慢性痛治療の切り札に!?注目集まる「脊髄刺激療法」って、なんだ?

[ニュース・トピックス] 2016年10月14日 [金]

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(画像提供:セント・ジュード・メディカル株式会社)

 3か月以上続く痛みを指す「慢性痛」。近年、注目される治療法の1つが「脊髄刺激療法(SCS)」です。「脊髄刺激療法」は神経障害性疼痛に有効な治療法として、微弱な電流を脊髄に直接流すことで、異常な痛みの信号を脳に伝わりにくくします。
 先日、都内で医療機器メーカーのセント・ジュード・メディカル株式会社が脊髄刺激療法についてのセミナーを開催。NTT東日本関東病院 ペインクリニック科部長の安部洋一郎先生が講演を行いました。
 SCSによる治療の目的は、痛みを半分以上軽減して日常生活を改善することです。痛みを完全に取り除くことはできませんが、ほかにも鎮痛剤の使用量を減らせるため副作用が抑えられる、日々変化する痛みに合わせて患者さん自身が刺激をコントロールできる、本植込み前のトライアルで患者さん自身が効果や使い勝手を確認できる―など数々のメリットがあります」(安部先生)

半数以上が痛みを1人で解決しようとしている。早めの専門医受診が○

「ProclaimTM Elite MRI」(画像提供:セント・ジュード・メディカル株式会社)

 痛みが3か月以上続く慢性痛は、さまざまな痛みが複雑に混在していることが一般的です。また痛みは自律神経のうち、体の緊張を促す働きがある交感神経を刺激します。すると交感神経の作用で血管が収縮して血流が悪化。これが痛みを起こす物質(発痛物質)発生の引き金になります。通常は血流によって発痛物質が洗い流され、痛みが治まりますが、痛みが長引いて血流が悪い状態が続くと発痛物質が滞留して痛みが増幅し、それによって交感神経がさらに刺激されるという、“痛みの悪循環”が引き起こされます。「慢性痛の治療では、ペインクリニックなどの専門医への早期受診で痛みの悪循環を断ち切ることが重要です」(安部先生)
 最近では患者用コントローラにApple社のiPod touchを採用し、スマートフォン感覚で刺激を調整できる製品も登場。従来は不可能だった磁気共鳴画像(MRI)検査も、頭部と手足のみという条件つきながらも可能になり、使い勝手や日常生活における活動性が飛躍的に向上しつつあります。
 SCSはすべての慢性痛患者さんに適用される治療法ではありませんが、重症化しないためには専門医への早期受診がなによりも重要です。長引く痛みに悩む方は、痛みの専門医に相談してみることをお勧めします。(QLife痛み編集部)

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