慢性的な痛みの治療には体だけではなく心のケアも大切

[ニュース・トピックス] 2014年1月31日 [金]

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慢性痛がもたらす体の痛みと心の痛みの悪循環

(この画像はイメージです)

 突然発症する一時的な痛みを「急性の痛み」、短期間で治まらず1~3ヶ月以上と長く続く痛みのことを「慢性の痛み」といい、多くの人が腰や肩・首・膝などの慢性の痛みに悩まされています。
 慢性の痛みを抱える人は、長く続く痛みにばかり注意が向きがちになり、気持ちの落ち込みや不眠・うつ状態につながるといったケースが多くみられます。痛みに囚われて気持ちが落ち込むことで強いストレスを感じ、そのストレスによって脳内物質のバランスが崩れ、更に痛みが増幅するといった悪循環に陥ることも。体の痛みと心の状態は密接に関係しています。
 このような慢性の痛みと患者の心の動きについて、イギリスの国立健康調査研究所(NIHR)が実態を調査し、その研究結果が発表されました。調査では、とくに慢性の痛みを抱える人々の心の有様に着目し、患者の精神面でのケアについて取り上げています。

苦痛の経験を共有し、今の自分を受け入れることで前向きに

 慢性の痛みに悩む多くの患者さんは、長く続く痛みから「本来の自分ではなくなってしまった」と感じることが多く、治るかわからない痛みを抱えた将来への不安や、出口の見えない絶望感にさいなまれ、未来への希望を持てない人が多いようです。また、痛みは他人に理解されにくいため、たいした病気ではないように見られたり、逆に必要以上に病人扱いされるといったこともあり、第三者からの視線もストレスの種となっていることがわかりました。では、こうしたストレスから解放されるためには、どうすれば良いのでしょうか?
 調査を行った専門家は、痛みを抱えている現状自体が本来の自分であると受け入れることで、身体的な痛みがあっても精神は健康であると自覚でき、心の安定に繋がると説いています。
 また、同じ経験をしている人達と悩みを共有することで、前向きな思考に変化するといった調査結果も報告されており、1人で悩むのではなく、他者との共感が精神安定の助けとなることが判明しました。
 慢性的な痛みがあると不安が強くなり、どうしても気持ちが落ち込みがちです。しかし、その気持ちの落ち込み自体が、更に痛みを加速させている原因かもしれません。まずは痛みを受け入れ、その上で出来ることを探したり、積極的に他者と関わったりすることが大切なようです。(そねゆうこ)

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