦隔疾患30例などで、そのうち約半数が胸腔鏡手術

肺癌=術前のPET-CT、超音波気管支鏡によるリンパ節転移評価を厳密に行い、治療方針を決定する。臨床病期IA期の非小細胞肺癌に対する標準術式は、胸腔鏡補助下肺葉切除術+縦隔リンパ節郭清。2cm以下の早期肺癌では、区域切除などの縮小手術も考慮し、切除断端再発の危険を回避するため肺切除縁の細胞診を施行している。病理病期IB期とII期では抗癌剤感受性テストの結果をもとに、外来化学療法を施行している。縦隔リンパ節転移陽性の臨床病期IIIA期の場合は、呼吸器内科・放射線科との連携で術前導入療法を行った後に切除を行う。非小細胞肺癌手術の5年生存率は、IA期90%、IB期75%、II期58%である。切除不能・再発肺癌には、化学療法・通常の放射線治療だけでなくイレッサによる分子標的療法、定位照射なども行っている

転移性肺腫瘍=大腸癌・腎癌・頭頸部癌・骨軟部腫瘍などからの肺転移に対する切除が多く、部分切除・区域切除を基本とする。ただし、根治性を得るために肺葉切除を考慮する場合もある

★縦隔腫瘍手術が多いのが特色の一つで、胸腺腫、胸腺癌では世界屈指の手術経験を有する。早期の場合には胸腔鏡手術を施行する一方、進行病期では術前化学療法を併用する。浸潤性胸腺腫では術後の放射線治療を行っている。悪性胚細胞腫瘍では、生検による病理診断の後、導入化学療法を施行し切除を行う

★重症筋無力症に対する胸腺摘出術は、これまで500例以上の実績があり、胸腔鏡下の拡大胸腺摘出術を施行している。難治性の場合は、神経内科との連携の下にステロイド剤の投与、ステロイドが奏効しない場合にはネオーラル(サイクロスポリン)・プログラフ(タクロリムス)など免疫抑制剤を併用し、良好なQOLと治療成績を得ている。

医療設備

MDCT、HR-CT、MRI、PETなど各種シンチグラフィ、気管支鏡、超音波気管支鏡(EBUS)、CTガイド下針生検、胸腔鏡、縦隔鏡、各種レーザー、定位脳照射、気道ステント、外来化学療法。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

腎臓内科

分野

腎臓内科

特色

IgA腎症、膜性腎症などの慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群、膠原病、糖尿病、その他の疾患からの二次性の腎障害、高血圧に伴う腎硬化症など、ほぼすべての腎臓病患者を対象に診断・治療を行っている。末期腎不全についても、腹膜透析(導入後も当院で治療を継続)、血液透析(導入後は専門病院紹介)、腎移植(泌尿器科と協力)と選択肢はすべてそろっており、専門的な治療を継続する体制が整っている。患者会も組織されており、医師、管理栄養士を交えての会合も行っている。腎炎から腎不全まで、患者様ごとの病状、要望をふまえた全人的な医療を目指している。

症例数

腎生検を年間60例行い、診断・治療方針の決定を行っている。入院病床約20床、年間透析導入約50人(血液透析約40人、腹膜透析約10人)、腹膜透析通院患者約36人

IgA腎症=腎生検にての診断治療を行っている。耳鼻咽喉科との協力体制をとり、扁桃摘出+ステロイドパルス療法を行っている。現在までにおよそ80人に対して本治療法を行っており、1年後に46%の患者様で完全に検尿異常が消失し(蛋白陰性化68%、潜血陰性化61%)、約9割で蛋白尿の改善などの治療効果がみられている

膜性腎症・ネフローゼ症候群=腎生検による診断のもと、ステロイド、免疫抑制剤を組み合わせた治療を行っている。LDL吸着療法(体外循環で分離した血漿を吸着カラムに通して、LDLだけを吸着・除去する治療法)も必要に応じて行っている

膠原病、その他の疾患からの腎障害=高度先進医療を行っている特定機能病院として、様々な疾患からの二次性の腎障害についても各診療科と協力のもと治療を行っている

糖尿病性腎症=糖尿病性腎症については、内分泌・代謝内科と協力し、食事療法、降圧療法、血糖コントロールなど集約的に治療を行っている。I型糖尿病に対しては、膵腎同時移植に至るまでの幅広い治療の選択肢をもっている

慢性腎不全=食事療法、薬物療法などを組み合わせ、保存期の状態が長く保てるように治療を行っている。入院での慢性腎不全の教育、再評価入院も行っている。入院・外来とも管理栄養士による栄養指導を予約で行っている

血液透析療法=慢性腎不全による血液透析導入を行っている。安定した場合の維持透析は、患者様の希望に応じて専門病院を紹介している。透析をされている患者様が各診療科に入院が必要になった場合に血液透析を行っている

腹膜透析療法(CAPD)=慢性腎不全による腹膜透析導入と導入後の外来管理も当院で行っている。また、腹膜透析導入後に腹膜機能の評価、全身評価として導入後1年ごとに短期間の評価入院を行っている。現在、外来通院をしている腹膜透析中の患者様は約40人である

腎移植・膵腎同時移植=泌尿器科、外科などと協力し、移植医療に積極的に関わっている。また、移植後の患者様で、腎臓を中心に合併症が生じた場合は腎臓内科でも治療を行っている

血漿交換療法や各種吸着療法=潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法、難治性ネフローゼや家族性高脂血症に対するLDL吸着療法、多発性硬化症に対する免疫吸着療法など、特殊な血液浄化療法も各専門診療科と協力して行っている

外来診療=専門外来を受診される場合には紹介状(診療情報提供書)持参が望ましい。病院としてセカンド・オピニオン外来があり、予約すると専門医が対応する。腎臓専門外来=月~金、腹膜透析外来=火・木。

医療設備

当内科が運営を担っている血液浄化部では、入院透析や、白血球除去療法、LDL吸着療法、免疫吸着療法などを行っている。血液透析ベッドは8床。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

泌尿器癌の診療が大きな役割を占める。前立腺癌や前立腺肥大症は大阪大学前立腺センターにて対応している。排尿障害、腎臓結石、腎血管の異常・腎移植、男性不妊症・性機能障害EDなど泌尿器科の主要分野での専門家を配置し、高度・先進医療を進めていることが特色であり、特に前立腺癌に対する密封小線源治療、腎臓癌や移植腎(ドナー腎)の摘出、副腎腫瘍に対して腹腔鏡下手術を施行している。生殖医療センターを中心として無精子症など男性不妊症に対する精巣内精子抽出術を用いた体外授精も行っている。また、腎移植数および生着率についても長年、日本のトップレベルに位置する。

症例数

09年度の入院患者数は907人、総手術件数は613件。手術内容として腎切除術53件(腎臓癌33とドナー腎摘出20のうち腹腔鏡下手術33件)、腎尿管切除術24件(うち腹腔鏡下手術11件)、前立腺全摘除術53件、膀胱全切除術11件、副腎切除術10件(うち腹腔鏡下手術24件)、経尿道的膀胱腫瘍切除術127件、経尿道的前立腺切除術45件、体外衝撃波結石破砕術33件、精巣腫瘍の化学療法後の後腹膜腔リンパ節郭清術12件、精巣内精子抽出術16件などである

前立腺センター=一部の排尿障害や前立腺肥大症も含め、前立腺癌を中心とした診療を放射線診断部門および治療部門の連携のもとに進めている。①前立腺癌の早期診断を目的として、PSA高値など前立腺癌が疑われる患者さんに対してMR画像と12カ所よりなる多部位生検による系統的な診断を進めている。②組織学的に前立腺癌と診断された患者さんに対しては、外科的切除術、低容量密封小線源治療、ニードルによる高容量局所放射線治療、体外照射等について医師が情報提供し、患者さんが選択するシステムを取っている。③進行前立腺癌に対しても、内分泌治療やタキソテール等の抗癌薬投与、また西村講師が開発したデキサメタゾン少量持続投与、癌転移病巣に対するX線局所照射等を用いて成果をあげている

生殖医療センター=不妊や遺伝等の問題で妊娠に不安を持つカップルに対して産婦人科医、小児科医等が中心となり、学際的な対応を行う。泌尿器科は①精巣内精子の抽出と卵細胞質内精子注入法のための凍結保存。②精索静脈瘤や閉塞性無精子症に対する外科治療。③性機能障害EDに対する脳のPETやリジスキャンを用いた総合的診療を進め、特に①に関しては全国の中心施設となっている。また、最近注目されている男性更年期障害に対しても、特殊外来を開設している

浸潤性膀胱癌に対する低容量化学療法=膀胱全摘除術の適応となる浸潤性膀胱癌に対して、手術前の少量の化学療法または小線源の放射線照射を行い、副作用が少なく高齢でも治療可能。約70%の症例で腫瘍が縮小または消失をみている。3年生存率は60%と成績良好

進行性精巣癌に対する超大量化学療法=転移を有する難治性精巣癌に対し、早期に骨髄移植を含む超大量化学療法を組み入れた抗癌薬治療を行い、遺残病巣所見に対して後腹膜リンパ節切除術などを組み合わせて根治性を高めている

特殊外来診察:性機能・腎移植・前立腺癌=月午後、腎臓結石・排尿障害・腎移植・不妊症=木午後、更年期障害=金午後。

医療設備

PET、MRI、3次元CT、カラードプラ超音波装置、ESWL、リジスキャン、ビデオ尿流動態検査装置などを完備。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

泌尿器科腎移植

分野

腎移植

特色

当院泌尿器科では65年より腎移植を開始し、生体腎移植、献腎移植、膵腎同時移植など現在までに約600例施行している。腎移植以外にも心、肺、肝、膵などの臓器移植をそれぞれ院内担当各科で行いうる体制にあり、院内各部門は臓器移植医療に総合的に対応している。腎移植は大阪大学関連移植施設と連携をとりつつ施行している。腎臓移植医と腎臓内科医、精神科医、麻酔科医など関連各科医師やレシピエント移植コーディネーターなどが協力して腎移植成功に向けて全力を尽くしている。

症例数

当院での最長生着は移植後33年であり、現在も順調に経過している。腎移植後妊娠は26例あり、小児腎移植は22例施行している。臓器移植においては免疫抑制剤の開発導入が移植成績の向上に寄与してきたが、当科では新規免疫抑制剤の臨床治験にも従来から積極的に参加し続けている。89年より開始したABO不適合腎移植や既存抗体陽性移植などの免疫学的ハイリスク症例の経験も多く、腹腔鏡下ドナー腎摘出術や腹腔鏡下脾臓摘出術など、低侵襲手術にも習熟している。移植後拒絶反応時の病理診断・治療や腎移植領域の基礎研究にも精力的に取り組んでいる。腎性上皮小体機能亢進症手術、腹膜透析用カテーテル留置術やブラッドアクセス(シャント)手術なども泌尿器科にて行っている

★移植希望の方はレシピエント移植コーディネーターにご連絡ください。腎移植相談ホットラインはTEL06-6879-3746(先端移植基盤医療学講座内)。

医療設備

CT、MRI、DSA(血管造影)、超音波(血流ドプラ)、核医学検査(シンチグラム)、血液透析、腹膜透析、二重濾過血漿交換。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

整形外科

分野

整形外科

特色

豊富な同窓会員、多数の関連病院に支えられ、幅広い領域で診療・教育・研究に携わる整形外科。大阪大学整形外科は45年(昭和20年)5月、第二次世界大戦の戦火のなかで開講され、10年にて65周年を迎える国内最長の歴史を有する整形外科学教室の一つで、これまでに多大な医療実績と各専門分野での多くのエキスパートたる人材を有する。同窓会員数は約770人、関連病院数は約80施設に達し、年々増加傾向。特に、98年以降の新入会者が225人(本学49人)と、若い世代が多いことが特徴。卒後研修システムでは、独自の「大阪大学整形外科ネットワーク」および「専門研修プログラム」を構築し、整形外科医の育成にも積極的に取り組む。(http://www.ort.med.osaka-u.ac.jp/recruit/program.html)

症例数

外来患者総数:08年度32,602人、09年度33,863人、延べ入院患者数:08年度20,255人、09年度16,436人、病床数:65床(総病床数1,076床)。手術実績:総数08年度655件、09年度653件(緊急除く)。内訳は、08年度:腫瘍169件、股関節110件、リウマチ関節疾患83件、肩関節62件、脊椎側彎71件、小児40件、手の外科101件、スポーツ膝45件。09年度:腫瘍143件、股関節108件、リウマチ関節疾患104件、肩関節57件、脊椎側彎76件、小児39件、手の外科67件、スポーツ膝51件

★一般整形外科疾患の診療とともに、腫瘍、股関節、リウマチ・関節疾患、肩関節、脊椎・側彎、小児、手の外科、スポーツ・膝の8専門外来グループによる専門性の高い診療を行う。研究グループは、骨形成・骨再生、軟骨代謝、骨軟部腫瘍、リウマチ・関節炎、ロボット・コンピューター支援手術グループなどがあり、国際的レベルの基礎研究も行う。大阪大学医学部附属病院の未来医療センター(03年4月オープン)における高度先進医療プロジェクトでは、骨髄幹細胞を導入した人工骨による骨再生、ロボット手術による人工股関節置換術、合成核酸医薬(NFκβデコイ)による関節リウマチの治療を実施。運動器バイオマテリアル学講座では、医工連携を積極的に推し進め、独自のコンピューターシステムを開発し、医歯学分野を中心に多次元動態解析を行い、輝かしい実績をあげる。その他、新規人工関節の開発、コンピューター支援ナビゲーション手術の開発、関節鏡手術の開発、骨軟部腫瘍の免疫療法の開発なども行う。大阪大学各診療科の支援・協力を受け、多分野の大阪大学基礎系講座、工学研究科、歯学研究科、薬学研究科、微生物研究所と共同研究を展開、社会が求める高度な整形外科医療を供給する

腫瘍=原発性良悪性骨・軟部腫瘍、転移性骨腫瘍を主体に、骨盤発生骨腫瘍なども扱う。悪性腫瘍切除術40件、良性腫瘍切除術91件、腫瘍生検術17件(09年度)。骨軟部腫瘍に対する先進治療(患肢温存、超大量化学療法)、骨軟部腫瘍専門医の高次教育・訓練、ハイレベルな臨床・基礎研究(骨軟部腫瘍に対する臨床・臨床病理学的研究、遺伝子治療・免疫療法へのアプローチ、人工骨・骨再生医療の研究・開発)を行う

股関節=変形性股関節症、人工股関節の緩み、臼蓋形成不全を主体に、特発性大腿骨頭壊死症なども扱う。人工股関節置換術110件、矯正骨切術31件(09年度)。一般的な股関節関連疾患だけでなく、先端的な医工学技術を応用したコンピューターナビゲーションシステムの開発・臨床導入、新しい人工関節システムの導入、厚労省特定疾患である大腿骨頭壊死症の病態解明など多角的な研究を行う

リウマチ・関節疾患=関節リウマチ、変形性膝関節症を主体に、手・足関節変形を伴う関節リウマチなども扱う。人工膝関節置換術54件、人工肘関節置換術4件、人工足関節置換術8件(09年度)。上肢は肩・肘・手・手指、下肢は股・膝・足・足趾の専門的な治療を行う。関節リウマチの病因病態の解析結果から新しい治療法の確立を目指し基礎研究を行う

肩関節=肩腱板損傷、反復性肩関節脱臼、投球障害肩を主体に、不安定肩なども扱う。肩腱板修復術・肩関節形成術47件、人工肩関節置換術9件(09年度)。リハビリを中心とした保存的治療、人工関節・関節鏡・関節形成などの外科的治療を行う。肩関節のバイオメカニクス、人工関節の開発、野球肩の病態解明、病理組織学的解析、画像診断の研究を行う

脊椎・側彎=側彎症、神経根症、脊髄症、脊柱管狭窄症、すべり症、椎間板ヘルニアを主体に、靭帯骨化症、脊髄腫瘍、関節リウマチも扱う。椎弓形成術27件 (09年度)。術後隣接椎間障害、多椎間固定術、不安定症、脊柱変形、骨粗鬆症性脊椎、RA脊椎、悪性腫瘍、Salvage手術、麻酔・精神科との集学的アプローチ、椎間板ヘルニアに関する臨床・基礎研究を行う

小児=先天性内反足、先天性股関節脱臼、内反膝変形、脚長差を主体に、骨系統疾患低身長なども扱う。創外固定術1件(09年度)。再生医療(骨・軟骨・腱の再生、創外固定を用いた骨・軟部組織延長)、小児股関節疾患、O脚、X脚、脚長不等、下肢変形、遺伝性疾患、小人症、斜頸、成長痛、内反足、凹足、踵足、尖足、足の痛みの治療を行う。ペルテス病、股関節・骨盤の成長、先天性内反足に関する研究を行う

手の外科=日本有数40年の伝統。外傷後変形治癒、舟状骨偽関節、TFCC損傷、キーンベック病、神経麻痺、先天奇形、デュプイトレン拘縮、RA、腫瘍など。特に、治療不能とされた骨折後変形や手首の痛みに阪大独自システムにて対応。骨折変形治癒矯正骨切り術のコンピューターシミュレーション、3次元動作解析、小侵襲手術、TFCC損傷、舟状骨偽関節、甲子園高校野球肘X線評価など多くの研究課題に取り組む

スポーツ・膝=膝関節靭帯損傷、半月損傷、膝蓋骨亜脱臼を主体に、膝・足関節離断性骨軟骨炎なども扱う。膝関節靭帯再建術21件(09年度)。スポーツによる障害・外傷を全般的に扱い、関節鏡視下手術を中心に行う。基礎的研究として、再生医学による半月板・軟骨の修復と代用材料の開発、臨床研究として、長い歴史を持つ膝靭帯再建術や半月板縫合術、足関節靭帯再建術を行う。

医療設備

ほぼフル装備。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

形成外科

分野

形成外科

特色

形成外科全分野の疾患を対象にしているが、当院は臨床経験豊富な熟練した専門医により、多種多様な疾患に対処できるのが特徴。スタッフは極めて治療困難な疾患に対する優れた治療法を数多く考案し、海外にも発信している。また、当院では他科の医療水準も世界的であるため、各科にまたがるような複雑な病状の患者さんにも適切に対応できるのが強みである。あらゆる分野の形成外科疾患を取り扱っているが、特に下記の疾患については重点を置いている。

症例数

年間の手術件数は約750件。先天異常に対する手術が年間約80件。皮膚の良性または悪性の腫瘍に対する手術が約200件。乳房再建は約100件。傷跡の修正手術が約100件。上顎癌・咽頭食道癌などの顔面頸部悪性腫瘍切除時の再建手術は約40件。下肢静脈瘤に対する手術は約50件。顔面神経麻痺は大きい手術から小さい手術まで含めて50件程度。また、甲状腺機能亢進症に伴う眼球突出の治療や、小さい傷から治療する漏斗胸手術なども行っている

先天異常=唇顎口蓋裂、眼瞼下垂症、小耳症などの先天性の形態異常の治療は細川科長をリーダーとして手術治療を行っている。唇顎口蓋裂は大阪大学歯学部附属病院矯正科、顎口腔機能治療部などとの協力体制のもと総合的な治療を行っている。眼瞼下垂症は先天性に限らず後天性のものも多く取り扱い、他施設での治療でうまく治らなかったような方の来院も多い。小耳症に対する耳介形成術に関しては、他施設に比べて肋軟骨採取量が少なくてすむ術式を採用することで肋軟骨採取部(胸郭)の術後変形を抑えている。また、比較的軽症の小耳症に対しては小学校入学前にも手術できるように工夫している。そのほか多指症・合指症・漏斗胸など外表に現れる形態異常すべてに対応できる体制にある。一方、色素異常(アザ)の治療は、本院では原則として外科的治療が適応となるものを対象としている。レーザー治療を必要とするアザでは、多数の関連病院の中から適切なレーザー機種を持つ病院を紹介している

乳房再建=矢野教授を中心として対応している。乳癌切除に対する乳房再建は当科単独で再建を行っているのはもちろん、当院の乳腺外科との共同で乳癌切除時の同時再建も多数行っている

動静脈奇形=血管奇形に対しては当院放射線科の血管奇形グループと共同して集学的な診断と治療とを行っている。また下肢静脈瘤の治療にも積極的に取り組んでいる

甲状腺眼症=視力低下や眼球運動異常を改善する目的や眼球突出などの外観を改善する目的で手術治療を行っている

顔面神経麻痺=細川科長、松田助教を中心として対応している。麻痺の原因や時期などによって治療法が多種多様であり、熟練した医師による治療法の選択が重要である

美容医療=高田教授を中心として対応している。ただし、現在のところ通常の美容外科・美容皮膚科の診療は行っていない。他の施設で美容医療の施術を受けたが、うまくいっていないような方を対象として美容医療相談外来を行っている

★特殊外来としての美容医療相談外来は、毎月第3月曜日で完全予約制、診察1時間で31,500円の保険外診療で、治療は行わないセカンド・オピニオン外来である。担当は矢野教授、高田准教授。

医療設備

CT、3次元CT、MRI、MRアンギオ、超音波診断装置、PDE、手術用顕微鏡、ガンマナイフ、カラードプラ血流計、ドプラ血流計、神経刺激装置、脂肪吸引器など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

小児外科

分野

小児外科

特色

小児外科疾患を①新生児外科、②小児悪性固形腫瘍(小児がん)、③小児肝・胆・膵疾患および臓器移植、④腸管大量切除・炎症性腸疾患、⑤栄養評価・管理の5つの領域・グループに分けて高度先進的な医療を行っている

★中でも低侵襲手術(鏡視下手術)、小児がんの集学的治療、先天性異常の外科、臓器移植(肝・小腸)を臨床上の重点課題と考え、QOL(生活の質)を重視し、成長発達を考慮した外科治療法や鏡視下手術を推進するとともに、小児がんに対する分子標的治療の導入、胎児発生に関与する遺伝子の解析・胎児治療、再生医療などの基礎的研究に取り組んでいる

★新生児外科疾患の7割程度は出生前診断症例で、小児外科医自らが超音波検査を行うとともに、重症例では母体搬送のうえ計画的分娩に引き続き出生後の治療を行っている

★小児がんでは各科との協力のもと、強力な化学療法、幹細胞移植、放射線療法の併用により先進的な集学的治療を行っている。胆道閉鎖症術後の肝不全、小児の劇症肝炎に対する生体部分肝移植や腸管不全に対する小腸移植は消化器外科と協力して行っている。小児栄養管理については各病態において栄養治療および在宅栄養療法を行っている。胃食道逆流症、ヒルシュスプルング病、直腸肛門奇形などの消化器疾患に対しては、生理的機能検査を併用した診断を行い積極的に鏡視下手術による治療を行っている

★わが国における小児外科の高度先進的治療の柱たるべく日夜努力するとともに、小児外科の日常疾患の治療についても北摂地域の小児外科医療の中核たるべく積極的に取り組んでいる。また救急疾患に関しては豊能こども急病センターの後送病院として24時間小児外科救急疾患を受け入れている。

症例数

年間外来延べ患者は年間4,500名で、年間手術症例数は400~500例である。うち新生児(0〜30日) 20~30件、乳児(1〜12ヵ月) 40~50件、幼児(1〜5歳)150~200件、学童・思春期(6〜15歳)100~120件、成人(16歳以上) 30~50件、鏡視(補助)下手術は60件。また年間の検査件数は、消化管内視鏡検査約100件、気道内視鏡検査約100件、胎児超音波検査約50件、24時間pHモニター検査20件であった(以上07~09年)

★新生児の主な手術対象疾患は、直腸肛門奇形、先天性横隔膜ヘルニア、食道閉鎖症、腸閉鎖症、臍帯ヘルニア・腹壁破裂、胎便性腹膜炎、CCAM・肺分画症、中腸軸捻転(腸回転異常症)などである。乳児・幼児・学童の主な手術対象疾患は鼠径ヘルニア、陰嚢水腫、停留精巣、臍ヘルニア、胃食道逆流症、漏斗胸、胆道閉鎖症、胆道拡張症、ヒルシュスプルング病、肥厚性幽門狭窄症、腸重積、メッケル憩室、急性虫垂炎などである

★小児がんの主な手術対象疾患は神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、悪性奇形腫、肝芽腫などである

★低侵襲の鏡視下手術として、鼠径ヘルニア修復術、Nissen噴門形成術、摘脾、ナス法による漏斗胸根治術、ヒルシュスプルング病根治術、鎖肛根治術、胆嚢摘出術、虫垂切除術、腫瘍摘出術などを行っている

★移植手術は生体部分肝移植、生体部分小腸移植などを行っている。また当院放射線科と協力し、難治性の血管奇形に対する硬化療法に取り組んでいる。詳細は大阪大学小児外科のホームページ(http: //www.pedsurg.med.osaka-u.ac.jp/)を参照。

医療設備

NICU、ICU、超音波、CT、MRI、RI、IVR、消化管内視鏡、気管支内視鏡、腹腔鏡・胸腔鏡、内圧検査装置、24時間pHモニター、睡眠時無呼吸モニター、高頻度振動換気装置、NO吸入装置、膜型人工肺装置、クリーンルーム、未来医療センターなど。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

眼科

分野

眼科

特色

網膜硝子体疾患をはじめとし、角膜疾患、緑内障、眼炎症、神経眼科疾患など専門の眼科医が治療にあたり、それぞれが高い診療レベルの保持と先進的治療方法の開発を行っている。また、検査器械、治療器械も最先端のものを導入している。難治性疾患の治療、原因究明に関する研究も併せて進めており、患者様にとってよりよい医療の提供ができる眼科を目指している。外来診療は各曜日一般診察と専門外来で構成されている。一般診察を担当している医師はそれぞれ専門領域が異なるように工夫し、どのような患者が来ても対応できるような外来体制を整えている。外来には光ファイバーとギガビットイーサネットを使用した画像ファイリングシステムを備えており、治療経過の記録およびインフォームド・コンセントに活用している。

症例数

08年度の入院患者の内訳は、網膜硝子体疾患664人、黄斑変性疾患188人、白内障693人、角膜疾患84人、緑内障112人、斜視・神経眼科疾患81人、ぶどう膜炎・眼内腫瘍24人、その他87人であった。05年度後半からは、外来手術室を新設し、日帰り白内障手術を始めており、手術待ち期間の短縮を図っている

★サージカル網膜では、日下病院教授、瓶井准教授、生野講師、大島講師、坂口講師らが重症糖尿病網膜症、網膜剥離、黄斑円孔、黄斑上膜、黄斑浮腫などへの積極的な外科的治療を行っている。日下教授は重症の未熟児網膜症に対する外科的治療にも精力的に取り組んでいる。瓶井准教授は、網膜静脈閉塞症の新しい治療で好成績をあげている。さらに、人工網膜研究は順調に進んでおり、急性臨床試験を開始した

★メディカル網膜では、五味講師を中心に辻川講師、沢医師の3人が、加齢黄斑変性をはじめとする種々の黄斑疾患に対し、高解像度光干渉断層計(FD-OCT)や共焦点走査レーザー検眼鏡(HRA2)を用いた血管造影など最新の診断機器を用いて、より厳格な診断を行うとともに病態の解明に取り組んでいる。さらに光線力学療法などのレーザー治療、血管新生抑制因子などの薬物療法などを先駆的に行い、病態に応じた治療を適切に選択できるようになったことから、良好な治療成績を得ている。網膜色素変性症に代表される網膜遺伝性疾患に対しては、辻川助教が診断および遺伝相談に当たっている

★角膜疾患では、西田幸二教授を中心に前田教授、他2人の4人が担当し、屈折矯正手術(レーシック)、角膜移植、角膜感染症、ドライアイなどを中心に角結膜疾患全般について精力的に手術治療や薬物治療を行っている。特に角膜移植は、大阪アイバンクの協力のもと深層角膜移植や内皮移植など、侵襲が少ない術式を積極的に施行し、良好な成績が得られている。角膜の混濁が表面に限局している場合はエキシマレーザーによる治療的レーザー角膜除去術を行う。また、円錐角膜など角膜不正乱視に対するハードコンタクトレンズの処方も多数手がけている。角膜形状解析、波面収差解析、各種視機能検査を研究開発し、良好な視覚の質が得られるような治療を目指している

★緑内障では、松下助教と三木助教の2人が担当し、開放隅角緑内障では、薬物療法が第一選択であるが、薬物療法に反応しない場合には外科的治療(マイトマイシン併用線維柱帯切除術が主流だが、発達緑内障、ステロイド緑内障には線維柱帯切開術を選択)を行っている。また、血管新生緑内障や角膜移植後緑内障などの難治な続発緑内障に対しても積極的にマイトマイシン併用線維柱帯切除術を行っている。最近では、前眼部形状解析装置を用いて、閉塞隅角緑内障の臨床研究も行っており、レーザー虹彩切開術の適応を厳密に決定している

★神経眼科領域では、不二門教授を中心に、森本助教の2人が担当している。難治な視神経疾患に対しては、経角膜電気刺激による神経保護治療(先進的医療)を行っている。周辺視野での立体視機能検索、波面センサーなど最新の機器を用いた視機能検査などの他、小児・成人の斜視、視神経炎、虚血性視神経症、甲状腺眼症、眼瞼けいれんなどの治療を行っている

★炎症性疾患に対しては、大黒准教授と中井医員の2人が担当し、難治性ぶどう膜炎・感染性ぶどう膜炎に対し、眼局所薬物投与を積極的に行って著明な消炎効果とステロイド全身投与の副作用軽減を得ている。近年、増加傾向にある眼原発悪性リンパ腫に対する診断と治療にも精力的に取り組んでいる。

医療設備

光干渉断層計(OCT-3000、FD-OCT)、共焦点走査レーザー検眼鏡(HRA2)、視神経乳頭画像解析装置(HRTII)、前眼部形状解析装置(TMS、オーブスキャン、ペンタカム)、前眼部OCT、波面センサー、視野計(ハンフリー静的視野計、ゴールドマン動的視野計、マイクロペリメトリィ-1)、スペキュラーマイクロスコープ、ヤグレーザー(タンゴ)、マルチカラーレーザー光凝固装置、エキシマレーザー、多局所網膜電図計(VERIS)、IOLマスター、超音波画像診断装置(超音波生体顕微鏡、Aモード、Bモード)、眼底および蛍光眼底カメラ、レットカム、細隙灯顕微鏡カメラ、白内障手術装置(レガシー、インフィニティ)、硝子体手術装置(アキュラス)、手術用顕微鏡(ツァイス、トプコン)など。

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耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

頭頸部癌の治療として、手術により良好な成績を得ているが、臓器温存を目的に化学放射線同時併用療法を積極的に導入している。中耳炎などの耳疾患に対する手術治療や、先進医療である人工内耳手術、骨導補聴器の埋め込み手術などに重点をおいている。人工内耳はこれまでに360例以上の実績がある。めまい疾患にも力を入れており、難治性のメニエール病に対してはゲンタマイシン鼓室内投与、内リンパ嚢高濃度ステロイド挿入術などの外科的治療を行っている。鼻・副鼻腔疾患の治療では主に内視鏡下副鼻腔手術を行っているが、重症例ではナビゲーションシステムを用いて安全に手術を行っている。特殊な治療としては、難治性前頭洞疾患に対する、内視鏡下に前頭洞をドリルで大きく削開するDraf type 3、若年性血管線維腫などの鼻腔良性腫瘍や、症例によっては悪性腫瘍に対する内視鏡治療を行っている。

症例数

★頭頸部腫瘍では、年間約200例を治療している。悪性疾患は極力機能温存を考えながら治療方針を決定している。当科を受診する中・下咽頭癌はほとんどが進行癌であるが、化学放射線併用療法にて中咽頭癌はほぼ全例、下咽頭癌も半数以上が喉頭機能を温存しながら治癒できている。また手術が必要な症例であっても、喉頭部分切除の可能性を追求している。さらに喉頭全摘を余儀なくされても術後に気管食道シャントを作成し、シャント発声を可能にするなど徹底的に機能温存を目指している。耳下腺良性腫瘍の手術の皮膚切開は90%以上が耳前部切開ではなく耳後部切開にて施行しており、患者さまからも整容上の満足が得られている

★難聴・めまいの外科的治療の内訳は、08年の耳科手術322例中、人工内耳30例、中耳炎などに対する手術154例、耳硬化症などに対するアブミ骨手術20例、メニエール病などに対する内リンパ嚢開放術22例、聴神経腫瘍摘出術2例であった。また、真珠腫性中耳炎における術後の再発率はおよそ2.5%と、極めて低率であった。中耳炎症例での聴力改善成功例は、1型で92.2%、3型で86.6%、4型で62.7%と良好な成績であった

★鼻・副鼻腔疾患では、副鼻腔炎に対する内視鏡手術を中心に08年には年間128例の鼻科手術を行った。そのうち、Draf type 3手術例2例、乳頭腫等の良性腫瘍8例、悪性腫瘍2例であった。いままでのDraf type 3を行った前頭洞炎における術後の再発率は7%ときわめて低率である。鼻中隔彎曲症に対する鼻閉改善手術においても、鼻中隔の部分切除を行うことにより他施設より低侵襲な手術を行っている。我々の前頭洞炎、乳頭腫および鼻中隔彎曲症に対する治療成績は学会にて公表し評価を得ている。アレルギー性鼻炎に対するレーザーによる日帰り手術も行っている

★音声・嚥下・気道外来では、主に上気道機能の異常を扱っており、手術治療のみでなく、訓練を含む保存的治療にも力を入れている。最も多い症状である嗄声に対しては、喉頭微細手術・甲状軟骨形成術などの種々の音声改善手術(08年に31例)を行っているが、他にvocal trainingを利用した音声治療を行っているという点で本邦では希少な施設であると言える。嚥下障害に対しては嚥下造影検査により評価を行い、嚥下改善手術・誤嚥防止術(7例)を行っている。嚥下訓練に関しては療養型病院との連携に力を入れている。また睡眠時無呼吸に対しては、入院下のPSG検査を施行しており、CPAP治療および手術治療(37例)の両方が可能である。また喉頭気管狭窄に対しては声門開大術・気管形成術を行っている(6例)

外来診療=月~金。受付は午前9時~11時30分。猪原教授=水・金(腫瘍外来)。専門外来は、難聴=月・火・水・木・金、めまい=木・金、幼児難聴=火、耳鳴=水、鼻・副鼻腔=火・金、腫瘍=月・火・木・金、音声・嚥下・気道=火、音声治療=水など(2010年4月現在)。詳しくは、www.med.osaka-u.ac.jp/pub/entまで。

医療設備

MRI、CT、PET他核医学、超音波、各内視鏡、レーザー、各種聴力・平衡機能検査、インピーダンス、蝸電図、ABR、OAE、ENG、VOR、重心動揺計、ナビゲーションシステム、マイクロデブリッター、バイポーラシザーズ、ストロボ、味覚・嗅覚検査などを完備している。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

当科ではアレルギー・自己免疫疾患、膠原病、皮膚腫瘍、角化異常症、遺伝性疾患などを主たる研究分野とし、関連病院群と密接に連携し、診療を行っている。一方、各患者の「生活の質(QOL)」を重視し、患者、家族の希望も踏まえて治療方針を決定している。また、病病連携、病診連携を推進しており、コントロールの可能な患者さんは近くの開業医師での治療をお願いしている。

症例数

1日平均外来患者数約190人、1日平均入院患者数約20人である。皮膚疾患全般を対象としているが、特にアトピー性皮膚炎、膠原病、自己免疫性水疱症、腫瘍、皮膚潰瘍、乾癬、白斑、脱毛症、遺伝性皮膚疾患(結節性硬化症、レックリングハウゼン病、先天性表皮水疱症など)、皮膚外科、パッチテスト、真菌症については、専門外来を設置し、臨床研究や治験を実施するなど、大学病院としての高度な専門的医療を提供する外来として機能している

★アトピー性皮膚炎に対しては、外用療法が不十分な場合、時間をかけて説明を行い、悪化因子の検索、生活習慣の改善、服薬指導に努めている。外来治療でコントロール不良の場合や病状のより深い理解を目的とする場合に、短期間の入院治療も行っている

★膠原病に対しては、強皮症、シェーグレン症候群の病態解明と治療を中心として、膠原病全般にわたる診療を行っている。膠原病が疑われるが診断のつかない症例や、皮膚症状のコントロール不良な症例を対象として診断、治療方針、経過観察指標などの結論を出すことを目標に診療している

★自己免疫性水疱症に対しては、ステロイド内服、免疫抑制剤、血漿交換療法を組み合わせて治療を行っている

★腫瘍(リンパ腫や悪性黒色腫)に対しては、MRI、CT、PET等の画像診断と各種腫瘍マーカーを用いた診断と、手術や光線療法、化学療法、生物学的製剤を用いて積極的に治療を行っている

★皮膚潰瘍については、原因の検索と並行して、必要に応じて閉鎖療法ならびに吸引水疱蓋の植皮を行い、良好な成績をあげている。特に静脈瘤に伴う循環障害に力を入れている

★乾癬については、ナローバンドUVBをはじめとする光線療法、免疫抑制剤をはじめとする内服薬治療、各種外用療法を中心として、生物学的製剤も開始予定である。QOLの維持・向上を含めて、幅広く治療を提供している。薬剤アレルギーに対して原因薬剤の特定を行っている

★白斑については、ナローバンドUVBを中心に、ステロイド、ビタミンD外用療法、エキシマレーザーを組み合わせて治療を行っている。難治例では植皮術を行う

★脱毛症については、感作療法やステロイド大量投与療法を行い、良好な成績を収めている

★遺伝性皮膚疾患については、各種遺伝相談をはじめ、遺伝子検索、治療を行っている

★皮膚外科では、良性腫瘍、悪性腫瘍の手術を年間約140例行っており、特に悪性腫瘍の手術が8割以上を占めている。化学療法や放射線療法が必要な症例については、適宜実施している

★パッチテストでは、接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎、歯科金属アレルギーなどの疾患に対して、スタンダード、金属や化粧品などのパッチテストを行い、原因や悪化因子の追求に努めている

★真菌症に対しては、各種表在性真菌症の診断と治療を行っている

★上記の他、美容皮膚、エコー外来、褥創外来など、各種皮膚疾患にきめ細かく対応できるように、関連病院を含めて診断、治療を行っている。

医療設備

MRI、CT、PET、ナローバンドUVB、ブロードバンドUVB、UVA、サーモグラフィ、赤外線照射装置(スーパーライザー)、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、イオントフォレーシス、皮膚エコーなど。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

血液・腫瘍内科

分野

血液内科

特色

当科では、個人の年齢・病状に配慮しつつEBMに基づく最善の治療法を行うことを基本的な治療方針としている。当院では00年に内科系・外科系診療科を臓器別に再編成し、血液疾患患者全般の診療を「血液・腫瘍内科」が担当している。この再編により、白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫などの造血器悪性疾患に対して、細胞表面解析や遺伝子解析による診断ならびに造血幹細胞(骨髄、末梢血幹細胞、さい帯血)移植などの先進的治療だけでなく、各種難治性貧血や血小板異常症などの止血異常症に対しても先進的な診療を行い得る総合的な血液内科が誕生した。日本血液学会研修施設。日本骨髄バンク認定施設。日本さい帯血バンク認定施設。国際間骨髄バンク・骨髄採取実施施設。

症例数

白血病や骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫などの造血器悪性疾患の入院患者数は年間200例を超える

★急性白血病、骨髄異形成症候群は年間約90例であり、これらの疾患に対し表面マーカー検査や遺伝子診断を用いて予後に関しての層別化を行い、予後不良因子を有する症例や治療抵抗症例に対しては、積極的に血縁者間骨髄移植および骨髄移植推進財団からの非血縁者間骨髄移植を行っている。同種骨髄移植は年間約30例。さらに、難治例に対しては、骨髄移植後に残存する微少残存病変を腫瘍特異的遺伝子をモニターしながら免疫抑制剤の早期離脱やドナーリンパ球輸注などの細胞療法を積極的に行っている。また、高齢者(55歳以上)や臓器障害を有する症例に対しては、積極的に骨髄非破壊骨髄移植(いわゆるミニ移植)を行っている。スタンダードリスク症例に対しての骨髄移植施行後の長期生存率は約70%と良好な治療成績を得ている。骨髄バンクから適切なドナーが得られない場合や移植後再発例に対して、HLAミスマッチの血縁者間骨髄移植やさい帯血バンクからのさい帯血移植を積極的に行っている

★悪性リンパ腫は年間約90例の入院患者数であり、化学療法での治療が主である。放射線治療部と連携しStage IおよびIIに関しては化学療法後放射線療法を行う。難治例に対しては自己末梢血幹細胞移植を施行している。自己末梢血幹細胞移植は年間約10例

★骨髄腫に対しては65歳以下で病期が2期あるいは3期の場合、VAD療法施行後、自己末梢血幹細胞移植を施行している。年間約6例

★発作性夜間血色素尿症(PNH)など難治性貧血に関しては、積極的にその病因および病態解析を行っており、大阪大学微生物研究所免疫不全分野の木下タロウ教授との共同研究で、PNHの原因遺伝子PIG-/Aの同定に貢献するとともに先端的治療法の開発を行っている

★特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は外来患者数約150例。ヘリコバクター・ピロリ感染者には、ほぼ全例に除菌療法を施行。血小板3万/μ以上で易出血性のない場合は無治療にて経過観察。3万/μl以下であれば、ステロイド療法。ステロイド依存性の症例には積極的に腹腔鏡下摘脾術を行っている。年間約10例。摘脾による治癒率は約60%。難治性ITPに対してはトロンボポエチン様物質による治験も施行中

★血小板機能異常症を含む出血性疾患に関しても積極的に取り組んでおり、血小板無力症をはじめとした出血性疾患の確定診断が可能である数少ない施設であり、全国の多数の病院から紹介がある。

医療設備

無菌室8床(骨髄移植専用病棟)、簡易型アイソレーター11床、血液病室(東10階病棟)約40床。PETによる悪性リンパ腫残存病変の解析。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

免疫アレルギー内科

分野

リウマチ・膠原病内科

特色

「地域に生き、世界に伸びる」を理念として、免疫アレルギー疾患の地域医療への貢献とともに先進医療の開発を目指している。日本リウマチ学会・日本アレルギー学会認定施設。日本リウマチ学会指導医2人、同専門医10人、日本アレルギー学会指導医1人、同専門医6人。多くの全身性自己免疫疾患は、未だ病因不明で、厚生労働省の難病特定疾患に指定されている病気であるが、インフォームド・コンセントを前提に、EBMに基づきながらも、個々の患者さんの日常生活の質(Quality of Life;QOL)の向上を目指した治療を行うことをモットーとしている。症状や臓器障害が全身に及ぶことから、内科系内のみならず、外科系、感覚・皮膚・運動系、脳神経精神系、女性・母子保健系とあらゆる診療科と密接に連携して、診療にあたっている。

症例数

診療対象疾患は、免疫疾患として、膠原病および膠原病類縁疾患、アレルギー疾患として、喘息、好酸球増多症、他、免疫不全症や不明熱。外来患者数は、約2,000人/月、紹介患者数は、約50~80人/月。関節リウマチ約680人(生物学的製剤にて加療患者約116人)、全身性エリテマトーデス約336人、強皮症約168人、混合性結合組織病約62人、多発性/皮膚筋炎約62人、血管炎症候群(大動脈炎症候群、巨細胞動脈炎、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎)54人、シェーグレン症候群約240人、ベーチェット病116人、喘息約130人、リウマチ性多発筋痛症110人、他、成人発症スチル病、抗リン脂質抗体症候群、再発性多発軟骨炎、血清反応陰性脊椎関節症、好酸球性筋膜炎など。古典的不明熱の紹介患者5人/月

★膠原病に対しては、臓器病変の有無および重症度を、機能検査、画像検査、必要な場合には、生検による病理学的検査を加えて判断し、重症度に応じての段階的治療を実践している。またステロイド剤や免疫抑制剤に伴う副作用を早期発見、予防するための、継続的な検査、生活習慣の指導、薬剤の予防投与に留意している。ステロイド剤や免疫抑制剤の加療においても、病気のコントロールが困難な場合には、当科で開発した抗IL-6受容体抗体による先進医療を実施している。また、膠原病やアレルギー疾患に関して、漢方エキス製剤や補完代替療法の導入や開発にも力を注いでいる。強皮症に関しては、当科で開発したベスメーターを用いて、皮膚硬化に対する薬剤治療の効果を客観的に評価している

★関節リウマチに対しては、関節破壊の防止を主眼におき、積極的な生物学的製剤の導入を進めている

★アレルギー疾患に関しては、QOLの向上を目指し、ガイドラインに沿った管理、薬物療法を行っており、喘息に対しては、喘息日記、ピークフローメーターの実施を積極的に勧めている。アレルギー疾患は生活環境病であるという観点より、個々の患者様におけるアレルゲンや生活環境における他の悪化・増悪要因の同定に努めている

★他院からの紹介は、保健医療福祉ネットワーク部を通して、診療申込可能。

医療設備

PET、MRI、CT、RI検査、各種内視鏡、超音波、呼吸機能検査など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

老年・高血圧内科

分野

老年科

特色

高齢者の循環器、内分泌・代謝疾患を中心とする生活習慣病や、老年症候群(転倒・眩暈・ふらつき・認知症・失禁)および高血圧の診療を主に担当する。老年医学的総合機能評価(CGA:comprehensive geriatric assessment)を実施することにより、高齢者を疾患単位だけでなくADLの機能障害や生活の質(QOL)の立場からもとらえる医療を基本として、疾病だけでなく生活、社会の面からも「健康長寿」を目指す。また、積極的に先端医療を取り入れ、難治性疾患の治療開発にも取り組んでいる。高血圧については、高血圧治療ガイドライン作成委員会事務局を担当するなど、診療・研究ともに日本全体でもトップレベルである。難治性高血圧、合併症を持つ高血圧、内分泌臓器や腎臓、腎血管などの疾患に伴う二次性高血圧の診療に専門性を発揮する。健康長寿には、認知能は重要であり「物忘れ1日ドック」を行って認知症の早期発見に取り組んでいる。

症例数

外来患者数は約1,430人/月。高血圧(本態性高血圧、二次性高血圧)、心疾患、脳血管障害、末梢性血管疾患(閉塞性動脈硬化症、バージャー病)、代謝疾患(高齢者低栄養、高脂血症ほか)、糖尿病、内分泌疾患(副腎、甲状腺、副甲状腺疾患など)、腎疾患、早老症、認知症などを診療している

★入院患者は延べ約500人/月。循環器疾患として高血圧症(本態性高血圧症・Cushing症候群・原発性アルドステロン症・褐色細胞種・腎血管性高血圧)、低血圧症(Shy-Drager・Gitelman症候群・起立性低血圧など)、心疾患(虚血性心疾患・弁膜症・心筋症・不整脈)、末梢性血管疾患(閉塞性動脈硬化症・バージャー病)、脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)、肺高血圧症、また内分泌・代謝疾患として糖尿病、副腎腫瘍、甲状腺・副甲状腺疾患など、精神・神経疾患として認知症、パーキンソン病などを中心に入院加療を行うが、高齢者の場合は複合疾患による入院も多く、老年者の腎疾患、消化器疾患、呼吸器疾患などにも対応している。高血圧患者では、動脈硬化を全身疾患としてとらえ、外来・入院を問わず詳細な検査により適切な合併症評価を行い、Evidence Based Medicine(系統的な研究や臨床疫学研究などより得られた臨床的根拠に基づいた治療)を重視したきめ細やかな治療を行っている。さらに院内において、①脳卒中センター:2人、②末梢血管カンファレンス(心臓血管外科、放射線科と共同で実施):5人、③高齢者外科手術前CGA評価:5人の体制で対応しており、他科とのチーム医療により質の高い医療を提供している

★さらに先進医療に積極的に取り組み、血管疾患に対する遺伝子治療・核酸医薬治療などを行った実績を有する。

医療設備

検査:各種CT、MRI、血管造影検査、核医学検査など院内で実施できるすべての検査に加え、動脈硬化検査(PWV、内皮機能検査、足関節血圧比、指尖容積脈波)、24時間血圧測定&ホルター心電図、心エコー検査、腎血流ドプラ検査、腹部エコー検査、頸動脈エコー検査、骨密度検査、睡眠時無呼吸検査などを外来・入院患者に行っている。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

放射線治療科

分野

放射線科

特色

当施設は日本放射線腫瘍学会の認定施設で、同学会認定医、日本医学放射線学会専門医を擁する。サイバーナイフを用いた最新の定位放射線治療を実施。侵襲的な固定具を用いずに高精度ピンポイント治療を実現している。小線源治療は伝統があり、当施設の前立腺癌高線量率小線源治療は世界的に注目されている。子宮癌、舌癌などの高線量率小線源治療も積極的に行っている。05年より前立腺癌永久挿入小線源治療も開始した。放射線治療科病床14床、うちアイソトープ病棟2床を有する。乳房温存療法を積極的に実施。脳神経外科とのサイバーナイフカンファレンス、婦人科との合同診察、泌尿器科外来に前立腺センターを設置して放射線治療医も診察に参加するなど、各科との連携を積極的に図っている。

症例数

年間の放射線治療新規患者数は約700人。主な内訳は脳・脊髄、頭頸部、食道、肺、乳腺、子宮頸部、前立腺など。照射法は、外部照射、小線源治療、全身照射、定位照射、IMRTなど

★I、II期舌癌の5年局所制御率は87%、子宮頸癌の5年原病生存率はI期85%、II期73%、III期53%。II~IV期前立腺癌の5年局所制御率は97%、生化学的制御率は70%。

医療設備

リニアック2台(4、6、10MV、X線および電子線)、サイバーナイフ、高線量率イリジウムアフターローディング装置、ヨウ素125永久挿入小線源、治療計画CT、X線シミュレーター、3次元治療計画装置。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

麻酔科

分野

ペインクリニック

特色

外来または入院での神経ブロック、薬物療法、低侵襲手術、心理学的治療を行い、疼痛の軽減を目的とする病態全般に対する診断・治療を行っている。外来には麻酔科専用のレントゲン室を併設し、専門医による神経ブロック療法を随時安全に施行可能である。さらに、痛みの原因は様々であることから、整形外科、脳神経外科、リハビリテーション部など各診療部・科の医師のみならず、看護師などコメディカルとも協力して疼痛疾患の診療を行う「疼痛医療センター」を06年に発足させ、麻酔科はその代表を務めている。各診療部・科との連携を強めることにより、患者個々の病態に適したオーダーメイド医療の提供を目指す。具体的には、疼痛患者の日常生活活動度(ADL)の向上を目的とした神経ブロックとリハビリテーションの融合治療プログラムや、痛みの心理的側面に注目した疼痛教室と呼ばれる認知行動療法的アプローチに取り組んでいる。癌性疼痛に対しては、院内緩和ケアチームの一員として除痛を目的とした治療とQuality Of Life(QOL:生活の質)の向上に努めている。

症例数

年間の新患数は約300人。椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、脊柱管狭窄症などの腰下肢痛が上位を占める一方で、複合性局所疼痛症候群(CRPS:反射性交感神経性萎縮症・カウザルギー)や幻肢痛、脊髄損傷後疼痛、脳梗塞後疼痛(視床痛)、腕神経叢引き抜き損傷後疼痛、三叉神経痛、帯状疱疹後神経痛など神経障害性疼痛が多いことが特徴である

★腰下肢痛に対しては、持続硬膜外ブロックやエピドラスコピー(硬膜外腔内視鏡)などを短期入院で行っている。外来診療では硬膜外ブロックを中心に、神経根ブロック、椎間板ブロック、椎間関節ブロックが随時施行可能である

★頸肩上肢痛(肩こりを含む)に対しては、ボツリヌス毒素による局所注射も行っている

★先進医療としては腰部椎間板ヘルニアや椎間板変性による椎間板性腰痛(立位や座位を持続することによって生じる腰痛。臥位や側臥位で痛みが和らぐ)に対して、椎間板内高周波熱凝固法(IDET)を日本で先駆けて行い、良好な成績をあげている

★骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折や癌の脊椎骨転移に対しては経皮的椎体形成術を行っている

★癌性疼痛については院内入院患者に対する緩和ケアチームとしての診療が中心であり、WHO式の薬物療法に加え腹腔神経叢ブロックなど神経ブロック療法も積極的に行っている。麻酔科外来は癌性疼痛患者の退院後のフォローアップ機能を担っている

★神経障害性疼痛に対しては、抗うつ薬・抗けいれん薬を中心とした薬物療法を行い、その他、経皮的硬膜外脊髄電気刺激療法や脳神経外科と連携して脊髄後根進入部熱凝固術や大脳運動野刺激療法なども行っている

★研究的治療として、鏡を用いた疼痛治療プログラムの開発にも取り組み、幻肢痛以外の四肢神経障害性疼痛に対しても成果をあげている

★三叉神経痛に対する三叉神経節高周波熱凝固術では、全身麻酔(鎮静)を併用した治療法に取り組み患者の苦痛を最大限緩和する努力を行っている

★末梢血管障害などによる虚血性疼痛に対しては、硬膜外ブロック、腰部・胸部交感神経節ブロックを基本とし、症例に応じ経皮的硬膜外脊髄電気刺激療法も取り入れている

★心因性疼痛患者に限らず麻酔科外来を訪れる疼痛患者全般に対して心理療法的アプローチを行っている。特に、集団認知行動療法と言える「疼痛教室」を不定期に開催し、痛みについての正しい知識の教育・自律訓練による痛みの自己管理を指導し、痛みの治療への主体的な参加を促している

★漢方薬による治療にも積極的に取り組み、従来の治療薬に抵抗性の痛みへの応用を目指している

★毎週症例カンファレンスを行い、疼痛患者の治療方針について徹底議論を行い、最新の知見を日常診療に応用することをモットーとしている

★疼痛患者の身体や心理面の障害を治療することに加え、「患者の生活を治療する」という姿勢で臨んでいる。すなわち痛みに関わるストレスや睡眠障害などにも包括的にアプローチしQOLの向上を治療目標として設定している。

医療設備

MRI、CT、高周波熱凝固装置、神経刺激装置、筋電計、筋硬度計、サーモグラフィ、各種レーザー治療器ほか。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

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