変形性関節症を引き起こす原因は「亜鉛」だった!?

[ニュース・トピックス] 2014年4月11日 [金]

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亜鉛と変形性関節症の関係性を立証

(この画像はイメージです)

 中国の光州科学技術研究所による研究で、軟骨細胞内部の亜鉛レベルを調節し、反応に関与している分子経路が、変形性関節症の組織損傷を引き起こすことが明らかとなりました。
 変形性関節症は、骨と骨との間のクッションの役割を果たしている軟骨組織が破壊され、痛みや腫れを引き起こし、それが続くことで関節の変形にまで至る病気です。多くの高齢者が変形性関節症に悩まされていますが、この病気の根本的な分子メカニズムが不明なため、これまで効果的な治療法がない状態でした。
 しかし、マウスを用いたこの検証で、ZIP8と呼ばれるタンパク質が細胞内亜鉛を輸送し、軟骨組織の破壊をもたらすことが判明したのです。
亜鉛と変形性関節症との関係性を、はっきりと示した医学的根拠はこれまでにありませんでした。

変形性関節症の亜鉛経路における分子事象が明らかに

 変形性関節症で起こる軟骨組織の破壊は、マトリックス分解酵素と呼ばれるタンパク質によって引き起こされるといわれています。このマトリックス分解酵素が機能するためには「亜鉛」が必要であり、そのことから研究チームは、軟骨細胞内の亜鉛レベルと変形性関節症に関連があると考え、今回の検証を行いました。
 変形性関節症患者の軟骨と同じ疾患のマウスモデルを検討した結果、軟骨細胞の細胞膜にある、ZIP8と呼ばれるタンパク質のレベルが異常に高いことが判明。このZIP8が、外部環境から細胞内部へ亜鉛を輸送することに関与しているという事実を発見しました。ZIP8によって亜鉛が流入することで、金属転写調節因子-1(MTF1)と呼ばれるタンパク質が活性化し、軟骨細胞におけるマトリックス分解酵素レベルが増加するという構造が明らかとなったのです。
 高齢者の主たる身体障害原因ともいわれる、変形性関節症。超高齢社会である現在、この病気の根本原因解明は、火急の課題であるともいえます。今回の研究が、新たな治療アプローチや新薬開発につながることを期待したいですね。(そねゆうこ)

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