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[医療×エンタメ] 2019/12/23[月]

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大賞は患者さん側の視点で「人生の最終段階」を描いた作品に


大賞を受賞した「油沼さん」の作品

 医療従事者と患者さんでは、同じ出来事に対する気持ちの受け取り方が異なることがあります。例えば、医療従事者側で、「この患者さんにはもっと専門的なリハビリが必要だから、リハビリ専門の病院へ転院してもらうのが良いだろう」と考えて転院を提案しても、患者さん側は「この病院に見放されてしまったのかも…」と捉え、不安に思うことがあるかもしれません。このような、医療従事者と患者さんの視点の違いによる“医療コミュニケーションギャップ”をテーマにした漫画を介し、共感を促進することを目指した取り組みが『医療マンガ大賞』です。この取り組みは、横浜市とマンガ投稿サービス「コミチ」との連携により、実現しました。

 今回、医療従事者が監修したエピソードや、SNS上で募集した体験エピソードを原案に漫画作品の募集を行ったところ、55作品の応募があり、その中から大賞1作品・入賞7作品・特別賞3作品が選ばれました。受賞作品は、テーマごとに、医療従事者と患者の視点で描かれた作品がそれぞれ選ばれています。大賞は、患者側の視点から「人生の最終段階」を描いた作品に決定。がんになり余命わずかとなった父親と、その父親を支える娘の最後の別れが描かれています。「いざという時は、何もしないで欲しい」と言う父親と「長く生きて欲しい」と願う娘とのやり取りや、娘のことを想う父親の優しさが繊細に描かれた作品です。

 『医療マンガ大賞』の審査員のひとりで、『町医者ジャンボ』など多くの医療漫画を手掛ける漫画家・こしのりょうさんは、「コマ割りのテンポが良くて、キャラクターに一番感情移入できた作品。「グッ」っときました」とコメント。また、同じく審査員のひとりで、『医療マンガ大賞』の企画段階から連携しているプロジェクト「SNS医療のカタチ」の医師・大塚篤司先生は、「この作品は、最後まで心が離れることなく、読み切りました。そして最後、目頭が熱くなりました」とコメントしています。

「相手の立場を考えたコミュニケーションが大切」がん患者の幡野さん


幡野広志さん

 『医療マンガ大賞』受賞作品の決定を記念し、12月13日に、SNS医療のカタチ主催、横浜市医療局共催の「『医療マンガ大賞』アフタートークイベント」が、都内で開催されました。同イベントでは、多発性骨髄腫という血液がんを発症した写真家・幡野広志さんが特別ゲストとして登壇。審査員の方々を交えて、医療コミュニケーションギャップに関するトークセッションを行いました。

 幡野さんは、医療現場で起こるコミュニケーションエラーについて、「責められることが多いのは医療従事者側。でも、患者側に問題がある場合もあると思う」と、考えを述べました。2017年に多発性骨髄腫と診断を受けた幡野さんは、最初に入院した際、同年代の医師や看護師と仲良くなったそうです。ある日、楽しく3人で話していると、ついつい話し声が大きくなってしまい、別の患者さんに「うるさい!」と怒鳴られてしまったのだとか。それ以降、医師や看護師も遠慮し、3人で楽しく話すことは無くなってしまったそうです。この出来事について、「医師や看護師が、次にやって来る患者さんに対しても、遠慮してしまうきっかけになるかもしれない」と幡野さん。コミュニケーションエラーによって、「結果的に、患者側に(コミュニケーションエラーの悪い影響が)戻ってくることがある」とし、「相手の立場を考えたコミュニケーションが大切だと思う」と、述べました。

 現在、『医療マンガ大賞』のウェブサイトでは、全ての受賞作品を公開しています。作品を通じて、医療従事者と患者それぞれの視点を知ることが、医療コミュニケーションギャップを埋めることに向けた第一歩となりそうです。(QLife編集部)

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